ソードアート・オンライン 《SpecialStory》   作:ЖセイキチЖ

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原作とは違う部分がありますがご了承ください。
それではどうぞ!


第4話 MPK

2人で歩き出してから数分経つと目の前に森が広がっている。

「ここでさっきのクエストのモンスター、《リトルネペント》というモンスターが出現するんだ。俺達はレベル1だが、相手はレベル3だ。最初は俺の指示に従ってくれ。」

モンスターの説明をし、ユウキに指示を与えた。

「わかった!よろしくね!」

ユウキが元気に答えた。

「あぁ。任せろ。」

ユウキが信じてくれるおかげで俺もだいぶ楽になる。何より戦闘の立ち回りが上手いからな。

「俺らが狙うのは《花》がついているやつだ。実がついているもいるがそいつは罠だ。実を攻撃してくると仲間を呼んで数的不利になる。そこは覚えておいてくれ。」

「了解!」

よし。これで全て説明した。後は《リトルネペント》を狩るだけだな。

しばらく説明していたらお目当てのモンスターが出現した。

「こいつがさっき言ってたモンスターだ。俺が攻撃して相手が攻撃をしてきたら避けてその瞬間にスイッチしよう。スイッチはわかるか?」

俺はさっき説明していなかったから聞いてみた。

「うーん。」

ユウキは考えている。

「攻撃とサポートをしている人が入れ替わるみたいな感じだよね?」

「そんな感じだ。よし、じゃあ行くか!」

 

俺が気合を込めて剣を振るう。

「…らあっ!」

単発水平斬撃技《ホリゾンダル》と《スラント》を放った。

《リトルネペント》のHPを5割程度削った。

「範囲攻撃がくる。正面30度が攻撃範囲だ。」

「了解!避けたらスイッチだね!」

「そうだ!…くるぞ!」

ユウキは理解が早くて助かる。

薄緑色の液体が飛沫状に発射される。それをわかっていた俺達は余裕をもって避ける。

「スイッチ!」

「了解!

…うぉぉー!」

俺と同じように《ホリゾンダル》と《スラント》を放った。

ずかぁん!

という音を響かせモンスターは粉々に消えた。

「ユウキは戦闘がうまいな!1人の時より短時間で狩れるよ!」

本当に上手いのでユウキを褒めた。

「えへへ!そうかな!

でもキリトの方が上手いよ!」

ユウキに褒められると思わなかったので照れてしまった。

「ま、まぁな。

まだまだ狩らないといけないからどんどんいくぞ!」

照れくさかったから話題を変える。

「キリトはおもしろいねぇー!

…ならいくぞー!」

俺らは気合を入れて周りにいる《リトルネペント》狩りに言った。

 

 

20分程度で10匹以上狩った。

花つきの《リトルネペント》は出現しない。まぁ確率的に約1%なので当たり前なのだが。

こういうものはプレイヤーの運。《リアルラック依存》なのだ。まぁどちらかといえば運がいい方だと思うがやはりでない。

「キリト~。なかなか花つきがでないねぇ~。こりゃまだまだ狩らないといけないかな?」

まだ10匹程度だがやはり疲れているのかな。

「疲れたか?まぁ大変だけどもう少し頑張ろ。」

とりあえず今日中にはクエストをクリアしておきたいので俺はユウキを元気づける。

「少しね~。キリトがそう言うならボクも頑張るよ!」

ユウキに元気が出たようだ。よかった。

俺達が話しているとパンパンと音がした。

2人は周りに注意をしつつ、剣の柄に手をかける。

音のした方を見てみると1人のプレイヤーがいた。緑のカーソルが出ていたのでNPCではない。

パンパンという音はそのプレイヤーが手を叩いた音だった。

「ご、ごめん。脅かして。最初に声をかけるべきだった。」

「……いや、俺こそ…過剰な反応してごめん。」

俺はそのプレイヤーに気になったことがあったので話してみた。

「この森まで来るのが早いな。2~3時間後かと思ってたぞ。」

「あはは。僕も1番乗りだと思ってたよ。ここは、道がわかりにくいからね。」

その台詞を聞いた瞬間に俺は気づいた。

彼は俺と同じ。つまり、《元βテスター》ということだ。βテスターじゃなかったらこの森はもっと遅くに来る。だが彼は俺達が来た数分後にこの場所へたどり着いた。だから《元βテスター》ということがわかったのだ。

