転生したら狩人×狩人 作:楯樰
参考にでもどうぞ。
両親の元から旅立ち三ヶ月。
私とラディストは少し肌寒いジャポンに来ていた。
「うわぁ……これ欲しい」
「なぁ、姉ちゃん……凄い見られてるんだけど。……というか何見てんのさ」
うるさいラディスト……私の邪魔をするでない。
ただ、確かに見られてるのはウザイので、コレをさっさと買って帰ろう。
「よし。…店員さーん。コレ買いたいんですけど~」
「はぁ?! 姉ちゃん!? これ幾らすると……」
「30万でしょ? 私のポケットマネーから出すし」
「はぁ…。また電脳の掲示板が荒れる……」
なんだか私の事が一部掲示板で有名になっているらしい。
主に、天空闘技場での事とか、『カトリアちゃんハァハァ…』的な感じで。……氏ね変態共。
そんな自分の身の振り方に気をつけないといけない私が、ちょっと注目を集めつつ買い物をしているのは、ジャポンのアキバ……言うなれば日本の秋葉原に近い都市。電化製品やらマニア向けのグッズや製品を売る店が沢山あるのだ。
ジャポンに来たらこない訳無いでしょ、この私が。えっへん。
いや、胸張るような事じゃないんですけどもね。
というか今サラシ巻いてて胸張ったら痛いから出来ないし。(主に胸に)注目を浴び過ぎるので仕方なく巻いてる。所謂……隠れきょぬー状態?
そうこうしている内に男性の店員さんがやってきて、冷や汗を掻きつつショーウィンドーの中から出して運んでくれた。
ところで私が何を買ったか? それは、
……後に有名になるであろうJoystationである。
「いや~…いい買い物した♪」
アキバから離れて、同じくジャポンのキョート。
此処ジャポンでの拠点の一つが此処にあり、移動には私のテレポーテーションを使っているので、アキバとキョート間を一飛び出来る。
ホクホク顔で肩から掛けているポシェットをポンポンと叩きながら情緒溢れる街並みを歩く。
「はぁ……もう少し待てば安くなるだろうに」
対して呆れ顔を浮かべている弟は、溜め息をつきつつ呟く。
「いいじゃん別に。早期購入者特典いっぱい貰えたんだから」
「……はぁ」
「ぶぅー……」
私は、またも溜め息をつくラディストに少し居た堪れなくなり口をすぼめる。
――最近弟が主婦の如く節約に気を使い始めて辛い…。
そもそもラディストに私が、私の財産について言って無いのも悪いんだけど。
何で言って無いか? ……言ったら絶対引かれそうだから。嫌われたらやだもん。
ラディストと違って私は天空闘技場で200階入ってからフロアマスターになるまでに、自分に所持金全額を掛け、無敗で勝ち続けた。結果30億
そして銀行に預けているお金は利息が付き、悠々自適に20回分の人生を歩める位の量になっている。
最後に確認した時は……60億超えてたかな? 使わないと逆に経済が混乱したりして、大変な事になる金額だ。
なので最近では難民への援助としてNPO法人のような所へお金を寄付したりしている。……知らない内に有名になっていく気がしないでも無い。
どうしよう、ふらっと訪れた所で『カトリア様だ!』とか言われたりしたら。……流石に無いか。
とにかく、
私にお金の事に関してとやかく言う必要はないんだよ?
…………だから姉の事をそんな呆れた目で見ないで下さいお願いします!
しばらく歩いていると前方から人が押し寄せて来る。
何かから逃げているようで、通り過ぎていく人達の目には恐慌と焦燥の色が浮かんでいた。
「キャーッ!」
「ひ、人殺しだー!」
……あきらかに尋常じゃない出来事が起きているらしい。
「どうする姉ちゃん?」
「どうするも何も……もう巻き込まれるのは確実みたい」
「血、血ガ、血ガ欲シイィィィィッ!」
通りには既に私達と、騒動の発端らしい怪しく光る血濡れの刀を持った男、そして既に事切れた様に見える人が転がっていた。
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「……ラディスト少し時間稼いで。斬られてる人が治せないかどうか確かめてくる」
「ん……」
ジリジリと迫ってくる男相手に間合いを計りつつ移動する。
「一応注意しとくけどアイツあの刀に操られてる……あの刀、死者の念が篭もってるよ」
「……了解」
私とラディストは二手に別れる。
ラディストはあの男の剣戟をかわしつつ翻弄している。
私は私でやる事をしましょうか。
……被害者は全員女性。一番酷い人から《神眼》で視ていく…………うん、全員ギリギリで生きてる。
円をしてオーラを広げ、傷口からオーラを浸入させて彼女達の身体を私のオーラで包み《神と悪魔の体現者》を発動させる。
彼女達の生命オーラに私のオーラを同調させて回復。
次に細胞操作と治癒力を上げて、傷口と酸欠で死に掛けていた脳細胞等を癒す。
最後に彼女達の身体に残った私のオーラを、流れ出た血の分だけに具現化させてお終い。
その間約45秒。
うん、この前やった時より若干早くなったかな。
「ラディスト終わっt「危ないッ!」え?」
「オンナノ血ィィイイッ!」
――二人に背を向けていた私が振り返るとそこには、あの男が私に向かって刀を振り下ろそうとしていた。
……はぁ。まったく。
私のばか。これくらい予想出来てただろうに。
斬られてるのが全員女性って事に気が付いとけっての。
ガギンッ
――《硬化》を使い細胞の強度をあげて刀を防ぎ、
「まぁ、でも…」
シュルルル
「…丁度私もお腹減ってたから」
「血、血ィィん゛ん゛――!」
――《生髪剣舞》で伸ばした髪の毛を男に巻き付ける。
「オーラ、ちょっと頂戴ね? 」
……いただきます。
「(ピクッピク……)」
「いや、ゴメンね? ちょっとやりすぎたかも……って聞こえて無いか」
「うわぁ。……男の人が可哀想になって来た…」
生命維持が出来るギリギリのところまで搾り取ったから仕方ないといえば仕方ないか。
……ちょっと悪乗りし過ぎた。
「ま、この男の人は今は置いとくとして。この刀なんだよねぇ~……神字刻んであるし、妖刀の類かな?」
「ちょ、姉ちゃん大丈夫なのかよ、それ」
「うん? この程度の精神干渉系の念だったら大した事無いよ。多分これ念能力者用の刀みたいだから……開け《王の箱庭》。もしホントにやばかったら除念よろしく」
「……その前にその蒐集癖なんとかならない?」
「無理!」
「はぁ…」
この後私達は警察が来るまで被害者の彼女達の様子を見ていた。
彼女達が起きた時になんて説明しようかと考えながら。
しばらく更新が停滞します。
三週間ほどしたら復帰すると思いますので。
それでは。