ヴリトラモン・ストラトス   作:赤バンブル

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今年最後の投稿です。

注意!

この話には、かの某伝説の超野菜人ブ〇リー要素のあるデジモンとホラー要素が含まれています。気に入らない方は即戻りましょう。

それでも言い方はこのまま本編をお楽しみください。


ピヨモン、暗黒進化!?

鈴&セシリアルート

 

「グルルルルルルゥゥ・・・・・・」

 

目を覚ましたばかりのベルフェモンは歯ぎしりをしながら唸っていた。その様子に鈴とセントガルゴモンは思わずゾッとした。

 

「り、鈴・・・・・・」

 

「わ、分かってるわよ・・・・・でも、あれってどう見ても普通じゃないわよね?」

 

ベルフェモンは目の前で止まっているガルダモンを無視して鈴たちの方を見る。

 

「・・・・・・俺の眠りを妨げたのはお前たちか?」

 

「「い、いえ・・・・・・」」

 

「・・・・そうか、でも今機嫌が悪いからまずお前たちから血祭りにあげてやる。」

 

「どう見ても八つ当たりだよ・・・・・これ。」

 

ベルフェモンは恐ろしい形相で鈴たち向かって行く。ガルダモンは黒い瘴気に包まれている中、その姿を変えようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢の世界 sideセシリア

 

「・・・・・」

 

セシリアは自分の部屋の窓から夜空を眺めていた。

 

夢の世界は彼女にとっては理想的だった。

 

両親は、生きている。

 

一夏とは付き合っていて仲も良好。

 

現実同様に箒や鈴などの友人に恵まれている。

 

何もかもが理想的だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・しかし、これで本当にいいのだろうか?

 

あれは本当に夢の出来事だったのだろうか?

 

両親が死んだことも。

 

今まで一夏たちと共に過ごしてきたことも。

 

そして、ピヨモンも。

 

 

 

それが彼女の心を混乱させる。

 

「私は・・・・・一体どうすれば・・・・・」

 

セシリアは頭を抱える。今の彼女にどっちが現実なのか見分けるのは困難だった。

 

「・・・・・・・・?」

 

そのとき夜の庭で何か大きな影が動いた。それは一見鳥にも見えたが鳥にしては以上に大きく見えた。影は何かを探しているかのように庭を走って行った。

 

「あれって・・・・・・もしかして!」

 

セシリアは急いで私服に着替え、影の向かったところへと急ぐ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セシリア&鈴side

 

「フッハハハハハハハッハ!!」

 

ベルフェモンは体中に纏まり付いている鎖から発する黒い炎『ランプランツス』を飛ばしながら鈴とセントガルゴモンを追いかけていた。炎が飛ばされた場所は抉られるように破壊され行く。

 

「鈴、このままだとみんなやられちゃうよ~!」

 

「わかってるわよ!これでも喰らいなさい!」

 

鈴は龍咆をベルフェモンに向かって放つ。

 

「ヘッヘヘヘヘ・・・・・・・・・・・フン!」

 

ベルフェモンは空気砲の衝撃を口の中で受け止めると数倍の威力の衝撃破にして鈴たちに向かって送り返す。

 

「きゃああ!?」

 

「うわああぁ!」

 

「ハッハハハハハハハハ・・・・・お前たちが真面目に戦う意思を見せなければ、俺はお前たちをどこまでも追いかけるだけだ!」

 

ベルフェモンは大笑いしながら言う。鈴たちはエグザモンの時以上の恐怖をベルフェモンから感じ取った。

 

「ば、化け物よ・・・・アイツ・・・・・龍咆を口で受け止めて倍に返すなんて・・・・・・・」

 

「うわあああ!こうなったら一か八かだぁ!」

 

セントガルゴモンは体全身のミサイルを全てベルフェモンに向かって発射する。ベルフェモンは攻撃を受けながらも怯む様子なくセントガルゴモンに向かって行く。

 

「やっと真面目に戦う気になったようだがその程度の攻撃で俺を倒せると思っているのか?」

 

「ジャイアントミサ~イル!」

 

とっておきともいえるジャイアントミサイルをベルフェモンに向かって発射する。ミサイルは、ベルフェモンの顔に直撃し、大爆発する。

 

「よし!鈴!今のうちに接近戦で!」

 

「わかっているわよ!はあああ・・・・・・・・えっ?」

 

鈴が双天牙月を構えて向かおうとしたとき、何かが高速で彼女のすぐ脇を通り去って行った。後ろを振り向くと前にいるはずのベルフェモンがセントガルゴモンを岩盤に叩きつけていた。余程の衝撃だったのかセントガルゴモンの体のフレームはあちこちが凹み、岩盤には大きなクレーターが形成されていた。

