ヴリトラモン・ストラトス   作:赤バンブル

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モチベの下がり過ぎでやっとのことで投稿・・・・。



外道騎士と予感

一夏ルート

 

「・・・・・どうやらゲームの終盤に迫ったようですね。」

 

ルーチェモンは余裕の態度を崩さず映像を見ながら紅茶を飲む。

 

「そうだろうな。・・・・・・・・で?いつになったら俺と戦う気になるんだ?」

 

向かいの椅子にはヴリトラモン姿の一夏がイライラしながら座っていた。その姿を見るやルーチェモンは面白そうな表情をした。

 

「ホッホホホホ・・・・・仕方ありませんね。」

 

ルーチェモンは席から立ち上がる。

 

「では、残りの試合が終わるまでの間、軽いウォーミングアップと言う意味を込めてお相手して差し上げましょう。」

 

「・・・・ウォーミングアップだけで済むといいけどな。」

 

一夏も席から立ち上がり距離を取って構えを取る。

 

「では、始めましょうかね?」

 

緊張感のないルーチェモンの声が響く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

箒&リリモンルート

 

「・・・・・ここが私たちの戦場か。」

 

箒は辺りを見回しながら言う。薄暗くてわかりづらいが何かの神聖さを感じさせる神殿のような場所だ。

 

「チビちゃんも箒も気をつけなさいよ・・・・・どこから何が出てくるのかわからないんだから・・・・」

 

リリモンは既に臨戦態勢に入っていた。箒も瞬時に紅椿を展開して備える。マグナアルフォースブイドラモンは拳を構え、アグモンはすぐにビクトリーグレイモンに進化させてもらう。

 

「・・・・・・私の相手は貴様たちか。」

 

声が聞こえた瞬間、一瞬にして視界が明るくなった。慣れてきて見ると神殿の奥の王座にダークデュークモンが座っているのが伺えた。

 

「お前はダークデュークモン!」

 

「誰かと思いきや篠ノ之束の妹か。私個人では織斑千冬の方がよかったのだがな・・・・・・貧乏くじを引いたようだ。」

 

「黙れ!私たちは一刻も早くお前を倒して一夏と合流するんだ!そして、姉さんを助け出す!」

 

箒は雨月と空裂を構える。

 

「姉さんを助け出す・・・・・ほぉ、なら丁度いいのではないか?」

 

ダークデュークモンは指を鳴らすと王座の隣に十字架に磔にされた束が姿を現す。

 

「姉さん!」

 

どうやら意識を失っているだけらしい。しかし、服はかなりボロボロの状態で傷だらけだった。

 

「貴様!よくも姉さんを・・・・・」

 

「箒、落ち着いて!相手の挑発に乗ったら思う壺よ!」

 

ダークデュークモンに近づこうする箒をリリモンが止める。その様子をダークデュークモンは面白そうに眺めていた。

 

「ふむ、しかし四対一では私の方が不利だな。ではこの人質にも参加してもらうとしよう。」

 

「何ぃ!?」

 

ダークデュークモンは一つの紫色の不気味な液体の入ったカプセルを取り出す。よく見るとスライムのように動いていた。

 

「き、気持ち悪りぃ・・・・」

 

マグナアルフォースブイドラモンは思わず引いた。

 

「どうだ?こいつはISとある物を掛け合わせて誕生した新種のデジモンだ。最もこいつは明確な意思があるわけでもなく私の命令に従う程度しか知能がないがね。名前で呼ぶのならバイオモンとでも呼ぶか。」

 

「バイオモン?」

 

「では見本を見せてやろう。」

 

デュークモンはバイオモンのカプセルを束に向かって投げる。カプセルが割れ、バイオモンは束に付着するとその体を伸ばして束を包み込み、姿を変え始める。

 

「では初めに私の姿になってもらおうか。」

 

ダークデュークモンが言うとバイオモンはグニャグニャと動き、ダークデュークモンと瓜二つの姿になる。

 

「なっ、姉さんを取り込んで奴と全く同じ姿に!」

 

「心配するな。こいつは依代の形状を基準にしているから人型にしかなれん。それに依代には何の害もない。最もこいつを引きはがさなければ助けることは出来んがな。」

 

「くそ・・・・・」

 

「箒、アイツは私が相手をするわ。アンタは早くお姉さんを・・・・」

 

