まさかこの俺がこんなに短いスパンで投稿するとは思わなかっただろう!
だがしかし、俺は倒したのだ! テストを!
と、いう訳で投稿です。
と、言うか感想欄の変態紳士多すぎワロタww
どんだけロリギル様が見たいんですかぁ‼︎(笑)(笑)
タグで気づいた方もいるでしょうが、後書きで初めての試みにチャレンジしました!
「ルヴィア⁉︎」
鏡面界から帰還した遠坂 凛を待ち受けていたのは、自分と同じ任務を帯びたーー非常に気に食わないがーー金髪縦ロールこと、ルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトだった。その傍らには、黒髪金眼の大人しそうな少女の姿もある。サファイアを握り、イリヤ同様転身している事から、新たなサファイアのマスターなのだろう。
その少女は、鏡面界から出てきた士郎を見るなり大きく目を見開いたのだが、何か関わりのある少女なのだろうか?
「遠坂凛⁉︎ さては、貴方の仕業ですのね‼︎ 鏡面界への通路を封鎖するなど、一体どんなインチキを使ったのだか。流石は、資産も胸も貧しい、ミス・ゴリですわね!」
「はぁ⁉︎ 何の事よ! ……ああ、そういう事。私の成果に嫉妬してるのね? 雌ゴリラにも人間らしい所があるなんて、動物園にでも行ったら? 人間みたいなメスゴリラとして、テレビが沢山来るでしょうね!」
納得した様な表情になり、おーーっほっほっほ! と、まるで水を得た魚の様に勝ち誇った笑いを上げながらこれが見よしにライダーのクラスカードを振る凛にルヴィアは今にも飛びかからんばかりに殺意を込めた視線で睨みつける。
そしてーー
「
「痛ったぁ⁉︎ アンタ、いきなり蹴ってくるなんて何考えてんのよ⁉︎」
「はっ! 私、生憎とゴリラ語はわかりませんのよ」
「そう。…良いわ、その喧嘩買ったわッーーーー!」
「貴方、乙女の延髄にマジ蹴りをーー」
三人と二本と霊体化したままの一王が見守る中、
「な、なんなんだ一体…」
げんなりとした士郎の発言に激しく同意なのだろう。イリヤはうんうんと頷く。
『相変わらずですねー、あの二人は』
「ルビーは何か知ってるの? あの人のこと」
『ええ、勿論! 知ってるも何もーー』
と、其処に割り込む物静かな声。
『私の元マスターです』
士郎とイリヤが揃って顔を向けると、其処には黒髪の少女がいた。
声の主はあの青いステッキだろう。
「えっと……君は?」
士郎が代表として、目の前の少女とステッキに問いかける。少女の顔がより一層強張った様に見えた。
士郎ははて、と内心首をかしげる。出会ってからーーと言っても顔を合わせただけなのだがーーの短い間に何かをしてしまったのだろうか?
「……っ! その、
顔を伏せて、なるべく士郎と目を合わせない様に喋る少女ーー美遊の言葉は尻すぼみに小さくなる。
『お兄さん、お兄さん』
「ん? 俺の名前は士郎だぞ」
『では、士郎さん 。この子と面識があるんですか?』
そんな姿を見て、疑問を抱いたのだろう。ルビーが士郎に問いかける。その方に顔を向ければ、イリヤも同じなのだろう。不思議そうな顔をしている。
『うむ…。見たところ、しろうは
『それ以上は言わせんぞ、ギル』
『むぅ……』
台詞を遮られたギルが念話越しにむくれた声を出す。頬を膨らませて不満気な顔をするギルの姿が容易に想像出来た。此処まで鮮やかに想像出来るという事実に、本当に自分は"ろ"から始まる変態紳士なのでは無いのかと不安になる。
「えっと…美遊ーーさん? その、私のお兄ちゃんと何かーー」
ーーズドオオォォォォォン
イリヤが何とも言えない場の雰囲気に耐えきれず、美遊に話しかけようとした時、近所迷惑甚だしい轟音が響いた。人払いをしていなければ確実に見つかるだろう程の音だ。
その方向に目を向けるとーー
『「「「 うわぁ… 」」」』
