ヴリトラモン・ストラトス   作:赤バンブル

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最近の低評価でモチベが下がる・・・・・・
いくら最終回が近くなったからって作者をいじめないでください。

後、多くて五回かな?

最終回までは・・・・・・・多分。


スサノオモン対ルーチェモン

「・・・・・・・」

 

スサノオモンは左手でルーチェモンの攻撃を防ぎ切った。

 

「い、一夏・・・・・」

 

鈴は声をかけるとスサノオモンはゆっくりと鈴たちの方を見る。

 

「・・・・・・待たせたな、鈴。」

 

スサノオモンは、鈴の顔を見ながら言う。間違いなく一夏の声である。

 

「もう!来るのが遅過ぎよ!」

 

「すまない、俺も正直言って諦めかけていたからな。でも、箒たちのおかげでここまで戻ってこれた。」

 

「箒って・・・・・・箒はどうしたのよ!?まさか・・・・」

 

『私も一緒だ。』

 

スサノオモンが別の声で答える。今度は箒の声だった。これには鈴も流石に尻餅をついた。

 

「本当に合体したんだ・・・・・・って、そんな場合じゃなかった!早く弾を助けないと!」

 

「弾?弾がどうしたんだ?」

 

「家の下敷きになっちゃったのよ!さっき蘭たちが掘り起こそうとしていたんだけど瓦礫で・・・・・・」

 

鈴は後ろを見る。後ろでは目の前の出来事に驚きながらも生き埋めにされている弾の手を離さない蘭の姿があった。

 

「・・・・・分かった。」

 

スサノオモンは蘭たちの方へと歩いていく。蘭は突然現れたスサノオモンに対して怯えている。

 

「蘭、悪いが少しそこから離れていてくれ。」

 

スサノオモンは、蘭に離れてもらうと弾の手に触れる。

 

「・・・・・・・大丈夫、命に別状はない。ただ気を失っているだけだ。」

 

そう言うとスサノオモンはもう片方の手を翳す。すると周囲の瓦礫が次々と浮かび上がり、生き埋めになってしまっている弾の姿が少しずつ見えてくる。

 

「すごい・・・・・まるで一夏の意思で瓦礫が動いているみたい。」

 

鈴は目の前に光景に少し驚いていた。やがて、弾の姿が見えた。

 

「お兄ぃ!」

 

蘭は思わず弾に駆け寄る。弾は動く様子はなかったが呼吸はしていた。

 

「お兄ぃ・・・・・」

 

「大丈夫だ。時間が経てば目を覚ます。」

 

スサノオモンは、弾を抱き上げ蓮と厳の方へと渡す。

 

「弾たちを連れてここから離れてください。」

 

彼はそう言うと目の前にゲートを開く。

 

「このゲートを通れば学園のデジラボまで問題なく行けます。少なくともここよりは安全なはずです。」

 

スサノオモンはそう言うと上空浮かぶルーチェモンの一部を見る。

 

「い、一夏!アンタどうするつもりよ!?」

 

鈴は蘭を連れながら心配そうに聞く。スサノオモンは顔を振り向かないまま答える。

 

「ルーチェモンを倒す。そして、この戦いを終わらせる。」

 

「・・・・・でも、アイツ。とてつもない強さになっているわよ。」

 

「・・・・・・フッ、大丈夫さ。今の俺は一人で戦っているわけじゃない。箒とリリモン、父さん、母さん・・・・・みんなと一緒に戦っているんだ。だから心配いらない。」

 

スサノオモンは、ゆっくりと上空へと向かって行く。

 

「一夏さん!」

 

「ん?」

 

蘭の声にスサノオモンは足を止める。

 

「なんだ?蘭?」

 

「・・・・・その・・・・・兄を助けてくれてありがとうございました。」

 

振り向くスサノオモンに蘭は頭を下げる。

 

「ああ。」

 

「それと!もし、この戦いが終わったら・・・・また家に遊びに来てください!今は壊れちゃったけど・・・・・母さんもおじいちゃんも私も兄も一夏さんのこと待っていますから!!」

 

「・・・・・・ああ、ありがとう。終わったら必ず行く。」

 

スサノオモンは高速で上空のいるルーチェモンへ向かって飛んで行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

楯無たちside

 

「デュークモン!べルゼブモン!どこですか~!」

 

楯無は大声でどこにいるかわからないデュークモンたちへと呼びかける。

 

「アルファモン!デュナスモン!」

 

「生きているなら返事をしてくれ!」

 

シャルロットとラウラも同じように声をかける。すると少し離れた瓦礫の山が少し盛り上がった。

 

