モンスターハンター 二刀を持つハンター   作:ひかみんとかカズトとか色んな名前

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一個前の更新がもう一年前になりそうという現実が私を襲う!
すみませんでした。

今回はダイミョウザザミとの狩りに加え、終盤にまた驚くモンスターが現れます。名前は書いてありませんが大体の特徴は書きました。後大体の人のトラウマ。


比較的短くなってしまいましたが、どうぞ。



第九章・盾蟹への再戦、そして…

ダイミョウザザミの攻撃を受けマリアが負傷したために一時撤退した三人は、エリア1を何とか越えてベースキャンプにて軽く休息をとっていた。

 

「どうだマリア、まだ痛むか?」

「ええ、まだ少し…すみません。」

「気にするな。」

 

カイルはマリアが攻撃を受けた部分、体の左側(大体脇付近)を看ていた。

 

「ごめんカイルん、私も油断してた…」

「いや…アレは仕方ない。が、エリカ。」

「ふぇ?」

 

エリカの呟くような言葉に、カイルはマリアの様子を見つつ返す。

 

「確かにあのハサミの一撃は俺も予想してない不意打ちだった。だが、それを除いても今回のお前は慎重になりすぎていると俺は思う。」

「っ…!」

「ダイミョウザザミが怯んでダウンした時、お前は早めに離脱しただろ?今までのことを考えて。」

「う、うん…」

「確かに状況によって判断も行動も、最善か最悪かはコロコロ変わる。お前のその慎重さも悪い判断とは断言出来ない。だが、チャンス時と我慢時の判断は間違えてはならない。…わかるな?」

「……うん…。」

 

ゆっくりと立ち上がりつつそう話すカイルは、エリカと向き合う。彼女もまた真っ直ぐにカイルの目を見て聞いていた。

 

「ガンランスは我慢の長い武器だ。その分チャンスを物に出来ればその力を発揮出来る。」

「…その我慢の時間をさばけるようになればいいってこと?」

「それだけじゃない。耐えに耐えチャンスが来たとしても、そのチャンスがどれだけの猶予があるかも考えなければならないんだ。例え頑丈な盾があろうと、カウンターとしてのモンスターの一撃を全て防ぎきれるものじゃない。」

 

わかるな?というカイルの視線にエリカは黙って頷く。

 

「それにお前は…いや、お前等はまだ未熟だ。焦らず、じっくりと学び、体に覚えさせればいい。」

 

そう言い切り、カイルは自分の武器の状態を確認し、砥石で研ぎ始める。

それを見たエリカもすぐに砥石を取り出し、自身のガンランスを研ぎ、マリアも自分のアイテムの確認をし始める。

 

 

 

「各自確認は済んだな?行くぞ。」

 

カイルの声に応えるように二人はうなずき、三人はダイミョウザザミのいるであろうエリア1へと向かった。

 

 

 

 

しかしエリア1には既にダイミョウザザミはおらず、ペイントボールのにおいはその次のエリアを指していた。

 

「エリア5か…少々面倒だな…」

 

ダイミョウザザミが今いるであろうエリア5は広くはあるものの、ゲネポスやガレオスといった厄介な妨害を仕掛けてくる小型モンスターが多いため一概にやりやすいとは言えないエリアである。

 

「…行くしかないな。エリアの状況次第ではそのまま仕掛ける。」

「了解。」

「あいさー。」

 

回りを警戒しつつ、三人は慎重にエリア5へと進んでいく。

 

 

三人がエリア5へ辿り着き、端にある岩の影からエリアを見渡す。

ダイミョウザザミがエリア中心でのんびりとしている他、ゲネポスが数匹隅っこで威嚇の声を上げていた。

 

「ゲネポスを念のため駆除しておきたいが…遠いな…」

「こっちの方におびき寄せて戦ったりとかは?」

「ありっちゃありだが…ああいうのはな、大型のモンスターがいるから隅に逃げてるだけだ。いなくなった後にいちいち出てこられたり、あいつらが欲張って後ろから攻撃されても面倒だ。」

 

エリア内を警戒しつつ、カイルはそう二人に教えるように告げる。

ゲネポス達からすれば、自分達では適わないがこの縄張りを取られるのが嫌なのだろう。ダイミョウザザミを威嚇した状態から動こうとはしない。

ダイミョウザザミもゲネポス達を気にする必要もないとのんびりマイペースに自身を休めている。

 

「…ダメだな、埒があかない…引き寄せるしかない。マリア、ダイミョウザザミを射抜けるか?」

「やってみましょう。」

 