ギルとサファイアを除くその場にいた全員(ただし当事者たる自称乙女は除く)が異口同音の呟きを漏らした。物静かなイメージと言うか、塞ぎ込みがちな第一印象を士郎達に与えた美遊でさえ、だ。
其処には、とてもでは無いが乙女が作り出すには相応しく無い景色が広がっていた。
あちこちがひび割れたグラウンドで互いに睨み合っている血だらけの乙女。死屍累々という訳では無いが、凡そ少女二人が作り出す様な状況では無い。
だが、特筆すべきは二人が放つそのオーラ。人の身にして単独で、倒せないしても相性次第では英霊と渡り合えるという、人間の中でもトップクラスに位置するであろう戦闘力を持つ士郎も思わずたじろぐ程のオーラが放たれていた。
「この私が攻めきれないとは………。生意気にも攻撃の精度が上がってきてますわね貴女ッ………!」
「単純タックルがいつまでも通用するとは思わないことね。来るとわかっていれば対応策はある……!」
そんな二人の様子に一同は、彼女達は本当に魔術師なのかと真剣に考え始める。
現にルビーは、『其処の魔術師お二人、肉体言語で語り合わないでください』などと、ツッコミを入れていた。
二人は互いに再び一睨みした後、フン! と互いにそっぽを向いた。ルヴィアと呼ばれた青いドレスを身にまとった金髪縦ロールの少女はズンズンと乙女(笑)と呼ばれても仕方の無い様な歩き方で此方へと歩み寄ると、イリヤを一瞥。ふっ、と何処と無く馬鹿にした様な笑いを漏らし、二人は美遊に言いつける。
「美遊、野蛮人である遠坂凛の仲間達と共にいると我々まで野蛮と思われてしまいますわ! さあ、帰りましょう!」
「…はい」
少女は、ルヴィアを見て何とも言えない表情を浮かべる士郎達をちらりと見ると、か細い声で返事をする。
何も言えないまま背を向け去って行くルヴィア達を眺めていた士郎に、途中で踵を返した美遊が小走りで駆け寄ってくる。
そして、
「ーーごめんなさい」
そう短く一言。
士郎に抱きついた。そして胸元に顔を埋め数秒。空気が完全に凍りつき、唖然とする周囲を気にする素振りも無く美遊は士郎から離れた。
ほんのりと桜色に染まった頬で士郎に小さくお辞儀をすると、最初と比べて幾分か上機嫌な様子でルヴィアの元に辿り着くと、フリーズしたままのルヴィアを引っ張って夜の闇に消えていった。
そして、数瞬の後ーー
『「「ナニゴトーーーー⁉︎」」』
士郎を除く少女二人(+ステッキと念話越しの英雄王)の困惑した声が学園高等部の校庭に響き渡った。
★
「はぁ、一体何だったんだ…」
士郎は、衛宮邸の自室に戻ると畳の上に仰向けに寝転がった。久しぶりに極度に緊張した所為だろう。酷く眠い。
そんな士郎のすぐ横にサーヴァントが実体化する。
何処でそんな服を揃えたのか、ギルは現代の女の子の衣装を可憐に着こなしていた。
黒いキャミソールに、同色のホットパンツとベビ柄のベルト。その上から十字架の意匠を施した白いパーカーを羽織っている。その姿は何処からどう見ても可憐で不敵な乙女であった。
「くくく、リンと呼ばれていた雑種の反応はじつにおもしろかったな」
「いや、笑い事じゃ無いんだけどな…。一体、あの美遊って娘は何だったんだ?」
「ん? きづかなかったのか?」
「気付くって何をーーって、俺の上に乗るなよ」
ギルは仰向けに寝転がった士郎のお腹の上に座ると、そのまま背後に倒れこんだ。具体的には士郎の胸を枕にする様に。
ふわりと漂う甘い香りに士郎は自分の顔が熱を帯びるのを感じた。微かに微笑むギルの紅い眼と目が合い、それは更に加速する。
見た目は幼くとも、彼女は人類最古の王。幼い容姿に釣り合わない妖艶な仕草も似合っていた。
「ふふふ、しろうよ? まさか、我によくじょーしたか?」
「するわけあるか! と素直に断じられないのが何とも悔しいな…」
「む? ずいぶんと素直だな。よい子だ」
