転生したら狩人×狩人   作:楯樰

14 / 30
待ち合わせはドーレ港。

第245期ハンター試験。

 

この試験にビスケット・ラディストが出ると1957年12/1……昨日心源流の道場から連絡があった。

 

聞いた話では二人は既にネテロ会長から免許皆伝を受け、師範代という地位で頑張っているらしい。

姉としては二人の成長振りは嬉しいが、お姉ちゃんとしては二人がちょっと遠くなったようで、少し寂しい。

 

と、まあ私の寂しい云々は置いとくとしてだ。

現在私は自室にて問題を抱えている。

それはこの第245期ハンター試験に私も参加しなければならなくなった事だ。

 

何故かと言うと、私が連絡を受けた時、ビスケに『リア姉も245期のハンター試験受けるんだよね。試験会場はザバン市の酒屋の~』と正確な時間と場所をビスケから聞かされたから。

そしてビスケの声から、『姉弟全員でハンター試験を受けれる事が嬉しい』っていうのが伝わってきた。

きっとあの会長が二人に私も試験を一緒に受けると教えたのだろう。

くそ…なんであの時弟達と一緒に受けるって言った! 私、しばらくはアマのハンターとしてやって行くつもりだったのに!

試験がめんどくさいのも事実だが、ビスケやラディが悲しむのも嫌だ。

 

それで私は部屋のベッドの上で枕を抱きかかえつつ、ゴロゴロとベッドの上を転がりながら、頭を悩ませているというわけだ。

 

 

ゴスン!

 

 

不覚……ベッドから落ちた。

お凸めっちゃ痛い。

 

-------------------------

 

打ったお凸をお母さんにもらった氷嚢で冷やしつつ手に収まる鏡で《理の眼》を発動させる。

今現在の私のメモリ

 

トータルメモリ229.1

空きメモリ130.1

 

……あの時から三年と半年。

1日一回づつやって、ようやく元が取り返せてメモリが増えているという所だ。

うん、頑張った。私超頑張った。

修行して潜在オーラが増えたと言っても一日一回、疲れるため夜寝る前にしか出来なかったけど、約四年近く。ホントによく頑張ったと思う。

 

今ちょっと『潜在オーラ改造して増やせば良いんじゃなかっただろうか』的な声が脳内で響いた気がするけど今は放置。

多分今考え出したら引きこもりになる。

 

取り合えずだ、とりあえずコレで能力が新しく増やせる。

一つは決まっている。

今ある能力《理の眼》の上位互換の能力《神眼》だ。

 

【神眼】

・特質系

瞳の色を藍色に変え、対象の生態情報を全て見透す能力。

 

・制約と誓約

凝をしている事。

一度対象に触れている事。

 

こんな能力。

いかにも中二病っていう感じがする。

いいじゃん、カッコいいし。

 

さてと…出来るかな?

 

 

……。

 

うん、確かに出来た。

鏡に写る私の瞳の色は藍色になっていて、若干見慣れた私の生態情報が流れてくる。

 

……出来たけど何で80メモリも使ってしまうん?

チクsh…(ry

 

 

-しばらくお待ちください-

 

 

頬を伝う苦い涙をティッシュで拭いて呼吸を整える。

うん、よしとしよう。私じゃなかったら《理の眼》のところに上書きで覚える事なんて無理だったろうし。それに上書き出来てなかったらメモリを当初の私の最大値100全部使ってただろうしね。……ホントに悔しくなんてないんだから!

