ヴリトラモン・ストラトス   作:赤バンブル

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今更思ったけど、デジモンとポケモン、どっちが多いんだ?(困惑)


スサノオ

「轍剣成敗!」

 

「ぬっ!?」

 

箒を攻撃しようとしたカオスデュークモンは突然の声に攻撃を中止し、防御態勢に入る。箒が顔を上げると自分の目の前にジエスモンが駆けつけ、応戦していた。

 

「ちっ!ロイヤルナイツの生き残りか!」

 

「千冬、早く箒を!」

 

ジエスモンは、「アト」「ルネ」「ポル」を召喚し、カオスデュークモンに向かって行く。千冬はマドカと束を背負いながら到着する。

 

「篠ノ之!無事か!?」

 

「は、はい・・・・・」

 

箒は何できなかったのが効いたのか力がない声で答える。

 

「箒ちゃん。」

 

「・・・・・姉さん、ゴメン。姉さんが作ってくれた紅椿が・・・・・」

 

「いいんだよ、箒ちゃんが無事ならそれで。」

 

束は、箒の頭を撫でながら抱きしめる。一方カオスデュークモンはジエスモンの攻撃を避けながら一夏を回収する。

 

「ロイヤルナイツの生き残りが・・・・・・・だが、私の計画も叶ったも同然。邪魔することも不可能なのだ!」

 

「計画?どういうことだ!?」

 

ジエスモンは一旦距離を取り、カオスデュークモンと顔を見合わせる。

 

「全ては私が究極の破壊神になるための計画だ。」

 

「究極の破壊神?」

 

その疑問は千冬と箒も同じだった。

 

今、目の前で暴れているルーチェモンすら恐ろしいというのにそれをさらに超えるというのはもってのほかだ。

 

「・・・・・だが、それが一夏とどういう関係があるんだ?」

 

「コイツはパーツだ。まぁ、生きていようが死んでいようが別にどうでもいいのだがな。」

 

「き、貴様!」

 

箒は思わずかっとなったが千冬は彼女を取り押さえ、カオスデュークモンを睨みつけた。

 

「・・・・・一つ聞きたい。貴様はダークデュークモンなのか?」

 

「ダークデュークモンは昔の名だ。今の私はカオスデュークモン。だが根本的に中身は同じだ。」

 

「話ではお前は既にリリモンと共に葬られたはずだが・・・・・・」

 

「あれは篠ノ之束に作らせた私そっくりに動く人形に過ぎん。」

 

「何!?」

 

箒は思わず束の顔を見る。しかし、驚いているのは束の方だった。

 

「ふっ、当の本人が驚くのも無理はない。篠ノ之束は我々に鹵獲された後、私の元ではマインドコントロールをしてやらせていたのだからな。故に記憶もない。」

 

「マインドコントロール!?」

 

「どの道貴様らは私かルーチェモンに殺される。冥途の土産代わりに私の計画を教えてやろう。」

 

カオスデュークモンは一夏を引き上げると話し始める。

 

「あれは・・・・・・・だいたい1年前ぐらいになるな。デジタルゲートを通じて各地を旅していた私はふとしたことから奇妙な場所にゲートを開いてしまった。それは後にルーチェモンたちが襲撃した織斑一夏の両親が潜伏していたエリアだった。証拠隠滅のためか資料の大半が失われていたがデータの復元など私には容易いことだった。そのデータの中で私はある奇妙なデータを発見した。それはオメガモン同様に二体のデジモンを合体させることで誕生する一体のデジモンのデータだった。そのデジモン最大特徴はスピリットを全て使い、最強の破壊神にして再生を司る神と言っても過言ではない大いなる力を引き出すことができる代物だった。これに驚いた私はこのデジモンへと進化すべく様々な策を張り巡らせた。」

 

「それと一夏がどういう関係があるというのだ!」

 

「小娘が、まだわからんのか!コイツは言わばスピリットの一つ、進化するための触媒なのだ!だが、進化するためには大きな障害があった。それは同調だ。」

 

「同調?」

 

箒の疑問に束が答える。

 

「奴が言う進化方法は二つの人格を同調させる必要があるんだよ。でも、それには素体となる二人の心をシンクロさせる必要があって合わせないと合体できないんだよ。」

 

「その通り、それに織斑一夏が私のために力を貸すはずがない。さらに人格まで統合されてしまう危険性がある以上どちらにしても私の野望は潰えてしまう。だから、私は奴を散り散りに追い詰めていくことにした。」

