転生したら狩人×狩人 作:楯樰
ゾルディック家で軽くニ、三日ほど泊めて貰い、帰ってきた私達五人はいつもより遅い朝ごはんを食べていた。
ま、理由としては全員が全員寝坊したからなんだけども。
ちなみにニ、三日ゾルディックでしていた事といえば、ゼノの婚約者との会話、ゼノとのガチバトル、両親とゼノのお爺ちゃん……マハさんの手合せ。
それからゾルディック式暗殺術を両親が習ったくらいである。
いや、暗殺術とか一朝一夕で覚えられるもんじゃないんだよ、本当は。
でも一日で習得しやがりましたよ! あの二人は!
あー…やだやだ。
チートにも程があると思います!
……はぁ。
それから私とゼノとのガチバトルは私の臨を使った圧勝。
『絶並みに気配が無い癖して、堅してる時と同じくらいの防御力と攻撃力があるとか反則だー!』とか言っていたので、私に勝てたら教えてあげると提案したら、ゼノは喜んで提案に飛びつき20回ほど手合せさせられた。
要所要所で廻とか使ったが仕方ないと思う。
私一応女の子だからコレくらいのハンデは……ね?
ま、でもあまりにしつこかったので仕方なく、臨だけ教えてあげた。
……絶対に他言無用という条件で。マハさんにも、家族にもである。
お父さんから、あまり広めたらダメだと言われたので致し方ない。
二人もマハさんには、廻や臨、剛については教えて無いとのことだから広められては困る。
……ゼノの婚約者とは、ゼノの仲介で知り合った。
コレがまた大和撫子の代名詞かと言いたくなる様な、おっとりとした美人だった。
ただ、私と顔を合わせた時、ゼノが浮気したんじゃないかと心配になったらしく震えていた。
勿論ちゃんと説明して誤解は解いた。
その後は政略結婚とは言え、ゼノの好きな所や今のゼノに対する気持ちを、本人の目の前で聞いたり。ゼノが『接し方がわからない。どうすればいい?』と私に聞いてきた事をばらしたりして私としては、大いに楽しんだ。
うん。あの人はゼノには勿体無いくらい可愛らしかった。
……さてと。ここ数日の事を思い出しつつ食べていたらいつの間にか朝食を食べきっていたので、ご馳走様をする。
「ご馳走様でした……じゃ、私部屋に戻るから」
「あ、ちょっと待って姉ちゃん。ビスケと俺、大事な話があるから」
「うん、だからちょっと待って」
「う、うん。いいけど……」
それから私は部屋に戻って修行しようと席を立とうとすると、ラディとビスケが真剣な顔して引き止めるので、仕方なく席に着く。
……どうしたんだろ?
思えば私より先に食べ終わっていたお父さんもイスに座ったままだ。
ちなみにお父さんとビスケ達は職場と学校にお休みを取って、此処一週間程は何処にも出ていない。
私の誕生日祝いとして予定を空けてくれていたらしい。
……知った時はちょっとホロリと来たね。
こんな無駄思考はともかく。
お母さんが席に座るのを待っていたラディとビスケは、真剣な表情のまま話を切り出す。
「ごめんね、姉ちゃんに父さんたち。ちょっと俺たち相談事があって……」
「……うん」
ビスケはラディの言葉に続いて頷く。
ラディは私とお父さん達を一度見渡し、切り出す。
「俺達……ハンターになろうと思うんだ」
「私達もハンターになりたいの。お父さんみたいに」
うんうん、なるほどなるほど。
私はわかった。
ただ父さんたちはというと、
「……二人はハンターになって何がしたい?」
「私も同じ。二人とも何か目的があるの?」
「それは……」
「………」
黙り込む二人を見てお父さんは二人に話し続ける。
「父さんは戸籍が無かったから仕方なくハンター証が必要になった。ただお前達は……何がしたいんだ?」
「僕は…「…私は宝石ハンターになりたい…!」……」
「……宝石ハンターねぇ…いいんじゃないの? ビスケは昔から宝石とか好きだったしね」
「え…う、うん!」
ビスケはお母さんに認められたようで嬉しそうだ。
「じゃ、ラディはどう? なにかある?」
お母さんはビスケに話を遮られたラディに今度は話を聞く。
「まだ、決まってない……でも!」
「……でも?」