「どうせ嘘言ってもバレそうだしな。ーーって頭を撫でるな」
士郎の上に寝たまま器用に撫でてくる小さな手をペシリとはき落とす。若干不満そうな表情になるが、それもまた可愛くてーーではないと士郎は窮屈な状態のまま頭を振って思考を振り払う。
「よいではないか、よいではないか」
「止めろって! それで、気付かなかったかと聞かれてもな……。何処か懐かしい感じがしたってところか?」
「まあ、あの娘の
「?」
「分からぬのならよい。知ったときのしろうの反応が楽しみであるがゆえに、その無知をゆるそう」
「よくわからんが、ありがとう?ーーと言うか、いい加減降りてくれ」
明日の言い訳を考えないといけないんだ…、と士郎はつい先程、イリヤ達と別れる際に凛から言われた言葉を脳裏に反芻させていた。
『何故、衛宮くんが
そう告げるあの満面の笑みは、世界が違えど関係がない。あかいあくまのそれだった。
「くく、魔術うんぬんはともかくとして、さいてーげん我のことは誤魔化せよ? しろうがバレてもいいと言うのならべつだが」
「いや、ギルの事は最低限誤魔化すつもりだ。でも、後々バレたら余計な疑いを掛けられそうだし、多分真実をぼかしつつ話すーーって感じになるんだろうな」
「うむ、それが妥当であろうな」
英雄王のお墨付きを貰えた士郎は、そのままゆっくりと意識を手放した。
★
夢を見た。
黒い三つの円柱を積み上げた様な刀身を持つその"剣"の夢を。
黒い雲に覆われた空。赤く燃える大地。紫電迸るその原初の世界に突き立つ一振りの"剣"
神々でさえもまだ知らぬ太古の大地を創り、壊した原初の"剣"。
熱を帯びた体は、本能の赴くままにその"剣"へと手を伸ばす。
だが、届かない。
見ようとすればする程に、視界はノイズに塗れていく。
読み込めない。剣である筈のこの身でさえも、見えない。
そして、
ーーあ
其処に一人の女性が現れた。金髪紅眼の美女だ。その美貌は人と言うには些か整い過ぎており、神の造形物の様であった。
ーー×××××××?
知っている。俺は彼女を知っている。
容姿こそ違えど、その身から溢れ出る黄金の"王気"には酷く覚えがあった。
そして、その女性が、地に突き立つ"剣"を引き抜いた。
途端に、世界が揺れた。
轟々と刀身が回転し、断世の風を纏う。
ーー×××××××××‼︎
彼女は聞くものを魅了する美しい声を高らかに張り上げ、振るう。
世界が崩落する。神の世から人の世へと。新たな世界を作り出す天地開闢の一撃。
地を砕き、天を裂き、空間でさえも滅ぼし尽くすその"剣"の名はーー
ーー
★
『しろう?』
「んあ?」
頭の中に響く様な声で思考が現実に引き戻された。念話だ。
となると、士郎に念話を飛ばせる相手は一人しか居ない。
途端に、今朝見た不思議な夢から、学校の教室内へと意識が戻る。余談だが、朝起きてもギルは士郎の上から降りている事は無く、士郎に『き、昨日は随分と激しかったな…。我をあんなにめちゃくちゃに……』などと言い激しく動揺させていた。
『どうしたんだ、ギル?』
『どうしたもこうしたもあるか。前を見ろ、前を』
『前ってーー……』
『うとうとしている暇などあるまい?』
『仰る通りで……』
そう、目の前ーーと言うよりは教室の前方。互いに睨み合っている金髪ドリルと黒髪ツインテールの姿を視界に収め、士郎は面倒ごとの予兆を感じ、溜息をついた。何故なら、
ーー遠坂達が
「さあ、それじゃあ説明して貰おうかしら、衛宮くん?」
高等部校舎の屋上。士郎は転校生である遠坂凛に呼び出されていた。無論、告白などという青春の甘酸っぱい一ページを刻む為などでは無い。イリヤも凛に呼び出されたのか、転身し屋上へと来ていた。凛ご屋上に人払いの魔術をかけているので見られる心配は無いはずだ。いつも屋上で昼食を食べている人間からしたら良い迷惑だろうが。