「何言ってんだよ姉ちゃん!姉ちゃん一人じゃ・・・」

 

「今の箒じゃお姉さんのことでまともに戦うのは難しいわ。だから、あなたがサポートして助けてあげて。私だって、時間稼ぎぐらいはできる。」

 

リリモンはそう言うと右手にヨーヨー、左手にレイピア状にした棘の鞭を構える。

 

「リリモン・・・・お前・・・・」

 

「はっきり言って私でもアイツに一人で敵うとは思っていないわ。だから急いで助け出しなさいよ。最悪な場合は❝アレ❞を使うから。」

 

「でも❝アレ❞は・・・・・・」

 

「正直、長時間使ったらやばいかも・・・・じゃあ、任せたわよ。」

 

そう言うとリリモンはダークデュークモンに向かって行く。

 

「箒、俺たちも急いで束を助けないと。」

 

ビクトリーグレイモンはドラモンブレイカーを構え、近づいてくるバイオモン斬撃破を飛ばす。バイオモンは一回スライム状態になり、その攻撃を回避する。

 

「どうやら一筋縄ではいかないみたいだな。」

 

「だったら!」

 

マグナアルフォースブイドラモンは、一気に接近し、拳を構える。

 

「連続の打撃はどうだ!マグナラッシュ!!」

 

マグナアルフォースブイドラモンの拳は、バイオモンに命中するがその瞬間、バイオモンの形状が変化し始める。

 

「何っ!?」

 

姿は似ているがそれは自分を進化させてくれるきっかけとなったアルフォースブイドラモンにそっくりの姿になった。バイオモンは超高速でラッシュを切り抜けると両腕のブレードを展開し、マグナアルフォースブイドラモンに斬りかかる。

 

「コイツ!俺の姿に・・・・・」

 

マグナアルフォースブイドラモンはガードをし、距離を取る。バイオモンは距離を取ったと同時にシャイニングVフォースを発射する。

 

「わあぁ!?」

 

マグナアルフォースブイドラモンは避けようとするが間に合わず、光線をまともに受けてしまう。

 

「くっ・・・・・・!?お、俺の腕が!?」

 

マグナアルフォースブイドラモンは驚きながら自分の右腕を見る。バイオモンに触れた拳の一部がわずかながらデータ崩壊を起こしているのだ。

 

「そうそう、言っておくのを忘れていたがバイオモンの素材に使われているもう一つはイーターの一部でこいつが対象の姿に変化できるのは相手に触れたときにそいつのデータも捕食しているからだ。」

 

リリモンを相手にしながらダークデュークモンは余裕そうに説明する。

 

「なんだと!?つまり、俺たちが奴に触れただけで奴は俺たちの能力を学習していくというのか!?」

 

「それじゃあ、ブイモンもビクトリーグレイモンも奴と戦えば戦うほど・・・・」

 

箒は、自分が追い詰められているような気がした。それを察したのかダークデュークモンはニヤリとする。

 

「フフフフ・・・・恐怖しているな?ダメ押しに更に恐怖させてやるか。」

 

ダークデュークモンはマントからカプセルを取り出し、バイオモンに向かって投げる。

 

「そのカプセルを喰らえ、バイオモン!」

 

ダークデュークモンの命令と同時にバイオモンは高速で移動し、カプセルを体内に取り込む。するとバイオモンの姿は再び変わり始める。

 

「こ、これは・・・・・」

 

箒は、目の前で立ちはだかるバイオモンに驚愕する。その姿は体色を除けばカイゼルグレイモンと瓜二つだった。

 

「ど、どうしてイチカの姿に!?」

 

リリモンは驚きのあまりの攻撃の手を止める。その隙を逃さずダークデュークモンは、魔槍「デュナス」を彼女に向かって振り下ろそうとする。

 

「やばっ!」

 

リリモンは鞭で防御するが衝撃で吹き飛ばされ、壁に激突する。

 

「ブッ!」

 

リリモンは口から血を出す。ダークデュークモンは軽く舌打ちをするとゆっくりと近づいてくる。

 

「何故、あの姿になったかを教えてやろうか?あのカプセルはお前たちがロイヤルナイツと戦っていた時に回収した織斑一夏の血液が入っていたものだ。」

 

「あの時の・・・・・・」

 

リリモンは何となく納得できた。確かにロイヤルナイツ戦時、一夏はかなり血を流していた。何かに付着して残り、回収されていてもおかしくはない。箒は、戸惑った状態でバイオモンを見る。

