ソードアート・オンライン 《SpecialStory》 作:ЖセイキチЖ
これからも頑張ります!
このボス部屋に入ってから20分程度経過しただろうか。俺たち4人は前衛と後衛に分けており、相手が攻撃したときにソードスキルをぶつけ、のけぞった瞬間に≪スイッチ≫をして果敢に攻撃を続ける。俺の指示をちゃんと聞いてくれているおかげで安定して戦えている。
「2本目!」
その声とともに壁の穴から新たなボスの取り巻きが現れる。事前に知っていた情報だったため驚くことはない。
「1体目と同じだ!冷静に対処するぞ!」
念のため声をかけたが全く必要なかった。1体目のときより集中力が増しており、クリティカルヒットが多々あったからだ。
--------君たちは本当にすごい。初心者だから技の種類が1つや2しかないけど、ほかのやつらとは段違いだよ。
3人のプレイヤースキルほどのやつはβテストのときを思い出しても居なかったと思う。
俺がいろんなことを思っているときに背後から話しかけられる。
「アンタ、このボス攻略にもぐりこんだ動機は何や?」
「ボスを倒す以外に何があるというんだ?」
何を言ってるんだと思ったが次の言葉でなんとなく理解できた。
「ワイはしっとるんや。動機をな。それは…ボスのLAを狙っているんやろ!?」
「な…………」
俺は言葉に詰まってしまった。間違いではなかったからだ。LAとは≪ラストアタックボーナス≫のことである。IAを狙っていたのはβテストのときである。なぜこいつが知っている?こいつは元βテスターなのか??
「なぜそんなことを知っている?お前はβテスターではなかったはずだ!」
すぐにキバオウは答えた。
「ワイは違うで。でもな、この中に元βテスターがおるのはわかとったんや。大金積んで、≪鼠≫からβ時代のネタを買ったちゅーわけや。」
な、なんだと?アルゴはそんなことするやつじゃない。すくなくとも、β時代のことはどんだけ大金積まれても言わないはずだ。
「あんたにはやらんで」
キバオウが俺に対して言い放った瞬間にボスが雄たけびを上げる。
「ウグルォォォォォォ!!」
雄たけびと同時に壁の穴から取り巻きが飛び出してくる。つまり最後のHPバーまで達したということだ。
「キリト?何はなしてたの?」
ユウキが問いかけてくる。
「いや、なんでもない。まずは敵を倒そう。」
先ほどと同じ手順で倒す。すぐに倒した俺たちはボスの方に目を向ける。
今までと様子がおかしい。今までの経験からある予測をたてる。
おそらく、武器が変わる。これはβテストのときの記憶だ。ボスの武器を見てみると攻略本の情報と全く違った。
あれは……曲刀。プレイヤーには扱えないモンスター専用の武器である。
これに気づいた俺は大声でプレイヤーに声をかける。
「だ、だめだ!全力で後ろに飛べーーーー!」
しかし、俺の声はボスのソードスキルによってかき消される。
水平に放たれた攻撃の技の名前は≪旋車≫攻撃範囲は360°
ボスの周りに居たプレイヤーが吹っ飛びながらHPを減らしていく。今の攻撃を受けたやらはHPが5割を下回っていた。たった1回の攻撃でここまでの威力なのだ。
追撃がくる。それに対処しようとしたのはディアベルだった。ディアベルは迎え撃とうと剣を振りかぶりながら相手に向かう。だが、タメが足りなくソードスキルが発動しなかった。ディアベルは、ボスの追撃をもろにうけた。20m以上遠くに飛ばされた。
俺はすぐにディアベルの元へ向かう。
ポーショんを飲ませようとしたが、HPは0になっていた。
「後は頼む。キリトさん。ボスを倒」
最後まで言い終えることなく、体を青いガラスの欠片へと変えて四散させた。
レイドリーダーが死んだことによるせいで全員が混乱している。
それは俺も同じだ。ボスの武器が俺の知っている情報…いや、攻略本と違ったのだから。そして、ディアベルの死亡。これによる不安は誰も隠せない。
「何で…なんでやディアベルはん。リーダーのアンタが、何で最初に…。」
キバオウは理由がわからなかっただろうが、俺にはわかった。
-------ボスのLAをとりに行こうとしたから。
「へこたれてる場合か!」
俺は低い声でキバオウにに言う。
「また、取り巻きがわくかも知れない。そのときはすべてのプレイヤーに指示を出せ!そうしないとまた誰かが死ぬぞ!」