弓を構え、ダイミョウザザミにこちらを気づかせることを狙うマリア。

しっかりと矢を引き、狙いをブレさせることもなく…

その矢は、撃ち出された。

 

若干山なりに飛んだ矢は距離故に威力は期待出来ないものの、ダイミョウザザミの背中の殻へと向かっていき…

カコン。という、カイル達には聞こえないであろう小さな音が殻から響き、ダイミョウザザミはすぐさま警戒体制に入った。

周囲を見渡し、カイル達を見つけるとすぐにハサミを振り上げ威嚇、彼らの予測通りにダイミョウザザミのみ寄ってきた。

 

「よし…さっきと同じように動け、しくじるなよ。」

「はい!」

「りょーかい!」

 

 

 

ダイミョウサザミはまた現れたカイル達を鬱陶しく思っているのか、怒り状態とあまり変わらない速度で接近してきた。

マリアは正面から矢を放ち牽制するが、ダイミョウサザミの甲殻は悉くそれらを弾く。

 

「はぁぁぁぁッ!」

 

そのままマリアへと接近しようとしたダイミョウサザミの左足へ、カイルが太刀を振り下ろす。

斬撃と共に迸る電撃が左足を襲うが、怯むことなくダイミョウサザミはハサミを振るう。

カイルはそれを難なくヒラリとかわす。

 

「やぁぁぁ!」

 

その隙を付いてエリカが右足の間接をガンランスで突き、砲撃を撃ち込む。

ダイミョウサザミは狙いをエリカに変えハサミを振り上げるが、マリアがそれを矢で牽制。ダイミョウサザミの意識が僅かに逸れた隙にエリカはハサミの攻撃範囲から離れた。

だがダイミョウザザミは追撃せんとエリカの方へ向き、ハサミで顔を覆う。

 

「エリカ!ブレスだ!!」

 

背を向けられ回り込んでいたカイルがすぐに判断し、そう叫ぶ。

エリカも自分に狙いが向いたとわかった瞬間に武器をしまっていたために、すぐに走って攻撃範囲から逃れる。

 

ダイミョウザザミの口から、大量の泡が吐き出される。しかし誰に当たることもなく、ただ砂へと消えていく。

 

その隙にカイルは太刀で左足を切り裂き、エリカが右足を砲撃、マリアは胴へひたすら矢を撃ち込んでいた。

 

「キシャアッ!!」

 

すると再び両手を上げ短く鳴いたダイミョウザザミがぐるりとハサミでなぎ払う。

それを読んだカイルは既に範囲外まで離れていたが、エリカは離脱が間に合っていなかった。

 

ハサミがエリカへと迫る。

だがエリカは驚く対応を見せる。

 

先ほどはハサミによる攻撃の衝撃を“正面から受け止める”ように盾で防いだために吹き飛ばされた。

エリカは反射的に迫るハサミを“受け流す”ように盾を構えた。

だが当然、先ほどのような吹き飛びはしないが体制は崩れる…かに思われた。

 

「ぅおっ……っりゃあぁぁぁぁぁ!!!!」

 

ハサミの勢いを全て受け止めるのではなく、自身が利用できる分だけ盾で防いだエリカは、その勢いを利用してその場で一回転。

そしてその勢いそのままにガンランスをダイミョウザザミの足に向けて思いっ切り叩きつけたのである。

 

「ギョエェェェッ!!?」

 

予想だにしなかったエリカからのカウンターに、ダイミョウザザミは完全に虚を突かれただけでは済まなかった。足の一本はエリカの攻撃をまともに受け、ほぼ折れているかのようにガンランスによって砂に埋め込むように叩きつけられていた。

当然バランスが取れる訳もなく倒れ込むダイミョウザザミ。

マリアは今起きたことに呆然としていたが、カイルはすかさず太刀を振るい攻撃を続けているのをみて直ぐに攻撃に移る。

 

「んっ、んにぃぃ…!!」

 

だが、肝心のエリカはガンランスが叩きつけた反動で引っ張りあげるのに手間がかかっていた。

 

「あぁぁぁぁぁも…あっ…!!」

 

思いっ切り引っ張りあげようとした瞬間、エリカは砲撃のトリガーを“全開で”引いてしまう。

次の瞬間。

 

