モンスターハンター 二刀を持つハンター   作:ひかみんとかカズトとか色んな名前

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はい、色々あって間が空いてしまいました、すみません。
色々と兼業していると中々進まないものです。ハンターとか提督とかアークスとか。

今回はまた狩りへの繋ぎとなります。
ではどうぞ


第七章・再び砂漠へ

翌日。

体調は完全に回復したいつも通りの振る舞いのカイル、その彼に続くマリアとすっかり機嫌が元に戻ったエリカ。

彼等はいつも通りに起き、身支度を整えた後酒場のクエストボードへと向かった。

 

 

 

 

 

酒場は朝早めにも関わらず賑わっており、ホールを駆け回る者達も大分多かった。そんな独特の雰囲気や匂いにまだ慣れないのか、姉妹二人は顔をしかめていた。

カイルはそんな彼女達を気にすることなく、クエストボードへと歩みを進め、姉妹はそれを慌てて追った。

 

 

クエストボードに着くと、カイルは品定めをするようにクエストを物色し始める。

姉妹はそこに貼られている様々なクエストを眺めていた。

どんなモンスターがいるのか

どんなフィールドがあるのか

そんな期待と不安が入り混じった心境で眺めていた。

と、不意にカイルが一つのクエストに手をのばす。

 

「……こいつにするか。」

 

カイルが手にしたのは、ダイミョウザザミと呼ばれる甲殻種のモンスターだった。

 

「ダイミョウザザミ……場所は…砂漠ですか。」

「こいつは飛竜種や鳥竜種とはまた違うタイプのモンスターだからな。一応、やっておく必要はある。」

「砂漠かぁ…また暑いのかー?」

 

エリカのえぇーというがっかりした表情を無視し、カイルは受注のためにカウンターに向かった。

 

「………」

 

そこには、すっかりダウン気味のエヴリネがカウンターに突っ伏せていた。

 

「エヴリネ。」

「うーん…?ああ、カイル君か…何のクエいくのー…?」

「ダイミョウザザミだ、砂漠のな。…早くしろ。」

 

最早いつものエヴリネの勢いは全くなく、疲れのせいかかなりテンションが落ちているようだった。

だがカイルがその程度で心配する訳もなく、彼はサクサクと受注を進めるよう促した。

 

「はいはい急かさないの…砂漠のね。クーラーとホット忘れないようにね…」

「ほんとお前極端だな。」

「こっちは疲れてるのよ!!」

「俺に言うな、それに自業自得だ。」

「ぐぬぬ…!」

 

カイルに完全に論破され、悔しそうに唸るエヴリネ。最早恒例となっているやりとりに姉妹二人も苦笑いを浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「カイルん、今回のダイミョウザザミって甲殻種ってやつだよね?」

「そうだ。竜とは違ったタイプのモンスターで、主に蟹系がそれに当たるな。」

 

セクメーア砂漠に向かう途中、エリカが唐突に今回のターゲット、ダイミョウザザミに関して聞き始めた。

マリアも黙って話を聞く体勢になった。

 

「ダイミョウザザミは盾蟹の名の通り非常に厚いハサミと、背中に背負ったモノブロスの頭骨が特徴的なモンスターだ。だが基本的にはのんびりとした性格で、恐らく敵が来ても追い払う程度の対応しかしてこない。動きも緩慢だしな。」

「それでもやはり、例に漏れず…」

「ああ。勿論、怒ると格段にスピードは上がる。本気で殺しにくるからな。」

「…やっぱり甲殻種っていうくらいだから、どこも硬いのかな?」

「足や胴はまだ比較的柔らかい方だ。だがハサミや頭骨は堅い。迂闊に攻撃すれば弾かれて隙を晒すから気をつけておけ。」

「あいさー。」

 

マイペースなエリカの返事にいつも通りだと流したカイルは、自分の武器の具合を確認する。

 

背負ってきた武器は、鬼神斬破刀とゴールドマロウ。

ダイミョウザザミは二つの弱点を持つため、太刀の中で雷属性を持つ物と片手剣で火属性を持つ物を背負ってきたのだ。

前者は斬破刀の強化形態であり、漆黒の刃には振るうと同時に強い電気が走る仕様になっている。

後者は火竜達の素材を集めて作られたコロナという武器に、雌火竜の中でも特に珍しい亜種ー希少種ーである金火竜の素材を用いて強化され、高い火属性を実現させた片手剣である。

