ヴリトラモン・ストラトス   作:赤バンブル

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今回はヴリトラモンの久しぶりの披露。
気に入らない方はすぐにお逃げ下さい。

それでもいい方はこのままどうぞ。


龍の怒り

放課後のアリーナ

 

一夏とシャルルは放課後、アリーナでセシリアと鈴とのタッグで模擬戦をすることにしていた。

 

「さあてと、今日の模擬戦をしてから簪の様子を見に・・・・・」

 

「織斑君!」

 

「おりむ~大変~!」

 

一夏とシャルルが向かっていたところに布仏含む女子生徒たちが慌ててやって来た。

 

「おいおい、どうしたんだ?みんな揃いに揃って。」

 

「そんな場合じゃないのよ!」

 

生徒の一人がは大きな声で言う。

 

「んで、何がどうしたんだ?」

 

「実はね、オルコットさんと鳳さんが模擬戦やってたらね、ボーデヴィッヒさんが挑発してきて二人で戦ったんだけど・・・・」

 

「ど?」

 

「ボーデヴィッヒさんがオルコットさんと鳳さんを徹底的に痛めつけているのよ!」

 

「何!?」

 

一夏は急いでアリーナの方へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあ・・・はあ。」

 

「どうした?その程度か?」

 

ラウラは余裕の表情で二人を見る。鈴はボロボロになった甲龍を纏ってラウラの方を見る。近くでは既にセシリアが気絶していた。そこへ一夏がやってくる。

 

「こ、これは・・・」

 

「やっと来たようだな、今度こそ勝たせてもらう!私と戦え!」

 

「・・・・・・・」

 

「どうした?こいつ等がやられてショックを受けているのか?それとも・・・・」

 

そのとき、アリーナ全体に恐ろしいほどの殺気が発せられた。一夏は炎龍を身に纏うと内側からヴリトラモンとしての本来の姿に戻る。元々外見が同じため相手から見ても気づかれない。しかし、鈴だけは直感で感じた。

 

「何このすごいプレッシャーは・・・・」

 

本来の姿に戻っている影響か炎龍は既に全身が赤く発光していた。

 

「な、なんだ!?この間のとはケタ違いだぞ!?」

 

状況が不味いと思ったラウラはレールカノンを放とうとする。しかし、一瞬にして一夏は彼女の目の前に来ていた。緊急でワイヤーブレードを展開し拘束するが一夏は何事もないように近づいてくる。ラウラはAICを展開しようとした瞬間、一夏は彼女の振り上げようとした右手を抑える。

 

「ぐっ!」

 

「いい加減にしろ。貴様、千冬姉をどれ程尊敬しているのか分からねえが一体どこまでこの学園をバカにすれば気が済むんだ?」

 

「は、離せ!」

 

ラウラは何とか突き放そうとするが一夏の腕の力は強まり外すことができない。

 

「俺だけじゃなく鈴やセシリアまでこんなことをしやがって・・・・」

 

「くっ!」

 

ラウラは左手のプラズマ手刀を展開し、一夏の頭を斬りつける。炎龍の頭部の装甲の一部が切断され、そこから本来の姿のヴリトラモンの頭部の一部が露出し、ヴリトラモンの目がラウラを睨んでいた。

 

「あ、あれは!」

 

鈴は思わず驚く。鈴だけではない、遠くから見ていたシャルルや異常なプレッシャーを感じて見に来た簪も驚いていた。

 

「い、一夏の顔が竜!?一体全体・・・・」

 

ラウラは何とか拘束を振り切り距離を取る。

 

「貴様、その姿は・・・・・」

 

「もう謝っても許さねえぞ!この屑やろう!!!!」

 

一夏の咆哮と共にアリーナが大きな衝撃破が発生する。ラウラは目の前で起きていることがわからなくなってきていた。

 

「な、何が一体・・・・」

 

「許さねえぞ。」

 

「!」

 

一夏はオメガソードを展開しラウラを切ろうとする。ラウラは咄嗟に避けるが更にメテオバスターの弾丸を数発受ける。すると彼女の体が徐々に凍り付いて行った。

 

「なんだ?なんなんだこれは!!!」

 

凍り付いたラウラは動きが取れなくなり、一夏は炎を右手に集中させる。

 

「終わりだ、バーニング・・・・」

 

(や、やられる!!)

