絶対可憐チルドレン-転生者の人生-   作:雅蓮

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第15話 イルカで (2)

沖縄県某所 政府所有無人島

 

 

「なんでこんな無人島に・・・。」

 

三日月型の無人島、そして海・・・。

 

薫たちは泳ぐ気まんまんの様だ。

 

「ひゃっほーー!!」

 

「うわっーー!!」

 

「きれー!!」

 

海を前にテンションが上がっていくチルドレン。

 

葵の「えいっ!」の一言で、陽と皆本ごと海上に瞬間移動する。

 

そのまま重力に従って、海に落ちる。

 

「なんで僕まで・・・。」

 

「薫ちゃんアレやってアレ!!」

 

「おーしっ!!」

 

紫穂の要求に、薫が答える。

 

「サイコ・・・水切り低空飛行ー!!」

 

陽は、引きずられている皆本を救出して浜辺まで移動する。

 

「ありがとう陽、助かったよ。」

 

眼鏡を拭きながら、皆本は陽に礼を言う。

 

そんな二人に、薫たちが近づいてきた。

 

「ねー、にーちゃんアレやってよ、昔海でやったやつ」

 

「あーあれね、まあいいよ」

 

陽は少し水深が深くなっている所に、手を翳し。

 

[流体操作 水天体]

 

重力を無効化し、水圧を一定に保った海水の球体を空中に浮かばせる。

 

リミッターがあっても、昔より大きな球体を作り出す。

 

「すごいで、陽はん!!」

 

「すごーい陽さん」

 

陽は、二人を持ち上げると海水球の中に入れる。

 

「よし、じゃあ回すぞ」

 

海水球を自転させる。

 

しばらく、海水球で遊んだあと、陽たちは沖に出ることにした。

 

人工的に大波を作って、サーフィンもどきで遊んだり。

 

水の柱を作って、ひたすら上っては落ちるを繰り替えしたりしていると

 

薫が1匹の、イルカを発見した・・・。

 

「皆本ー見て見て!!」

 

「イルカやで! イルカ!」

 

葵が瞬間移動で、皆本の近くに移動する。

 

局長が一歩前に出て、話始める。

 

「紹介しよう! 太平洋戦争中の実験で生まれたただ1頭のエスパー・ドルフィン! 伊-九号中尉だ!!」

 

『階級ハ無用ダ、桐壷クン! 戦争ハモウ終ワッタノダ!』

 

(頭の中に直接響くような声、精神感応か)

 

『ヨロシク諸君! 伊号トヨンデクレタマエ!』

 

「これじゃ食えない!!」

 

「食う気やったんかい!!」

 

局長が話を再開する。

 

「彼が予知した悲劇を未然に食い止める、それが今回の任務だ。」

 

「悲劇? どんな予知なんですか?」

 

『・・・・・』

 

「ほら皆本クン! お話していただきたいなら魚をさしあげて!」

 

魚をもらった伊号は話始めた。

 

『ソレハ、私自身ノ死ダ! コレガ・・・ソノいめーじダ!』

 

脳内に、伊号が銃で撃たれるイメージが流れる。

 

「銃で撃たれる!? そういう予知のようですね? それでこんな無人島に・・・?」

 

「うむ。 チルドレンが警備すれば銃は不要。 我々がここにいることは極秘。銃撃などありえんはずだ。」

 

「ヘリのパイロットは大丈夫やろな?」

 

葵が心配する。

 

「出発前に視たわ。心配いらない。」

 

紫穂が答える。

 

「着陸するまで、目的地は知られなかったからネ! ここを知っているのは柏木クンだけだヨ。」

 

局長が続ける・・・。

 

「どーです、中尉!! 今度こそ未来は変えられます!!」

 

『運命二対シテ万全ナドアリエンヨ、桐壷クン。』

 

『ソレニ、私ハモウ十分長ク生キタ・・・散ッテ行ッタ戦友タチノ元へ行クノモ悪クナイ。 ESP動物実験制限条約ノタメ、モハヤ任務ニモツケズ・・・野生ノいるかノ群レニモナジメズ、私ニハ居場所モナイノダ。』

 

伊号の頭にスイカが直撃する。

 

「あきらめんな!! じじい!! それじゃ何のための超能力か、わかんねーじゃんかよ!! あたしらは戦うからな!!」

 

「せや! 局長も言うてたで! 超能力には人を幸せにするためにあるて!」

 

「寿命で死ぬならともかく。 殺されるなんて許すわけにはいかないわ。」

 

「あきらめないでください伊号さん。 僕たちが新たな希望になります。」

 

陽たち四人がいう。

 

「その通りだ!! 皆本、ESPリミッター解除!!  ここからはフルパワーだ!!」

 

「了解!! ザ・チルドレン・・・解禁!!」

 

「運命なんか変わるに決まってんだろ!? あたしたちがいるんだから!!」

 

『・・・・』

 

 

 

 

 

夕食後・・・。

 

「片づけもしないで!!」

 

食器を片づけながら皆本。

 

「寝かせてやりたまえ、皆本。 このコたちだけが頼りなんだからネ!」

 

薫たち三人は眠っていた。

 

陽は、眠る前にあたりを確認すると、空高く上がっていった。

 

「それに、伊号中尉の予知はこれまでに3千件以上・・・あらゆる努力にかかわらず、そのすべてが実現してしまっているのだ。 今回だけは成功するなど、ムシのいいことは考えん方がいい。 今夜だけでもいい夢を・・・。」

 

「・・・局長。 僕は信じていますよ。 このコたちが、未来を変える力を!!」

 

 

 

 

 

『ダレカガ・・・ソウ言ッテクレルノヲ待ッテイタ。 君ニナラ託セルダロウ・・・。 私ノ死ナド、実ハドウデモイイノダ。 本当ハ・・・モウヒトツ重大ナ予知ガアル。 デキレバソレハ防ギタイ。』

 

改まった様子で伊号が話しかけてくる。

 

「!? 何のことですか?」

 

『見タマエ!!』

 

 

 

上空で監視していた陽は、異様な気配を感じ地面まで瞬間移動した。

 

『安心シタマエ、彼ニハモウ一ツノ予知ヲ伝エテイルダケダ。 彼ノ記憶ニハぷろてくとヲカケテアルガ君ニナラ外セルダロウ。』

 

「何のことですか?」

 

伊号の発言がいまいち呑み込めない陽。

 

『君ハコノ世界ニオイテトテモ異質ナ存在ノ様ダ、モシクハ君ノ力ヲ借リレバ災厄ヲ防グコトガデキルカモシレンガ、君ガ代ワリノ災厄トナルカモシレナイ。』

 

次の瞬間、皆本が目覚めると伊号の陽への会話が途切れる。

 

その後、伊号は何事もなかったかのように夜の海を泳ぎ続けた。

 

 


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