 

「奴と瓜二つの姿の敵にどこまで相手ができるか見物だな・・・・・ハハハハハッハハ・・・」

 

「コイツ・・・・・・もう、騎士の端くれでもない屑だわ。本当に❝アレ❞使うしかないかもしれないわね・・・・」

 

リリモンは口の血を手で拭い、体勢を立て直してダークデュークモンを見る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラウラ&シャルロットルート

 

「な、何者だぁ!?貴様は!?」

 

ラウラは突然姿を現したベルゼブモンに驚いていた。後ろにいるメタルガルルモンは少し怯えた声で答える。

 

「ラウラまずいよ!そいつはベルゼブモン、七大魔王の一人だよ!」

 

「❝元❞だ。」

 

ベルゼブモンは呆れた態度で言う。

 

「❝元❞ってどういうこと?」

 

「つまり今の俺は七大魔王じゃねえってわけだ。」

 

「だ、だが、我々の味方でもないという事だろう!?」

 

落ち着いて対処しようとするシャルに対してラウラはかなり警戒をしていた。

 

「ケッ、信じるも信じないも勝手だが俺はルーチェモンの奴が気に入らねえ。だから、叩き潰しに来た。その前に邪魔が入ったからこっちに来たまでだ。」

 

「じゃ、邪魔!?」

 

「てめえらじゃねえよ。この空間の周りにいるイーター共だ。途中までは無理やり突破してきたがこれ以上無駄に体力を使うわけにはいかねえからな。」

 

「む、無理やりって・・・・・まさかイーターを粉砕しながら!?」

 

「貴様等、イツマデ喋ッテイル!俺、モウ我慢デキナイ!」

 

長話にしびれを切らしたのかリヴァイアモンは再び大口を開けて襲い掛かってきた。

 

「・・・・・・・ったく、これでも喰らってくたばりやがれ!」

 

ベルゼブモンは右腕のブラスターを構える。

 

「デススリンガー!!」

 

ブラスターから強力な破壊の波動が放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏ルート

 

「バーニングサラマンダー!!」

 

一夏は、拳に纏った炎をルーチェモンに向かって放つ。

 

「ふん!」

 

ルーチェモンはそれをものともせず片手で弾いてしまった。

 

「この程度ですか?」

 

「まだまだ!」

 

一夏は頭の中では今の姿ではルーチェモンには敵わないことは理解していた。しかし、ミレイから事前にルーチェモンの情報を教えてもらっていたため、迂闊にハイパースピリットエヴォリューションをするわけにはいかなかった。

 

「どうしました?早く私に見せてくださいよ?十闘士の力を引き継いだあなたの力を。」

 

「ちっ!」

 

一夏はオメガソードを展開し、ルーチェモンに斬りかかろうとする。

 

「ん!?」

 

そのとき首に下げていた首飾りの紐が、千切れて落ちてしまった。頑丈な紐で作られているため普通は切れるはずがないのだが。

 

「おやおや、何かありましたか?」

 

「・・・・・・・何でもない!」

 

一夏は首飾りを拾い、戦闘を再開する。

 

(何か嫌な予感がする・・・・・・)

 

一夏は不安を抱きながらも目の前の戦闘に集中する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

箒&リリモンルート

 

「ハッハハハハハハ!どうした小娘共!たかが人質如きで手も足も出ないか!」

 

「グゥ・・・・・・・・」

 

ダークデュークモンは倒れているリリモンを踏みつけながら大笑いする。

 

バイオモンが束を取り込んている上にカイゼルグレイモンの姿のせいで、箒はまともに戦うことができず防戦一方。援護に回っているビクトリーグレイモンとマグナアルフォースブイドラモンもバイオモンに捕食されかねないため迂闊に反撃できず、ダークデュークモンに単独で挑んだリリモンは圧倒的な力量の差で押されてしまっていた。

 

『ガルルルル・・・・・・・』

 

バイオモンは龍魂剣を模した剣を持ちながら箒に迫っていく。

 

「どうすればいいんだ・・・・・・・アグモンたちが攻撃すれば奴に取り込まれてしまう・・・・・私が攻撃をすれば姉さんを・・・・・・・」

 

戸惑う箒とは反対にバイオモンは容赦なく襲い掛かっていく。このままではやられてしまうのも時間の問題だ。

 