「説明って…。俺が衛宮家の長男だってだけでわかるだろ?俺としてはどうしてイリヤが魔術なんてものに関わっているかの方が気になるんだけどな…」
「うげっ」
『成る程、そういう事ですか〜。これで、士郎さんが魔術師である事に関しての疑問は無くなりましたね。イリヤさんが関わってきまっている訳ですが…それはこのステッキにすら見限られるダメ凛さんに聞いてください』
「グハッ!」
士郎の呆れた様な表情と言葉に凛は苦虫を噛み潰した様な声を漏らし、ルビーは納得の声を上げる。
ルビーのさりげない毒に凛が血を吐いた様な気もするが、まあ気のせいだろう。
「そうなの?」
『はい、衛宮という家が魔術師の家系だったーーというだけの話です』
「え? なら、私にもーー」
「良い、イリヤ。魔導の家系っていうのはね、後を継げるのは一人だけなの。だから、衛宮家の次期当主は衛宮くんって訳。それ以外は魔術の存在すら知らされる事は無いーーまあ、他家の養子に行く事もあるのだけれど…。というか貴方達って兄妹だったのね…」
「血は繋がって無いけどな。俺は
ふむ。と一通り納得した様子で凛は頷く。
『なかなかの策士だな、士郎よ。魔導の家の長男と言ってしまえば勝手に向こうが都合の良い様に解釈してくれるーーか』
『俺はそこのところ全然知らないからな。遠坂の話に合わせた方が良いだろ?』
念話での会話に意識を割いていると、
『それじゃあ士郎さん、貴方の近くに憑いている霊体に関しても説明して頂けるのですか? ルビーちゃん気になります!』
「ん?」
どうやってギルの事を切り出そうかと考えていた士郎に、ルビーがファインプレー発言をした。
「霊体? なんの事よ」
『凛さんもニブチンですねー。昨日も士郎さんの周りに居たじゃないですか、ねえイリヤさん?』
「ほえっ⁉︎ 私に振るの⁉︎」
慌てた様にイリヤは手をばたつかせる。そして、数瞬、考え込むと、
「そ、そう言えば昨日、お兄ちゃんが来た時に『ギル』って言っていた……気がする」
「おお、よく聞いていたなイリヤ」
「え、えへへへ」
ポンポンと士郎がイリヤの頭を撫でると、とても嬉しそうに顔を綻ばせた。ギルが素直になれない猫なら、イリヤは仔犬かなぁ、と士郎は思った。
そして、
『イリヤさん! 良い顔です! これは永久保存モノですね!』
自身の下部にカメラの様なナニカを取り付け、イリヤの周りを飛び回るルビー。シャッター音が断続的に響く。
「ふぇっ⁉︎ ちょっとルビー!止めてよ!っというかそれ何⁉︎」
ふにゃりと蕩けた表情から一転。焦った顔のイリヤが見事なツッコミをルビーに炸裂させる。
『コレですか? 24の
「なんか…凄いな。イリヤのステッキって」
「言わないで、お兄ちゃん…」
混沌としたその場を収めるには、多少の時間を要したのだった。
「それで! 衛宮くんの周りの霊体って?」
「ああ、わかってるって。但し、他言無用だぞ。……特にルビー」
『ええっ、私ですか〜。嫌だな〜ルビーちゃんが人様の秘密をそう簡単に漏らす筈が無いじゃないですか〜』
「よく言うわね、このバカステッキ!」
「うん、ルビーが秘密を守るって言っても…ねぇ?」
『酷くないですか⁉︎』
「「普段の自分を振り返りなさい‼︎」」
『もぉ、わかりましたよ。サファイアちゃんにも言いません』
「よし、それじゃあギル。頼む」
ーーくくく、あいわかった。
唐突にその場に、幼げな声が響く。されど、その声は天上の神々の如く澄み渡り、聴く者を魅了する美声だ。
「なっ何? 何なの?」
「動かないで、イリヤ! こんな霊格、普通じゃないわ!」
『これは、ルビーちゃんでも少し予想外ですねー』
場に満ちる全てがその声に服従したかの様に、イリヤ達に圧力を与える。
そして、士郎の前で黄金が弾けーー
「くく、我の威容にひれ伏すが良い、雑種」
黄金の王が降臨した。