連続した砲撃音と共に、体制の整っていなかったエリカは反動で吹き飛び、砂の上を転がった。

ダイミョウザザミは重傷を負った足に更に砲撃が装填分全て叩き込まれ、右足一本がほぼ使い物にならなくなっていた。

それでもなんとか移動出来る体制になったダイミョウザザミは、足を引きずるように逃げ始めた。

カイルとマリアが逃がさないために追撃するも、ダイミョウザザミは強引に進み砂中へと逃げていった。

 

「チッ…これはエリア7か。」

 

カイルはそう呟くと、周囲の警戒を怠ることなくマリアと共にエリカの方へ向かう。

 

「大丈夫か?」

「あたたた…な、なんとか…。」

 

カイルがそう声をかけ、エリカはゆっくりと立ち上がる。ガンランスもそこまで損傷している訳でもない様子だった。

 

「…しかし大分無茶苦茶なことをやったな、もし今ガンランス使いがいたら怒られててもおかしくないかもしれんな。」

「えぇぇ…あの瞬間は私ももうほぼ反射的にやってたから…」

「確かにチャンスをものに出来れば、とは言ったが…あんな器用なことを常にやれなんて言えるわけないだろうに。」

 

先ほどのエリカの行動に呆れた態度なカイルだった。エリカも奮闘したのにとぶすっとした表情になっていた。

 

「まぁ、後一押しだ。さっさとケリを付けるぞ。」

「おーっ!」

「はい!」

 

 

 

 

三人は準備を整えてエリア7へ移動すると、エリア中央でぐっすりと見ているダイミョウザザミがいた。

起こさないようにこっそりと移動し、マリアが横から弓を構え、カイルも太刀を抜き待機。

エリカが真正面からどっしりと構え砲口をダイミョウザザミの顔へ向ける。

そして砲口に熱が溜まっていき、ダイミョウザザミもそれに気づき目覚める。だが、一歩遅かった。

顔面に向けての竜撃砲をモロに受けたダイミョウザザミは、大量の熱と衝撃を叩きつけられ大きく怯んだ。

エリカもその反動で後ずさり、マリアが胴体に向けて矢を放つ。そしてエリカと交代するようにカイルが顔面に向けて飛び込んだ。

 

「おぉぉぉぉぉッ!!」

 

叫びと共に振るわれた太刀は、ダウンしているダイミョウザザミの顔面と胴体を容赦なく切り裂いていく。

まき散らされる血、吹き飛ぶ甲殻。

体制を整えたエリカも足へ追撃を加え始め、さらに傷を負っていくダイミョウザザミ。

カイルが締めに切り下がると、ダウンから復帰したダイミョウザザミが黒い泡を吐きながら両手を上げ、威嚇した。だが、マリアが正面から既に思い切り弓矢を引き絞っていた。

 

放たれる矢。

それは小さな唸りを上げ、ダイミョウザザミの口へと飛び込んでいった。

 

「ゴォッ…シャアァァ…!」

 

それが致命傷となったのか、口に矢が刺さったままダイミョウザザミは天に両手を上げ、そのまま倒れた。

 

 

「おわっ…た?」

 

警戒を解かない二人を尻目に、カイルは太刀を抜いたままダイミョウザザミに近づき生死を確認する。

 

「…そのようだな。」

 

ダイミョウザザミが力尽きたことを確認したカイルは太刀を仕舞う。

カイルが武器を納めたことで、狩りが成功したと実感が沸いてきた姉妹二人は喜びながら抱き合っていた。

 

「喜ぶのもいいが、さっさとはぎ取れよ。次のモンスターが来ないとも限らんだろ。」

 

そんな彼女達に呆れつつもそう告げるカイル。姉妹二人もすぐにダイミョウザザミから素材をはぎ取り、三人でベースキャンプへと向かう。

 

 

 

 

 

 

だが、その途中。

エリア5を歩く三人、だがふと何かの違和感を感じ取ったカイルは歩みを止め振り返る。

 

「…?カイルん、どうかしたの?」

「…二人とも、先に戻ってろ。少し、確認したいことがある。」

「え?あ、カイルさ…」

 

姉妹二人にそう告げ、カイルはダイミョウザザミの亡骸があるエリア7へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、エリア7へ戻ったカイルを待っていたのは、とんでもないものだった。

 

 

 

ダイミョウザザミの亡骸以外に何かいると感じたカイルは、物陰からエリア7を観察し始める。

そこには…

 

 

 