 

「…問題はないな。」

「相変わらず凄い武器ばかり持ってるなぁカイルん…」

「数年も生きていけば、お前等もこのくらいは手に入れられるさ。慌てず焦らず、ゆっくり実力をつけていけばいい。そうすれば、周りも武具も裏切らないさ。」

 

少し様子見し、大丈夫だと確認したカイルは武器をしまいつつ言った。

 

「本当かなぁ…?」

「大体初めはそう思うもんさ。だが、あれこれと適当にやってるだけで生きていけるほどハンターは甘くない。だからこそ、疑心暗鬼であってもじっくりと学んでいけばいいのさ。」

「むむむ……」

 

怒ってはいないものの、むっすりした表情で何かを考えてるエリカ。マイペースに欠伸をしているカイル。それを微笑みつつ見守るマリア。

 

三人を乗せた竜車はゆったりと砂漠へと向かっていた。

 

 

 

 

 

そして数日立ち、ようやくセクメーア砂漠に着いた一行はすぐに狩りの準備を始めた。

 

「あっついぃ~……」

「黙って動け。」

「だってぇ…」

 

だが、やはりエリカが文句を言いながら力なくだらけていた。その様子にマリアは苦笑し、カイルは呆れつつ言った。

 

「エヴリネって呼んでやろうか。」

「……要するにサボり魔ってこと?」

「それ以外に何の意味がある。嫌なら動け。」

「うー…わかったよぉ…」

 

カイルに言われた一言で渋々と動き始めるエリカ。やれやれといった表情でカイルは作業を再会した。

 

 

 

 

 

 

 

一通り準備を終え、三人はベースキャンプで少し休憩を取りつつ話をしていた。

 

「…ダイミョウザザミは攻撃範囲的には隙はないが、緩慢な動きが致命的な弱点になっている。だから、狙われた時は回避に徹し、それ以外で攻撃するというサイクルを守ればいい。」

「…すると、私はとにかく胴体を狙えばいいですか?」

「そうだな。変に位置を変えるよりも柔らかめな胴体を狙う方がいいだろう。」

 

カイルが対ダイミョウザザミでの基本的かつ簡易な立ち回りを教えると、マリアが自分の立ち回りを聞き、彼はそれを肯定した。

 

「それと、エリカは基本足をねらえ。」

「足?」

「そうだ。足なら横から攻撃出来る上にそこそこ柔らかいのに加え、お前は砲撃があるからな。無理に攻めることだけは止めろ。」

「わ、わかった。」

 

この前のドスゲネポス戦での失敗が響いてるのか、カイルの指示にしっかりと従うエリカ。が、少し返事で詰まったところでカイルはエリカの心境を把握し言う。

 

「あまり気負うな…攻める時はお前の思うようにやりゃいい。だが、基本ヒットアンドアウェイで行くこと。いいな?」

「…うん。」

 

エリカの返事を確認し、カイルは続ける。

 

「奴の特徴的な行動はまず泡のブレス、それから身を縮こませる絶対防御の構え、それから大ジャンプに、地中に潜ることぐらいか。それ以外は基本的にハサミを振るって攻撃してくる。」

「泡ブレス…痛くなさそう。」

「黙ってろ。…泡ブレスはハサミで口を覆い少しタメてから吐く。正面にしか吐かないが、タメが短めだから気をつけておけ。絶対防御はその名の通り、堅い部分で柔らかい部分を隠すだけだが、迂闊に攻撃すれば弾かれるだけでは済まない恐れもある。」

「弓も控えた方が良さそうですね。」

「ああ。矢も弾も跳ね返してくるが、唯一音爆弾のみ通る。音爆弾が効けば奴は防御を解いてダウンする。…まぁ、俺が音爆弾を投げるから二人は構えを見たら攻撃を控えろ。」

「了解っ。」

「大ジャンプはまぁ、そのままなんだが…真上か誰かを狙うパターンがある。地中からも頭骨を生かした攻撃を仕掛けてくる、そこだけ気をつけておくことだ。」

 

