ヴリトラモン・ストラトス   作:赤バンブル

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様々なトラブルで遅れていながらも短い内容ですが今年もよろしくお願いします。

今年こそは完結させるぞ!

注意!

この話はファンの方を怒らせる内容が含まれている可能性があります。
それでも言い方はこのままお進みください。


光りを掴め

セシリア&鈴ルート

 

「バカな・・・・・あのダメージで生きているだと・・・・・」

 

ベルフェモンは目の前で這いずっているレイヴモン(?)を見て唖然としていた。今まで多くのデジモンを葬ってきた彼だがここまでして生きているデジモンを見たのは初めてだった。

 

「あ、ああぁぁ・・・・・・・」

 

「化け物めぇ!」

 

ベルフェモンはジャンプをするとレイヴモン(?)を押し潰す。重さで地面にクレーターができるがそれでもレイヴモン(?)は動こうとする。

 

「フン!」

 

ベルフェモンはさらに攻撃を続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢の世界sideセシリア

 

「ピヨモン・・・・・ピヨモ・・・・はあ、はあ・・・・」

 

ピヨモンを追いかけていたセシリアだったが見失い、いつの間にか自分の部屋にまで戻ってきていた。疲れたせいもあり彼女はベッドに座る。

 

「どうして・・・・・・・やっぱりあれは私が見た幻覚?でも、さっきのは確かに・・・・・!」

 

セシリアが頭を抱えていると不意に自分の部屋のドアを開けて出ようとする影を見つけた。今度こそ間違いなくピヨモンだ。

 

「ピヨモン!」

 

セシリアは逃げようとするピヨモンを捕まえる。

 

「今までどこに・・・・・・」

 

「ア、アアァァァァ・・・・・」

 

「きゃあああ!」

 

ピヨモンが一瞬にして下半身と右腕の無いレイヴモン(?)に変わり、セシリアは思わず突き飛ばした。レイヴモン(?)は苦しそうにセシリアを見つめていた。

 

「セ・・・・・・・シ・・・・・・リ・・・・・ア・・・・・」

 

「その声・・・・・ピヨモン?」

 

聞き覚えのある声にセシリアは、レイヴモン(?)に近づく。レイヴモン(?)は床に血を流しながら這いずってくる。

 

「どうしてそんな姿に・・・・・」

 

「セシリアを守ろうとして・・・・・・・・・でももう抑えられない・・・・・・もうすぐ私は私じゃなくなる・・・・・・」

 

「どういうことですの?」

 

「力の欲した結果・・・・・・・暗黒面に堕ちるという意味・・・・・・・・もうセシリアの知っている私じゃなくなる・・・・・つまり、ただ本能のままに暴れまわる戦闘マシンに・・・うぅ・・・・」

 

レイヴモン(?)は何か見えない力に引っ張られるように部屋から引きずり出されて行く。セシリアは思わずレイヴモン(?)の左手を掴む。

 

「もうすぐ私の心も消えてしまう・・・・・・だから、あなたにお別れが言いたかった・・・・」

 

「ピヨモン・・・・」

 

「セシリア、あなたはこの世界で幸せに生きて。あっちに戻ってももう絶望しかないんだから・・・・」

 

「そんな・・・・・」

 

「私だって結局は何もできなかった・・・・・・みんなの足を引っ張ってばかりで・・・・・・」

 

「ピヨモンがそう言うなら私の方が・・・・・・」

 

「もういいの・・・・・・・私にとってあなたと一緒にいられた時間が幸せだったから・・・・・・」

 

そう言うとレイヴモン(?)はセシリアの手を解いて引きずられるようにどこかへと消えて行った。セシリアはしばらく呆然としていたが改めて手を見るとレイヴモン(?)を触った時に付着したはずの血が消えていた。しかし、感触からさっきの出来事は本当のことだと理解できた。

 

「・・・・・・・ピヨモン・・・・」

 

セシリアはすぐに自分の机に向かってある物を探し始める。

 

 

パートナーとの大切な絆を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・数十分後

 

セシリアは長い時間をかけてデジヴァイスを見つけた後、屋敷のあるドアの前で立っていた。そのドアには屋敷にはおかしいというほど血が張り付いていて、明らかについさっきまで何かがあったことを表していた。

