「
ユミィがフロアについた時にはすでに二人の巫女が部屋の中央で立っていた
天結宮 281階、大聖堂
黄金に似た
「・・・ユミィ、おはよう。」
着物姿の巫女が振り返る。普段から大人しい少女だが、いつもに比べて表情が硬いのは緊張為だろう
「おはよう
「・・・うん!」
居住区は今頃は星礼祭で賑わい始めるころだが、巫女達はこれから自分達の唯一にして絶対の使命、氷結鏡界を皇姫から引き継ぎ3日間支えるのだ
「そのはずなのにメイメルは緊張感ないですね」
「ふふ。失礼ねー、そんなことないわよー?」
その言葉とは裏腹に、メイメルの表情は余裕の笑みをうかべていた
「さてさてー、三人そろったわね。サラ様だって一か月も結界を支えるのは大変でしょうから早くお手伝いしましょう」
皇姫に巫女5人、基本的に2人の巫女が千年獅と共に別々に浮遊大陸の外周を巡察するならわしになっている。
「じゃあ行ってくるわねー。また後で会いましょうー」
にこやかなウィンクをのこしてエレベーターに向かうメイメル
「レオン・・・」
「心配するな
「・・・うん!」
消えそうな小声でありながら力強い声でうなずく
「頑張る・・・!」
そう言い残して彼女もエレベーターへ向かった
「いいなあ・・・」
その光景を見て呟くユミィ、二人の様な関係に羨ましく思うユミィ
(私もあんなに信用できる人が欲しいな・・・)
そう思うがすぐに切り替え、気を引き閉める
「よし、行こう!」
『ユミィ、私の事忘れてません?』
「あっ、ごめん。レオン、イリスをお願い」
首にかけたネックレスについてる機械水晶のイリスを渡す
「分かった、ユミィも頑張れよ。」
「分かってるよ」
お互い笑顔で別れる、エレベーターへ足を進めてる
リッィィ、ィ・・・ィィィッッッ・・・ンッッッ・・・
足を止めて、反射的に振り返るユミィ。
何か硬い物が、鳴き声を上げる様に砕け散った音。
「どうかしたかユミィ?」
「レオン、何か今聞こえなかった?」
そしてレオンの口が開く、その瞬間視界は全て赤に染まった
「
天井に取り付けられた集音機に叫ぶレオン
ざざ、ざっ・・・
耳障りなノイズ音を撒き散らし、天井のアナウンスから聞こえたものは
『警告、これは
「うそ、一級非常危機レベルって・・・」
『ユミィ、先程何か割れた音を聞いたと言いましたね。』
レオンの首にかけられたイリスが発する、その声はいつもに比べて明らかな緊張が混じっていた。
『それと同時に、
『十万だって!?そんなのいくら
『落ち着けシェルティス、俺がなんの対策もなしに冷静でいる分けないだろう。』
脳内の会話をしているうちに会場に居る住民達が驚愕した声をあげ始める
「嘘だろ!?」「そんな・・・」「避難しないと!」
会場は一気に混乱状態になる、エリエにシェルティスが聞いた所、巫女が沁力でこの浮遊大陸全土にいる人々に事情を簡潔に説明。
民間人はシェルターへ避難、護士や巫女見習いなどの戦える者は可能な限り幽幻種を殲滅
との事らしい、エリエから説明を聞き終わると同時にユトが戻ってきた
「ねえねえ、なんでみんな慌ててるの?」
ユトが不思議な顔をしてシェルティスを見る
「事情は後で話すよ、ともかく今はシェルターへ逃げよう」
「ユト、シェル兄と一緒がいい。」
シェルティスの手をつかみ、そこから動こうとしない
「分かってる、一緒にシェルターに隠れるから」
「ううん、そうじゃないの。」
空色のマフラーをなびかせて、少女は言った
「
ドクンッ、とシェルティスは自分の鼓動を明確に感じた
「ユト、シェル兄と一緒ならシェル兄に守ってもらうのがいい。」
シェルターへ向かおうとした足が止まる
「ユト、守ってもらうならシェル兄がいい。だって前の公園で守ってくれた・・・」
(守る?僕が?何もかも失って、
「シェルティス!突っ立てないでさっさとシェルターへ行くよ、私達第六シェルターだから急がないと閉まっちゃうよ!」
エリエが横から言うがシェルティスは今だ思考から抜け出せない
(避難?本当にいいのか、守ってもらうだけで?僕は・・・)
関わることを禁止され、自分は一般人。持っている銃はこれから来る大軍を相手と戦えるものじゃない
(でも、
仮に自分がシェルターへ逃げようと戦おうとしても十万を対処できない。でも、護士として
『やってもやらなくても対して変わらない?ならやっとけ。しないで終わるのが一番ダメなヤツだぞ、俺が言える立場じゃないかもしれんが』
それは小さな事だった、だけどその言葉を覚えてる
(そうだ、緊急時戦える者は戦うんだ。刹那が言ったじゃないか。千年前、世界中から幽幻種の同時侵攻時、戦える者達が残り 十二時間も測定不可能な数の幽幻種から皇姫様を守りきったて。)
そして
(ユミィを守るって言ったから、今さらだけど。)
巫女ではなく、幼馴染としてユミィを守る。
「エリエ、ユトをお願い。僕も行ってくる」
「えっ!?」
「シェル兄・・・?」
驚愕したエリエに間髪いれずユトの手を握らせる
「大丈夫だよユト、必ず戻ってくるから。」
「ああもう!分かったわよ、約束破るんじゃないわよ!」
そうしてエリエはユトを連れてシェルターへ向かった。既に人々は居なくなり、静まりかえり風の音だけが聞こえる
