絶対可憐チルドレン-転生者の人生-   作:雅蓮

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第30話 普通の敵で(2)

拘束され廃工場に閉じ込められた陽たち・・・。

 

ESP錠を装着され、超能力を封印されたチルドレンたち。

 

「こーゆー時は、ジタバタしたらあかんねん! 理性的に行動するんやで。」

 

葵が薫たちに注意を促す。

 

陽たちは、倉庫のような部屋に監禁され、皆本やヘリのパイロットは別の場所に連れて行かれていた・・・。

 

(ここがアジトかな?)

 

殴られた場所を治療しながら、陽は考察していた。

 

四方壁に囲まれ、窓はなく、出入り口はカギのかかった扉のみ。

 

外には武装した、見張りが数人・・・。

 

(これはちょっと出られないな。)

 

超能力が無ければ、子供の力では脱出は不可能と考え葵の話に耳を傾ける陽・・・。

 

「敵が油断しチャンスが来るのを待つんやで。」

 

葵の言葉に、3人は各々の言葉で了承する。

 

 

 

数分も間を空けない内に、ガチャリと唯一の扉が開く。

 

それに気づいた薫が、扉を開けた男に蹴りかかる。

 

「死ねぇぇぇぇ!! 普通の人々のくそや・・・」

 

言い終わる前に、両手を拘束されていた陽に、取り押さえられる。

 

「大人しくして」

 

薫だけに聞こえるように耳元で話しかける。

 

扉から、二人の武装した男が現れる。

 

薫を取り押さえていた、陽が立ち上がり男たちの前に立つ・・・。

 

「ちょうどいいお前だ!」

 

陽の頭を掴むと、片手で持ち上げそう告げる。

 

そんな男たちに、何かを告げようとする紫穂。

 

「ななたたち・・・相手が子供で超能力を封じられてるから好き放題してるけど、子供だってされたことは忘れない!! 私たちはすぐに超能力を取り戻すし、いずれ大人にもなるわ。 陽さんに何かしたら・・・その時は死ぬほど後悔させてあげる」

 

陽を除く3人が、同意の目線をテロリストたちに向ける。

 

しかし、陽は・・・。

 

「大丈夫、心配ないからちょっと待ってて」

 

陽がそういうと、男たちは陽を連れて出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ECMが設置された建物の中に男たち移動した。

 

(頭を掴まれたままか・・・首が痛いな。)

 

場違いな感想を抱きながら扉を潜ると、傷ついた皆本が縛られ椅子に座っていた。

 

「皆本さん! 大丈夫ですか!?」

 

眼鏡も片方割れ、口には血がにじみ、服も汚れ、所どころ血が付いている。

 

心配した陽の声に反応したのか、皆本が声を出す。

 

「陽・・・!!」

 

しかし、再開も束の間、テロリストの一人が話しかける。

 

「我々が至急、手に入れたいのは特務エスパーの名簿だ! 強情張らずにパスワードを教えたまえ、でないとこいつの悲鳴を聞くことになるぞ!!」

 

そういって陽の顔にナイフを向ける。

 

特務エスパーの情報が入った皆本のPCの前で微笑む男。

 

「子供に手を出すな!! お前らそれでも人間か!?」

 

皆本が怒鳴りつけるが、まったく気にしないテロリストたち・・・。

 

「差別主義者どもが!」

 

何所からともなくボン!っと爆発音が、廃墟に響き渡る。

 

「皆本さんが口を割らなくて良かったな!!」

 

陽の頭を掴み持ち上げていた男が、音もなく壁に激突する。

 

拘束されていたはずの両手を、何事もなかったかのように左右に伸ばしストッレチする陽。

 

「人質の場所が分からなかったから、手を出さずにいたけどこれで心置きなく・・・」

 

何所からともなく日本刀を召喚すると・・・。

 

「半殺しにできる!」

 

右手にで頭上に持ち上げた日本刀を振り下ろす。

 

[遠切 月牙天衝]

 

ECMのあった地面から天井までを跡形もなく切り裂いた。

 

「親切に僕のリミッターまで外してくれるなんて、あれがあったらもう一押し足りなかったんだけど」

 

陽が普段装備している4つの腕輪の内部にはチルドレンと同型のリミッターが内蔵されており、単純計算でチルドレンの4倍ESPを封印していた。

 

今回の事件で、テロリストたちが陽のリミッターを外していなければ、少し苦戦していたかもしれない。

 

[遠切 閃断]

 

[遠切 峰打ち]

 

廃墟の周りを警備していた男たちを切り伏せ、峰打ちで失神させる。

 

「大丈夫! 殺しはしないキッチリ半殺しだから!」

 

ニヤリと笑いながら、刀を振り下ろし続ける。

 

振り下ろすたびに、男が一人血を流し倒れていく・・・。

 

しばらくすると異変に気が付いたテロリストたちが、応援を呼び始めた。

 

「皆本さん大丈夫ですか?」

 

皆本を拘束していた器具を破壊し、目立つ傷を治療する。

 

「あぁ、チルドレンは無事か?」

 

真っ先にチルドレンの心配をする皆本。

 

(やっぱりいい人だね)

 

そう考えながら答える。

 

「チルドレンの近くにいる奴らから、仕留めましたから。 ECMも破壊したからすぐに脱出するでしょう。」

 

陽が、話している途中で、テロリストたちが、銃による一斉掃射を始めた。

 

「助けるのが遅れてすいませんでした。 流石にECMまで使われると薫たちを守りきる自信が無くて、タイミングを計ってました。」

 

自身に向かって殺到する銃弾を、見ることなく受け止める。

 

皆本に謝罪しながら、これからの作戦を練る。

 

「陽! このまま、テロリストを殲滅しチルドレンを救出する!!」

 

「りょうか・・・皆本さん作戦終了しました・・・。」

 

陽が、刀を瞬間移動でかたずけると、テロリストたちの背後の壁が爆破した・・・。

 

「にーちゃん、皆本! 待たせたな!」

 

「な!? 待っとたらチャンスが来たやろ!?」

 

「ホント!!」

 

三人が、崩壊した壁の向こうから現れるも、ちろんその手にESP錠などあるはずもない。

 

「「「じゃ、仕返しの時間ね」」」

 

満面の笑みを浮かべ、テロリストたちに近づく・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

数十分後、局長達がヘリで回収に来たとき現場はテロリストたちは、陽によって半殺しになったものと、チルドレンによって精神的に重傷を負った者たちが溢れる、地獄と化していた・・・。

 

 




以前作中で、陽はECMの対抗策を考えていましたが・・・。

常にECMが平気というわけではありません。

ECMを無効化できる技があるだけですね、これは性質上、後出しになる技なのでECMに対して完全な防御を誇っているわけではないんです

ECM無効系の技は疲れるので常時展開はしていません。

ECM無効系の技は、無理やりでも一瞬ESPを使う必要があるので、弱いECMなら無理やり敗れますが、強力なECMでは無効化に時間がかかります。

といっても今回の解決方法は新型ECMでも抑えきれなかた感じにしたいですね・・・。

陽には新型ECMすら効果が薄かった感じです。

今までのECMの実験では手を抜いていたんですね。

今回、あと一押し足りないようなことを言っていましたが、原作では皆本のPCにECCMが仕込まれていました、それを知っていた陽はそれを使うことも考えていました。

また、本当に奥の手も残しています。

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