「ならアンタはどうするんや?このボスの人に任せといて自分は逃げるんか?」
俺はさっきより低い声でこういった。
「そんなわけあるか。
------LAを取りにいくんだよ」
俺はボスにつっ込む前に3人に後方の支援をしろ、というつもりだった。言う前3人が同じこと言う。
「「「わたしも(ボク)いくよ!!!」」」
反対しようとしたが今はそんな時間はない。
「わかった。頼む。」
そして俺は全プレイヤーにもう一度声をかける。
「全員、出口方向に10歩下がれ!ボスを囲まなければ範囲攻撃はこない!」
これを聞いたプレイヤーは言うとおりに動く。
それと同時に3人に指示を出す。
「ユウキ、アスナ、アリス。聞いてくれ。手順は取り巻きと同じだ!…行くぞ!!!」
そういって俺たちは飛び出す。
俺とユウキが相手のソードスキルに自分のソードスキルをぶつける。相手の武器を跳ねさせた瞬間にアスナとアリスは≪リニアー≫を使用する。少しだが、確かな幅で減少する。
「これを続けるんだ!!そうすれば倒せる!」
頷いたと同時に俺とユウキがさっきと同じことをする。そして、アスナとアリスがソードスキルを放つ。
何回やったであろうか。おそらく15回目であるがパターンが途切れてしまった。
「しまっ…。」
俺はユウキには攻撃があたらないように身をていして守った。そのせいで攻撃が直撃し、HPがイエローゾーンまで陥った。
これはさっきディアベルが死んだときと同じパターン。
----追撃が…くる!
やばい。と思ったときに背後から両手斧スキル≪ワールウィンド≫が敵の武器とぶつかった。その衝撃でボスのソードスキルが中断された。
「あんたがPOT飲み終えるまで、俺たちが支える。ダメージディーラーにいつまでも≪壁≫をやられちゃ、俺らの立場がないからな。」
「すまん。頼む。」
俺はすぐに回復ポーションを飲む。ポーションは即時回復なので少し待たなければならない。
-----俺が全快するまで耐えてくれよ。
「ボスを後ろまで囲むと全方位攻撃がくるぞ!ソードスキルのくるタイミングは俺が言うからよく聞いといてくれ!!」
俺が指示をしながらギリギリ保っている状態だった。だが、すぐにその状態は変わった。壁の1人が足をもつれたのだ。もつれて倒れた場所がボスの真後ろだった。
「く、くそ。まだ回復しきらないのか。」
ボスはソードスキルを発動させようとしている。あれは≪旋車≫だ。
その瞬間に全回復した。すぐに俺もソードスキルを発動させるためにタメをつくる。
「と、届けぇぇぇぇぇぇー!」
俺が放ったソードスキルがボスの腰に当たる。攻撃があたり、ノックバックしたのでスキルが中断された。
俺の攻撃がクリティカルヒットしたのかボスは≪転倒≫する。これをチャンスだと思った俺は大きな声で指示を出す。
「囲んでいい!全員攻撃だ!」
全員で攻撃したが、HPが1割残ってしまった。
「くそ…足りないか…。」
俺はユウキ、アスナ、アリスを見る。
「最後の攻撃だ。一緒に頼む!!!」
「「「了解!」」」
3人同時に返事をし、ボスに突っ込む。
ボスは≪転倒≫の効果がきれようとしている。きれた瞬間に攻撃がくるであろう。
「今しかない!ありったけのソードスキルを叩き込むんだ!」
全員でさまざまなスキルを繰り出す。
後、1ドットとなったところでボスが立ち上がる。そうはさせないと俺が渾身のソードスキルを叩き込む。
「うおぉぉぉー!」
片手剣2連撃技≪バーチカル・アーク≫を放った。
この攻撃をあたえ、ボスを倒した。俺の視界には
【You got the Last Attack!】
という紫色のメッセージが音もなく瞬いた。
ボスを倒してから、数分たちエギルたちが、ほかのプレイヤーがこちらへ向かってきた。
「見事な指揮だったぞ。そして、見事な剣技だったぞ。コングラチュレーション。この勝利はあんたのもんだ。」
「そうだそうだ!」
エギルに便乗してそんな声が聞こえてくる。1人だけみんなとは違ったやつが居た。
「な、なんでや。何でディアベルはんを見殺しにしたんや!」
「み、見殺し?」
意味がわからなかったので聞き返した。
「アンタはボスが遣う技をしとった。でも、それを伝えてなかったんや!!そのせいでディアベルはんはしんだんやぞ!」
これをきっかけに疑問が広がっていく。
-----そういえばなんで知ってんだ。
攻略本に載ってなかったのなんで知ってたんだ?