 

「・・・・・ここにピヨモンが来たことは間違いありませんわ。」

 

セシリアは、デジヴァイスを握り締めるとドアを開けようとする。

 

 

 

 

 

その時だ。

 

「セシリア、こんな時間に何をしているの?」

 

咄嗟に声の聞こえたほうを見ると母と父が見ていた。

 

「お母様・・・・お父様・・・」

 

「こんな時間に何をしているんだ?」

 

「今日は疲れたでしょ?ゆっくりお休みなさい。」

 

セシリアは一瞬そうしようと考えた。しかし、すぐに思い直す。

 

 

これは夢の世界。

 

自分の望みが具象化した世界に過ぎない。

 

今目の前にいる両親も夢の存在に過ぎない。

 

それが分かっていても離れたくないという思いが強かった。それでも彼女は血の付いたドアを開けた。ドアの先はブラックホールのような巨大な穴が渦巻いている。

 

「「セシリア!」」

 

両親が心配そうに声をかける中、セシリアは涙を流しながらも言う。

 

「ごめんなさい!でも、どうしても助けたい家族がいるんです!短い間でしたけど、一緒に暮らせて嬉しかったです!さようなら!お父様!お母様!」

 

叫んだ後、彼女は渦の中へと飛び込んでいった。

 

彼女が一瞬振りむいて見た両親の顔はどこか寂しそうな雰囲気が漂っていたが何かを悟ったのか少しうれしそうに見えた。

 

それだけを確認すると前に向き直り、現実で苦しんでいるパートナーを救うために彼女は現実へと戻っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セシリア&鈴ルート

 

「が・・・・・・はっ・・・・・・・」

 

「フフフフフフッフ・・・・大人しく死ねば苦しまずに済んだものを・・・・」

 

ベルフェモンは血で赤く染まったレイヴモン(?)を岩に叩きつけながら笑う。

 

レイヴモン(?)の仮面は既に割れ、不気味でなければきれいな女性の顔が露出してしていた。その顔も血に染まり、腕がかすかに痙攣しているだけだった。ベルフェモンがレイヴモンを放り投げると近くにまで戻ってきていた下半身がくっつき、何とか立ち上がろうとする。それをさらに面白がって体全体を使って押し潰す。

 

「もう、やめてよ・・・・・・本当に死んじゃうじゃないのよ・・・・・」

 

鈴は既におぞましい光景をもう見ていられなかった。

 

「あ、ああぁぁ・・・・・・」

 

「今楽にしてやる。」

 

レイヴモン(?)を少し離れたところに投げるとベルフェモンは口を開く。すると周囲が急に揺れだす。

 

「鈴・・・・・・どうしよう・・・・・・」

 

「どうしようたって・・・・・私たちが行ってももう間に合わないわよ・・・・・」

 

鈴たちが見守る中、ベルフェモンは止めを刺すべく一撃を仕掛ける。

 

「ボイスブラスター!」

 

ベルフェモンは口から鈴に攻撃したときとは全く比べ物にならないくらいの火炎が混ざった衝撃破を放つ。レイヴモン(?)はそれまでのダメージのせいか逃げる様子はなく、直撃した。

 

「終わったな・・・・・・ここまで頑張ったところは褒めてやりたいところだ。・・・・・・・って、いないだとぉ!?」

 

「「え?」」

 

ベルフェモンが満足そうに言いかけたとき目の前で起こったことに驚く。鈴たちも驚いた声を聞いて顔を上げる。衝撃破が通った場所には何もなく少し離れた場所でセシリアがレイヴモン(?)を抱きかかえていた。衝撃破を受けたのか既に愛機のブルーティアーズもボロボロになっていた。

 

「また一匹、虫けらが死に来たか。」

 

ベルフェモンは少し残念そうな顔をしながらも獲物が増えたことに喜んでいた。

 

「セシリア・・・・・・アンタ、起きるの遅すぎるわよ!」

 

「やった!セシリアも起きた!」

 

セシリアは地面に着地するとボロボロのブルーティアーズを解除して拾って来たのか持っているレイヴモン(?)の右腕くっつけ直す。

 

