絶対可憐チルドレン-転生者の人生-   作:雅蓮

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第31話 誘惑する者で

「うわー!!かなり燃え広がってるな!!」

 

火の手を上げる森を森を見下ろしながら、葵が呟く・・・。

 

念動力でかなりの上空に待機しているにも関わらず、かなりの熱気が伝わってくる・・・。

 

「風向きが北東に変わるわ!!」

 

紫穂が接触感応で風向きが変わることを察知し報告する。

 

風向きが変わり、炎の進路が変わる。

 

「始めてくれ薫、陽! 風下の木を切り倒して延焼を防ぐ!」

 

「「了解!!」」

 

[念動 防火壁一筆書き!!]

 

[遠切 一文字切り]

 

薫は、直接木をへし折り。

 

陽は、刀で根元から叩ききる。

 

火災箇所の風下に当たる木々を切り倒す。

 

「木がちょっとかわいそうやけどな。」

 

切り倒された木を見ながら、葵が呟く。

 

「仕方ないよ、放っておいたら今以上に燃え上がる! 火災エリアは他にも多数!! すぐに次のポイントに移動してくれ!! あまりトバすなよ、薫! 一度にあまりパワーを使うと途中でバテるぞ。」

 

ヘリの中で指示を出していた皆本が薫にアドバイスする。

 

ふわふわと浮かびながら注意を聞き入れる薫。

 

「だーいじょーぶだって! パワーは抑えてコントロールする方がキツいんだよ。 全開でやれるってのは、気持ちイイぜ。 それに、物を壊すって快感じゃん? ゲームや映画みたいでさ!! ビルや家でやったらもっと気持ちいいかもな。」

 

微笑しながら炎を見下ろす薫。

 

「ホントに遣ったら、お説教じゃすまないけどね・・・。」

 

「じょ・・・冗談だよ! 行こうぜ葵!」

 

チルドレンたちが、次のポイントに瞬間移動する。

 

陽も続こうかと考えた瞬間、森の中から人の気配を感じそちらに瞬間移動する。

 

「誰だ!」

 

しかし、陽が瞬間移動した時には、人影はなかった。

 

大地に触れ、周囲の空間の記憶を読み取るが、不審な所は一切なかった。

 

(不自然な位、自然すぎる・・・。)

 

 

 

 

 

 

 

(まさか、僕の気配に気が付くとはね・・・。)

 

学生服を着た白髪の男が、嬉しそうに笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

「森林火災は無事鎮火、よくやった、諸君!」

 

それぞれ、皆本に群がりながら局長の話を聞いているチルドレンと隣に立つ陽。

 

薫は、満足していたようだが、紫穂と葵は文句があったようで局長に不満を漏らしていた。

 

その不満を、すべて全力で解消しようと、全力を出す局長が居た。

 

しばらくして、チルドレンが帰った部屋には陽と皆本、局長、朧さんが残っていた。

 

「陽クン、これが新しいリミッターだよ、性能は前回のタイプと変わっていないが、表面の金属を鋼から、レアメタルに変えておいた、試しておいてくれたまえ。」

 

陽がリミッターを、装着する。

 

今までとあまり変化がない、そもそも最新鋭のリミッターをいくつ使っても超度はほとんど変化していない。

 

「しかし驚きました、陽のESPがこれほど力とは・・・。」

 

皆本が、報告書を読みながら確認の意味を込めて聞く。

 

「ウム。 超度では6以上が測定できないからそれ以上は、すべて超度7になる。 故に、彼らにどれほどの力の差があっても超度は同じなのだよ。」

 

数週間まえの誘拐事件の際、陽の力を目の当たりにした皆本は局長と陽を問いただし、ECMの実験でも程よく手を抜いていたなど、隠されていた真実を聞き出していた。

 

 

 

 

 

 

バベル 射撃訓練場

 

皆本が、支給された銃を的に向けて撃っていた。

 

一発、また一発と的に向けて放たれるが安定しない。

 

どうやら、以前に見せられた伊号中尉の予知を思い出しているようだ。

 

隣に入ってきた男が皆本に話しかける。

 

「考え事しながらの射撃は危ないよ、皆本クン。」

 

そういいながら次々と、銃弾を的の中心に当てていく。

 

「君は・・・? 僕のことを知っているのかい?」

 

皆本が疑問に思い、隣の白髪の少年に話しかける。

 

「皆本光一。 ザ・チルドレンの主任だろ? 最近は同じく超度7の明石薫の兄、陽の担当になることも多い」

 

スラスラと話始める少年。

 

すると、少年はさらに話始めた。

 

「伊号の言ったことなら気にしなくていいよ。 あいつの予知が100%なんてデタラメさ。」

 

「どーしてそのことを!? 精神感応でも読めないはず」

 

驚きの表情を浮かべる、皆本に対してクスクスと笑う少年。

 

 

 

 

 

つづく。


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