 

「それでまさかリリモンを・・・・・」

 

「ああ、本来なら貴様事殺してしまえば奴の精神は確実に追いやられる。だが万が一私が破れてしまえば元も子もない。だから篠ノ之束をマインドコントロールし、私のデータから生み出したこのボディを作らせ、替え玉にしておいたのだ。」

 

「そんなもののために・・・・・・・・」

 

箒は悔しいと思いながら拳を握り締める。あまりにも強く握りしめたのか拳から血が一滴一滴と落ちていく。

 

「だがことは見事に私の予想通りに進んだ!現に織斑一夏はルーチェモンの手で生きた屍同然!この状態での合体なら奴の干渉を受ける心配はない。つまり、私自身のまま進化することができるのだ!」

 

そう言うとカオスデュークモンはデジヴァイスを取り出す。形状は一夏とマドカと同系列の物だ。

 

「このデジヴァイスも篠ノ之束をマインドコントロールしていた時に作らせていたもの。当然、失敗する危険性はない!行くぞ!ハイパースピリットエヴォリューション!!」

 

カオスデュークモンが叫ぶと同時にデジヴァイスが光り、一夏の体が何もしていないにもかかわらず浮かぶ。

 

「い、一夏が!」

 

「さあ!私を神にするのだ!ルーチェモンを超える破壊神にして再生を司る究極の神に!」

 

デジヴァイスからスピリットが現れ、バラバラのマグナガルルモンのパーツへと再形成されていく。そして、一夏の体はバラバラになり、次々とカオスデュークモンの体に鎧のように纏わり付いていく。

 

「あれはメルキューレモンのが飛ばしたスピリット!いつの間に回収したのか!?」

 

「言ったはずだ!私の計画は既に叶ったも同然!既に策は打っておいたのだ!」

 

やがて全てのパーツが装着し終わり、カオスデュークモンは完全に別のデジモンへと変化した。

 

「見よ!これこそ十闘士の力を一つとなった存在、スサノオモンだ!」

 

スサノオモンは箒たちの前でその姿を見せる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ん?この感覚は・・・・・・・』

 

鈴たち全員を相手にしているルーチェモンも遠くで進化を果たしたスサノオモンの力を感じていた。

 

『・・・・・・嫌な物だ・・・・・しかし、同時に懐かしい感覚ですね。』

 

ルーチェモンは鈴たちを相手にするのをやめ、スサノオモンがいる方角へと向く。

 

「アイツ!私たち無視するつもり!?」

 

「あっちには確か一夏たちが!」

 

「何とか止めないと・・・・」

 

「くそ!兄貴の仇だ!シャイニングVフォース!」

 

マグナアルフォースブイドラモンはルーチェモンに向かってシャイニングVフォースを発射する。

 

「だったら俺様も付き合ってやるぜ!デススリンガー!!」

 

「俺も!トライデントガイア!」

 

三体の攻撃がルーチェモンに命中する。しかし、ルーチェモンは振り向くこともせず掌から黒い結晶を作り出す。

 

『うるさい虫けらですね。あなたたちはこれでも相手にしていなさい。』

 

結晶を砕き、ばら撒くと結晶の一つ一つがデジモンへと変化していく。

 

「げっ!結晶の一つ一つがアーマゲモンに!」

 

結晶は次々とアーマゲモンに変化し、マグナアルフォースブイドラモンたちに襲い掛かる。

 

「こいつ等、よく見たら臨海学校の時に一夏とみんなでやっと倒した奴じゃないのよ!」

 

鈴は双天牙月で一体を斬りつける。幸い以前ほどの再生能力がないためか斬られたところが再生する様子はない。アーマゲモンたちを相手にしている間にルーチェモンはスサノオモンの方へと向かって行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・ルーチェモンめ、私の気配を感じてこっちに来るな。丁度いい、この機会に奴を完全に抹消してくれる。この究極の姿へとなった私に敵うはずなどないのだからな。」

 

スサノオモンはルーチェモンの方向へと飛ぶ。その場には箒と千冬、マドカ、束、ジエスモンが取り残された。

 

「・・・・・私は・・・・・・結局何もできなかった・・・・・・一夏を守ることも・・・・・」

 

「奴は自分が神になったというが・・・・・・どの道私たちの命運もここで尽きたということだな。」

 