「あそこに誰か埋もれていますわ!」

 

セシリアと動いた瓦礫の方へと駆け寄る。

 

「どなたですの!?」

 

『僕だ、アルフォースブイドラモン!ブイブイだ!リナと一緒に吹き飛ばされて生き埋めになっちゃったんだ!』

 

「四ノ宮さんと一緒に!?」

 

『おぉ~い!誰か助けて~。ヘルプミ~。』

 

セシリアはピヨモンと一緒に瓦礫をどかし始める。するとブイブイとリナの頭が見えた。

 

「でもおかしいね、セシリア。」

 

「ん?何が?」

 

「だって、私たちはさっきの攻撃で元に戻っちゃったのにブイブイは進化が解けていないんだもん。」

 

「・・・・・確かに言われてみれば・・・・・そうですわね。」

 

「それは鍛え方に決まってでしょ!何しろあたし達は経験が豊富だからね~。」

 

リナは頭だけ出ている状態で自慢気に言う。

 

「・・・・・・・ごめん、リナ。この状態じゃ説得力ないよ。」

 

「・・・・・・だよね。ガクッ。」

 

リナはしょんぼりと肩を落とす。

 

「おい!こっちにはジャスティモンたちが埋まっているぞ!・・・・・・・二人仲良く上半身だけ。」

 

『ボォ~イ!ダズゲデグレ~!!ゾロイニゾロッテヅマッヂマッダンダ!!グゾ~!(お~い!助けてくれ~!揃いにそろって埋まっちまったんだ!くそ~!)』

 

埋もれながらもジャスティモンは足を動かしながら叫ぶ。こちらはラウラとシャルが手分けをしながら掘り始める。

 

「みんな・・・・・・・無事・・・・とは言えないようだな。」

 

そこへデュークモンがベルゼブモンに肩を貸しながら歩いてきた。どちらもボロボロの状態で立つのが精一杯の様だった。

 

「デュークモン。」

 

「私もこの様だ。ロイヤルナイツの面々も生きてはいるが戦える状態ではない。情けないことだ。」

 

「ちくしょう!俺とも言う者がこんな無様にやられるなんて惨めすぎるぜ!!」

 

かなり傷を負ったのかベルゼブモンは力がない声で悔しそうに言う。

 

「それでほかのデジモンたちは?」

 

シャルロットは不安そうに聞く。

 

「・・・・・さっきの攻撃でかなりやられてしまった。幸い死者が出ていないがむしろ人間たちの方がどうなっているのかが・・・・」

 

デュークモンは何とも言えない様だった。

 

あれだけの数の集団で戦ってこのやられ様なのだから致し方ないが。

 

「・・・・・・ここまでなのかな?私たち。」

 

「な、何言ってんのよ!?簪ちゃん!?」

 

簪の一言に楯無は思わず動揺する。

 

「諦めたらそこで試合終了って言うでしょ!?諦めなければ何とかなるかもしれな・・・・」

 

「確かにそうかもしれないね。」

 

「えっ?」

 

「ISも使えないし、ピヨモンたちももう進化できる力が残っていない以上私たちにはもうどうにもなりませんわ。」

 

「・・・・仮に学園に戻って訓練機に乗り換えたところで戦況が変わるとも言い難いしな。」

 

「ちょ、ちょっと・・・・。」

 

「へっ、全員揃いに揃って諦めちまうとは情けねえな。」

 

全員が諦めかけているときにようやく掘り起こされたジャスティモンが土ぼこりを払いながら駆け寄る。

 

「ジャスティモン。」

 

「俺たちにはまだ切り札があるだろ?」

 

「切り札・・・・・・・でも、一夏は・・・・・」

 

「確かにまだ来ていねえけど来る前に俺たちが先に諦めてどうする?それこそ奴の思うままだぜ。それにまだすべてが終わったわけじゃねえんだ。奴がまた本格的に攻撃に入る前にこっちの陣営を立て直すのも筋ってもんだぜ。」

 

「・・・・・・・・い、意外なことを言うんだな。私は正直言って今までお前のことを単なるリア充の熱血馬鹿だと思っていたぞ。」

 

唖然とした顔でラウラが言う。

 

「おい!リア充と熱血は認めるけど馬鹿とは何だ!馬鹿とは!?」

 

「すみません・・・・・私も思っていました。」

 

「何!?」

 

「僕も。」

 

「私も・・・・」

 

「私もそう思っていたわ。」

 

「・・・・・・・・・・。」

 

全員に言われてジャスティモンは体育座りをして落ち込んだ。

 