「・・・・セ・・・・・・セシ・・・・・リ・・・ア?」

 

レイヴモン(?)はゆっくりとセシリアの顔を見る。

 

「どうして・・・・・・・・こっちに戻ってきても・・・・・」

 

「・・・・・・ごめんなさい。」

 

「え?」

 

「一人にしてごめんなさい。」

 

セシリアは泣きながらレイヴモン(?)に謝った。その涙は頬を通たり彼女の顔に落ちていく。

 

「ピヨモンも私の大切な家族なのに・・・・・・一人だけ苦しめるようなことをして・・・・・・」

 

「これは私のせい・・・・・・・」

 

レイヴモン(?)は彼女の言葉を否定しようとしたがセシリアは首を横に振る。

 

「ピヨモンのせいだけじゃありませんわ。私もあなたが会いに来てくれなかったらあのまま夢の中で何も知らないで過ごしていましたわ。あなたの苦しみもわからないまま・・・・・・」

 

「セシリア・・・・・」

 

「もう私の両親はもういません。・・・・でも、私はもう一人じゃありません。一夏さんや篠ノ之さん、織斑先生やクラスの皆さん。そして、ピヨモン。あなたは来てくれたんですから。」

 

「・・・・・・・・・」

 

レイヴモン(?)が気が付いたとき、自分も目から涙を流していた。

 

「セシリア・・・・・」

 

「一緒に戦いましょう。みんなで一緒に帰れるように。」

 

「キッ!面白くない。」

 

ベルフェモンは少し嫌な顔をして火球を作り、二人の方へと投げ、爆発させる。

 

「えっ!?こんな感動的なところで攻撃!?」

 

「あんた、いくら何でもそれはないでしょ!」

 

「うるさい!俺は・・・・・俺の意思で破壊し尽くすだけだぁ!」

 

鈴たちに批判を喰らいながらもベルフェモンは自分の考えを押し通す。

 

「あんな無防備の状態じゃ・・・・・」

 

「セシリア・・・・ピヨモン・・・・・」

 

心配そうに鈴たちはセシリアたちの方を見る。

 

「・・・・・ん?」

 

鈴はそのとき、煙の向こう側が光っているのが見えた。煙が晴れていくとそこにはレイヴモン(?)が体を光らせ始め、セシリアの前で攻撃を受け止めていた。レイヴモン(?)の目はベルフェモンを睨みつける。

 

「何ィ!?」

 

「セシリアは、私のことを守ってくれた・・・・・・・・だから、今度は私が守る!」

 

レイヴモン(?)の体は輝きを増し、姿が変わり始める。恐ろし気な鎧が金色へと変化し、黒髪も金色に変わりセシリアに似た雰囲気になる。翼は赤いオーラを纏った状態になり、姿は戦女神ともいうべき姿になった。

 

「ピヨモン・・・・」

 

セシリアは驚いた顔で見ていた。レイヴモン(?)だったデジモンはセシリアを見ると微笑み、ベルフェモンの方を見る。

 

「おお・・・・おぉ・・・・・」

 

激変した状況にベルフェモンは思わず後ろに下がる。

 

「私の名はワルキューレモン!闇を照らし、悪を断つ!」

 

彼女は聖剣を構え、飛び立つ。

 




オリジナルデジモン

ワルキューレモン(究極体・聖戦士型・ワクチン種)

本作のピヨモンの究極体。
モデルは北欧神話に登場する半神ワルキューレ。前回出てきたレイヴモン(?)はこのワルキューレモンの闇堕ち版で名称は「ワルキューレモン デッドモード」。全身を神秘のオーラで纏い、暗黒デジモンを浄化させる作用を持ち、同時に他のデジモンを癒す効力を持つ。聖剣「ガルダソード」は神秘の炎を纏い、闇を断ち斬り、全身の光のオーラを収束させ爆発的に放出する「レヴァナント・バースト」はあらゆる悪を殲滅する。顔の容姿はパートナーであるセシリアに近い。元々は「アテナモン」と言う名前にする予定であったがメルヴァモンと被るため変更した。

次回、セシリア&鈴編終了。

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