「何とかしないと・・・・・・・」

 

リリモンはダークデュークモンに踏みつけられながらも周囲を見て打開策を考える。いくら捕食するとはいえ必ず弱点はあるはず。

 

するとバイオモンの行動に一つ気がかりなものがあった。

 

「あいつ・・・・・・火の方には寄ってこないの?」

 

リリモンが見る限りではバイオモンは宮殿の松明を避けるようにして戦っていた。火を気にしないのならこのような戦いはしないはずだ。

 

(もしかして・・・・・あのデジモン・・・・・温度に対して敏感?だとしたら・・・・・でも今の箒じゃ見つけるのは困難・・・・・・・だったら・・・・・)

 

「どうした?もう諦めたか?」

 

「いいえ、まだよ。」

 

リリモンは隙をついてトゥインペダルをダークデュークモンの顔に向かって飛ばす。カッターはダークデュークモンの顔を斬りつけ、ダークデュークモンは思わず手で押さえる。

 

「がっ!?き、貴様!」

 

リリモンは急いで距離を取る。

 

「制限時間は3分・・・・・・・それ以上やり続けたら私の体が・・・・・・・・でも、やるしかない!」

 

リリモンはそう言うと身構え、動かなくなる。ダークデュークモンはリリモンの方を見る。トゥインペダルで切り付けられたせいか右目の方は傷がついていた。

 

「貴様・・・・・・・よくも私の顔に傷を!この薄汚いデジモンがぁ!!!」

 

ダークデュークモンは、リリモンに迫る。

 

「何か考えているかはわからんがこのままその体を真っ二つにしてくれる!!さっさとくたばれ!」

 

ダークデュークモンは勢いよくデュナスを振り下ろす。バイオモンも箒に向かって龍魂剣を向ける。

 

「貴様も終わり、バイオモンもあの小娘を殺す!後はその小娘の首を持ってヴリトラモンに見せつけたらどうなるか楽しみだわ!!」

 

ダークデュークモンは蔓延の笑みを浮かべた。

 

「ハッハッハハハハハハハ・・・・・・・ん?手ごたえを感じない?それに何だこの熱は?」

 

ダークデュークモンはリリモンの方を見る。リリモンは体を切られた様子は全くなく、代わりに彼女を斬りつけたはずのデュナスの刃の部分が溶解し始めていた。

 

「バカな!?デュナスが溶けているだと!?」

 

ダークデュークモンが動揺しているも束の間、リリモンはトゥインペダルで体を拘束させる。

 

「あ、熱い!なんだコイツは!?まるで全身が炎に焼かれたように熱いぞ!」

 

リリモンの体色も変化し始め黒い花や特攻服は徐々に燃えるように赤くなっていった。

 

「はあ・・・・・はあ・・・・・・・・」

 

リリモンは顔を上げる。彼女の瞳も赤く発光し、苦しむながらも立ち上がる。

 

「ほ、解けん!貴様、何をしたっ!?」

 

ダークデュークモンはリリモンを見ながら叫ぶがリリモンには聞こえていない様だった。

 

「リリモン・・・・・・・・バーストモード・・・・・」

 

リリモンはダークデュークモンを差し置いてバイオモンの方へと飛んでいく。

 

 

 

 

 

 

 




今回の技

デススリンガー=ベルゼブモンブラストモード


新デジモン

バイオモン(?・?・ウィルス種?)

ダークデュークモンが生み出した疑似デジモン。
イーターとISコアを元に作られている。普段は不定形なスライムの姿であるが「核」となる宿主を見つけると取り込み、その型を元にあらゆるものに変身できる。唯一の弱点は高熱。初期案では他にもダークタワーを素材にする予定だったが本編にはほとんど絡んでいなかったため没にした。


バンチョーリリモン バーストモード(究極体・妖精型・データ種)

本話の最後に登場したリリモンが限界以上の力を引き出した姿。全身が赤く染まっている。「セイバーズ」に登場したバーストモードと酷似している。この姿になれるのは僅か3分間でそれ以上を過ぎると強制的に元の姿に戻り、デジコアにも負担をかけ、体に悪影響を与える。代償として能力は通常の倍以上に跳ね上がるため、事実上「諸刃の剣」とも言える。この形態は最終章前の箒との特訓で編み出した禁じ手とも言えるもの。



次回、いよいよ最終ステージに移行の予定。


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