イグドラシルは意外な人物の姿として登場。
今回は戦闘描写なし。
更に勝手な設定や一部の詳細も明らかになるので気に入らない方は引き返すことを勧めます。
それでもご覧になる方はこのままどうぞ。
イグドラシル内
マグナモンが一夏をイグドラシルに届けた後、オメガモンと何やら会話をしていた。
「奴の容態はどうだ?」
「あれほどまで傷めつけといて心配か?」
流石にやり過ぎたと思ったのかオメガモンは心配そうに聞いてきた。
「確かに一見ボロボロにはなっていたが軽い火傷程度だ。」
「そうか、それでイグドラシルは何と?」
「今回の貴様の行いは不問とするらしい。」
「そこではない。奴については何と言っていたのかと聞いているんだ?」
マグナモンは言いづらそうではあったが口を開く。
「奴の体から確認されたのはやはり十闘士のエンシェントグレイモンと同じものだ。」
「では奴は十闘士の生まれ変わりなのか?」
「いや、他に別なデータも発見された。」
「やはり人間のか?」
「ああ。イチカ、いや織斑一夏は元々人間だ。」
「それが奴の本当の名か。」
「その話、もう少し詳しく話してくれないか?」
二人の会話している所にデュークモンが来る。
「デュークモン。」
「数年前から気になることがあってな。」
・・・・・・俺はどうしたんだ?奴にやられたのか?
一夏は見知らぬ空間の中で目を覚ます。辺りを見回してみるがオメガモンは愚か先ほどいた場所でもない。
「どこだここ?どう見てもさっきいた場所じゃねえし。」
「どうやら目が覚めたようだな。」
「誰だ!」
一夏は素早くメテオバスターを展開し、構える。しかし、後ろを振り向いたとき唖然とした。後ろに立っていたのは見覚えのある人物だったからだ。
「な、何故貴様が!」
「この姿か?懐かしいものだろ?」
後ろにいた人物。それは一夏にとっては懐かしいものであり自分を見捨てた姉織斑千冬そのものだった。
「千冬!!!!」
一夏はいきなり容赦なく千冬に向かってメテオバスターを放った。ビームは千冬に直撃し、千冬の体は粉々に砕け散った。
「はあ、はあ・・・。」
一夏はその場でしゃがみこむ。どうして姉がこんな所にいるのか?それがどうしてもわからなかった。
「いきなり撃つとは・・・・余程実の姉が憎いようだな。」
「何!?」
後ろを振り向くと砕け散ったはずの千冬が平然として立っていた。
「この弟殺しが!」
一夏は今度はダブルエッジを展開し千冬を斬りつけようとする。
「少しは落ち着け。」
千冬は手をかざすと金縛りにあったのか一夏はその場で動けなくなった。動こうにも何かに押さえつけられているようでビクともしない。一夏はそのまま頭を冷やすしかなかった。
しばらくして一夏はようやく落ち着いた。
「どうやら落ち着いたようだな。」
千冬は安心そうに言う。
「ああ、さっきは頭に血が昇っていて混乱していた。千冬姉がこんな場所にいるはずがない。」
「この姿は貴様の記憶のデータから借りたものだ。」
「それであなたは一体何者なんだ?」
「我はイグドラシル、デジタルワールドの神だ。」
「俺をどうしてここへ連れてきたんだ?」
千冬、いやイグドラシルは一夏を見ながら言う。
「貴様に少し興味があってな。」
「興味?」
「貴様は生まれてから一度も進化していないそうだな。自分では変だと思わなかったのか?」
一夏は考えてみる。確かに今まで出会ったデジモンは必ず進化していた。しかし、自分は進化したことがない。これにはかなり疑問を持っていたがそのうち進化するだろうと考え、気にしなくなった。
「しかし、それがどうしたというんだ?進化しないものだっているのに。」
「確かに進化が遅い個体も存在する。しかし、お前の場合はかなり特殊なのだ。」
そう言うとイグドラシルはあるものを手に出す。
「そ、それは!?」
一夏は驚いた。それは三年前にチビモンがナノモンの研究所で見つけたものに似ていたからだ。ただあの時のとは違いイカのような形をしていた。
「これはかつて十闘士が己の力を封じたスピリットというものだ。」
「スピリット?」
「我がこのデジタルワールドに君臨する以前、デジタルワールドは一度壊滅する危機があった。それを十体の究極体デジモンが救った。そのときの十体を十闘士と呼んでいる。」
「それはわかったがその十闘士と俺が一体何の関係があるというんだ?」
一夏は少し考えがまとまらず困る。
「十闘士はその戦い後、一体ずつ二つのスピリットを残していった。お前が取り込んだのはそのときの英雄の一人エンシェントグレイモンが残した炎のスピリットだ。」
「でも、何故俺の体に取りこまれたんだ?」
「最近ようやく分かったことだがスピリットはデジモンと人間に反応することがわかった。しかし、お前はデジタマから生まれた。それがどういうことか分かるか?」
「あ。」
一夏は思い出した。確かに自分は死んだ。死んだ人間にスピリットが反応するはずがない。それなのに自分はデジモンとして生まれた上、スピリットを取り込んでいるにもかかわらず進化しない。これではスピリットが自分の体そのものということになる。
「それで俺が異分子と呼ばれたということか。」
「呑み込みが早くて助かる。」
「それで俺はどうしろと言うんだ?」
「このスピリットはまだこの世界のあちこちに散らばっている。それを回収してほしい。」
「何故?」
「これが七大魔王や暗黒デジモンの手に渡ったら厄介なのでな。その代りに貴様に新しい力を与える。」
イグドラシルの手から光る球体が現れ、一夏の手の上で電子機器のようなものになる。
「この力は?」
「スピリットの力を一部開放して使えるようにするための物だ。そのときが来ればそれが力を与える。」
「なるほどな。俺以外にも反応するのか?」
「それはまだ言えぬ。後、貴様は名前がないと言っていたな。だがデジモンには必ずしも名前が必要だ。」
「アンタが決めてくれるというのかい?」
「神に命名されるのが不満か?」
「そうは言っていない。」
イグドラシルは一夏に新たな名を与えた。
ヴリトラモン
十闘士の力を受け継ぎし者としてここに新たなデジモンの名が生まれた。
「・・・・・そう言うことか。」
デュークモンは納得したように言う。
「では我々が最近確認したスピリットというものその物なのか、奴は?」
オメガモンは疑問に感じてならない。しかし、マグナモンが述べたことは全て事実であるため否定はできない。そのとき、ゲートが開き、そこから一夏が出てきた。
「貴様が例のデジモンか。」
デュークモンは一夏を見ながら言う。それに対応するかのように一夏は新たな名を言う。
「俺の名前はヴリトラモン。イグドラシルよりスピリット回収の命を受けたデジモンだ。」
「それが貴様の新しい名か。」
「ああ。」
オメガモンは一夏に近づく。
「先ほどの謝罪にはならないがお前を元の場所まで送り届けよう。」
「感謝する。」
オメガモンはゲートを開くと一夏、いやヴリトラモンと共に中へと入って行った。
デジタルワールドに散らばっているスピリットの回収。
それがヴリトラモンのイグドラシルから頼まれたことだ。
今回の技
ダブルエッジ=メガログラウモン
イグドラシルはどうも登場作品が少ないからやりづらかったです。
元々はスピリットは出さない予定にはしていましたが十闘士設定も出したので出すことにしました。
次回があればまた。