やはり彼の学校生活は間違っている。   作:材木島

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夜道

〜金次サイド〜

 

「金次!あんた私の奴隷になりなさい!」

思考が停止しかけたが、金次はすぐ様反論した。何故このようなことになっているのかと言うと…

八幡の元を訪れたアリアはすぐに金次の元に向かい、自分を家に泊めろと押し掛けてきた。

渋々了承した金次だったが、そう思ったのも束の間、あの様な発言をしたのである。

「はぁ!?何言ってんだよ」

「この前の戦闘からして何であんたが探偵科にいるのか謎だわ。それで私のパートナーに見合うのはあんただって思ったの」

この前の戦闘とはチャリジャックされた際の事を指している。

「…あれはたまたまだ」

自分の持って生まれた能力とでも言うのだろうか、才能、秘められた力。物は言いようだが

彼のヒステリア・サヴァン・シンドローム、通称ヒステリアモードは本来の30倍もの力を出せる。「子孫を残す」という本能が発動の根幹にあり、この能力を有している男性は性的に興奮する事によって身体能力、思考能力、思考速度などを著しく向上させる事が可能で、例えば複数の銃から発射された弾丸の軌道を一瞬で予測し、それを避けるなどの人間離れした行動すらこなせる。だが「女性を護る」事が主になり、身に危機が迫るので遠山家の男にしかこの能力を発動できない。故に金次はヒステリアモードになり、1年の入学してからのテストで試験官全員と生徒を捕まえ、ランクをSと認定された。

 

そんな事があり、今に至る遠山金次。その能力を、その並外れた戦闘力を彼女の前で故意的ではないとしても披露してしまったのが事の発端だと言える。

「俺本来にそんな力はない、悪いが他を当たってくれ。大体俺にお前のパートナーなんか務まるか、Eランク風情に何が出来ると思ってる」

「うるさい!私が決めたんだから従うの!だから強襲科に戻ってもらうわ」

二人の声がどんどんヒートアップしていく。

そしてアリアが強襲科に戻れと言い始めたので、金次の顔はより一層険しくなった。

「俺は絶対戻らないし、お前のパートナーにもならない」

「うるさい!うるさい!本当わからずやね!」

そう言うとアリアが金次に飛び付き、取っ組み合いになった。

アリアはその身軽な体を利用して蹴りを一発入れようとしたが金次も一応は武偵だ。受身には慣れていた。

 

本当に女かこいつ、Sランク武偵ってのは分かるがここまで男と対等かそれ以上の力が…

 

金次の部屋のリビングは割と狭い。狭い中で取っ組み合いなんかしてしまうとソファ等がズレる。金次が受身をとった時、ソファがズレて

アリアが金次の上に乗る形で崩れた。

「いっ…たいわね!」

彼女の匂いや感触が直に伝わる。

カァーーーーーーーーー…

自分の中の血の流れが変化していくのがわかる。

「くっ…」

アリアから離れる形でヒスりそうなのを回避した。

「…わかったよ、戻ってやる。だが1回限りだ。1つの事件を解決するまで協力する」

「言ったわね、あんたの実力見せてみなさい」

指を金次に向けて立てる。

アリアは高揚している感じを抑えきれずに顔が笑っていた。

 

 

〜八幡サイド〜

 

事は帰り道に起きた。夜道を歩く黒い影に何かが忍び寄る。

咄嗟に受身を取ったが、それも遅かった。

彼の懐に蹴りがいれられ、吹き飛んだ。

「ってえ……誰だ!?」

八幡が質問をした時には迫りこんでいた。

次の蹴りを躱して相手の背後に回り込み、ハンドガンを突き付けた。

「俺は接近戦は得意じゃないんだけどな…

…誰だよお前」

「俺が誰だろうが、お前には関係ない」

そう言うと手の甲をボールペンのようなもので押さえ付けられ、八幡は銃を手放してしまう。そしてその銃を奪い、体を投げ飛ばした。見る限り戦闘力では謎の男の方が遥かに上だ。CQCや銃の扱い、体格差を見なくても上の存在だ。

壁を蹴ってダメージを軽減させ、すぐ様距離を取った。距離を取らなければすぐに殺られる。

本能的にそう悟ったのだ。

「やるな、本当に2ヶ月前に……高校にいたヒキタニか?」

……の部分は聞き取れなかったが確かに八幡の名前を呼んだ。但し、読み方を間違っているが。

 

誰だよ、俺影でどんだけ噂されてんの?人気者?芸能界デビューできる?

