ヴリトラモン・ストラトス   作:赤バンブル

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なんかアプリモンスターズってもはやデジモンとは言えないデザイン。

あの頃のデジモンはもう帰ってこないのか・・・・・・・。

今回も気に入らない方は戻ることを勧めます。


逆転への布石

デュノア社 地下

 

「急いでサクヤモン!このままだとデュナスモンとブイモンのどちらかが・・・」

 

「分かっている!」

 

シャルロットたちは急いで迷路を抜けようとしていた。行く時もかなり迷っていたが戻るときも一筋縄ではいかなかった。

 

「こうしている間にも戦っているのかもしれないというのに・・・・。」

 

そのとき、三人の目の前でゲートが現れた。サクヤモンとシャルロットは身構える。

 

「あのゲートは!?」

 

「まさかドゥフトモンたちに気づかれた!?」

 

しかし、中から出てきたのは千冬とジエスモン、そしてアルファモンとノエルだった。ノエルを見た瞬間、エリザは目を丸くした。

 

「ノエル!?」

 

「エリザ、久しぶりね。」

 

「ねえ、言った通りでしょ?」

 

ノエルは久しぶりに会う友を抱き、エリザは思いっきり泣いてしまった。

 

「ごめんなさい・・・・本当に!私のせいであなたを!」

 

「いいのよ、あなたが全部悪いわけじゃないんだから。」

 

再会を喜んでいる二人に対して千冬は口を開く。

 

「お二人とも感動の再会のところを申し訳ないと思っているが今は一刻を争う時だ。すまないがここからは私とデュノアで・・・・」

 

「織斑先生、そのことなんですけどお義母さんを一緒に連れて行かせてください。」

 

「デュノア、それは・・・・」

 

「デュナスモンはお義母さんのパートナーなんです!もし、このまま誰かと戦ってどちらかが負ければお義母さんは一生後悔する。だから、その前に説得をしたいんです!お願いします!」

 

シャルロットは頭を下げてお願いする。サクヤモンも同様に頭を下げた。

 

「・・・・・千冬さん、エリザなら私とアルファモンで守ります。ですから娘のお願い事を聞いてはくれませんでしょうか?」

 

「ノエルさん。」

 

「私の記憶が正しければデュナスモンはおそらくエリザの昔のパートナー、キャンドモン。昔別れたときから彼女もずっと心配していたんです。だからチャンスを与えてください。責任は私が取ります。お願いします。」

 

ノエルも頭を下げながら言う。エリザは土下座までして頼み込んでいた。流石に千冬もこんな大勢で頼まれては拒否できない。

 

「・・・・・分かりました。デュノア夫人の動向を許可します。但し、説得をしても止められないと判断した場合は諦めてもらいます。それで構いませんね?」

 

「はい、ありがとうございます!」

 

エリザは頭を下げながらお礼を言う。

 

「よかったわね、エリザ。」

 

「しかし、問題はブイモンの方だ。一夏との特訓でアイツは相当実力を付けている。最悪な場合は既に同士討ちかどちらかが倒れてしまっているのかもしれん。」

 

「急ぎましょう、早くしないと外の方々も・・・・」

 

四人は急いで目的地点を目指して行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デジタルウェイブ発生装置前

 

「マグナラッシュ!!!」

 

「ぬううう!!!ドラゴンズロア!」

 

「あぶ・・・・グフッ!」

 

デュナスモンとマグナアルフォースブイドラモンが交戦を始めてから既に数十分が経過していた。両者とも相当なダメージを受けており勝負はいつ着いてもおかしくなかった。

 

「・・・・・・予想外の力だ、私をここまで追い詰めるとは。」

 

「言ったろ、兄貴に鍛えられて強くなったって。」

 

マグナアルフォースブイドラモンは傷から流れる血を拭いながらデュナスモンを見る。デュナスモンは鎧のあちこちに拳の後が付いていながらもまだ立ち上がって来る。

 

「あのよ、俺はただその装置を止めたいだけなんだ!なのにどうしてまだ立ち上がってくるんだよ!アンタだってもう限界だろ!なのにどうして・・・・」

 

「わ、私の未練を完全に断つためだ・・・・・」

 

「未練・・・・」

 

