同刻 一本木タワー付近上空
「一本木タワービルに、航空機が衝突!? たしかなんですか!?」
局長に聞く皆本。
「確率は88%! 15分後に発生するみこみだ! 具体的な詳細は不明、付近を飛行禁止にしたが、確立に変化なし! ビル及び周辺の非難には、もうしばらくかかる!」
局長が報告する。
「了解! チルドレンはESPリミッター解禁状態で待機中! 必ず未然に食い止めます!」
皆本は、決意を新たにする・・・一方チルドレンは・・・。
「にーちゃんから逃げられてラッキーだったな・・・。」
薫が、苦笑いしている。
「そうね陽さんの説教つらいものね。」
葵と紫穂は足がしびれているのか、動きが不自然だ。
「事件発生予定時刻まで1分!!」
アナウンスが鳴り響く。
「おかしい! 何の兆候もない!? 航空機と言えば・・・あっ!」
皆本が何かに気づき、パイロットに連絡する。
「機長!! 全速でこの空域から退避!! 今ここにいる、航空機は我々だけだ!! 予知自体が事故の原因だったん・・・」
その時、ヘリに横からの急激な力が、加わり急速にビルに近づく・・・。
「そ・・・操縦不能!! 何かものすごい力に、引っぱられています!!」
機長の通信の直後、ヘリがビルに衝突する。
そのまま、ヘリは地面をめざし落ちていく。
「こらあかん!! 緊急瞬間移動!!」
ヘリに乗っていた人たちは、すべて葵の瞬間移動で脱出した。
「よくやった、葵!! おかげで最小限の被害で済んだ!! みんな無事・・・・か?」
異変に気が付く皆本。
「薫は!?」
「え!? 一緒に瞬間移動したはずやけど!!」
あたりを見回すと・・・。
薫が地面にめり込んでいた。
「わー薫!! しっかりしろー!!」
「薫ちゃん!?」
薫に近づく、皆本。
「ダメだ! 来るな!! あたしから離れろ!! 早く!!」
近づいてきた皆本が、地面にめり込む。
「な・・・何をする薫!?」
皆本が文句を言うが・・・。
「好きでやってんじゃねーんだ!! 勝手に力が出てきて、自分じゃ止められねーんだ!!」
「ESPの暴走か!!」
皆本がリミッターを使用しようとするが、薫のESPに耐え切れず破損してしまう。
「ウチ、予備のリミッターとってくる。」
「できるだけ急いで、葵ちゃん!」
紫穂の指示を聞くと、葵が瞬間移動でバベル本部に一旦帰還する。
「・・・なんでこんなことに」
ミシッミシッと音を立てながら、地面に張り付けられている薫。
「たぶん、脳細胞に微細な損傷があったんだ!! 数日で回復すると思うけど・・・。 紫穂、陽に連絡を取ってくれ、暴走した薫に近づけるのは、陽くらいだ。」
同じく地面に張り付けられる、皆本が指示を出すする。
「ちぇっ、検査バックれた罰・・・」
次の瞬間、さらに力が強くなる。
「自分でくらうとひでーな、コレ!?」
じめんが砕け、さらに深く地面にめり込む。
皆本が、薫の上に覆いかぶさる。
「バカ、よせ!! いつもと違って、手加減ができねーんだ!! 背骨が折れるぞ!?」
薫が止める。
「なら、なおさらだ!! じっとしてろ! 命令だ!!」
「皆本・・・!! 」
何かを決心したような薫は・・・。
「やだね!!」
無理やり腕を持ち上げる、薫。
「薫!? お前、何を!?」
胸に手を当てる薫に皆本が言う。
「ESPの暴走は、脳細胞のせいなんだろ!? 脳に酸素がなくなれば!!」
念動力を心臓に作用させて心臓を停止させた薫・・。
「このっ!! このっ!!」
「薫ちゃん!? しっかりして、薫ちゃん!!」
必死に心臓マッサージをする皆本と、呼びかける紫穂。
「戻ってこい!! バカ野郎!!」
心臓マッサージを続ける、皆本だが一向に心臓が動く様子はない。
「そこどいて!!」
瞬間移動で現れた陽が、皆本を吹き飛ばす。
「すいません、手加減できませんでした」
一切、皆本の方を見ずに謝る陽。
すぐさま、薫の胸に手を当て、念動力で心臓に刺激を与えつつ、生体コントロールを使い、脳に酸素を送る。
しばらくすると・・・。
「がはっ! げほっげほっ!!」
息を吹き返す薫。
「へ・・・へへ!! 名案だったろ? にーちゃんかよ」
陽が薫の上から退くと、皆本が近寄ってきた。
「バカ言ってんじゃない!! 危ない真似しやがって!!」
皆本が薫を怒鳴る。
そこに、葵が救急車をつれて瞬間移動してきた。
「皆本はん、リミッター!! あと、途中で救急車も拾ってきた!!」
「葵!! 大助かり!!」
薫を抱きかかえると、救急車に向かって走り出す皆本。
「酸欠でダメージが広がった可能性もある! すぐ病院に行くぞ!! あとでたっぷりしぼってやるからな!! 覚悟しとけよ!!」
「なんだよ・・・!! 怒ってばかりいやがって! あたしだってこんな迷惑な力、もって生まれたんだ!! フツーのいい子にだってなりたいんだよ!! だけど・・・」
何かに気が付いた様子で目線を逸らす皆本。
「怒ってるのは・・・きみが自分の命を危険にさらしたから・・・それだけだ。」
薫を見つめて、話しかける皆本。
「今回の件は、僕の責任だよ。 検査が完了してないのに出動させるべきじゃなかったんだ。 君の能力も、君自身も、迷惑なんかであるもんか・・・君は、ここにいていいんだ」
長々、3話も使って主人公ほとんど活躍してないですねTT
次回からは、章も変わりますので今後ともよろしくお願いします。