 

……はぁ。

 

うーん…残りは多分、本来作ろうと思ってた能力を入れるにはメモリが足らないだろうから、とって置こう。

 

後は、試験に持って行く物の準備するか。

 

はぁ……試験面倒臭いなぁ…。

 

-------------------------

 

ジャポンでは正月明けに当たる1958年の1/7。

この日ハンター試験の会場があるザバン市のドーレ港のベンチで私は待ち合わせをしていた。

勿論待っているのはデートの相手などでは無い……妹と弟だ。

 

さっきから男達にナンパを受けたりしているが、割愛。

いちいち説明するのが疲れるくらい来るからナンパしてくるから仕方ない。

 

しばらくの間座って、段々寄ってくる男達が居なくなった頃合いに少年少女、二人の影が寄って来る。

「おーい、姉ちゃーん!」

一人は私より1,2㎝背が低い少年で、鍛えられた身体が服越しに見てもよく分かる少年。

もう一人は、

「…リア姉ー!」

私よりも5㎝ほど背の低い、ロリィな感じの服を着て、外見ではまったく分からないが同じように鍛えられている少女だ。

 

そして二人を見つけた私は、

 

全身の細胞を活性化させ、

 

臨をして音速に近い早さで二人に近寄り、

 

――聖母の如く二人を抱きしめた。

「会いたかったよー! 二人ともー!」

「ふぐぐ……!」

「んんー…ッ!」

 

抱きしめられた二人は私の腕と胸の間に頭をうずめて苦しそうに暴れており、今にも窒息しそうな様子。

周りからは男共の、羨ましいという羨望のまなざしが私達に降り注いでおり、私としては少し鬱陶しい。

うーん…苦しそうだから離してあげようかな。

 

いや、やっぱり我慢してもらおう。

……コレを周りの目を気にして止めるには、いささか勿体無い♪

 

 

気絶する寸前で私は二人の事を離し、ベンチに三人仲よく並んで座る。

「……し、死ぬかと思ったー…」

「お花畑が見えた気がする……」

二人はそれぞれ私の抱擁の感想を延べる。

うーん、おかしい。

感想としては『天にも昇る思い』とかじゃないの? ……あ、ほとんど一緒だ。

「そんなに力つよかった?」

「うん。姉ちゃんまた力つよくなったんじゃない? あー…しんどい」

おかしいな……私、羽を掴むように優しく抱きしめたはずなんだけど。

「はぁ…。…もしかしてリア姉、臨しかしてなかったんじゃない?」

「そうだけど?」

「「はぁ……」」

た、溜め息吐かれた…!

「俺達心源流であのジイさんがいない時は代わりに指導やってたの!」

「あのさ、リア姉。私達仮にも心源流の師範代な訳……なのに腕も振り解けないって…」

なるほどね。

 

甘い! 例えるならハニートーストより甘い!(ちなみに私の好物。

既に私は究極生命体に近い存在だ。

その私に勝てるわけなかろう!

 

さて、冗談はともかく。

 

私が究極生命体以前にこの二人、師範代だからって調子にのってるみたい。

……はぁ。

「…あのさ、二人ともまだお父さんやお母さんにも勝った事無いでしょ?」

「うぐぐぐ…!」

「それ以前に私にも勝った事無いし。ちょっと調子のりすぎ」

「ぬぐぐぐ…!」

二人とも悔しそうにしている。

……追い討ちかけようかな?

私は電話を掛けるしぐさをして、

「…………気が抜けてるって二人に電話しようか?」

「「それだけはやめてください御姉さまッ!」」

一瞬の間に二人は私の目の前で土下座をする。

この電話を掛ける二人と言うのは勿論両親の事である。

ラディとビスケ、土下座しながら二人ともプルプル震えてる……面白い。

 

ま、ふざけるのはこの辺にしとこう。

可愛い姿も見れたし。

 

「それで、今年の試験会場は酒屋『源光(みなみつ)』の店員に「カップ酒一杯」って言って「あんた未成年だろ?」て言われたら「これでも129歳なんだ」って言ったら良いんだっけ?」

「そうだけど……ホントに言わない?」

「お願いお姉ちゃん! 絶対二人には連絡しないで!」

「ふっふ~ん。どうしよっかなぁ?」

「うぅ……」

「ふぇ……」

今にも泣きそうな二人。

……可愛い。

ただ癖になりそうなのでもう止める事にしよう。

 

 

今日分かった事。

……私には少しS気があったみたいです。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。