「僕は世界を見てまわりたいんだ! だから……」
ラディは拳を握り締め必死な様子。
それに対してお父さんは……
「うん、いいよ」
さっきまでの雰囲気とは違い、空気が少し軽くなる。
そりゃあそうか。お父さん少し念出してたもん。
「……へっ?」
ラディは空気の変わりように驚き声を上げる。
「だから、二人がハンターになるのを認めていいよ」
「……ほ、ホントに!」
「……や、やった! やったよー!」
お父さんのお許しが出た二人はイスから立ち上がり、思い思いに喜んでいる。
「ただ!」
喜んでいる二人は動きを止め、声の主であるお母さんを見る。
「これから始める修行が無事終わったら……ね?」
「「ひいっ!」」
あー……だろうと思った。
それにしてもお母さん…………いい笑顔してるわ。
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ラディストとビスケットが念の修行を始めてから早くも一年が過ぎた。
一年で変わった事といえば二人が小学校、中学校を飛び級し卒業した事。
二人はハンター試験に向けての本格的な修行をするためあの話し合いの後日、二人に飛び級試験を受けさせた。
勉強は元より両親(偶に私)が教えていたのだが、試験を終えた二人に話を聞くと、どうにも試験内容が簡単すぎたらしい。
両親曰く、前世…つまり私がいた現代の中学修業レベルまでしか教えていなかったらしいので、この時代の勉強のレベルが低いのだと思う。
次に念の修行。
始めの一週間で二人とも精孔を開き、二週間目で纏と絶を修得。
三週間目で練ができるようになり、四週間目で堅が二十分ほど続くようになって、おまけに凝と周を習得。
流も四週間目の終わりには基礎が固まってきていた。
五週間目には円が二人とも50m、隠と硬もいつの間にか習得していた。
いや、二人がチートなんじゃなくて両親の教え方が上手いんだ。
なんだろう……きっと両親二人にかかわった人間はみんなチートになるような気がするよ……ははは。
あ、でも精孔がすぐ開いたのは、恐らく私と両親のオーラに当てられたせいだ。
……訂正、私と関わってもチートになりそうだ。
そして練が出来るようになって行った水見式ではラディが特質、ビスケが変化だった。
ビスケについては予想通りだったが、本人は両親と違ったので残念そうだった。
ただ、私も変化系だということを教えてあげると、少し元気が戻った。
うむ、大変可愛いらしかった。
思わず抱きついてしまったのは仕方ないと思う。
離したとき私の胸で窒息して気絶してた件についてはホントごめん。
それから半年ほどは系統別訓練と基本の四大行と一般的な応用技の技術の向上をしていき、偶に私や両親と組み手をしつつ過ごしていたのだが、それからが二人にとって地獄だった。
何がと聞かれれば勿論、臨・廻・剛の三つの応用技の修行の事だ。
臨にしてみれば、絶をしたまま体内で練をするといった、半年間で学んでいた事を覆されるような応用技だし。
廻なんてのは体内でオーラを高速で循環させつつ体外に出さないといった、オーラ操作が流の数倍難しいし。
剛に至っては……臨・廻の二つができない事には話になんないし。
まさに二人にとっては地獄以外のなにものでも無い。
しかし、この三つができない事にはハンターになる事は絶対に認めない、とお父さんもお母さんも言っているのでやるしかなかった。
下手なハンター試験よりも難しい気がするが、言っちゃおしまいなので気にしたらいけない。
……
そして二人がハンターになると決意して一年後の今日。
――廻と臨が二人は出来るようになっていた。
勿論剛は出来るそぶりも見せていないが、二人にとっては確かな進歩だ。
また同時に臨と廻の習得は、
「ラディとビスケ、天空闘技場200階以上で十勝して来なさい」
「いってらっしゃい!」
「「えっ?!」」
……お父さんとお母さんからのお小遣い稼ぎのお許しがでる事も意味していた。
主な改造点。
・ゼノが臨を習得。
・ビスケがマッチョにならない。
・ビスケが廻と臨の習得(後々、剛も。
以上。