先ほど三人で狩ったダイミョウザザミに、無我夢中かのように食らいつく大きな影。

その影はかなり大きく、ディアブロスより若干大きいだろう。だが横にでかいのではなく、前後に大きいと言えばいいのだろうか。

例えるなら、一本の大木のような胴体に太い足と小さめの手、太く力強い尻尾、そしてとてつもない凶悪な顎が備わっているような感じと説明すれば伝わるだろうか。

更にその凶悪な顎は見た目の通り、盾蟹と呼ばれる程のダイミョウザザミのハサミや、モノブロスの頭骨を平気で噛み砕き、むしゃむしゃと、次々とダイミョウザザミの亡骸を体内へ運んでいく。

 

「なんだあれは…新種か…?」

 

カイル自身見覚えのないほど異質な雰囲気を持つこのモンスターは、周囲の威嚇ばかりして離れていたゲネポス達にも狙いを定めたのかドシンドシンと地面を強く踏み鳴らしながらかけより、その凶悪な顎で一体を噛み砕く。

そしてそのままむしゃむしゃと食らってしまったのだ。

 

「ゲネポスまでだと…?こいつは一体…」

 

そしてそのゲネポス達の異変に気づいたのか、一回り大きいゲネポス達のボス、ドスゲネポスが部下を連れて現れる。

そして、元からいたゲネポス達と連携し謎のモンスターに挑みかかる。だが、それすらも一蹴するように、モンスターの強靱な尻尾はゲネポス達をあっさりと蹴散らし、それに一瞬怯んだドスゲネポスの隙を見逃さなかった。

その巨体から想像出来ないジャンプでドスゲネポスにのしかかると、そのままダイミョウザザミやゲネポス達と同じようにむしゃむしゃと食らい始めたのだ。

 

「…こいつはマズいな…このままでは砂漠の生態が崩れる。」

 

恐らく、目に付いたもの全てを食らうとんでもない奴だろうと判断したカイルは、すぐさま報告へ戻ろうと、離れようとした瞬間だった。

 

「ゴォォォォォッ!!!!!」

 

ドスが効いた低い大きな咆哮が砂漠に響く。

カイルが振り向くと、なんとそのモンスターがこちらを発見していたのだ。

 

「チィッ…!」

 

ドシンドシンと地面を鳴らしかけよってくる巨体。カイルはそのままエリア5へと退避すべく走り出した。

だが、モンスターはカイルすら食らおうとしているのだろう。涎を垂らしながらカイルをひたすら追いかける。

 

「…このままキャンプに行くわけにはいかんか…!」

 

ベースキャンプに向かえば、その途中で姉妹二人を巻き込んでしまうおそれがある。

エリア5へ何とかついたカイルは、そのモンスターと向き合う。

見るからに相手を威圧する暗めの緑がかった巨体に、凶悪な顎と剥き出しな牙、何より、獲物を睨んで離さない捕食者の目。それらが相手の恐怖を煽る。そんな感じのモンスターである。

 

「(…先ほどドスゲネポスに見せたのしかかり…あれに捕まれば生き残れんな…)」

 

カイルはいつでも投げれるように、閃光玉を握り構えていた。最早真っ向からやり合う気はないようだ。

まず動いたのはモンスター。体を上に持ち上げつつ、口に何かのエネルギーを溜め始める。

 

「…おいおいまさか…!?」

 

嫌な予感を感じたカイルはすぐに距離を取る。

その直後、モンスターの口から放たれた黒いエネルギーはまるで鞭のように、カイルの前をなぎ払っていった。

 

「こいつ…龍属性まで蓄えてやがるのか…!」

 

龍属性。

他の属性とは違い詳しくは判明してない属性らしく、龍達に強い効果を発揮するということぐらいはわかっている。

だがそれを纏う武器もそれほど多くなく、カイルも数本しか持ってないほどだった。

そのほぼ未知の属性を、しかもブレスとして持っている。

 

「…ますますヤバい敵だとわかった、なっ!」

 

モンスターがブレスを吐いた後、威嚇をし始めた隙を付き、カイルは閃光玉を投げつける。

その光は辺りを照らし、モンスターの眼を灼いた。モンスターにとっても突然のことで対応出来なかったようだ。

それでも、モンスターは眼が潰れていても大人しくすることなく尻尾を振るったりあらぬところへ突撃したりと、暴れる性質を持っているらしい。

それを確認しつつ、カイルはエリア5から離脱。モンスターの視力が戻った時には既に何もおらず、悔しいのか大きな咆哮を上げていた。

 

 

 

 

 




わかる人はわかるモンスターでした。
時期的には2ndから3rdへ移るとこ辺りをイメージしてますので、新種として3rdのモンスターをちょこちょこ出す予定です。


次はいつになるかな…(白目

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