絶対可憐チルドレン-転生者の人生-   作:雅蓮

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第16話 イルカで (3)

陽は、冷や汗を流す皆本の手を握る。

 

(人に対して、本気で接触感応するのは初めてだ・・・。)

 

陽は、皆本の精神の中に深く潜り込んだ。

 

しかし、皆本の精神の中に視えない部分がある。

 

(記憶の一部が他者に読み込めないように、プロテクトさてれる。)

 

慎重に、プロテクトを解除し記憶を視ていく。

 

 

 

 

爆破されたビル、あらゆる所から煙が上がり大混乱の首都を背後に、一組の男女が距離を開け立っていた。

 

男の方は、女の方に銃を構えているようだ。

 

「動くな、破壊の女王(クィーン・オブ・カトストロフィー)!! いや・・・薫!!」

 

男に呼び掛けられ、振りあえる薫、10年ぐらい未来の光景なのだろう、美人に成長した薫がいた。

 

しかし、薫はどこか覚悟を決めたような表情で・・・。

 

「熱戦銃でこの距離なら・・・確実に殺れるね。 撃てよ、皆本!」

 

薫に銃を構える男、皆本のようだ。

 

「でも・・・あたしがいなくなっても、何も変わらない。 他の大勢のエスパーたちは、戦いをやめないよ。」

 

悲しそうに微笑む薫。

 

「なら・・・みんなをとめてくれ!! 頼む エスパーだ、普通だって・・・こんな戦いが何を生むっていうんだ!!」

 

銃を構えながら説得しようとする皆本。

 

その時、薫に通信が入る。

 

「薫!? どこや!? 敵が核兵器を使う気や!!  この町はもうあかん!! 早く!!」

 

ノイズ混じりの通信が途絶える。

 

「もう・・・無理だよ。 知ってる? 皆本・・・あたしさ・・・。」

 

皆本に向けて、念動力を使おうとする薫。

 

「やめろ!! 薫―――!!」

 

 

 

次の瞬間、強制的に皆本の精神から追い出される。

 

再び、接触感応を試みるがさらに強力なプロテクトがかけられており、見ることは出来なかった。

 

呆然とする皆本の横で、陽も同じように呆然としていた。

 

(駄目だ少し頭を冷やそう・・・。)

 

 

 

 

 

頭を冷やしてじっくり考えるため・・・。

 

上空2000mの所から少し加速しながら落下していた。

 

落下しながら、伊号に言われたことを考えていた

 

(皆本さんから視た予知が、おそらく現状の災厄・・・。)

 

(僕が災厄になるってことは、僕がエスパーを率いて、普通人に戦争を起こすって所かな・・・。)

 

しばらく考えながら落ちていると、皆本が確認できる程度まで落ちていた。

 

どうやら目を覚ました薫と一緒にいたようだ。

 

浜辺に着陸してしばらくすると、皆本の携帯が鳴る。

 

「はい皆本ですけど」

 

『柏木です!! 緊急事態です!! その島は危険です!! 今すぐ東京に戻ってくださ・・・』

 

次の瞬間、近くに止めてあったヘリが爆発する。

 

 

 

 

 

 

海からボートで武装した数人の男女がやってきた。

 

「よし!! ヘリは破壊した!! もう逃げられんぞ!! エスパーびいきの桐壷!!」

 

ヘリが爆発した理由は、彼らが原因のようだ。

 

「このチャンスを逃すな!! 訓練通り殺れ!!」

 

 

 

 

 

局長の所にも連絡が来た。

 

「普通の人々が私の暗殺計画!?」

 

『ヘリの整備員が彼らのスパイでいた! 局長を狙う目的で発信機を取り付けたと』

 

朧さんの報告を聞いていると・・・.

