ヴリトラモン・ストラトス   作:赤バンブル

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今回はデジモンテレビシリーズの一部とリンクしたような内容になっています。

気に入らない方は逃げることをお勧めします。






夏の計画とある記憶

臨海学校が終わってしばらくした後IS学園は夏休みに入り、生徒たちはそれぞれ自分の故郷に帰ったりしていた。一夏は自宅へと戻り、久しぶりの我が家の掃除をしていた。

 

「チビ、雑巾をちゃんとかけろよ。」

 

「わかっているよ、兄貴!アグモン達が泊まりに来るんだからさ!」

 

ブイモンはそう言いながら雑巾がけをする。今回に限っては千冬も自宅で細かい仕事をすることにし、今買い物に行っている。

 

「それにしても四人来るとなると準備するのは大変だな・・・・セシリアは実家、ラウラは軍の用事で帰るって言ったから減って助かったけど・・・・」

 

一夏は散らかっている家の中を見る。

 

「随分開けていたからそうだったけど入学で出ていく前にちゃんと全部片付けておくべきだったな・・・」

 

「兄貴がそんなこと言ったらダメだよ!俺もしっかり頑張るからさ!」

 

そう言うとブイモンはペースを上げる。

 

「チビもいいこと言うな。今日の夕飯は手作りプリンでも作るか。」

 

「マジで!?」

 

ブイモンは思わず興奮する。すると玄関から声がして来た。

 

「一夏いるか!」

 

「こんにちは。」

 

玄関に行くと箒とアグモンが鞄を持って来ていた。

 

「これからお世話になるけどよろしく頼む!」

 

「ああ、ところで鈴、簪とシャルは?確か一緒に来るって聞いていたが・・・・」

 

「更識は生徒会長の付き添いで少し遅くなるそうだ。鈴とシャルロットは途中まで一緒だったんだが大量の買い物袋を持った千冬さんと会って、手伝うから先に行ってくれと言われてみんな私に荷物寄越して手伝いに行ってしまったんだ。」

 

確かに箒とアグモンの後ろを見ると大きなカバンが二つあった。

 

「なるほどな。」

 

「箒~僕、喉が渇いちゃったよ~。」

 

「麦茶ならあるけど。」

 

「私ももらっていいか?」

 

「ああ。」

 

そう言うと一夏は荷物を運びながら二人を部屋に案内する。箒とアグモンは麦茶を頂いた後、一夏の手伝いをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜 織斑家

 

「う~ん、やっぱりこういう集まりの時は焼肉よね!」

 

鈴は笑みを浮かべながら焼けた肉をタレに付けて食べる。今夜の織斑家の夕飯は焼肉だった。テーブルだけでは足りなかったので今回は小さいテーブルも用意してやっていた。ちなみに今回の材料費は千冬の奢りだと言う。

 

「簪はお肉食べないの?」

 

「わ、私は・・・・ちょっとこういうの苦手で・・・・」

 

「箒はよく食べるね。」

 

「アグモンも人のこと言えないだろう。」

 

「鈴、僕の分も取ってよ~。」

 

「はいはい。」

 

「兄貴酷いよ!それ俺が食おうと思ったのに!」

 

一同騒ぎまわってはいたが一夏にとってはかなりいい風景に見えた。

 

(デジタルワールドを旅していた時に宴会とかあって参加していたがこれ程騒がしく面白いと思ったのは今回が初めてだな・・・)

 

思わず笑えた。

 

「兄貴~!そろそろデザート出そうよ!」

 

ブイモンは近くに寄ってきてねだる。

 

「わかった、わかった。持ってくるから待っていろ。」

 

「え!?デザートあるの?」

 

「一夏、デザートって何?」

 

「プリンだ、手作りのな。」

 

その後、一夏の手作りプリンのおいしさに全員目を丸くしていたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

束のラボにあるカプセル

 

カプセルに入っている何かは遠い夢を見ていた。

 