何かに気づいたのか1人が俺のほうへと向かってくる。
「俺わかったぞ!こいつは元βテスターだ!だから、攻略本に載ってないことまで知ってたんだ!」
ユウキ、アスナ、アリス、エギルが止めようとしているが全く無意味だった。
これを収めるために俺は1つの決断をした。
「元βテスター??あんなやつらと一緒にしないでくれ。当選したプレイヤー1000人のうち、レベリングのやり方をしらなかったんだぜ?お前らのほうがよっぽどましさ。だが、俺はそんなやつらとは違う。」
息を吸い、低い声で言う。
「俺はβテスト中に、誰も到達できなかった層まで上った。ボスの刀スキルを知っていたのは上の層で刀を使う敵と散々戦ってきたからだ。他にもいろいろ知っているぜ?問題にならないくらいにな。」
「なんだよ…それ…」
最初に俺に対して元βテスターだ。といったやつだった。
「そんなのチートだろ、チーターだろそんなの!」
これに続いて俺に対しての罵声がひどくなる。
チーターだの、βのチーターだのさまざまなものだった。それらが交じり合い1つの言葉に聞こえた。
「≪ビーター≫か。いいなそれ。」
にやりと笑い周囲のやつらをあざ笑うようにはく。
「そうだ、俺はこれからは≪ビーター≫だ。元テスターごときと一緒にしないでくれ。」
そういってアイテム欄からLAである≪コート・オブ・ミッドナイト≫を装備する。艶のある漆黒で裾はひざ下まである。
装備してから俺は2層へと行ける階段へと向かっていった。歩いていく途中に呼び止められた。
「まって!どうして私の名前をしっているの?」
呼び止めたのはアスナだった。
「ごめん。読み方違った?」
アスナは首を振った。
「いいえ。合ってるわ。でも、名前教えてないでしょ?」
不思議そうにアスナは言った。意外と知らないんだな。
「自分のHPバーの近くにパーティのHPもついてるだろ?そこに名前もついてないか?」
俺の言ったとおりに確かめたのだろう。あっ!といって納得したようだった。
「君は強いよ。でもソロで居るのは限界がある。だから、信用してる人のギルドに誘われたらことわるなよ。ソロでは絶対的な限界があるから。」
「なら君はどうするの?」
俺は適当に返した。
「さぁーな。俺にもわかんないよ。」
俺は2任意目を向ける。
「ユウキとアリスはどうするんだ?」
俺の問いに対してすぐに答えた。
「ボクはキリトについていくよ!」
アリスは少し考えてから難しい顔をしていった。
「私はついていかない。でも。いつかキリトみたいに強くなれたらそのときは私から言うわ。」
アリスとアスナは強い心を持っている。おそらく大丈夫であろう。
「わかった。何かあったらメッセージを飛ばしてくれ。
…ならユウキ。行こうか。」
「うん!」
そういって俺とユウキは2層へと向かっていった。
本当はPart2では終わらないつもりだったんですが、更新が遅くなったことへの謝罪をこめてPart2で収めました。どうかこれで許してください。
次回はアスナとアリスの心情を書いていきたいと思います。短くなると思いますが、ご了承ください。