年末年始よごたごたで更新が遅れました
申し訳ないぜ!m(_ _)m
あ、駄文注意です。今回は思ったよりも文がまとまらなかった…
深山町。
それは、冬木市と冬木大橋で繋がる静かな町だ。
そんな深山町の中で、敷地面積では五本の指に入るであろう武家屋敷。
平行世界から飛ばされてきた魔術使い、衛宮士郎は現在、その屋敷の土蔵にいた。
「よし、だいぶ綺麗になったな」
ふーっ、と息を吐き額の汗をぬぐいながら、士郎は達成感に顔を綻ばせ辺りを見回した。
長い間、無人の屋敷だったのだ。整備などされている筈もなく当然の如く雑草は伸び放題、埃は積もるは所々壊れているわで廃墟の一歩手前状態という、自分の家であっても入るのに些か抵抗を覚えた程だ。
本来は、新都のホームセンターに駆け込み、少量の木材を買い今すぐにでも修理を始めたい所だが、今の自分の目的はあくまでも再び魔術回路を開き、魔術師としての力を取り戻す事にある。
いくらソフトが優秀でもそれを扱いきれるハードが無ければ、宝の持ち腐れである。
まあ、それ以上に木材を買うほどの資金が無いーーというのも理由の一つだが。
故に土蔵の片付けと門から玄関にかけての草むしりのみで我慢しているのであった。
そして士郎は文句を言いたげな半眼で、土蔵の上に座り足をパタパタと楽しげに振り回している
かの英雄王は新都で士郎に買わせたクリームパンをもきゅもきゅと小リスの様に両手で持って咀嚼している。
そして、士郎の視線き気がついたのか顔を上げると小首をかしげた。
「なんだ? このくりーむぱんはやらんぞ?」
………クリームがほっぺに付いているのは彼女のプライド的な問題で言わない方が良いのだろうか?
「………なんでもないよ」
士郎は目線をすっと逸らしながらそう答える。
「そうか。にしてもしろう。この
「ああ、言峰パンってのも吃驚だが、店長があいつってのが吃驚だよな…」
士郎がこの衛宮邸に来る前に寄った新都の個人経営のパン屋の名は『言峰パン工房』である。
店の前に『辛さ控えめ、麻婆パン! 麻婆は商店街の中華料理店『泰山』の店長の太鼓判を貰いました』と書かれた看板が有り、店の名前と看板の文字を見て反射的に立ち止まり、二度見してしまった。
怖いもの見たさというか、何というか…。名前からしてまさか? という気持ちも確かにあった。故に変に気になり「どうせ何処のパン屋でも一緒か」と思い入れば、コック服を着たあの聖杯戦争の監督役とバッタリエンカウント。
あれよあれよと言う間に、クリームパンを買うだけの筈が、麻婆パンも買わされてしまい、余計な出費となった。ギルガメッシュの要望の為、クリームパンは複数個買わされた事と相まって、士郎の懐は寒いどころの話では無い。
…………魃さんの太鼓判という、怖すぎる麻婆パンは未だに誰も手を付けていない。当然だろう。魃さんの太鼓判と言う程、辛さ控えめが信じられない物は無い。
流石のギルガメッシュもそのパンからは何かしらの危険を感じるのか触ることもせず、クリームパンを全て出し、袋に包んで放置している。
(明日、慎二にでもやるか……)
士郎は思考を切り替えるとーー考える言を放棄したとも言えるかもしれないーーギルガメッシュに向き直り、
「じゃあ、時間も無いし始めるぞ」
言峰パン工房に寄ったり、セラの説得に思いの外時間を要したり、掃除をしたりと、日は既に落ち、周囲は夜の帳が支配していた。
「うむ」
ギルガメッシュも最後の一つをぱくりと口に放り込むと土蔵から飛び降り、士郎の前に立つ。
「ギルガメッシュは外にいるか?」
「いや、中にいよう。しろうならば大抵のアクシデントには対応できるだほうが、万が一という事もあるしな」
そして、土蔵の中に入り、扉を閉める。
そして、唱える。
自己に埋没する、士郎が魔術師であるために必要な唯一の呪文。
「
★
新都、冬木大橋の上空。
そこでは、星が瞬いていた。否、星では無い。
赤と青。流星と見紛うソレの正体は、赤と青のドレスに獣耳を付け、ステッキを片手に携えた……有り体に言えば、魔法少女のコスプレの様な格好をした2人の少女だった。
そんな、人前にあまり出たく無い格好で高速で空中を飛び回る少女達は、時にステッキを振り魔法の様な攻撃を放ち
時に………ステッキで直に殴り合っていた。ーー何故かお互いを激しく罵り合いながら。
魔法少女に憧れる少女が見たら卒倒しそうな光景である。
更に、使用されているステッキが問題だ。
死徒二十七祖の第四位。宝石翁ゼルレッチが作成した、無限の魔力を持つという規格外の魔術礼装。精霊を宿し、意志のある礼装でもある《カレイドルビー》と《カレイドサファイア》。任務の為に貸し出されたのなら私的利用など以ての外、本人達の私怨による喧嘩に使用されるなど最早論外だ。まあ、状況を見るに喧嘩以外の何物でも無いのだが。
魔術師が知ったら卒倒しそうな光景である。
故に、意志のある魔術礼装でもあるルビーとサファイアが主人を見限る、というのはある意味当然なのかもしれない。
誰だって自分を使う理由が、くだらない喧嘩ばかりならボイコットしたくもなるだろう。
契約を強制的に解除された2人の少女ーー魔術師は、重力に引かれ一直線に落下する。
ルビーとサファイア。
二つの魔術礼装は新しい主人を探す為、夜の闇の中に消えていった。
これより始まるのは、魔術師達の命懸けの闘い。
ーー
言峰さんは何処かのタイミングで出したかった…!
本編では平行世界の麻婆ラーメン屋の店長だったので、こっちでは麻婆パン屋の店長をしていただきました(笑)
今回はあまりロリギル様の尺はありませんでしたが、次回からはまた増えると思います。
あ、コメントでロリギル様の声のイメージは?
みたいな質問があったので自分なりに考えてみたんですけど…
丹下 桜さんとかどうですかね?