「・・・・・・いや、アイツはきっとあの力を使いこなせないよ。」

 

「えっ?」

 

束の一声に箒は思わず束の顔を見る。

 

「だって奴は、あの力を発揮するための大事なものを持っていないから。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・」

 

『・・・・・・・・』

 

スサノオモンとルーチェモンはお互いを相手を見下すような顔でにらみ合っていた。

 

『・・・・・・ダーク、いや、今はカオスデュークモンでしたね?まさか、そんな玩具で私に挑むおつもりですか?』

 

「・・・・ふっ、玩具だと?何を言っているルーチェモン。これは十闘士の全ての力が集まった姿。あらゆるものを無にするほどの力を持つ物だ。」

 

『・・・・・ほう、ではどちらが神に相応しいか試してみますか?』

 

「無論。」

 

『では、最初にコレの相手をしてもらいましょう。』

 

ルーチェモンは掌から再び結晶を作り出す。しかし、黒ではなく純白の光に帯びた結晶体だった。

 

『デジタルワールド、ロイヤルナイツの祖となったデジモンよ。ここに現れよ。』

 

ルーチェモンが言うと同時に結晶は光をさらに強く発し、白い鎧をまとった竜騎士へと姿を変える。

 

「ほう、インペリアルドラモン・パラディンモードか。面白い。」

 

スサノオモンは武装であるゼロアームズ:オロチを構える。インペリアルドラモンは無言のままオメガブレードを持ち、スサノオモンへと接近する。

 

「・・・・・」

 

「ふん!この程度の敵など造作でもない。」

 

スサノオモンはオメガブレードを振り下ろそうとするインペリアルドラモンに対し、ゼロアームズ:オロチを向ける。

 

「天羽々斬!!」

 

ゼロアームズ:オロチの銃口の一部から大出力のレーザーサーベルが発生し、インペリアルドラモンのオメガソードを切断し、本体を真っ二つにした。真っ二つにされたインペリアルドラモンは動くことなくバラバラに砕け散ってしまった。

 

『・・・ほう。どうやら少し見くびっていたようですね。』

 

「どうする?またくだらない雑魚でも作るつもりか?」

 

『ふん、いいでしょう。』

 

ルーチェモンは下半身の結晶体を外し、スサノオモンの前に立ちはだかる。残された結晶体は触手のようなものを出し待機する。

 

『こうなった以上、私とあなたのどちらが神に相応しいのか勝負で決めるしかありませんね。負けた方がニセモノ、勝った方が本当の神というので。』

 

「ああ、当然勝つのはこの私だがな。(馬鹿め、かつて敗北した十闘士の力をすべて手にしたこの私に勝てると思っているのか?)」

 

『では行きますよ?パラダイスロスト!』

 

ルーチェモンの巨大な拳から繰り出される攻撃をスサノオモンは紙一重に避けていく。

 

「確かに完全体で繰り出すものよりもパワーは比べようがないほど上がっているな。だが巨大になった分スピードが著しく落ちていないか?」

 

『それはどうでしょう?』

 

「何?」

 

『少し速度を上げますよ?』

 

そう言った瞬間、ルーチェモンの拳の速度が倍以上の跳ね上がった。

 

「こ、これは!?」

 

『見切れますか?この連続で飛ばされるこの拳を?』

 

スサノオモンは避ける隙がなくなり、瞬く間に地面に叩きつけられた。

 

『あっけないですね。所詮この程度・・・・・何!?』

 

ルーチェモンは驚いて叩きつけられているスサノオモンを見る。

 

『これは残像!?もしや・・・・』

 

「残念だったな!」

 

『むっ!』

 

ルーチェモンが上を見た瞬間、スサノオモンの拳によって地面に叩きつけられる。

 

「残像を見切れなかったとは神を名乗って恥ずかしいとは思わないのか?」

 

『おのれ!』

 

流石に頭に来たのかルーチェモンは、怒り形相で向かって行く。

 

『はあ!!』

 

「うおおお!!」

 

二人の攻防戦が繰り広げられていく。

 




今回の技

天羽々斬=スサノオモン
パラダイスロスト=ルーチェモンフォールダウンモード





次回は、スサノオモンとルーチェモンの激突・・・・・・か?

デジモンアドベンチャーtri・・・・もはや02最終回と別ルートにしか見えなくなってきた。


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