 

「なんなあんだぁ?今のは?」

 

「う、うぅ・・・・・・」

 

セントガルゴモンはダメージを受けすぎた影響なのか、テリアモンに退化して地面に落ちいく。

 

「テリアモン!!」

 

「終わったな、所詮屑デジモンは屑なのだ。」

 

鈴は急いでテリアモンを回収する。テリアモンは全く動けないようで鈴が揺さぶっても僅かにしか動けなかった。

 

「不味い・・・・このままじゃ・・・・」

 

鈴はテリアモンを抱えてベルフェモンから距離を取ろうとするがベルフェモンはすぐ後ろまで迫っていた。

 

「どこへ行くんだぁ?」

 

「あ、ああ・・・・・・・」

 

鈴は、震えながら双天牙月を構えるがベルフェモンは笑みを浮かべながら近づいてくる。

 

「随分眠っていてやっと運動になると思ったらこんな雑魚どもの相手をする羽目になると思うと面白くない。ん?そう言えばバルバモンの奴は・・・・・・・・・さっきの攻撃で死んだか?」

 

ベルフェモンは独り言を言いながら自分が破壊した方を見る。鈴はこの隙に逃げようとするがすぐさまベルフェモンの巨大な腕に捕まる。

 

「この俺から逃げられるとでも思っていたのか!」

 

「はっ、離せ離せ!」

 

鈴は、双天牙月をベルフェモンに向かって振り回すがベルフェモンに届くことはなかった。ベルフェモンは空いている手に炎を纏わせる。

 

「ううぅ・・・・・万事休すって奴ね・・・・」

 

鈴はもう駄目だと納得したのか涙目でテリアモンを抱きしめる。

 

「今楽にしてやる!ギフトオブダーク・・・・・」

 

「クワアァァァァ!!」

 

「ん?」

 

後ろからの咆哮にベルフェモンは何を感じたのか鈴への攻撃をやめ、手放す。後ろの方ではガルダモンが黒い瘴気を発しながら形状を変え始めていた。

 

「ガ、ガルダモンが進化した?」

 

鈴は距離を取りながらその姿を確認する。

 

形状は人型の女性寄りになり、後頭部に黒い長髪があることを覗けば、以前ミレイにデジモンのデータベースで見せてもらってレイヴモンによく似ていた。しかし、片翼が白銀ではなく黒く染められており、体の鎧や頭部の赤い仮面の部分もひびが入っていてそこから黒い瘴気を発し続けている。更に目は死人のように視界が定まっておらず、露出している肌は継ぎ接ぎだらけだった。その姿はホラー映画で見るフランケンシュタインやゾンビのような化け物を思わせた。

 

「あ、あれで大丈夫なわけ?どう見ても死にかけにしか見えないけど・・・・・・」

 

「・・・・・屑が。おとなしくしていれば楽に死ねたものを・・・・」

 

ベルフェモンは高速で進化したレイヴモン(?)へと向かって行く。

 

「ギフトオブダークネス!」

 

ベルフェモンは近距離からレイヴモン(?)に向かって斬撃を繰り出す。ベルフェモンの爪はレイヴモン(?)の脇腹に喰い込む。レイヴモン(?)は悲鳴を上げることなくじっとしている。

 

「!?」

 

「あ、あああ・・・・・・・」

 

レイヴモン(?)は持っている剣をベルフェモンに向かって突き刺す。今まで見ようともしなかった敵の攻撃に驚いたベルフェモンは剣を抜きレイヴモン(?)から距離を取る。

 

「・・・・・・・・」

 

ベルフェモンは自分の傷口から流れる血を手で拭き取るとニヤリと笑いながら手に着いた血を舐める。

 

「じ、自分の血を舐めながら笑ってる・・・・・」

 

レイヴモン(?)の変貌ぶりに驚いていた鈴だったがそれに対するベルフェモンの反応に恐怖を感じた。

 

「フフッフフ・・・・・そうこなくちゃ面白くない。」

 

ベルフェモンはレイヴモン(?)に向かって行く。対するレイヴモン(?)はまるでゾンビのような動きをしながら応戦していく。

 

「・・・・・・セシリア・・・・・アンタ、いい加減に目を覚ましなさいよ・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夢の世界 sideセシリア

 

「はあ、はあ・・・・・・こっちにいるはずなのに。」

 

セシリアは息を切らせながら例の影を探し続けていた。

 

あれを見つければ今自分に起こっていることがわかる。

 

しかし、その反面この世界が偽りの世界だったらという不安もあった。それ故に彼女はあれが単なる思い過ごしだと思いたいという感情もある。

 

もうすでに30分近く外を探しているが見つかる様子はない。

 