 

彼にとっては懐かしい夢であった。

 

彼はとある少年の想像から偶然誕生したデジモンだった。

 

故に何の知識もない彼を少年はいろいろ教えてくれた。

 

始めて学校に行った時、はじめて戦った時、初めて進化して戻るのに苦労したとき。

 

彼の頭の中ではそれが繰り返し、物語のように続く。

 

デジタルワールドを旅したとき、はじめて究極体として一緒に戦ったとき・・・・・・そして、別れの時・・・・。

 

それは彼にとってはつらいことであった。少年は退化してデジタルワールドに戻る彼を見て別れを惜しんだ。彼はそのとき約束した。

 

『また一緒に遊ぼうね!啓人。』

 

それが彼が少年に行った最後の言葉だった。

 

彼は長い間デジタルワールドで待ち続けた。自分から動こうともした。そして、長い年月が経ち彼も少年の力なしで進化した。

 

騎士の姿となった彼はイグドラシルの任務で偶然にもデジタルワールドから人間世界へ行くことに成功し、人間の青年の姿になって少年に会いにいった。変わってしまった街。彼は少年の元の家に行った。しかし、そこにはもう知っている人間はいなかった。学校にも行った。学校はいつの間にかなくなっていた。

 

結局彼が見たのは少年がいなくなってしまった世界だった。彼は来るのが遅すぎたと悟った。彼は悲しみに堕ちた。

 

「すまない・・・・・・啓人・・・・ゴメン・・・・・タカト・・・・」

 

彼が長い時を体験したように少年も長い年月を生き、そして彼が会いに来た時は既にその人生を終えていた。彼はパートナーの墓を訪れ、数十年ぶりに泣いた。あの時と一緒に泣いたのに今はたった一人で・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

束のラボ 現在

 

「彼、泣いているように見えませんか?」

 

作業をしながらパイルドラモンが書類の整理をしているベルスターモン(もはや杏子)に言う。

 

「夢でも見ているのよ、多分昔の夢をね。彼が泣くと言ったらそれぐらいしかないから。」

 

「でもデータ復元中の彼ですよ?」

 

「誰だって忘れたくない過去がある。いくらイグドラシルに忠誠を誓ったと身でもそれは変わらないのよ・・・。それより『グラニ』の復元は?」

 

「ミレイさんが送ってくれたデータのおかげで85パーセントは完了しました。後は最終調整と彼の回復次第でいつでも出せる状態になります。」

 

二人が報告し合っているとき束が普段とは違う真面目な顔で作業室に入ってきた。

 

「全員ちゅうも~く!」

 

「?」

 

「これから重大なことを言いま~す!」

 

束はクロエも含めてみんなを集めて言う。

 

「これからの作業はもうすぐ着く無人島にある束さんラボ(通称 束本部ラボ)に着いたら、ラボの開発物及び資料とかの重要機材をこの『吾輩は猫である(まだ名がない)』に詰め込みま~す!その後、スピリットと束さんは束さんラボに残って、クーちゃん、ベルちゃん、パル君はそのうち来るミーちゃんに合流してちーちゃんたちの所へ行くように!以上!」

 

その言葉に三人は沈黙した。

 

「本当のことなのね、束。」

 

「こっちはまだ長い間使うからね。後は向こうでちょっと改造・・・・じゃなくて改修するからね。」

 

束は敢えて顔を見せずに言う。

 

「束様!本当に自分だけ残るつもりなんですか!?それじゃあ私が助けてもらった恩を・・・・」

 

「パル君、あの時は私が助けたんじゃないよ。あれは君の生命力と君の生きたいという意志が君を進化させたのであって束さんはそのきっかけを与えただけ。」

 

「し、しかし!」

 

「パル君もデジタルワールドに帰ったらちゃんと自分の故郷を守るんだよ。」

 

束はそう言うと作業室から出る。クロエは無表情でそれを見送る。

 