 

「お前は総武高校の生徒か、何で俺なんかの事知ってるんだよ」

「さあな?今日は忠告をしに来ただけだ、・・・・俺達には関わるな」

その「俺達」が何を指すかは八幡には心当たりがあった。総武高校、あそこにはどれだけの人間がこの件に関わっているのだろうか。

「……」

静寂が包む中、その空気を割いたのは謎の男だった。

「……忘れるな、俺達はいつも見ている」

その声と共に暗闇に姿を消していった。

初めての戦闘だったが、初心者という感じもせずにやり過ごせた八幡。

「はぁ、くそ……」

自分の心の内が漏れてしまった。悔しさからなのか面倒くささからなのか。どちらにしろ彼の選択肢は1つしかなかった。

 

「あの……比企谷先輩ですよね?」

 

その声はとても高く幼く、何処か天然そうな聞き覚えのある声がした。

「ど、どうしたんですか!大丈夫ですか?!」

 

いやいやいやお前がどうしたんですか、間宮あかりさん?何で貴方が此処にいるの?何で俺身バレしてるの?個人情報保護法は?

 

「平気だ、お前はなんでここにいる」

と言いつつ、膝が笑っている。少し壁に寄りかかった。

「アリア先輩から住所と名前教えてもらいました!今日のお礼をと思って……」

いつもの天真爛漫な笑顔とは裏腹に心配そうな表情を浮かべている。

だが、彼はは立ち上がり、話を続けた。

「もう大丈夫だから、ありがとな。それとお礼なんてされる事してねーよ」

「いやいや!少しの事でも助けてくださった恩は忘れちゃいけないと思いまして!」

 

この子天然なの?何なの?可愛い天然記念物なの?

 

そんな事を思っていると見知った顔がそこに現れる。

「お、お兄ちゃんが……女の人といる、小町こんなに嬉しいことないよ……」

少し泣き目で震えた声を出しているのは八幡の妹の比企谷小町。

「小町違うぞ……こいつは学校の後輩ってだけで何にもないんだぞ」

「だよねー、可愛くてお兄ちゃんには勿体ないよね!兄がお世話になってます!妹の小町です!」

二人の兄妹のやり取りを見て微笑んでいたあかりに小町が話を振った。

「間宮あかりです!比企谷先輩とは今日の朝顔見知りになったばっかですけど!」

いつもの天真爛漫な笑顔に戻り、ハキハキと答える。

「とりあえず私はお礼しに来ただけですので、ありがとうございました!」

深々とお辞儀をするあかりをみて小町が手で口を塞いでいる。

「お兄ちゃん……あかりさんいい人だね、本当に!!ほら、駅まで送ってあげる!男でしょ!!」

妹に喝を入れられ、だがちょっと誇らしげにしている配慮が効かないお兄ちゃん。

 

お兄ちゃん、そこまで頭回らないのよ。

駄目なお兄ちゃんでごめんな小町……

お前もそこまで育ったんだな。お兄ちゃん嬉しいいいい。

 

「じゃー小町は先帰るね、あかりさん!さようなら!」

笑顔で2人を見て手を振っている小町。

「んじゃまあ、駅まで送るわ」

「いやそんないいですって!」

「いやいやこれで早く帰ったらあいつに怒られちまうし、気にすんな」

最早色々ありすぎて疲れきってしまっている八幡。そして彼は気付いているが何かがずっとこちらに視線を向けている。謎の男の様な感じだが何かが違う。

「比企谷先輩は妹さんが大好きなんですね!」

「ああ、あいつが励ましてくれれば大抵何とかなるまであるからな」

こんなシスコン発言にもあかりは動じずに笑っていた。やはり天然である。

あかりと八幡の姿を殺気丸出しで負のオーラを纏って眺めている人影がある。

 

「私のあかりちゃんが……あの男……誰?許さない……」

小さな声でブツブツと呟いてその2人を追っていく。

 

とりあえず八幡は無事にあかりを駅まで送り届けて駅の近くのベンチで一息ついている。

 

あのの殺気は何だったんだ……?

あの男がまた戻ってきたと思えない。まさか仲間か?でもそんな感じじゃなかったしな。

何でこんなに俺狙われるの……神様、俺誰にも迷惑かけてこなかったよね?善い行いばっかりだよね?