「私にもかつて貴様らのようにパートナーがいた・・・・・・私は自分のパートナーを信頼し、共に行動していくうちに好意を寄せるようになった・・・・・しかし、私はデジモン。パートナーは人間、結ばれることは決してないのだ・・・・うっ!」

 

デュナスモンの脇腹から大量の血が流れる。傷口にはマグナラッシュをした時にヒットした拳の後が付いていた。

 

「ひ、皮肉な物だろ?パートナーに恋心を持つなど・・・・・それも彼女が同族の男性に恋をしているにもかかわらず・・・・私はそれに耐えることができず逃げてきたのだ。パートナーの前から。」

 

デュナスモンは口からも血を吐き出し、息が荒くなりながらも歩み寄る。(それでも傷は治りつつあるが)

 

「だが運命とは決して逃れることができないもの、どんなに逃げてもいずれは会わなくてはならない。だから私はこの計画でこの世界を破壊し、全てのけじめをつける。」

 

彼はそう言うと必殺技「ドラゴンズロア」を放とうとする。

 

「・・・おかしい。」

 

「何?」

 

「おかしいじゃないか?相手が違う種族なら好きになっちゃいけないという決まりがあるのか?お前の話を聞くとお前はパートナーに何も言わず一方的に逃げているだけじゃないか。」

 

「なんだと!」

 

「俺の兄貴の周りなんかさ、兄貴がデジモンだってわかっても諦めない奴らばっかりなんだぜ?だから種族が違うとか関係ないと思うんだ。それに兄貴は複数だけどお前は一人、それが言えないんならパートナーを信じ切れなかったってことじゃないのか?」

 

「黙れ黙れ!貴様に何がわかる!彼女はパートナーでもいずれは私のことを捨てその男の所へと行く!私を忘れて!人間だって同じだろ?好きな男でも見た目が醜くなればその場で切り捨てるし、富を手に入れるために偽りの愛を誓う!それに私はすでにその仲間を・・・・・・・何?」

 

デュナスモンは唖然としながらマグナアルフォースブイドラモンの後ろを見る。後ろを振り向いて見るとそこには千冬達が来ていた。デュナスモンはその中でノエルがいたことに驚いていた。

 

「ノエル・・・・・馬鹿な!お前はあの時死んだはず!」

 

「久しぶりね、デュナスモン。いや、キャンドモン。」

 

「どうして・・・・・どうして貴様がここにいる!?」

 

「私が彼女の車が衝突する寸前にゲートを開いて救い出した。」

 

アルファモンはデュナスモンを見ながら言う。

 

「お、お前は何者だ!」

 

「忘れたのか?昔ガオモンと一緒にみんなで旅をしたじゃないか。」

 

「まさか!お前はドルモンか!」

 

「ああ、そして今はロイヤルナイツのアルファモンだ。」

 

「なら同士のはずのお前がなぜ我らの計画を阻む!?我らの指令は人間の抹殺だ!」

 

「デュナスモン、貴方はどれだけエリザが苦しい思いをしているのか分かっているの?」

 

「黙れ!私はもうキャンドモンではない!ロイヤルナイツのデュナスモンだ!もう貴様ら人間と共にいた頃はとは訳が違う。」

 

「でもあなたはエリザのパートナーよ。パートナーならどんなことでも打ち明けることが大事なのよ、エリザの事を思ったことも。」

 

「!?き、貴様何故それを!」

 

「エリザはあなたが思っているよりもあなたのことを心配していたの。あなたが知らない場所でも、あなたのことを傷つけてしまったんじゃないかって別れた後もずっとあなたの事を思い続けていたのよ。だからこんなた・・・・」

 

「うるさい!貴様が何を言おうがもう手遅れ!私は貴様らを倒して全てに決着をつける!」

 

デュナスモンは全身のエネルギーを集めブレス・オブ・ワイバーンを繰り出そうとした。

 

「私に残された力を全て結集させた技だ!このままここもろうとも吹き飛ばしてくれる!」

 

「やはり説得には応じないか。」

 

千冬は止む得ず雪片参型を構える。ジエスモン、マグナアルフォースブイドラモンも攻撃態勢にかかる。

 

「エリザさん、残念ですがもはやこれしか方法がありません。」

 

「デュナスモン・・・・・・」

 

エリザは顔を隠しながら泣く。だがアルファモンとマグナアルフォースブイドラモンは気づいていた。デュナスモンの手が震えていたことを。

 