「クロエ、君からも言ってくれ!束様は・・・・・」

 

「あの方は一度決めたことは絶対にやる人です。言っても無駄でしょう。」

 

「君まで・・・・・!」

 

パイルドラモンはクロエの顔を見て思わずギョッとする。無表情と思っていたクロエの目から涙が流れていた。

 

「私達には与えられた役割があります。それを実行しなければ・・・本当に束様を裏切ることになります・・・・。」

 

クロエはそう言い残し、部屋を後にした。

 

「なんか複雑だ・・・・。」

 

「クロエも私ほどじゃないけど束との付き合いは長いからね。」

 

ベルスターモンは再び書類の整理に戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日 織斑家

 

朝、朝食を終えた一夏たちはパートナーも含めて何かを話し合っていた。

 

「つまり、前回のアーマゲモンやムゲンドラモンことを考えて明らかにこの現実世界においてもおそらくだがデジタルワールドの異変が影響しているんじゃないかと俺は思っている。」

 

一夏は今までIS学園で起きた事件をまとめ上げながら仮説を言う。

 

「じゃあ、一夏はスピリットがこっちの世界に来たのが影響し始めているとでも言いたいのか?」

 

「現にメルキューレモンや謎の勢力がいるようだからな。だが今の俺たちのままじゃ対応するにも限界がある。」

 

「どうしてよ?この間だって一夏が勝ったじゃない?」

 

「甘いぞ鈴。俺が倒したと言ってもあれは全員の力で何とか倒したようなもので実際一人だったら危なかったんだ。つまり相手が複数いれば終わりだ。」

 

「つまり僕たちも強くならなくちゃいけないってことだね。」

 

「その通り。」

 

「じゃあ・・・・修業するって言うこと?」

 

「え~!私は面倒臭くてやだ~!」

 

「まあ、デジモンたちを鍛えるのも必要だがあんまりやり過ぎると嫌になるだろう。そこで俺と千冬姉のアイディアなんだが・・・・・・千冬姉、よろしく。」

 

一夏に言われると千冬は全員にしおりを配る。しおりの表紙には「デジモン強化キャンプ」と書いてあった。

 

「一夏、これは何だ?」

 

箒は不思議そうにしおりを見る。

 

「少し離れた山の方にキャンプ場があってな。そこでパートナーの軽い特訓とリラックスを兼ねてキャンプしようと言う訳だ。」

 

「キャンプ?」

 

「あっ、シャルは知らないのか。」

 

「キャンプと言うのは・・・・・」

 

そのとき窓のガラスが割れ何かが壁に突き刺さった。

 

「な、なんだ!?」

 

「や、矢!?」

 

「誰だよ!人の家にこんな悪戯するのは・・・・・」

 

一夏は怒りながら矢を見る。矢には矢文が巻き付いており、それを開けて見て見た。

 

『挑戦状

 

織斑千冬へ

 

〇〇山の神社にて、貴様に決闘を申し込む!〇月〇日に来い!

 

                            貴様に恐怖を与えられた女より』

 

紙を見て一夏は千冬を見る。

 

「千冬姉、アンタまさか人に恨まれるようなことしたか?」

 

「そ、そんなわけないだろう!・・・・・あっ。」

 

「何か思い当たることがあるのか?」

 

「あれは中学校の時で篠ノ之の道場に通っていた頃だったんだが・・・・・」

 




楯無さんのパートナー決定投票受付開始。

現在、まだ登場していない楯無のデジモンですが何にするか結局迷ったので投票及び募集で決めようと思います!ちなみに現在の候補はこちら!

1.インプモン(ベルゼブモン)
2.ルナモン(ディアナモン)
3.クダモン(スレイプモン)
4.ブラックウォーグレイモン&ブラックメタルガルルモン(オメガモンズワルト)

他にもこれがいいと思う方はドシドシ送ってください。現在は感想欄で受け付けますが場合によっては活動報告で受け付けます。

それではまた次回。

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