「君もやってるんだろ?《森の秘薬》クエ」

《森の秘薬》というのはさっき俺達が受けたクエストだ。

「そうだよ。片手剣使いの必須だからね。報酬の《アニールブレード》を貰っとけば、3層の迷宮区までは使えるからね。」

彼はそう言った。これを聞いていたユウキが俺に聞いてくる。

「き、キリト。それって僕も欲しいんだけど。」

ボソボソ小さい声で会話をする。

「おう。俺も欲しいから2回受けないとな。」

「ありがとね!」

人数分集めなきゃいけないので大変なのだが。

「このクエ協力してやらない?

君のパーティー組んでる子を合わせて3人でやれば乱獲できて早くクリア出来ると思うよ。」

確かにそのとおりである。

俺達は最低でも2回はやらないとダメなのでかわりがない気がするが…。

「俺はキリト。」

「ボクはユウキだよ!」

一応自己紹介をする。

「僕はコペル。よろしくね!」

《元βテスター》だから名前が分かると思ったが記憶に無い名前だった。

まぁ名前を変えている可能性があるからなんともいえないが。

 

 

しばらく狩り続けているが戦闘技術はなかなかのものだった。さすがである。

だが、3人で効率よく狩っているが全く出現しない。

「出ないなぁーβテストの時と出現確率が変わってるのかなぁー?」

コペルは弱々しく呟く。

「ありえないことではないな。ないとは言いきれない。」

俺は納得するようにいう。信じたくはないが。

「まぁレベルはみんな3になったからね。だいぶ楽になったねー。」

ユウキが言う。

「そうだな。後は数をこなすだけだな。」

俺達が3人で話しているとチューリップに似た巨大な花をつけたモンスターが出現した。

3人は顔を見合わせた。

「……!!」

声にならない雄叫びでモンスターに飛びかかる。

だが花つきの後ろにもモンスターがいて冷静になれた。そのモンスターは花ではなく《実》をつけていたのだ。

「どうする…。」

俺は小さな声で聞いた。

「行こう。僕が《実》のタゲを取るから、キリトたちが速攻で《花つき》を倒してくれ。」

「……わかった。ユウキ俺についてきてくれ!」

「わかったよキリト!」

俺達はそう言うと飛び出していった。

俺らは《ホリゾンタル》と《スラント》を使いモンスターを倒した。

ドロップアイテムである《リトルネペントの胚珠》を拾い上げてコペルの方へ向かった。

「悪い、待たせた!」

そう声をかけコペルの方へ行こうとした時に足が止まった。

「キリト?どうしたの?」

突然止まったのでユウキは心配している。その声は俺には届いていない。

コペルの目つきを見て俺はしばらく考えた。

あの目つきはなんだ?疑い?哀れみ?

考えていると俺達に向かって短く言い放った。

「ごめん、キリト。」

そしてコペルは単発垂直斬り《バーチカル》を使用した。

「それはやっちゃだめだろ。」

俺は無意識のうちに呟いていた。

《バーチカル》を《実》に当てたのだから。

その攻撃で《実》のモンスターは倒したが凄まじい効果音とともに死んだ。

「な、なぜそんなことを。」

今の攻撃は偶然ではない。誰が見ても意図的に攻撃をした。

《実》付きのモンスターを倒したことで20。いや

30匹以上のリトルネペントが出現した。

それを見て俺は絶望した。

「無理だ…。」

攻撃した本人であるコペルを探したが見つからない。となれば理由はひとつ。《隠蔽》スキルの特殊効果。プレイヤーの視界からはカーソルを消し、モンスターからはターゲットされなくなる。

そして様々な事を考えているうちに1つの答えが出た。あいつは俺のことを殺そうとしたのだ。モンスターをつかって。

つまりMPK、《モンスター・プレイヤー・キル》だ。俺が死んだらアイテムはフィールドにドロップする。それを持っていけばクエストはクリアされ。

「…そうか。そういうことか。」

俺は納得した。だがコペルにも失敗はあった。

「お前は知らなかったのか。《隠蔽》スキル取るのは初めてなんだろ。あれは便利なスキルだけど、万能では無い。視覚以外の感覚を持っているモンスターには、効果が薄いんだよ。」

そう言って俺がいない場所。モンスターが集まってる場所に向かっていった。

俺がこの時点で《隠蔽》スキルを取らなかったのはリトルネペントが視覚以外の感覚を持っていることを知っていたからだ。だから俺は先に《索敵》スキルを取った。

こんな事を考えているうちに俺達の方にもリトルネペントが集まってきた。

「斬撃回数はギリギリまで少なく。蹴り足と腕の振りで威力をブーストさせるんだ!