「・・・・・マグナアルフォースブイドラモン、君の速さで彼の目の前まで技を撃つ寸前に瞬時に止めることはできるか?」

 

アルファモンは小声で聞く。

 

「まだそこまではやったことがない・・・・でも、やらなきゃ一生後悔する!そう言うのは俺一人でもう十分だ!」

 

マグナアルフォースブイドラモンは構えを取り、力を入れ始める。

 

「はあああああああ!!」

 

「ふん!バカめ、このぐらい距離を取れば貴様らに発射を阻止される心配もない。それにもし避けたとしても装置が爆発しこの空間は瓦礫の埋もれて助かる可能性はゼロだ!」

 

デュナスモンはブレス・オブ・ワイバーンを放とうとする。

 

「これで全員まとめて・・・・・・何!?奴は!?金色の奴がいない!?」

 

デュナスモンは目の前にいる千冬たちに人数を再確認し始めた。何度数えてもさっきまでいたマグナアルフォースブイドラモンの姿が見当たらない。

 

「奴め・・・・さては逃げたな。こうなればすぐにでも・・・・・・何!?」

 

デュナスモンは突然目の前に現れたマグナアルフォースブイドラモンの姿を見て驚く。マグナアルフォースブイドラモンは驚いて隙ができたデュナスモンに対して容赦なくラッシュを浴びせる。

 

「オラ!」

 

「ぐう!!」

 

「はあああああああああああ!!!」

 

「こ、こんな筈は・・・・」

 

デュナスモンは体に次々と拳を当てられながら言う。

 

「パートナーといる方が強いとでもいうのか・・・・」

 

信じられないと思う間も彼の体はボロボロになっていく。

 

「馬鹿なあああああああああ!!!」

 

「オラ!」

 

マグナアルフォースブイドラモンのラッシュによりデュナスモンは全身ボロボロの状態で吹き飛ばされた。

 

「デュナスモン!」

 

エリザは倒れたデュナスモンに駆け寄る。

 

「デュナスモン、デュナスモン!」

 

「大丈夫ですよ、急所は外していますから。」

 

「よし、デュノア。すぐに装置の解除を・・・・・」

 

千冬はシャルロットと共に装置を停止しようとする。しかし、パネルを操作しても応答がない。

 

「無駄・・・・・だ・・・・」

 

デュナスモンはダメージを受けすぎた体を起こしながら言う。

 

「その装置は・・・・・・ビルの頂上にいるドゥフトモンにしか止められぬように設定している。もはやだれにも止めることはできん・・・・・・ゴフッ!」

 

デュナスモンは口から血を吐き出しまた倒れる。エリザは彼に寄り添って心配そうに見る。

 

「デュナスモン・・・・・」

 

「エリザ・・・・・・・私は・・・・・・・君のことが好きだった。でも・・・・・言うのが怖かった・・・・・・拒絶されるのが怖くて言えなかったんだ・・・・・。」

 

エリザは黙ってデュナスモンの言葉を聞き続ける。

 

「そうしているうちに・・・・・・君はマークに恋をし・・・・・君の答えがわかってしまったから私は君の前から去った・・・・・・・でも、いつまでもこの心は変わることがなかった・・・・・だから・・・・・君を殺してでも忘れてしまいたかった・・・・・」

 

エリザは思いっきりデュナスモンを抱きしめた。

 

「そうならもっと早く言ってくれればよかったのに・・・・・・・・。」

 

「これで私のことを嫌いになっただろう?」

 

「ううん、もう一度やり直しましょう。貴方は私のパートナー、そして私の一番大切な人。」

 

彼女はデュナスモンに口付けした。

 

「お帰りなさい、デュナスモン。」

 

「ただいま・・・・・エリザ・・・。」

 

一方の千冬たちは何とかデジタルウェイブを止めようと考えていた。そのとき、人知れずクレニアムモンが千冬のデジヴァイスから現れた。

 

「方法なら一つだけある。」

 

「一つだけ?」

 

「それは、この装置を完全に破壊することによってデジタルウェイブの流れを完全に断ち切ることだ。さすればこれ以上我らロイヤルナイツが我が物顔で暴れる心配はない。」

 

「しかし、そんなことをしたらこの空間が・・・・」

 