「いいよ・・・・・いいよ~だぁ。俺はどうせ馬鹿ですよ・・・・・脳筋ですよ・・・・・。グスッ。」

 

「よしよし、ジャスティモンは馬鹿じゃないんだから。ね?だから元気出して。」

 

そんなジャスティモンをエンジェウーモンが慰める。

 

「お前たち、無事か!?」

 

そのとき千冬がジエスモン、ビクトリーグレイモン、マグナアルフォースブイドラモンを引き連れて現れた。

 

「織斑先生!」

 

「教官!」

 

「どうやら無事の様だな。・・・・ん?凰の奴はどうした?」

 

千冬は人数を確認して鈴がいないことに気がつく。

 

「あっ、さっき友人の家が心配だって言ってそっちに方に行きました。」

 

「友人?」

 

「確かこの間の文化祭で来ていた五反田さんの・・・・・」

 

「五反田の方か。わかった。」

 

千冬はそう言うと後ろのビクトリーグレイモンとマグナアルフォースブイドラモンを見る。

 

「すまないが二人でここにいる全員を学園まで送り届けてくれ。私は凰の方に行く。その後は・・・・・」

 

(その必要はない。)

 

「ん!?」

 

言いかけた直後、千冬たちの脳裏に聞き覚えのある声が響いてきた。

 

(鈴たちは既にゲートでデジラボに送った。みんなも今からゲートを開くからデジラボに避難してくれ。)

 

「こ、この声は!?」

 

「間違いないよ!一夏だよ!」

 

「一夏さん!?どこにいますの!?」

 

一夏だと分かり千冬を除くメンバーは驚いていた。

 

(今、テレパシーでみんなに心に声を送っている。さっきも言った通り今から目の前にゲートを開く。そこからデジラボに逃げてくれ。)

 

「い、一体どこに・・・・」

 

(今、ルーチェモンの所へ向かってる。箒と一緒に。)

 

「ほ、箒と!?」

 

ビクトリーグレイモンは唖然とする。上空を見るとわずかながら一つの光が上空に上って行く姿が確認できる。おそらくあれが一夏なのだろう。

 

「一夏はどうするの!?」

 

(ルーチェモンを倒す。)

 

「そ、そんな!?一人じゃ無茶よ!」

 

(大丈夫だ。今度は負けない。)

 

「でも、たった一人じゃ・・・・・」

 

(私もいるから大丈夫だ。)

 

「あっ、篠ノ之さん。」

 

(それにみんなその状態じゃ戦えないだろう?だったらデジラボに戻るべきじゃないか?)

 

「そうだけど・・・・」

 

(もうすぐ奴の目の前に着く。これ以上は話すことはできない。また会おうぜ。)

 

「一夏!」

 

(千冬姉、みんなをよろしく。)

 

そう言うと一夏の声は聞こえなくなった。しばらく全員沈黙するがすぐにゲートが開いたため千冬は動き始める。

 

「全員、これよりデジラボに帰還する!動けないデジモンは動けるものに手を貸してくれ!おそらくすぐにでも戦闘は再開される!急げ!」

 

「お、織斑先生・・・・」

 

「今の私たちにできるのは責めてこれぐらいだ。後は二人を信じるしかない。」

 

千冬は、雲の中へと消えようとする光を見る。

 

「一夏、篠ノ之。・・・・・・・絶対に勝って戻ってきてくれ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

上空 

 

『・・・・・・・・・・・・来ましたか。』

 

ルーチェモンは、目の前に現れたスサノオモンを見下ろす。

 

「・・・・・俺の世界をよくも破壊してくれたな。世界中も勿論、俺の大事な思い出のある街も・・・・・・」

 

『ホッホッホッホッ。』

 

「何がおかしい?」

 

『いえいえ・・・・むしろあなた・・・・・いや、あなた方にとってはよかったのではないですか?自分たちの姉弟(姉妹)によって歪められた世界を壊すのは。あなたたちだって嫌いだったのでしょ?』

 

「・・・・・あぁ。確かにその通りだ。だから俺は死にかけた。そして、箒も一人ぼっちになった。だが、そんな過去を受け入れたからこそ今日まで生きて来れた。みんなとも分かり合えたんだ。」

 

『・・・・・ほう、そう解釈しますか。しかし、あのまま死んでいればよかったものを・・・・・・・・。そんなに世界の終わりを見たいのですか?』

 

「違う。俺は世界の終わりを見に来たわけじゃない。」

 

『ではなんです?まさかこの私を倒すとでも?』

 

「そうだ。」

 

『ホッホッホッホッホッ・・・・・面白い冗談を言いますね。あなたは己の無力さを理解しているのですか?』

 