「やはり思い過ごしだったのでしょうか?」

 

セシリアはホッと息を撫でおろすと自分に部屋を戻ろうとする。

 

「ア、アアアアア・・・・・・・・・」

 

「!?」

 

その瞬間、何か呻き声が彼女の頭に響いた。声は明らかに聞き覚えのあるものだが何か不気味に感じさせるものだった。

 

「い、今のは・・・・・」

 

そのとき、不意の彼女の目の前に見覚えのあるものが通り過ぎて行った。

 

ピンクの体で鳥のような生き物。

 

それが彼女の目の前を通り過ぎて行ったのだ。

 

「ま、待って!ピヨモン!」

 

セシリアは急いで後を追いかけていく。ピヨモンはセシリアのことを気にしていないのか走る。

 

「ピヨモン!ピヨモン!」

 

セシリアは必死にパートナーの名前を呼びながら走る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

セシリア&鈴ルート

 

「ア、アアアア・・・・・・」

 

レイヴモン(?)は呻き声をあげながら這いずり回るように動く。持っていた剣は既に折れてしまい、翼はベルフェモンに捥がれてしまった。それでも彼女は、戦おうとする。

 

「死にぞこないめ!」

 

ベルフェモンはいい加減に飽きたのかレイヴモン(?)の右腕を掴む。レイヴモン(?)は抵抗しようとするがベルフェモンの掴む力は強くレイヴモン(?)の右腕は嫌な音を立てはじめる。

 

「フン!」

 

「あ、あァァァァァァァァァ!」

 

ベルフェモンに右腕を引き千切られ、それまで唸り声しか出さなかったレイヴモン(?)が初めて悲痛の声を上げる。ベルフェモンは右腕を投げ捨てるとレイヴモン(?)の体を持ち上げ、バックブリーカーをかける。

 

「フフフッフフフ・・・・・・よく頑張ったがとうとう終わりの時が来たようだな。」

 

レイヴモン(?)の体から再びミシミシと嫌な音が出始める。

 

「ま、まさかアイツ・・・・・・・や、やめなさい!」

 

鈴はベルフェモンが何をしようよしているのか見当がついた。

 

 

 

 

 

バキッ

 

 

 

 

 

 

次の瞬間、レイヴモン(?)の体は真っ二つになり、上半身は眠ったままのセシリアの方へと飛んでいく。残った下半身はベルフェモンの足元へと落ちる。

 

「あ・・・・あぁ・・・・」

 

「フフフフッ・・・・・・・フハッハハハハハ・・・・フハハハハハッハハ!!」

 

やっと敵を仕留めたことに満足したのかベルフェモンは勝ち誇ったように笑い始めた。鈴は思わずレイヴモン(?)の引き裂かれた体を見る。

 

「こんな・・・・・・こんなこと残酷すぎるぅぅぅ!!」

 

鈴の目から涙が出始め、落ちた涙がテリアモンに当たりテリアモンも目を覚ます。

 

「り・・・・・鈴?」

 

「ピヨモンが死んだ・・・・・・・そして、セシリアも目を覚まさない。こんなの酷すぎるわよ!どうして・・・・・どうして殺されなきゃならなかったのよ!悪魔よ!あいつは悪魔の中の悪魔よ!」

 

「フフフフッ・・・・・・」

 

ベルフェモンは次のターゲットを鈴に切り替え、鈴たちの方へと近づいてくる。

 

「鈴・・・・・」

 

テリアモンは鈴の手から離れると弱々しく立ち上がる。

 

「テリアモン!」

 

「鈴は僕が守るから・・・・・・」

 

テリアモンはそう言いながら鈴の前に立つ。

 

「ハハハハハハッ!雑魚がいくらカッコを付けたとてこの俺に敵うとでも思っていたのか!」

 

「うう・・・・!」

 

テリアモンが構えようとしたときベルフェモンの後ろから物音がした。一同は振り向いて見る。

 

「何ぃ!?」

 

ベルフェモンが驚いたのも無理はない。

 

死んだとばかり思ったレイヴモン(?)が這いずりながらセシリアに向かって移動していたのだ。それどころかバラバラにされた下半身と右腕が自分から移動しているのだ。これには泣いていた鈴さえも泣き止み、テリアモンは不気味さに鈴に抱きついた。

 

「な、なんて奴だ・・・・・・・」

 

流石のベルフェモンも冷や汗をかいた。

 

 




今回の技

ランプランツス=ベルフェモン
ギフトオブダークネス=ベルフェモン

次回、セシリアは無事に現実の世界へ戻れるか!?


ちなみにこの話のベルフェモンはあの伝説の超野菜人をイメージしてやりました(モードがぴったり合うので)。

それではよいお年を。

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