転生したら狩人×狩人   作:楯樰

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私が人外過ぎて妹のストレスがマッハ。

「~……ぅん……――――え?」

「あ、おはよう。いい夢見れた?」

膝の上で寝息をたてていた妹はご自慢の身体能力で飛び起き、私と距離をとる。

 

くッ……もう少し可愛らしい寝顔を見ていたかったと言うのに……!

 

という訳でヨークシンシティの郊外にあるホテルから場所を移して箱庭(バビロニア)

私の念能力で作られた、なんちゃってな世界である。

首尾良く弟のラディストと私に誘か……お持ち帰りされた我が肉親の妹は、念空間に再現されたちょっとした河川敷で目を覚ました。

 

「――あれ? ちょ……リア姉?! な、なんで私膝枕されてたの!? というか此処、何処!?」

「まぁまぁ落ち着いて。あ、お水飲む?」

状況把握に頭を回しているようだけど、そんな姿も可愛いと思ってしまう私は末期だろう。

和むわぁ~……。

そんな寝起きの彼女に私は水とコップを具現化させて彼女に渡す。

眠気覚ましになればいいけど。……そうだ、ミントの成分を少し入れておこう。

「う、うん……――というかコレ何処から出したの!?」

えーっと、こういう場合なんと答えたらいいのかな。

 

強いて言うなら、

「……虚空?」

「……具現化させたわけ?」

「うん……そうだけど」

 

軽く睨まれた後、何をやっているんだこの人は、というような目で見られ、お姉ちゃんちょっと傷ついた。

悔しい、でも(ry

……いつか責任とって貰おう。そうしよう。

 

「ハァ…………メモリを一体なんだと思ってるのよ、まったく。この水も返す!」

「えぇー……飲めばいいのに」

「飲みません!」

 

水(ミント成分配合)の入ったコップを投げ返される前に消す。

この妹、姉の好意を無下に扱うとは。まったくもって酷い奴だ。

 

「はぁ……うん、もういいよ。……それで此処何処な訳?」

私に怒鳴っても何も変わらない事を悟ったらしいビスケは、私の隣に座り、若干疲れた様子で訊いてきた。

多分その質問に答えたらまた怒鳴られる。

きっと恐らくメイビー。

 

「言っても驚かない?」

「…………驚かない」

今の間はなんだと聞きたいがその前に答えることにしよう。

 

あー…

「…念空間」

「は?」

「だから私の……念空間」

「…………」

 

目が点になって口が開きっぱなしになってしまった。

綺麗な白い歯が顔を出している。

その口の中に指を突っ込みたくなる衝動に駆られる。我慢我慢。

 

「おーい。ビスケットー」

「……ホントに念空間なの、此処……」

「そ。それでさビスケ。そろそろ本題に入らせて貰ってもいい?」

「う、うん……」

 

じゃあ、と前置きして話す。

提案する内容はある意味全人類が望み続けてきたソレ。

神や悪魔と呼ばれるような私の能力による――――永遠の若さを手に入れるかどうかの話だった。

 

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「あぁ……」

「ビスケ、大丈夫?」

「大丈夫じゃないかも。はぁ……なんだかなぁ……」

 

モノの十分で永遠の若さ――つまり身体の細胞を全部不死化させられたビスケットは見事なorzの状態になっている。

 

「そんなにショックだった?」

「うん……確かに嬉しいよ? ずっと若いままでいられるのは。でもそんな、こんなあっさり……はぁ。私が作った念能力、一つ存在意義を失ったって言うか、なんていうか……」

 

ビスケットの能力は原作と変わらない魔法美容師(マジカルエステ)のクッキィちゃん。

私の能力に似通っているところがちょっと微笑ましく感じるのは内緒。

原作そっくりのビスケットだが、一つ違うのがもう一つ能力があるという事。

内容は要約すると、あの本来の姿(この世界じゃ違うけど)の如く、自分の筋力だとかをブーストさせれるんだとか。

人外家族と暮らしていながら能力があんまり変わってない所を見ると、なにか神の意思を感じたりする。

もしくはお父さんかお母さんが暗示か何か掛けていた可能性も無きにしも非ず。

ちなみに私は何もしていない。私は無罪だ(キリッ。

 

「まあ良いじゃないの。別に死ぬわけじゃ無いし。むしろ寿命が伸びたんだし」

それに細胞の不死化の副作用として一生癌にならないというオマケつき。

研究機関に捕まったりしたら解剖されるの間違い無しだけど。

 

「ほら、元気出して」

「うん……」

 

こっちまで辛気臭く成りそうなほど落ち込んでる。

はぁ……仕方ないなぁ。

「能力、改良してあげよっか?」

「……え? そんな事も出来るの?」

 

あれ? これ、言って無かったけ?

 

「出来るって言って無かった?」

「言って無いよ。ははは…………ウチの家族が人外過ぎて生きるのがつらい」

うわぁー双子だぁー……ラディストも同じ事言ってた気がするぞ。

「……ちなみに自分もその中に入ってるからね? 分かってる?」

「あーさっき仲間入りしたしね、うん。もうどうにでもなれ……」

半ばあきらめの境地に入ってるようだけど一つ訂正。

 

妹よ。君は不老になる前から人外だから。

決して私のせい……じゃないかもしれないけど直接的には絶対違う。……大体両親のせい。

 

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私との修行三日目。

一日目はあの後すぐ初めて、重力二千倍くらいで呼吸が出来るように。

二日目は五千倍で呼吸が出来るように。

そして三日目の今日は、自分が気がつかない内に背後に回れるようになった弟との差を埋めれるようにと、ビスケは自分から『カトリア式修行 ハードモード』に切り替えた。

 

「ぬぐぐ……なに、これ?」

「重力一万倍くらい? ラディストはこの中で私と修行してたよ」

「お願い、嘘だと言って。死ぬ、死ぬって」

「そんな大げさな。仮にもあの二人(両親)に鍛えられてるんだから死なないって。とりあえず立ち上がるのが今日の目標。ラディは一日でクリアしたよ?」

「ふぬぬぬ……なら半日で私はぁ……!」

 

やっぱり双子。発破を掛けるには丁度いい。

ちなみにラディストは二日掛かっているのでむしろ半日で出来たら凄い。

 

二日目まではノーマルモード。念能力者なら一日で疲れが取れる内容。

で、そのハードからは並の念能力者なら二日は寝たきり。

後エクストラモードがあるが、私やネテロ、両親レベルじゃないと確実に初日から死ねる内容なので勧めなかった。

 

幸いな事にビスケにはクッキィちゃんがいるのでかなり回復出来る。

なんといっても新しくなった魔法美容師によって、五分程度でオーラ、体力等が回復出来るようになったので必ずその日のノルマはクリアできるようになった。

やらされる方としては地獄でしかないけど。

 

「はぁ……はぁ……ぅんっ……」

 

というかエロく見えてきた。

もうちょっと重力強めてやりたいとか思ったり、思わなかったり。

「ねぇ、お、お姉ちゃん? つ、強く……んっ…なってない?」

「なってないよ、……うん」

強くなってない……と思う。

うん。10001倍とかにはなってないよ。

 

「ね、ねぇ! やっぱり、こ、れ! つ、強く…なって、るよ?!」

「なって……無いよ?」

「嘘だ!」

 

この後ちょっとづつ重力上げてた事がばれた。

一週間口を利かないと言われて泣いて謝った。

つい魔が差してやった。

後悔も反省もしてる。

 

 

だからお願い、そんな無表情で殴らないでぇー!

 

 


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