ルーチェモンは両腕に結晶体を作り出し、デジモンを複製し始める。

 

「今の俺は一人じゃない。箒と二人、いや、お前の手で散った者たちと一緒に戦っているんだ。」

 

『口では何とでもいえるものです。』

 

ルーチェモンは一斉に複製デジモンたちにスサノオモンを襲わせる。

 

「・・・・・・やるぞ。箒。」

 

スサノオモンは右手を振り上げると複製デジモンたちに向かって振り下ろす。

 

次の瞬間、複製デジモンたちは何かに吹き飛ばされたのかすべて粉々に吹き飛ばされてしまった。

 

『・・・・・・』

 

「・・・・・どうした?あれで本気じゃないんだろう?」

 

『・・・・・・・・どうやら、ダークエリアのスサノオモンとは一味違うようですね。』

 

ルーチェモンは下半身の結晶体を切り離す。

 

『いいでしょう。今度は楽しめそうです。どちらが神に相応しいのかここで決めようではありませんか。』

 

「俺は神なんかじゃない。神としてではなく人間としてお前を倒しに来たんだ。」

 

両者ともに一定の距離を取って構える。

 

「・・・・・・・」

 

『・・・・・・・フン!』

 

先にルーチェモンが高速で移動し、スサノオモンを殴る。スサノオモンはすぐにガードをするが衝撃波凄まじく、後方に吹き飛ばされる。

 

「・・・・・・・」

 

『どうしました?この程度の攻撃で押されるなら私を倒すなど夢のまた夢・・・・・!?』

 

追撃しようとしたルーチェモンの左拳をスサノオモンが受け止める。

 

『ぬ、抜けない!?こ、これは一体・・・・・』

 

「どうした?この程度の攻撃じゃ俺たちは倒せないぞ。」

 

『ちっ!』

 

ルーチェモンは無理やり拳を引き抜く。

 

「今度はこっちから行くぞ。」

 

『フン、少し舐めすぎていたようブッ!?』

 

スサノオモンの一撃がルーチェモンの顔面にめり込む。

 

『なっ!?』

 

「・・・・・・」

 

スサノオモンは無言で攻撃を続行する。攻撃の一撃一撃がルーチェモンへと命中していく。そのたびにルーチェモンは後方へと押される。

 

(馬鹿な!?この私がたかが素手の攻撃で押されている!?そんな馬鹿な!)

 

「・・・・・・」

 

『クッ!』

 

ルーチェモンは、攻撃を避け距離を取りなおす。

 

『ハア・・・・・・ハア・・・・・・・この私が・・・・あんな輩に・・・・!?』

 

ルーチェモンは自分の口から流血したをふき取りながら唖然とする。

 

『ち、血!?この神たる私が血を流すだと!?そ、そんな馬鹿な!?』

 

彼はスサノオモンを見る。

 

確かに攻撃した箇所は、傷ついてはいるが血は流れておらず、全くうろたえる様子がない。むしろ何かとてつもない気迫を感じさせられた。

 

『・・・・・・・・』

 

「血を流したことに動揺しているのか?」

 

『キッ!人間風情が!!』

 

ルーチェモンは自分の周囲に七つの冠を出現させる。

 

「・・・・・・あの技か。」

 

『所詮、人間は神など越えることはできん!これで砕け散れ!ディバインアトーンメント!!』

 

七つの冠から光が放たれ、スサノオモンを覆い込んだ。

 

『まだだ!まだこれでは足りん!パーガトリアルフレイム!!ブラッドレイン!!』

 

攻撃を連続で行い、スサノオモンの姿を確認することはできない。更にとどめとばかりに光球で立体魔方陣を作り出しスサノオモンを封じ込める。

 

『これは完全体の時とはわけが違うぞ!!これを受ければ貴様は確実に「死」だ!!デッド・オア・アライブ!!!』

 

魔法陣は、大爆発を起こす。周囲の雲は吹き飛ばされ、ルーチェモンは衝撃に耐えながらスサノオモンが消えたかどうかを確認する。

 

『・・・・・・・・・・・!?なんだと!?』

 

ルーチェモンは目の前の光景を信じられずにいた。

 

「・・・・・・これで満足か?」

 

そこには、体はボロボロになりながらも気迫が依然として劣れ得る様子の無いスサノオモンが立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




いよいよ最終決戦。

当初の予定ではマグナアルフォースブイドラモンとビクトリーグレイモンを合流させる予定でしたが手が回りませんでした。


次回、「長い戦いの終わり(仮)」

(一夏&箒)「これで最後だ!ルーチェモン!」


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