長い説明を終え、一旦姉妹二人の様子をみる。

二人とも今いったことをしっかりとメモしたり、復唱したりと学ぶ姿勢は凄いと言えるし、前のめりすぎるとも言える。

 

「…一応、言っておくが。お前等は甲殻種自体初めてなんだから、失敗なんてあり得ることだ。初見でミスを犯さない奴なんてそうそういない…あまり気負いすぎるな。」

 

姉妹二人のその姿勢に少し危機感を覚えたのか、カイルは気持ちも和らげようと声をかける。

 

「でも…」

「迷惑だとかそういうのは問題ない。それを踏まえてこのパーティーを組んでいるんだ、いちいち気にするな。」

「わかったー。」

「だがエリカ、お前はもっとそのマイペースさを捨てろ。」

「やだ!!」

 

力強く返ってきた返事、全く折れることを知らないエリカのマイペースさにカイルは頭を抱えた。

 

 

準備が整い、三人はベースキャンプから出撃した。

ベースキャンプから出てすぐのエリア2にはガレオスが数匹群がっていたが、壁沿いに歩いていったため気づかれることなく次のエリアへと移動していく。

エリア1の入り口で、先頭のカイルは足を止める。

 

「…ヤオザミがいるな。」

「てすね。二匹…いや、潜ってるので三匹はいるでしょうか。」

 

カイルが確認したのを、マリアも見て確認する。

エリア1には池のような水場があり、そこの付近にヤオザミ二匹がのんびりと餌を食べていたのに加え、砂の中から呼吸と見れる砂煙が小さくでていた。

 

「二匹を狩っていればそのうち出てくるだろう、俺は奥のやつを斬る。マリアとエリカは手前のをやれ。」

「はいっ。」

「りょーかい!」

 

そう言い残し、カイルは岩影から飛び出て走っていく。マリアとエリカも遅れまいとすぐさま追いかけるように走り出した。

 

手前のヤオザミがカイルに気づき、両手を上げて威嚇をするが彼はスルー。そこにヤオザミの注意の外から矢が飛び、胴に突き刺さる。

その痛みに怯み、その間にエリカのガンランスの勢いの乗った叩きつけをモロにくらい、沈黙した。

一匹を狩った二人はカイルの方を見ると、彼は既に一匹仕留め、もう一匹を砂中に向けて太刀を突き刺す形で狩り、無理矢理引きずり出していた。

 

「カイルん、エッグい…」

「時間はかけてられん。出てこないならこちらからやるまでだ。」

 

砂から引きずり出すと、動かないヤオザミを思い切り蹴飛ばして太刀を引き抜き 、少し振るってからしまった。

二人はマリアが警戒しつつ、エリカがさくさくとはぎ取っていた。カイルも警戒してはいるが、過去に言われたことを生かしているのだろう。カイルも関心していた。

 

「(教えられたことをすぐに生かし、細かい所まで忘れていない…。やはりこの二人、相当筋がいいんだろうな…)」

「カイルーん。」

「…?どうした。」

 

二人を見て考えていると、不意にエリカが彼を呼んだ。不思議に思いカイルはエリカの方に視線を向ける。

 

「今ちょっと、地面が揺れた気がするんだけど…」

「…何?」

 

だがエリカの発言はまさかの内容であった。

この砂漠の中、地面を“意図的に揺らせる”のは一部のモンスターしかいない。

すぐさまカイルは地面を触って確認する。“振動の原因”は二人からは逸れている、つまり…

 

「…マリアッ!!こっちにこいッ!!」

 

唐突に怒鳴り気味に呼ばれ、マリアは警戒を中断し彼の元へ走る。その次の瞬間、マリアがいた地面を裂き、一つの頭骨が現れた。

振動と共に姿を現した、一本の猛々しい角を持つ頭骨。だがそれだけが意志をもって動いてる訳ではない。

再び潜ったと思うと、すぐに頭骨から地上に現れ、不意打ちを仕掛けたモンスターの全体が露わとなった。

 

大きな盾のようなハサミを両手に備え、背中には一本角のモンスター、モノブロスの頭骨を背負う。

今回のターゲット、ダイミョウザザミが三人の前に姿を現した。

 

 

 

 

 

 




次回は盾蟹、ダイミョウザザミとの戦いになります。
なるべく早く…頑張る…()

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