 

「そこまでだ、織斑。」

 

そこへ聞き覚えのある声が聞こえる。一夏が後ろを振り向くとそこには千冬が腕を組んで立ってた。

 

「「織斑先生!!」」

 

「きょ、教官!」

 

「二人がやるのは自由だがアリーナのバリヤーが崩壊するほどの行為は黙秘しかねる。この決着はトーナメント戦の時につけてもらう。いいな?」

 

「「・・・・・・。」」

 

「後、三人は気を失っているオルコットを保健室に連れて行け。織斑からも大事な話があるからな。」

 

「「「は、はい・・・。」」」

 

「ボーデヴィッヒは私の所に来い。」

 

「わかりました。」

 

千冬の介入もあり、ラウラはその場で九死の一生を得ることができた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

保健室

 

「・・・・・と言う訳なんだ。」

 

保健室で一夏は眠っているセシリアを除いたメンバーに自分の正体を話す。鈴は目を丸くして見ていたが簪とシャルルは落ち着いた顔で聞いていた。

 

「じゃあ、一夏はそれでこの世界に来たんだね?」

 

「まあな。」

 

「ふわあ~!一夏がデジモンになっていたなんて正直ビックリしたわ!」

 

「でも、一夏には変わりないんだよね?」

 

「ああ、確かに俺の体はデジモンだが心は織斑一夏のままだ。」

 

一夏の一言に全員が黙る。

 

「みんなはこのことを黙っててくれるか?」

 

「勿論だよ。」

 

「約束する。」

 

「私も同じだよ!」

 

「ありがとうみんな。」

 

「でもさ、セシリアは気絶していたからいいけどどうする?」

 

「アイツは時が来れば言うかもしれないからそれまでは黙っておいてくれ。」

 

「わかった。でも、まあ一夏が来てくれたおかげで二人とも怪我もひどくなかったからよかったよ。」

 

「まあ、私もセシリアも専用機があの様だから今回のトーナメントはお預けかな?」

 

「まあ、それは仕方のないことだろう。次の機会でやろうぜ。」

 

「でも、あの姿には・・・・」

 

「ならんわ。って言うかそんなことしたら今日のようなことでは済まないぞ。」

 

 

 

一夏はそんなことを言いながら仲間としての絆を一層深めたような気がした。

 

 

「じゃあ、俺とデュノアはちょっと専用機の修理と整備に行ってくるわ。」

 

「あっ、私もまだ組み立て中だから一緒に行く!」

 

一夏、シャルル、簪が保健室のドアを開けた瞬間

 

「「「「「「「織斑君~!!!デュノア君~!!」」」」」」」

 

同時に多くの女子生徒たちが一斉に押し寄せてきた。簪は思わず引き下がる。

 

「な、なんだ!?この集まりは!?」

 

「「私とペア組んでください!」」

 

「「違う違う。私と組んでもらうの!!」」

 

「アンタ邪魔よ!」

 

「私が組むの!」

 

「おいおい、アリーナでの騒動の次は何だ?」

 

「これ見てこれ!」

 

女子生徒の一人が一枚のビラを見せる。

 

「なになに・・・・・今回のトーナメント戦はタッグマッチに変更?」

 

「そうなのよ!だからみんなどの子と組むのか決めているの!」

 

「織斑君はどの子と組むの?もしかして私!?」

 

「デュノア君は!?」

 

「ああ、皆さん悪いことなんだけど・・・・」

 

「「「「「ん?」」」」」

 

「え~、俺はデュノアと組むことにしたんでその~悪いけど皆さん揃って断らせてもらいます。・・・・・ごめんね。」

 

「「「「「「「ええええええええええええ!!!!!!」」」」」」」

 

この始末。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「デジタルモンスター?」

 

「ああ、それが織斑の正体だ。」

 

「では奴は偽者・・・・」

 

「そういうわけじゃない。あれは私のせいで死んだ一夏が生まれ変わった姿でもある。」

 

千冬はラウラに一夏についての話をしていた。

 

(まさか、ガブモンと似たような奴だったとは・・・・・)

 

「これで分かったか?だが私にはその資格がない。自分の弟を見殺しにしたんだからな。」

 

「しかし、教官は・・・・」

 

「何度も言ったはずだぞ?ここでは織斑先生と呼べ。」

 

「は、はい。」

 

「このことはくれぐれも外には言わないように。分かったな?」

 

「わかりました。」

 

ラウラは生徒指導室から出ていく。

 

