絶対可憐チルドレン-転生者の人生-   作:雅蓮

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第20話 念動力暴走で (3)

同刻 一本木タワー付近上空

 

「一本木タワービルに、航空機が衝突!? たしかなんですか!?」

 

局長に聞く皆本。

 

「確率は88%! 15分後に発生するみこみだ! 具体的な詳細は不明、付近を飛行禁止にしたが、確立に変化なし! ビル及び周辺の非難には、もうしばらくかかる!」

 

局長が報告する。

 

「了解! チルドレンはESPリミッター解禁状態で待機中! 必ず未然に食い止めます!」

 

皆本は、決意を新たにする・・・一方チルドレンは・・・。

 

「にーちゃんから逃げられてラッキーだったな・・・。」

 

薫が、苦笑いしている。

 

「そうね陽さんの説教つらいものね。」

 

葵と紫穂は足がしびれているのか、動きが不自然だ。

 

 

 

 

「事件発生予定時刻まで1分!!」

 

アナウンスが鳴り響く。

 

「おかしい! 何の兆候もない!? 航空機と言えば・・・あっ!」

 

皆本が何かに気づき、パイロットに連絡する。

 

「機長!! 全速でこの空域から退避!! 今ここにいる、航空機は我々だけだ!! 予知自体が事故の原因だったん・・・」

 

その時、ヘリに横からの急激な力が、加わり急速にビルに近づく・・・。

 

「そ・・・操縦不能!! 何かものすごい力に、引っぱられています!!」

 

機長の通信の直後、ヘリがビルに衝突する。

 

そのまま、ヘリは地面をめざし落ちていく。

 

「こらあかん!! 緊急瞬間移動!!」

 

ヘリに乗っていた人たちは、すべて葵の瞬間移動で脱出した。

 

「よくやった、葵!! おかげで最小限の被害で済んだ!! みんな無事・・・・か?」

 

異変に気が付く皆本。

 

「薫は!?」

 

「え!? 一緒に瞬間移動したはずやけど!!」

 

あたりを見回すと・・・。

 

薫が地面にめり込んでいた。

 

「わー薫!! しっかりしろー!!」

 

「薫ちゃん!?」

 

薫に近づく、皆本。

 

「ダメだ! 来るな!! あたしから離れろ!! 早く!!」

 

近づいてきた皆本が、地面にめり込む。

 

「な・・・何をする薫!?」

 

皆本が文句を言うが・・・。

 

「好きでやってんじゃねーんだ!! 勝手に力が出てきて、自分じゃ止められねーんだ!!」

 

「ESPの暴走か!!」

 

皆本がリミッターを使用しようとするが、薫のESPに耐え切れず破損してしまう。

 

「ウチ、予備のリミッターとってくる。」

 

「できるだけ急いで、葵ちゃん!」

 

紫穂の指示を聞くと、葵が瞬間移動でバベル本部に一旦帰還する。

 

「・・・なんでこんなことに」

 

ミシッミシッと音を立てながら、地面に張り付けられている薫。

 

「たぶん、脳細胞に微細な損傷があったんだ!! 数日で回復すると思うけど・・・。 紫穂、陽に連絡を取ってくれ、暴走した薫に近づけるのは、陽くらいだ。」

 

同じく地面に張り付けられる、皆本が指示を出すする。

 

「ちぇっ、検査バックれた罰・・・」

 

次の瞬間、さらに力が強くなる。

 

「自分でくらうとひでーな、コレ!?」

 

じめんが砕け、さらに深く地面にめり込む。

 

皆本が、薫の上に覆いかぶさる。

 

「バカ、よせ!! いつもと違って、手加減ができねーんだ!! 背骨が折れるぞ!?」

 

薫が止める。

 

「なら、なおさらだ!! じっとしてろ! 命令だ!!」

 

「皆本・・・!! 」

 

何かを決心したような薫は・・・。

 

「やだね!!」

 

無理やり腕を持ち上げる、薫。

 

「薫!? お前、何を!?」

 

胸に手を当てる薫に皆本が言う。

 

「ESPの暴走は、脳細胞のせいなんだろ!? 脳に酸素がなくなれば!!」

 

念動力を心臓に作用させて心臓を停止させた薫・・。

 

 

 

 

「このっ!! このっ!!」

 

「薫ちゃん!? しっかりして、薫ちゃん!!」

 

必死に心臓マッサージをする皆本と、呼びかける紫穂。

 

「戻ってこい!! バカ野郎!!」

 

心臓マッサージを続ける、皆本だが一向に心臓が動く様子はない。

 

「そこどいて!!」

 

瞬間移動で現れた陽が、皆本を吹き飛ばす。

 

「すいません、手加減できませんでした」

 

一切、皆本の方を見ずに謝る陽。

 

すぐさま、薫の胸に手を当て、念動力で心臓に刺激を与えつつ、生体コントロールを使い、脳に酸素を送る。

 

しばらくすると・・・。

 

「がはっ! げほっげほっ!!」

 

息を吹き返す薫。

 

「へ・・・へへ!! 名案だったろ? にーちゃんかよ」

 

陽が薫の上から退くと、皆本が近寄ってきた。

 

「バカ言ってんじゃない!! 危ない真似しやがって!!」

 

皆本が薫を怒鳴る。

 

そこに、葵が救急車をつれて瞬間移動してきた。

 

「皆本はん、リミッター!! あと、途中で救急車も拾ってきた!!」

 

「葵!! 大助かり!!」

 

薫を抱きかかえると、救急車に向かって走り出す皆本。

 

「酸欠でダメージが広がった可能性もある! すぐ病院に行くぞ!! あとでたっぷりしぼってやるからな!! 覚悟しとけよ!!」

 

「なんだよ・・・!! 怒ってばかりいやがって! あたしだってこんな迷惑な力、もって生まれたんだ!! フツーのいい子にだってなりたいんだよ!! だけど・・・」

 

何かに気が付いた様子で目線を逸らす皆本。

 

「怒ってるのは・・・きみが自分の命を危険にさらしたから・・・それだけだ。」

 

薫を見つめて、話しかける皆本。

 

「今回の件は、僕の責任だよ。 検査が完了してないのに出動させるべきじゃなかったんだ。 君の能力も、君自身も、迷惑なんかであるもんか・・・君は、ここにいていいんだ」

 

 




長々、3話も使って主人公ほとんど活躍してないですねTT

次回からは、章も変わりますので今後ともよろしくお願いします。


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