絶対可憐チルドレン-転生者の人生-   作:雅蓮

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第29話 普通の敵で

ECMの性能テスト

 

普段は陽が召集されるのだが、今回は珍しくかおるが呼ばれていた・・・。

 

その様子を、視察室で見ていた陽は局長に質問した。

 

「薫が呼ばれるなんて珍しいですね。」

 

「先方がより多くのエスパーのデータがほしいとのことでネ」

 

局長が答えた。

 

しばらく、雑談していると視察室に研究者や政府関係者が集まってきた。

 

薫の準備が終わり、実験が開始した。

 

廃棄予定の戦車との戦闘で一台を真っ二つにし炎上させた。

 

「薫の調子は上々です! 始めてください局長!」

 

現場の皆本が視察室の局長に通信する。

 

「了解! 新型ECMのテストを開始する!」

 

局長が、新型ECMを起動させる。

 

するとトラックほどのサイズのECMが作動しESPを無効化する。

 

薫が、ECMの効果範囲外から加速しながら戦車を殴ろうとしているようだ。

 

しかし、効果範囲内に入った瞬間、推進力と防御に使っていたESPが無効化され、超能力によって発生した運動エネルギーだけが残り、突き出した拳が戦車の装甲に直撃した。

 

(悲鳴が聞こえそうだな)

 

陽がそんな感想を抱いていると、実験結果に満足したのか、一人また一人と視察していた人たちが帰っていく。

 

しばらくして、部屋に誰もいなくなると局長が陽に質問をした。

 

「君ならECMを振り切れるかネ?」

 

しかし、陽はすでに現場に向かっていてその場にいなかった。

 

陽は現場に行って、薫の拳を治療すると、本部に帰っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

陽がチルドレンと共に、ヘリで帰還していると、朧さんから緊急の連絡が入った。

 

「皆本主任! 現場上空に到着しました! 事件発生予定時刻まであと15分」

 

ヘリの運転手が告げる。

 

しかし、ヘリから現場を覗くと、爆炎が上がっていた。

 

「もう始まってる!?」

 

驚愕した様子で、言う皆本。

 

河川敷では今もエスパー同士の喧嘩で、地面から煙が上がっていた。。

 

「なにあれ?」

 

「河川敷で酔っ払った高超度エスパー同士の喧嘩らしい。 ったく!! ニュースにでもなったら他のエスパーが迷惑する! 予知システムに引っかかってよかったよ。 騒ぎが発覚する前に取り押さえて本部に連行する!」

 

「「「「了解!!」」」」

 

陽が、チルドレンを連れて瞬間移動する。

 

「毎度ー! 特務エスパーでーす!!」

 

着地すると、喧嘩していた二人を薫と陽で大地に叩きつける。

 

すぐさま皆本が、ESP錠をかけ、紫穂が接触感応で記憶を視るが・・・。

 

「皆本さんこの人たち、エスパーじゃないわ!?」

 

辺りを見回すと、仕掛け火薬が設置してありどうやらこの喧嘩は自演のようだ・・・。

 

何かを察知した陽が、あたりを見回すが何もできなかかった・・・。

 

そう、何も出来なかった・・・。

 

「クックック!! その通り! すべては特務エスパーを誘い出すためのワナだよ・・・!!」

 

土手の上から、男たちが現れる。

 

黒いコートに黒いサングラスで、身元を隠しているのだろう。

 

銃で武装した黒ずくめの集団は、ジリジリと近づいてくる。

 

リーダと思われる男が、話しかけてきた。

 

「バベルのセキュリティー態勢は全て把握ずみだ。 予知システムにニセのデータを侵入させたんだよ。 これで我々"普通の人々"は特務エスパーをまるごと捕獲できたわけだ」

 

反エスパー団体のテロ実行部隊、以前伊号中尉の予知のときに局長の暗殺を企てていた奴らの仲間のようだ・・・。

 

「汚らわしいエスパーと、それに味方するバベルの犬め! 貴様らはこの世の秩序の破壊者だ!! 捕獲して情報をすべて吐かせてから処刑する!!」

 

そういうと、黒服たちは一斉に襲い掛かってくる。

 

薫が反撃に出ようとするが、陽に止められる。

 

陽は、薫を止めた反動で黒服の攻撃を受けてしまう・・・。

 

それを見た薫は、なぜ止めたのかと抗議したが・・・

 

「ECMが設置してある、超能力が使えない」

 

陽が、チルドレンに伝えると、はっとした様子でチルドレンたちが動揺する。

 

「我々の力を甘く見るなよ、普通の人々はどこにでもいるといっただろう? 最新鋭の装備も入手可能なのだ!!」

 

近くに停車していたトラックの荷台から、先ほどの実験で使用していたしんがたECMが姿を現した・・・。

 

いきり立つ薫を抑えると、大人しく拘束される陽とそれに続くチルドレンたち・・・。

 

 

 

 

 

続く。

 

 

 

 


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