「逃走するテレポーターを捕まえるのは、かなり困難だ・・・。」
ヘリの中で局長の指示を聞く、皆本と陽。
「一度目は不意を突いたが、今回はそうはいかんぞ!!」
「ハイ、局長!」
さらに指示は続く。
「奴は超度5、移動できる距離も回数も限度がある! 目撃情報をもとに、警察が範囲を絞って包囲中だ! 追いつめられて飛び出してきたら追跡を開始しろ!」
「了解! 子供たちはすでに、臨戦待機中! いつでも行けます!!」
緊張感漂うヘリの中、しかし背後から・・・。
「え~~~? 何それ!? あの作文を書きなおさないかって? 何か特に理由でもあんの?」
横になりながらお菓子を頬張る薫。
「う、ううん。 別にそういうわけじゃないけど・・・。」
雑誌を読みながら言う紫穂。
「あやしいなー。 紫穂がそう言うときには何かあんねん。」
ゲーム機で遊びながら葵。
(臨戦待機はどこにいった?)
透視する陽は、呆れていた。
だら~とした雰囲気の中、三人の会話は続く。
「ページ5万もくれたら、お嫁さんとかアイドルとかてきとーなフィクション執筆したるで?」
「どこの大先生よ、あんた。」
冗談交じりの会話の中、一人冷めた様子の薫が・・・。
「アホらしい・・・!! そんなのありえないじゃん。」
紫穂と葵が薫の方を向く。
「私たち超度7なんだぜ? 親にもビビられるあたしたちは、こーやってBABELのなかでやっていくしかないじゃん。 他に無何があるのさ。」
黙り込む紫穂と葵、そこに陽が現れる。
「何でもだよ。 可能性ってのは自分で作り出すもんだよ! それにビビってるのは僕たちも同じでしょ? いつも誰かを傷つけているんじゃないかってね?」
確信を突くような一言。
「でもさ!」
遮るように、放送が入る。
「いたぞ!!目標発見!!」
!!
「聞こえたな!? 始めるぞチルドレン全メンバーESP解禁、コード入力!!」
「チルドレン 解禁!!」
3人のリミッターが一瞬輝き、その機能を停止させる。
「じゃあ僕は、一足先に行ってきます。」
そういって、その場から瞬間移動する陽
「すごいな陽はん、まだ解禁してないのに・・・。」
「にーちゃんのリミッターが解除されてるのなんか見たことねーよ」
「そうよね陽さん、両腕に2こずつリミッターを付けているのに、当然のごとく瞬間移動してるものね」
三人は、陽の規格外っぷりに呆れながらも、犯人を追跡する。
「先に行った陽から連絡が入った、犯人は、駅前の、道をまっすぐ東え向かっている。
「「「了解」」」
バイクに乗りながら短い距離の、瞬間移動を繰り返し警察から逃れようとする犯人。
しかし、その背後に、瞬間移動するチルドレン、瞬間移動後は、薫の念動力で飛行しながら追跡している。
「なにっ!?」
ミラーを確認し驚愕する犯人。
「バイクに乗りながら瞬間移動っちゅーのはええアイディアや!! それくらいしてもらわんと、鬼ごっこにならへんからな!」
次の瞬間、犯人に手をかざす薫。
「でもこっちはこーゆうこともできんだぜ!!」
念動力で地面を隆起させ、欠片を持ち上げ犯人に殺到させる。しかし犯人は、瞬間移動で回避し続ける。
「あ!コノヤロ!!」
すぐに、犯人を捕捉し同じ攻撃を続けるチルドレン・・・。
「バカ、やめろーー!! 周囲に被害を出してどうする!! しばらく泳がせて、疲れさせろ焦らせて捕まえやすい場所に、追い込むんだ!!」
「うるさいなー!もう! そーゆーの苦手なの知ってるだろ!? 現場の判断に任せろって!!」
さらに市街地に大きな被害を出す薫。
死傷者が出ないのは一会に、後方の陽がフォローしているからだろう。