「ここには我、クレニアムモンが残る。お前たちは早くここを去れ。」

 

クレニアムモンはそう言うと装置の前に立つ。

 

「クレニアムモン!」

 

「織斑千冬、我を救ってくれたこと大いに感謝する。しかし、我はロイヤルナイツ!イグドラシルを完全に裏切ることはできん。だがここは責めて貴様に救ってもらった恩としてこの役割、我が引き受けようぞ!」

 

「クレニアムモン・・・・」

 

「貴様らがここを出て十分後にここを爆破する。急いでここから脱出するのだ!」

 

クレニアムモンは魔槍クラウ・ソラスを構える。

 

「デュナスモンは私のゲートで運ぼう。」

 

アルファモンは急いでゲートを展開し、そこからノエルとエリザも一緒に連れて行く。

 

「私達二組はこのまま一夏たちと合流する。」

 

「私達も彼女たちを預けた後、急いで駆け付けます。シャルも気をつけてね。」

 

「分かってるよ、母さん。」

 

そう言うと千冬たちは急いで地下から出ていく。

 

「デュノア、デュノア社の外に誰かいないか確認できないか?」

 

「調べて見ます・・・・・・・丁度入り口にハルフォーフさんがいます。」

 

「クラリッサか、丁度いい。彼女にデュノア夫人とそのパートナーが向かうから保護して『猫である』に送るようにとメッセージを送ってくれ。」

 

「分かりました。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十分後

 

「我はかつて主君イグドラシルに絶対的な忠誠を誓っていた・・・・・本来ならすでにないはずの命・・・・・滑稽な者よのお。」

 

クレニアムモンはクラウ・ソラスを回転させ始める。

 

「だが、織斑千冬。貴様は我がこれまで戦ってきた中で最も勇敢な戦士であった!故に我は後悔などしていない!この命、貴様のために捧げようぞ!」

 

クレニアムモンは技を放つ。

 

「さらばだ!エンド・ワルツ!!」

 

技を放った瞬間、装置は真っ二つに切断され、地下で大爆発が起こった。その強力な衝撃波にクレニアムモンは吹き飛ばされていく。

 

「ぐっ、ぐおおおおおおお!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デュノア社 屋上

 

「・・・・・・・・地下のデジタルシフト発生装置が破壊されたか。デュナスモンめ、結局甘いところは甘いな。」

 

ドゥフトモンはデジタルウェイブで発生したエネルギーを自分に供給させていた。

 

「だが、それも計算の内。我が超究極体になるための布石はほぼ整っている。後はエグザモンとメディーバルデュークモンがどこまで持ってくれるかだ。」

 

ドゥフトモンは構えを解かないまま考え続ける。

 

(マークの所はおそらくあの程度の爆発なら崩れる心配はあるまい。しかし、だとしたら奴らの仲間の何人かも犠牲になっていると思うが・・・・・・)

 

「やっとたどり着いたぜ、ドゥフトモン。」

 

「何!?」

 

ドゥフトモンが後ろを振り向くとそこにはカイゼルグレイモンの姿の一夏と紅椿を纏った箒、ビクトリーグレイモンが立っていた。

 

「貴様ら!メディーバルデュークモンを倒したというのか!?」

 

「いや、奴なら今簪とセラフィモンが相手をしている。」

 

「なるほど、仲間を身代わりにしたということか。」

 

ドゥフトモンはそう言うと剣を構え、一夏たちに近づく。

 

「本来なら更なる力で倒したかったが止むを得ん。貴様らの命、今ここでいただく!」

 

「そうはさせない!俺たちは勝つ!そう決めてみんなでここに来たんだ!」

 

一夏は龍魂剣を引き抜き、箒は雨月と空裂を構える。

 

「行くぞ、箒!」

 

「ああ!」

 

今、デュノア社でロイヤルナイツと一夏たちの戦いは決戦真っただ中へと突き進もうとしていた。

 

 




今回の技

ドラゴンズロア=デュナスモン


ここまでの話でエリザ(シャル義母)のマーク(シャル父)への初恋は飽くまでもノエル(シャル母)を羨ましく思っていたと言うだけでパートナーが一番大事だと言う認識だった。

もう、ロイヤルナイツ編で打ち切るか。最終章も考えていたけど区切りもいいし。

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