ヴリトラモン・ストラトス   作:赤バンブル

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言っておきますが白い悪魔と言うのは良く馴染みのあのMSではありません。

それをご了承の上でご覧ください。


遂にUA70,000突破!




白い悪魔と覚醒

海岸

 

作戦開始まで僅かとなり、一夏、箒、簪が海岸で待機していた。彼らの隣にはブイモン、アグモン、パタモンが立っていた。

 

「そろそろ時間になる。チビ達も準備できたか?」

 

「OK!いつでも大丈夫だぜ兄貴!」

 

準備体操をしながらブイモンはVサインをする。一方の箒は考え事をしていた。

 

(どうしてなんだ?なぜ一夏は私にあんなことを・・・・私はただ・・・一夏を守る力が欲しかっただけなのに・・・・)

 

「箒。」

 

(やはり、恋人がいるからなのか?私はその程度の扱いと言う・・・・)

 

「箒ってば!」

 

「はっ!」

 

箒は我に返ってアグモンを見る。

 

「どうしたの箒?もう作戦開始するのに。」

 

「す、すまないアグモン。」

 

箒は謝ると紅椿を展開する。

 

「簪、パタモン。もし、箒に何かがあったら頼む。」

 

「わかった。」

 

「うん!」

 

「・・・・・。」

 

「箒、どうした?みんな進化させるぞ。」

 

「あ、ああ!」

 

三人はデジヴァイスを翳す。すると三匹は光に包まれそれぞれ異なる形態へと変化する。

 

「ブイモン、進化!」

 

「アグモン、進化!」

 

「パタモン、進化!」

 

三匹は竜型、人型へと変化する。

 

「エクスブイモン!」

 

「ライズグレイモン!」

 

「エンジェモン!」

 

三人は目的地へと移動を始める。

 

「今回は初の実戦だ。気を抜くなよ。」

 

「俺も兄貴の足を引っ張るつもりはないよ!」

 

「二人はもしものことがあったら援護をしてくれ。」

 

「了解。」

 

「・・・・。」

 

「箒?」

 

「・・・・あ、すまない。了解した。」

 

箒は複雑な表情で一夏の後ろ姿を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海上

 

海上で福音と接触した一夏は激戦を繰り広げていた。

 

「ったく!全方位からエネルギー弾を撃ってくるとはやってくれるぜ!」

 

一夏は炎龍のバーニアを全開にして、福音が撃ってくるエネルギー弾を避けていく。

 

「エクスレイザー!」

 

エクスブイモンも援護をするが福音は大型スラスターを利用してことごとく避けていく。

 

「この野郎!」

 

一夏はブレードで福音を斬りつけるが致命傷には至らず掠っただけだった。

 

「コンセプト的にはセシリアのブルー・ティアーズと同じだが性能は桁違いだな・・・。」

 

一夏はブレードをしまうと右腕を巨大なクローに変化させる。

 

「できれば能力を使うのはやめたかったがこうなったら仕方がない。」

 

一夏は一気に接近し、福音を斬りつけ背後に回り蹴り飛ばす。態勢を立て直そうとする福音に対して一夏はクロ-を飛ばし固定した後振り回すと急いで左腕を銃型に変化させ、狙い撃ちにする。

 

「す、すごい・・・・あんなに速く動き回れるなんて・・・」

 

簪が驚いている中、箒は不安な目で見つめる。

 

(今までで一番速い動きをしている・・・・・ラウラの時でもあんなに速くなかったはずなのに。やはり私は一夏に必要とされていないんじゃないのか・・・・・)

 

箒がそう感じている中一同の脳裏に謎の声が響く。

 

『マスターを傷つける奴らは・・・・・許さない!』

 

「こ、声?これはまさか福音の意志なのか!?」

 

次の瞬間、福音は輝き出し形状が変化し始める。

 

「この期に及んで二次移行!?」

 

「いや、それにしては何かが変だ!見ろ!」

 

一夏が言う通り、形態移行にしては何かがおかしかった。姿を変え始めている福音の装甲にひびが入り、そこから巨大な腕が形成され始める。更にあちこちの装甲もひびが入り始め人型から徐々に巨大な姿へと変化していく。

 

「ば、馬鹿な!」

 

一夏たちは唖然とした。虫のような巨大な六本の足、長い尾、そして、狂気を感じさせるような眼。

 

「こ、コイツは・・・・・」

 

一夏はこれに似た個体を一度だけ記録で見たことがある。

 

 

 

 

 

 

アーマゲモン。

 

かつて、突然変異で誕生したクラモンが大量に融合したことによって誕生した究極体デジモン。しかし、ここにいる個体は通常の個体と違って体色が白に統一されており、体のあちこちには福音の装甲が出ている。