 

色々考え過ぎて溜息が漏れる。

そして立ち上がり元来た道を戻っていく。

彼へ試練は此処が山場ではない、まだまだ大変な事件に巻き込まれていくなど、想像もできなかったであろう。

 

 

翌日の朝、登校途中に遠山金次と遭遇する。

いつも通りの道を歩いていたら1人で歩いている背中を見て遠山金次と分かった。そして金次もその姿がわかったらしく、八幡に話かけた。

「よ、比企谷」

「おう、じゃーな」

いつもの挨拶で躱そうとするがそうはいかなかった。

「あのな、俺探偵科から強襲科行く事になったんだ」

「は?なんでまたあんな自分痛めつける所に行くんだ、お前どMかよ」

八幡が受け答えしたのが珍しいのか少し言葉が出てこなかったが

「いやこの間話した神崎アリアっていただろ、あいつと約束してだな」

「そうか、俺には関係ないな。精々頑張れ」

「本当に興味無いよな、お前も何か危ないクエスト受けてそうだし、気を付けて頑張れ」

2人は同じクラスにも関わらず、互いに1人で歩き出し、歩幅は金次の方が速く先に行ってしまった。

 

放課後になるまで八幡はずっと総武高校について考えていた。と言うよりはあの謎の男の事を気にかけていた。武偵校に在籍せずにあそこまで近接戦闘に長けている奴が存在するということ。それが一般の高校にいると言うのが不可思議である。だが当面の目標は決まった。

この事を蘭豹先生と平塚先生に報告し、対策を練る事。今は早く総武高校に行かなくてはならない。そしていつもより気持ち速めに総武高校に向かった。

 

「……んでなんでこいつがいるんだよ」

「さあ……何故かしらね……」

「ヒッキーヤッハロー!」

平塚先生の所に顔を出す前に荷物を置きに奉仕部の部室に来たのだが、そこには昨日クッキーを焦がし、雪ノ下に罵られていた由比ヶ浜の姿が伺えた。

「私この部活に入部するって決めたから!ね!ゆきのん!それと2人ともこの前のお礼にクッキー作ってきたんだ!」

星や水玉の模様がついた可愛い袋をバックから取り上げ、2人に渡した。

「いや俺食欲がないわ」

「私も食欲がないわ……」

「2人ともなんか酷い!」

と言いつつも受け取ってその手に持っている。

「それとゆきのんって気持ち悪いからやめ「でさ!ゆきのん!今度部室でお昼食べようよ!」

雪ノ下が話しているのを遮って話をもってくる由比ヶ浜を見て八幡は失笑していた。

「ねえ話聞いてる?由比ヶ浜さん?」

「いやこれもお礼として部活に入るということで!放課後私暇だからさーほら……」

その後の言葉は聞こえなくなっていた。

2人のそのやり取りを見て彼はその場を抜け出したのだ。珍しく気を使っているのか、元々空気だからという理由なのか、その場を抜けても2人は何も言わない。

「ヒッキー!」

教室から出てきた由比ヶ浜が彼の名前を大きな声で呼ぶ。

「今回は……まあありがとう、クッキー食べてね、じゃーまた!」

彼女は笑顔を振る舞いまた部室へ戻って行った。

「さて、俺もやる事やるか」

その禍々しくも心が込められていそうなハート?型のクッキーを口にし、変な汗をかき始めながらも平塚先生の元へ向かった。

 

 

〜昨夜、総武高校グラウンド〜

「せんぱーい、何で銃奪って戻ってきてるんですかー?殺っちゃえば良かったのに♪」

「そーゆーのは理子の仕事だろ、俺は手を汚したくないんだよ」

グラウンドで物騒な話をしている3人組がいる。その姿は月夜に照らされ、格好よく見える。

「ふふ♪りっこりーんは別の仕事で忙しいんだぞー!アリアの戦妹、間宮あかりって子が面白くてさー♪今夾竹桃に任せてるんだけど」

不敵に笑うその笑みからは悪意が感じられる。

「理子先輩、私も混ぜてくださいよ♪学校だけじゃ暇で暇で」

理子より1つ下くらいの顔をした女の子が協力というか、参戦したがっている。その顔からは考えられない。

「次は私が仕掛けますよ、比企谷八幡先輩♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




どうもみなさんおはこんばんにちは!!
文章力と語彙力が全くないですねw
読みずらい文で申し訳ないですw
今回は少ししか進みませんでしたが、やはりあかりのキャラ好きですねー、まだまだAAのキャラ出てきませんが早くゆきのんやガハマと絡ませたいですね!
次はいつの更新かわかりませんが、なるべく早く投稿します!
ではでは〜!

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