ユウキなら出来る!いくぞ!!」

「蹴り足と腕の振りね!わかったよ!」

俺はユウキに指示をしリトルネペントの方へ向かってく。

俺はこの後の数分の攻防を満足に思い出せない、おそらくそれほど集中していたのだろう。

敵の攻撃は直撃になりそうな時はギリギリで回避する。俺は無心で《ホリゾンタル》と《スラント》を繰り出す。ほとんど1発で相手を倒してく。それ真似するようにユウキが倒してく。

俺はこの戦い中にやっと《デスゲーム》ということが理解出来た。注意するのはモンスターだけではない。プレイヤーにも殺される可能性があるのだから。俺は死と隣り合わせなことを認識し恐怖をおぼえる。それを振り払うように剣を振るう。

「うぉぉぉー!」

雄叫びをあげ地面をおもいっきり蹴る。そして目の前の敵を薙ぎ払う。

俺達が必死に倒している近くでモンスター死ぬエフェクトとは違うものがあった。プレイヤーが死んだのだろう。ユウキは隣で戦っていたから死んだのはコペルということになる。

俺は音がした方に顔を向けようとしたが必死にこらえる。周りを気にしてる暇はないのだ。

…生き残るために。

コペルが死んだ近くに《花つき》のリトルネペントがいる。俺達を殺そうとせずもう少し頑張れば《胚珠》を自分の力で手に入れることが出来たのにな。

そしてその《花つき》を狩り全てのリトルネペントを狩り尽くした。

 

 

俺は大きく息をはいた。生きている。俺達は死なずにすんだ。

「よかったよ。ユウキまで死んだら俺はどうしたらいいかわからなくなってたよ。」

「僕は死なないよ。でも本当に危なかった。」

「ほんとだな。とりあえず村に戻ろう。クエストの報告をしてから休もう。《胚珠》も2個手に入ったからユウキも片手剣が手に入るよ。」

そう言って俺達は村を目指して歩いていった。

 

クエストを受けた家に入り、アイテムが手に入ったことを報告する。

「ありがとう。」

その言葉と共にクエスト完了の文字が出る。報酬として《アニールブレード》が手に入った。そして、ボーナス経験値が加算され俺のレベルは5へと上がった。さっきまで3だったので少し驚いた。おそらく大量のリトルネペントを狩っている時にレベルが上がっていたのであろう。

 

 

俺とユウキは宿屋の方へと向かっていった。

「今日はほんとに疲れたな。今日は休もう。目標も達成されたしな。」

「僕もさすがに疲れたよ。いろいろあったからねー。」

いろいろというのは主にコペルのことを言っているのだろう。

そして俺とユウキは別々の部屋に向かう。部屋に入る前に声をかけた。

「早めに寝て明日に備えろよ。

じゃあ、おやすみ。」

「キリトもね!おやすみ!」

挨拶をし部屋に入る。俺はすぐにベットへ飛び込む。

「身体が重たい…。もう寝よう…。」

小声で呟き電気を消した。だが、すぐには寝られなかった。今日のことをいろいろと考えていたからだ。

これからは今日みたいなことが無いとは限らない。《MPK》なんてしずに直接狙ってくることもあるかもしれない。これからはもっと周りを注意しないと。

そういえばもうすぐ第1層のボス部屋の近くまできていると聞いた。もうすぐ1ヵ月も経つ。早くクリアして次の層へ向かわないと…。

俺はそんなことを考えながら眠りについた。

 




原作ではコペルが死んだ所に《胚珠》を置くのですがコペルがあまり好きではないので変更しました。何より1人ではなくユウキと一緒にいるので仕方ないですよね。汗

誤字脱字、アドバイスがあればよろしくお願いします!

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