「・・・・・・ガブモンに少し言い過ぎたな。」

 

ラウラは既にいなくなってしまったパートナーの事を考えながら言う。

 

「でも、アイツに負けるわけにはいかない。私はこれでも軍人なんだ・・・・・負けるわけには・・・」

 

ラウラは自分のプライドにかけても一夏を倒すことを誓った。

 

 

 

 

 

 

箒ルーム

 

「ねえ、箒。本当にあのラウラって人と組むの?」

 

アグモンは心配そうに箒に言う。

 

「一夏がおそらく決勝まで勝ち進んだとしたら私もそれなりに強い奴と組まなくちゃ勝ち残れない!故に態度は気に入らないが決勝まで勝ち残れそうなのはアイツしかいない。」

 

「それはそうだけどさ・・・・あの人なんか怖いよ。」

 

「まあ、本人はまだ答えを聞いていないからそれまでの間に他に組める奴を探せばいいさ。それに・・・・」

 

箒はアグモンの隣で震えているガブモンを見る。

 

「コイツのためにもアイツの目を覚まさせないといけないしな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学年別タッグマッチトーナメント当日

 

「・・・・・・・」

 

ガブモンは誰もいない寮の屋根の上から空を見ていた。

 

「お~い!ガブモ~ン!」

 

そんなガブモンの所にアグモン、ブイモン、テリアモン、トコモンがやってくる。実は今日は試合に集中したいからと言う理由でみんなお留守番になっているのだ。

 

「みんなどうしたの?」

 

「これからさ箒たちの試合見に行くんだけど君も行かない?」

 

「試合?でも、俺たちは・・・」

 

「実はね、僕とトコモンで誰にも見つからない秘密の場所見つけたんだ。」

 

「俺たちがまとまって入っても余裕なくらいなんだってさ!お前も一緒に来いよ!」

 

ブイモンたちは行く気満々だった。

 

「・・・・ゴメン、俺はここにいるよ。」

 

「どうして?あのラウラって言う怖いお姉ちゃんのことまだ気にしているの?」

 

悲しそうな顔をするガブモンにトコモンは聞く。

 

「それもあるんだけど今日はあまり体の調子が良くないんだ。だから今日はここで大人しくしてるからみんなで行ってきなよ。」

 

「ふ~ん。俺だったら意地でも行くんだけどな?」

 

「ブイモン、あまりガブモンを苛めちゃダメだよ!」

 

「じゃあ、僕たちだけで行こう。早くしないと鈴たちの試合も始まっちゃうし。」

 

「そうだ!そう言えば箒の試合第一試合だった!」

 

「みんな急げ~!」

 

アグモン達は急いで屋根の上から降りて行った。ガブモンはみんながいなくなるまでその様子を見続ける。

 

「・・・・みんなはいいな。信頼できるパートナーがいて。」

 

「お困りのようですね?」

 

「だ、誰!?」

 

突然の声にガブモンは後ろを振り向く。そこには怪しい笑みを浮かべるメルキューレモンが立っていた。

 

「これはこれは失礼。私はメルキューレモン。貴方と同じ孤独なデジモンですよ。」

 

「は、はあ・・・・」

 

ガブモンはメルキューレモンと距離を取ろうとする。

 

(まずい・・・・この人なんかやばそうだ・・・・)

 

「貴方、進化ができないことに悩んでいますね?」

 

「え!?どうしてそれを!?」

 

自分の本心を見破ったメルキューレモンに驚くガブモン。

 

「私はこれでも人を見る目がありましてね。いや~可哀想に。」

 

「俺をバカにしているの?」

 

「いえいえ、実はそんなあなたに打って付けの物があるんですよ?」

 

「本当に!?」

 

ガブモンは目を光らせながらメルキューレモンを見る。

 

(もし俺が進化できればラウラもきっと俺のことを見直してくれる!そうすれば・・・・)

 

「欲しいですか?」

 

「はい!」

 

ガブモンはすぐに答える。

 

「ではこちらに・・・・・・(こんな単純な手に引っかかるとはまだまだ甘いですね。フフフフ・・・・)」

 

メルキューレモンは案内するかのようにガブモンを導いていく。

 

 




今回のヴリトラモンの技は、炎龍の内側から展開してます(頭部が露出していなければどう見ても炎龍の武装にしか見えないぐらいのレベル)。

次回はメルキューレモンの魔の手がガブモンに伸びる予定。

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