 

「アホなテロリストや! ウチらがおるのも知らんと!」

 

「ああ!! 返り討ちにしてやるぜ!!」

 

やるきまんまんの葵と薫。

 

しかし、それを静止する局長。

 

「いかん!! 君たちは中尉と沖へ行くんだ!!」

 

「しかし局長!!」

 

皆本が抗議するが。

 

「私の死は予知されておらん! 危ないのは、中尉の方だヨ!! 彼の予知をくつがえすことを他の全てに優先させたまえ!」

 

局長は皆本に指示を出す。

 

「沖にはじーちゃんだけ、行ってもらやーいーじゃん。」

 

「水中に潜れば撃たれる心配ないんじゃない?」

 

局長の言葉に、薫と紫穂が意見する。

 

「イルカの潜水時間は、長くても10分程度だ。 撃たれる可能性をゼロにするには、君たちの護衛が必要だ。」

 

「いけ!! 命令だ!! 何があっても予知を食い止めろ!! それが絶対可能だと、証明するんだ!!」

 

皆本が激しい口調で命令する。

 

「大丈夫! 我々にも武器はある!! スタン・グレネードと麻酔銃だがね。」

 

局長がフォローする。

 

「じゃあ、せめて僕を残してください。 僕なら一人で二人を守りながら沖も警戒できます。」

 

陽が名乗り出る。

 

「うむ、ではそうしよう。 チルドレンは、沖で中尉の護衛。 陽君は我々とともにテロリストの殲滅。」

 

「「「「了解!」」」」

 

 

 

 

 

「パイロットは捕えたが・・・かんじんの桐壷はどこだ!? なぜテントにいない!?」

 

辛楽と書かれた白衣を着た集団の、リーダーと思われる女性はつぶやく。

 

「え? そりゃ、爆発を見て隠れたんだと・・・ひょっとして考えなしに、撃っちゃったんですか!?」

 

中年男性は呆れながら答える。

 

「・・・お義母さんはいつもそう!」

 

ため息をつきながら中年女性が答える。

 

どうやら一家でテロリストをしているようだ・・・。

 

「あ・・・あたしたちゃ普通の人々なんだよ!? うっかり愉快な間違いすることもあるんだよ!!」

 

お義母さんと呼ばれた女性が、反論する。

 

次の瞬間、テロリストたちの中心に、突如人が現れる。

 

「こんばんは、テロリストの皆さんコレつまらないものですが・・・。」

 

陽がテロリスト達の中心に瞬間移動し、スタン・グレネードをおいてすぐさま瞬間移動する。

 

閃光が、陽に注目していたテロリストたちの目を、潰す。

 

「テロリストが普通とか言うなーー!!」

 

半裸の局長が現れ、テロリストの一人に殴り掛かる。

 

「き・・・桐壷だ!! 殺せ――!!」

 

テロリストの一人が、局長に向かってマシンガンを乱射する。

 

「甘い!」

 

陽が、局長の前に瞬間移動し、銃弾を静止させる。

 

その隙に、局長が殴ったテロリストを気絶させた。

 

「いい防弾チョッキを着ていますね?」

 

「なぜそれを!?」

 

テロリストの一人が陽に問う。

 

「瞬間移動できる僕に空間認識能力がないとでも思っているんですか?」

 

という陽は、首を傾げたままテロリストの銃を自分の手元に移動させる。

 

[念動力 重力封じ(グラヴィティーロック)

 

上から下に向けて、念動力で力をかける、身動き一つとれなくする程度の念動力を上から与え続ける。

 

一先ず、近くにいるテロリストは、制圧したので、皆本を確認する陽。

 

一人麻酔銃で、仕留めたようだが背後にいたもう一人から銃撃を受けていた。

 

[操弦術 鏡返し]

 

腕輪状にしていた金属を糸状に変換し、皆本の周囲に展開する。

 

迫りくる弾丸の威力を緩和し跳ね返す。

 

跳ね返った、弾丸がテロリストに命中し気絶させる。

 

接触感応でテロリストたちを視て、仲間が居ないことを確認すると、チルドレンと中尉を呼びよせた。

 

 

 

 

 

 

局長の携帯が鳴る。

 

『ご無事ですか、局長!?』

 

「! 柏木クンか?」

 

『独断で申し訳ありませんが、護衛艦に協力を要請しました! そちらに接近してもよろしいですか?』

 

「そりゃちょうどよかったヨ!! テロリストのために営倉を借りたいと頼んでくれたまえ!」

 

局長が朧さんに指示を出していると

 

「未来変わったかな?」

 

薫が護衛艦を探しながらつぶやく。

 

「ああ!! これで襲撃はないだろうからな!」

 

皆本が答える。

 

 




ネタバレになっても答えてほしい質問は、メッセージのタイトルに「ネタバレ可」とかいて送っていただければ回答します。

ただし、今後の制作状況などで、変化する可能性もあります。

また、こんな技使ってほしいなどもメッセージに送っていたでけますと幸いです。

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