絶対可憐チルドレン-転生者の人生-   作:雅蓮

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第34話 キティ・キャットで

梅枝ナオミ 16才

 

コードネーム キティ・キャット

 

「ザ・チルドレンに次ぐ、貴重な超度6!! まだ若いが仕事は正確・確実! おまけに清楚で上品、素直で真面目で美しい!! 彼女こそ理想の特務エスパーなのだ!!」

 

チルドレンと、皆本そして陽に力説する男。

 

キティ・キャットの現場運用主任である谷崎一郎一尉だ。

 

陽とは古い馴染みでもともとは超度4程度だったが、谷崎の指導により超度6にまで上がった。

 

指導者としては優秀である。

 

(指導者としてはいいけどな~)

 

残念そうな顔をしながら、陽は谷崎の話を聞く。

 

既にこの話も、何回聞いたことか・・・。

 

チルドレンも、嫌味を言われて深いそうだが、今回は何か様子が違うようだ・・・。

 

「で、そのキティ・キャットがチルドレンに何が?」

 

呆れた皆本が問う。

 

「うむ、じつはな・・・。」

 

そういって、谷崎は手元のヒモを引く。

 

すると、陽、薫、ナオミの頭の天井が開き金属製のタライが落ちてくる。

 

陽と薫は、超能力でタライを受け止める。

 

が、ナオミはタライを受け止めることなく、頭にぶつけてしまう。

 

念動力は、発動しているのだが、その力はまったく別の皆本のPCに作用し皆本にぶつかる。

 

「あ・・・す、すいません、ごめんなさい!!」

 

「見ての通りナオミはスランプ気味でね・・・。」

 

谷崎は言う、その後ひとしきり、謝罪した後ナオミは現状を説明しはじめた。

 

「体には何も異常はないそうですし、同じ念動能力者で超度7の明石なん達に何かアドバイスをいただけないかと・・・私、早く治して主任の期待に応えたいんです!!」

 

(ふむふむ、まぁなんとなくスランプの予想はつくけどね)

 

必死な、ナオミに対して陽は、スランプの原因に目星をつけていた。

 

皆本が、紫穂に指示を出すと。

 

葵に話しかける。

 

「ほな、若者だけで話そうか!」

 

そういうと、ナオミと陽を連れて瞬間移動する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第5修行室

 

「あの・・・心理探査ならもう精神感応能力者の方にやってもらいましたけど・・・。」

 

頬を触りながら、接触感応している紫穂にナオミがいうが。

 

「でも、超度7は私と陽さんだけよ。 ナオミさんは自制心が強そうだから・・・もしかして陽さんの方が良かったかしら?」

 

頬から、手を放すと意地悪そうな顔をして、小声で言う。

 

「い、いえそんなことは・・・。」

 

顔を真っ赤にしてゴニョゴニョと否定するナオミ。

 

離れた位置にいて、一切聞こえていない陽の方を見てホッと胸を撫で下ろす。

 

「ふーん・・・陽さんも視てみる?」

 

紫穂が、陽にも接触感応するか聞いていると、ナオミは顔を真っ赤にしておろおろしていた。

 

「いや、女の子には、緊急の時以外心は読まないようにしてるから。」

 

それじゃあ、といった様子で紫穂が手を差し出す。

 

接触感応は基本的に相手の思考を読む際、一方通行だが、接触感応能力者同士なら、交互に思考を読むことで会話も可能だ。

 

理解した陽は、紫穂の手を取る。

 

『陽さん、聞こえる?』

 

『聞こえてるよ、今回の件についてだね、僕も大体予想はつくけど・・・。』

 

予想をイメージしただけで伝わる点は、非常に便利だ・・・。

 

もちろん、必要な内容以外は読めない様にしているが・・・。

 

『ええ、その通り原因は谷崎主任ね。』

 

スランプの内容が分かったところで、手を放す。

 

直接の思考回線だったので、直接手を繋いでいたのは、3秒程度だった。

 

「さて、ナオミさん、スランプの解決方法だけど・・・。」

 

解決方法は、いくつか考えたか、手っ取り早く2つに絞りナオミに選ばせることにした。

 

「ゆっくり解消するか、一気に解消するか。」

 

陽が、決断をせまる。

 

少し考えた後・・・。

 

「一気にお願いします。」

 

おー! というチルドレンの声を聴きながら、ナオミの意思が変わらない内に計画を始動する。

 

「じゃあ紫穂、後は頼んだよ。」

 

そういうと、陽は座ったまま動かなくなってしまう。

 

「じゃあ、ナオミさん。 薫ちゃんと戦ってみますか。」

 

紫穂が話を持ちかける。

 

「でも・・・今の私じゃ勝負も何も・・・。」

 

超能力がうまく使えない、ナオミでは勝負にならないからと辞退しようとするが・・・。

 

 

「平気。 葵ちゃんと組めば逃げることは出来るわ。 薫ちゃんはリミッターを付けたまま、体にタッチするだけ。 反撃は本気でやっていい・・・ってのはどう?」

 

紫穂がルールを解説すると、俄然薫がやる気になってくる。

 

試合が始まって数秒もすると、ナオミが異変を察知する。

 

対戦相手の少女の姿がぼやけ、中年オヤジのような姿に変わった。

 

しかし、姿が変わったことに気が付いているのは、ナオミと仕掛け主である陽と紫穂だけである。

 

紫穂は、試合が始まった直後に、瞑想中の陽の背後に立つと方さわり、思考を好感し始めた。

 

『しかし、すごいこと考えるのね、陽さん。』

 

谷崎の姿をした薫は、ルールどうりに体にタッチしていく。

 

『結局、ストレスが発散できていないだけだからね。 恩師で上司じゃ反撃もしにくいだろうし・・・。』

 

陽が幻覚能力で、ナオミの薫が谷崎に見えるようにしていた。

 

そうとも知らず、薫は念動力使用した高速移動で、胸やお尻をタッチしていく。

 

(わが妹ながら本当に親父だな・・・幻覚使わなくてもいけたな・・・。)

 

谷崎に悪いことをしたと考えながらも、幻覚は解かない。

 

ついには、手が滑ったと言い訳し、葵にまで手を出し始めた。

 

葵には、薫に見えているから問題はないが、薫のあまりのセクハラぶりに、普段おとなしいナオミもついに切れる。

 

「この・・・・・エロ親父がああああああ!!」

 

髪の毛を逆立て、全身から電気を放出する。

 

幻覚を解いて、薫の前に鉄の棒を地面に食い込ませる形で瞬間移動させる。

 

避雷針の要領で、電撃は床に吸い込まれていく。

 

谷崎の姿が消えたことで、冷静になるナオミ。

 

「アレが私のスランプの原因だったのね・・・。」

 

主任をアレ呼ばわりしたナオミがすっと立ち上がると、チルドレン+1を抱きしめる。

 

「ありがとう、陽くん、薫ちゃん、紫穂ちゃん、葵ちゃん」

 

しばらく抱き着いていると、中心にいた陽に胸が当たっていることに気が付いて離れる。

 

一通りお礼を言うと・・・。

 

「じゃあ私・・・ヤルことがあるから」と部屋を出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

数日後、風の噂に谷崎が入院し、ナオミちゃんのコードネームがワイルド・キャットに変更になったことを聞いた陽だった。


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