 

「箒、簪!コイツは危険だ!お前たちはすぐに引きかえせ!」

 

一夏はオメガソードとメテオバスターを展開して攻撃に備える。

 

「何を言っているの!?そんなことをしたら・・・・」

 

「コイツは究極体だ!それもムゲンドラモンとは比にならないぐらい。俺が時間を稼いでいる間に・・・・」

 

「私だって・・・・私だってやればできるんだあああ!!」

 

箒は雨月を展開し、アーマゲモンに向かって斬りかかる。

 

「馬鹿!簪すまないが先に引き上げて、織斑先生にこのことを報告してくれ。」

 

「わ、分かった。」

 

「エンジェモン、しっかり守るんだぞ。」

 

「わかった、あまり無理なことはしないでくれ。」

 

そう言うと簪とエンジェモンは急いでその場から離脱していった。一夏は急いで箒の後を追う。

 

「私は一夏の足手纏いになりたくない・・・・・姉さんがくれたこの紅椿で一夏の役に立って見せる!」

 

箒は雨月でアーマゲモンに斬りかかる。雨月は一瞬アーマゲモンの体に傷を付けるがアーマゲモンの体はすぐに修復してしまった。

 

「ならば!」

 

箒は一瞬距離を置き、空裂を装備しエネルギー刃をアーマゲモンに向けて放つ。アーマゲモンの尾を切断することには成功したがこれもまたすぐに生え変わって無意味になった。

 

「な、なんて・・・・再生能力だ。」

 

アーマゲモンは背部にエネルギーを収束させて上空に放つ。するとエネルギーの塊は雨のように四散し、箒にめがけて降り注ぐ。箒はすぐに展開装甲で防御するがあまりの威力に吹き飛ばされる。

 

「くっ・・・・こんなことで・・・・・!」

 

箒は自分の死を感じた。目の前には口にエネルギーを集めているアーマゲモンの顔、もはや避ける時間がなかった。彼女は以前言っていた一夏の言葉を思い出した。

 

自惚れている奴に前線を任せるわけにはいかない。

 

自分は自惚れていたんだと。やっと手に入れた力を見せたいあまりに。

 

「箒!逃げろおおおお!!!!」

 

 

遠くからパートナーの声が聞こえる。だがもう間に合わない。彼女は咄嗟に目を閉じた。もうどの道助からない。アーマゲモンの口から強力なエネルギー波が発射される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく経ってもエネルギー波は届かなかった。

 

彼女は目を開けると目の前のことに愕然とした。そこには全身の装甲がボロボロになり所々からヴリトラモンの姿が露出した一夏が立っていた。アーマゲモンの攻撃を彼が代わりに受け止めてくれていたのだ。

 

「い、一夏・・・・・・」

 

箒の声に一夏は反応することなく海へと落ちて行った。

 

「イチカアアアアアアアアア!!!」

 

箒は急いで一夏を回収しに行く。アーマゲモンがそれを追おうとしたがそこへエクスブイモンとライズグレイモンが立ちはだかった。

 

「よくも兄貴を・・・・・・よくも兄貴を!!」

 

エクスブイモンは怒りの拳でアーマゲモンを殴りつける。ライズグレイモンを援護でトライデントリボルバーを放つ。しかし、アーマゲモンは何事もないような顔をして二人を見る。

 

「くそ!俺のもっと力があれば!」

 

エクスブイモンは歯ぎしりをしながら言う。

 

「エクスブイモン・・・・」

 

「俺がもっと強ければ・・・・もっと早く動ければ・・・・兄貴をあんな風になることがなかったのに・・・・」

 

エクスブイモンは悔しそうにアーマゲモンを見る。アーマゲモンはそんな彼らをあざ笑うかのように咆哮をあげる。

 

「くそ!あんな奴に舐められてたまるか!」

 

エクスブイモンはアーマゲモンに向かって突っ込んでいく。

 

「ま、待てエクスブイモン!」

 

ライズグレイモンが呼び止めるがエクスブイモンは動きを止めようとしない。

 

「箒、俺を究極体に進化させてくれ!」

 

ライズグレイモンは海面から一夏を回収している箒に向かって言う。

 

「何を言っているんだ!あの形態は・・・・」

 

「わかってる!でも、このままじゃアイツがやられてしまう!」

 

「しかし・・・・」

 

「俺もエクスブイモンを連れ戻したらすぐに離脱する。だから・・・・」

 

「わ、わかった・・・・」

 

箒はデジヴァイスを翳す。するとデジヴァイスは一瞬赤くなりライズグレイモンは輝き出す。

 

「ライズグレイモン、超進化!」

 

ライズグレイモンは瞬く間に金色の竜騎士へと変化する。

 