[分子操作 復元]
隆起し、所々粉々になった地面や建物を修復していく。
「僕が居なかったら、局長がオホーツク支部に飛んでたかもね」
陽が、街を修復している間に、チルドレンは犯人を鉄道のトンネルに追い込んだ。
「よしっ!チャンス到来!!」
今すぐに突撃しようとする二人を、紫穂が止めた。
「鬼ごっこは、終わりよ。 彼、引き返してくるわ。」
しばらくすると、トンネルの中からこちらに向かって電車が走ってきた。
もう、瞬間移動する力も残っていないのか、チルドレンに助けを求める犯人。
薫は念動力を使いバイクごと犯人をトンネルにめり込ませた。 その横を、通り抜ける電車。
通過後、何事もなかったように瞬間移動で近寄ってくるチルドレン。
「助かってよかったねおじさん!!」
薫の発言に・・・。
「これで助かったといえるんか?」
葵が、ツッコミをいれる。
そこから犯人の命乞いがはじまる。
「た・・・頼む、見逃してくれ!!同じエスパーじゃねぇか!!」
「え?」
唖然とする薫。
「俺だって好きでこんなことやってんじゃねーんだ!! お前らならわかんだろ!! 強力なエスパーは、普通の連中には邪魔ものだ! 能力が強いほど俺たちの居場所は、限られてくるんだよ。 たまたま拾ってくれたのが、俺はヤクザで、お前たちはBABELだったってだけじゃねーかよ!?」
「わかるだろ!!」
薫たちは、黙ってしまう。
少し遅れてきた陽は、犯人の命乞いに。
(ちょっと悪影響が強いかな? ここは・・・。)
気絶させようとしたとき、背後から。
「子供たちを誘惑するのはやめてくれ。」
皆本がやってきた。
「授かった力で不幸になったのは、君がそれを選んだからだ!!」
拳銃を構えながら、皆本が叫ぶ。
「それだけの力を持っていながら、情けないことを言うな!! 君はなんにでもなれたし、どこにでも行けたんだ!! この子たちの未来を自分と一緒にするんじゃない!!」
「皆本!」
皆本に抱き着く3人。
「そうだよね、皆本! 私たち最強のエスパーだもん!」
「おおきに、皆本はん!」
そんな3人を見つめる陽は。
(やれやれ、言いたかったことは全部言われちゃったな・・・でも僕が言うよりいい結果におわったかな?)
「皆本さん、犯人拘束して警察に引き渡してきます。」
「頼んだ陽」
確認すると、瞬間移動する陽。
警察に引き渡した後、街の細かい部分を修復しBABELに帰還した・・・。
こうして、ひとまず事件は解決したのだった。
数日後 BABEL 局長室
「え? あのコたちが作文を再提出!?」
困惑する皆本・・・。
「さすがだネ皆本クン!! こんな簡単に子供に夢と希望を与えるとは・・・」
作文が入っている封筒を振りながら
「サンタクロースでも、こーはいかんぞ! どうやったんだね!?」
本当にわからない様子で
「い・・・いや、僕は何も・・・?で、内容は?」
「まあ待て今・・・。」
封筒の中から作文を取出し内容を確認する。
私の夢は、世界征服です。
世界最強の私たちが、地球を自分のものにするのは当然です。
今みたく、誰かに命令されるのは、どー考えてもおかしいと思います。
今、BABELで働いているのは、その日のためにいろいろ勉強するためだ。
あと、お金もいる。
・・・ということらしいので、付き合っちゃおうかな。
目標は10年以内!!大人になるのが楽しみです。
「皆本ぉぉぉぉぉぉぉぉ!! 貴様いったい何をしたーーー!!」
「ぼっ・・・ぼかーしりませんってば!!」
局長室に、局長の怒号と皆本の声がこだまする。
「あの・・・・クソガキどもーーーーー!!」