そして刹那に対策を聞こうと
『ねえ刹那、対策ってどう『嘘だと言ってよバーニィー!?』
『・・・どうしたの?』
今までの緊張が消えるように感じたシェルティスは刹那の叫びに理由を問う
『すまんシェルティス、さっき対策があると言ったが使えなくなった・・・』
要約すれば
緊急時、ジンクスなどのGNドライヴ搭載機を合計100機体を緊急出動させて対処させる、皇姫とそれに近い人物の特定の技術者のみが知っている事だった
それが出動した、と言う情報がない→どうしてかヴェーダで調べる→全機メンテンナス中→一体に調整を集中させても一時間は掛かる→嘘だと言ってよバーニィー←今ここ
『どうするのさ刹那!?』
『おおおおおおお落ち着けシェルティス。まだ慌てるようなじじじ時間じゃないいいいい。』
『刹那の方が落ち着て!?』
『ふー、スッとしたぜ。ともかくまだ方法はある』
十数秒でなんとか冷静になり説明する
『シェルティス、幽幻種達は大陸に分散せず
『・・・範囲が広く威力の高い攻撃?でもそんな武器や兵器は
『あるぞ、俺が作り出した機体ならな。』
『でも最高性能を持つクアンタは今の状態だと使えないって』
『もう一機あるだろ、ダブルオーライザーが。てかもう目の前にあるぞ』
『えっ?』
光学迷彩が解除され大通りに現れる機体。それに驚愕するもすぐさま切り替える
『刹那、本当にいいの?終わったら皇姫様やみんなに・・・』
『気にするな、俺が怒られるのもお前が
『・・・うん、そうだね。行こうか刹那、ユミィを守りに。』
『おいおいシェルティス、そこは世界じゃないか?』
『元から僕はユミィを守る為に護士になったからね』
互いに笑いの混じった声、そして機体へ乗り込む
『機体システムオールグリーン、装甲破損箇所なし。武装への粒子供給も正常。行けるぞ』
『シェルティス・マグナーイル。ダブルオーライザー、行きます!!』
全力での跳躍、シェルティスの肉体性能と機体パワーにより一気に高度が上がる。そして肉体に掛かる重力をしっかりと感じながら
『そのセリフを言う事はシェルティス、お前も男のロマンを分かるようになったか』
『い、いいじゃないか。一度は言ってみたかったんだ。それよりこの機体でどうやって十万の幽幻種を殲滅するんだ?』
ブースターを起動させ幽幻種の方へ飛ぶ
機体の武装はGNロングソードⅡそれの改良型2つ。オーライザーに内蔵したビームライフルと合計80発の小型ミサイル。サーベルに頭部ビームマシンガン、時間制限が無くて幽幻種達が自分だけを狙うのなら問題はない
だが相手は皇姫を狙っている、そして最も厄介なのは飛行型幽幻種。地上からでは銃などの遠距離攻撃しか届かず塔の中入ることもなく上を目指せる
「トランザムによる超大型ビームサーベルで
『そうだ、これで飛行型の幽幻種は大半は殲滅出来るはずだ。間違っても地上に当てるなよ?』
オーライザーとGNロングソードⅡを前に向け、トランザムシステムを起動させる。機体が紅く染まりそして
「『トランザムライザー!!』」
その言葉と同時にとてつもない光が視界を覆う
機体から直径300メートルのビームサーベル、射程は結界に届かないように設定している
「うおぉぉぉぉっっっ!!」
シェルティスの叫びと同時に左から右へ機体の向きを動かすと同時にビームサーベルも動く。そして
『シェルティス、充分だ。』
その言葉と同時にビームサーベルの出力が収束して消える
『四万以上の飛行型を残り三百体、かろうじて逃げ延びたやつらか。次は地上戦だ、被害がエグい事になるから先程と同様の事は出来ない。お前は剣と銃だけだ。その他の武装は俺が操るから気にするな』
その言葉の後に幽幻種の戦闘を開始する。
まず平原で先行している幽幻種達を攻撃、瞬時に核を切り裂き消滅させる。機体システムとイノベイターへの変革、シェルティスの戦闘経験により瞬時に核を把握し超振動によりすれ違いざま破壊。
一撃で倒さなければ時間がかかる、相手は6万も居るのだ。相手を通さないのではなく極力多くの相手を屠る
『沁力と魔笛の反発がないと簡単に攻撃が通じるんだね』
処理する速度を維持したまま話しかけるシェルティス
『だが代わりにダメージも軽度ではすまない。今はいいが肉体で戦闘する場合は回避を優先しろよ。』
「あの光は・・・」
槍を持ち、居住区へ向かう最中にサイラが見た光
約千年前に刹那が放った攻撃、クアンタはヨミの知識を持ってしても完全修復は出来ず戦闘は不可能な状態。ならダブルオーライザーしかない
あれを使えるのは赤ハロしかいない、そしてハロは
「刹那、後で説教ですよ」
あの人しかいない、開発者でありパイロットであった彼。紗砂やツァリ、他の皆に生きていると言わないのは理解できる。
だが何故自分にも言わないのか、刹那が覚えている限り全て教えてもらった。
だから私だけに言っても問題なかったはずだ、あまり言いたくはないが自分は居ない存在。だから原作に対して最低限の接触で問題ないし、何より刹那に協力も出来る
・・・もしかして、私にも接触したら問題があるから言わなかったかも知れない。ですが、ちゃんと理由があっても説教はする、絶対に。