「ビクトリーグレイモン!」

 

ビクトリーグレイモンはドラモンキラーを構えるとアーマゲモンに向かって行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

近辺の孤島

 

アーマゲモンをビクトリーグレイモンに任せた箒は重傷を負った一夏を回収した後、近くの孤島に身を隠した。

 

「一夏!一夏!」

 

箒は紅椿を解除して動かなくなった一夏を揺さぶる。

 

「ゴフッ・・・・・」

 

一夏は大量の血を吐き出す。その血の多さに箒は一瞬目を逸らしかける。一夏は焦点が定まらない目で箒を見る。

 

「箒・・・・逃げろ・・・」

 

「何を言っているんだ!お前一人を置いて行けるわけがないだろう!」

 

箒は一夏を担ごうと肩を貸す。

 

「何故俺を置いていこうとしない?早くアグモンとチビを連れて逃げろ・・・。」

 

一夏は箒を突き放すとヴリトラモンの姿になって飛ぼうとする。だがすぐに倒れ動かなくなってしまう。

 

「一夏!」

 

箒は慌てて一夏を抱く。一夏はもはや瀕死寸前だった。

 

「みんな・・・・・私のせいだ。私が姉さんから紅椿を受け取らなければ・・・・調子に乗って作戦に参加しようとするから・・・・一夏の命令を無視したから・・・・」

 

箒は涙を流しながら泣き始める。その涙は彼女の瞳から落ち、一夏の顔を濡らしていく。すると彼の体が光り始めた。

 

「こ、これは?」

 

箒は思わず自分のデジヴァイスを見る。自分のデジヴァイスも光り始め、そこから二つの物体が出現する。

 

「確かこれは姉さんが私に・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出撃前

 

「箒ちゃん~!ちょっといいかな~?」

 

準備を整えている箒の元へ束がやって来た。

 

「なんだ姉さん?私は今準備を・・・・」

 

「まあまあ、すぐに済む用事だからちょっと箒ちゃんのデジヴァイス貸して~。」

 

箒は少し怪しみながらもデジヴァイスを束に渡す。束は二つの奇妙な置物を懐から出すとデジヴァイスに収納させる。

 

「な、何を入れたんだ姉さん?」

 

箒は不審な目で束を見る。

 

「私からのちょっとしたお守り~。箒ちゃんやいっくんが危ないとききっと助けてくれるよ!」

 

そう言うと束はふらりと去ってしまった。箒は後を追おうとしたが入り口まで来るとすでに束の姿はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もしかしてこれが一夏の言っていたスピリットという奴なのか?」

 

箒が驚いている中一夏の体が自然に宙に浮いた。そして、彼のデジヴァイスからも六つのスピリットが出現し、箒のデジヴァイスから現れた二つも加わり、一夏を中心に円を描く。それと同時に箒は自分のデジヴァイスに何やらかのメッセージがあるのに気がついた。

 

「絢爛舞踏」

 

「絢爛舞踏?・・・・・もしかして!」

 

箒は再び紅椿を展開し、一夏に近づく。

 

「もし私の考えが正解だったら・・・・」

 

箒は一夏に触れる。

 

「一夏・・・・死なないでくれ。」

 

箒が強く願うと紅椿の展開装甲から黄金色の粒子が放出され、彼女を周辺一帯を金色に包み込む。一夏の体は更に光を増し、体が分解・再構築が始まった。そして、それは段々鎧を纏った戦士へと変えていく。

 

「一夏・・・・」

 

彼女は目の前で見た。

 

金と赤の鎧を纏い、ビクトリーグレイモンにも劣らぬ大剣を背負った戦士の姿を。

 

 

 

 

 




今回の技

トライデントアーム=メタルグレイモン(本編呼称なし)
ブラックレイン=アーマゲモン(本編呼称なし)
アルティメットフレア=アーマゲモン(本編呼称なし)

今回のデジモン

アルビノアーマゲモン(究極体・種族不明【突然変異】・不明)

アーマゲモンの亜種。IS福音を暴走した元凶であり、二次移行の時の影響で突然変異をして急成長した。能力は驚異的再生能力。武器は福音の「銀の鐘」と背部から放つ「ブラックレイン」。更に切断した体の一部は分解・再構成され、ケラモンやクリサリモンへと変わる。胴体の中央には搭乗者と福音のコアがある。

このアーマゲモン、当初はディアボロモンにする予定だったのですが、なんかインパクトが足りないような気がしたので変更しました。オリジナルデジモンはブラックフレイドラモンとキマイラモンとかを合わせて大体四体ぐらいですがまだ増える予定です。

後、注意事項ですが今回でタグに入っていた「進化しない!?」を消す予定にしています。

それではまた次回。

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