読む勇気がない方は途中でもいいので引き上げましょう。
それでもいい方はこのままどうぞ。
ちなみにサブタイトルはそれほど意味がないので気になさらずに。
一夏&箒ルーム
「おめでとう兄貴!」
「私はきっと一夏が勝つと信じていたぞ!」
「よせよ・・・・なんかもうクラス代表が決まったように見えるじゃないか。」
箒たちは一夏の初のIS戦の勝利をささやかに祝っていたが一夏は困った顔をしている。箒の隣にいるアグモンはブイモンと一緒にお菓子にありついている。
「しかし、本当にいいのか一夏?あんな奴にクラス代表任せといても。」
「ああ、俺がクラス代表になったらバランスが非常に悪くなるからな。」
「それにしても一夏のISはなんであんな姿になったんだ?」
「それは千冬姉が倉持技研に問い合わせてみたんだがどうやら形態移行による変化らしい。」
「うむ・・・・・なんかすごく怪しく感じるな。」
そのとき、部屋のドアを誰かがノックしてきた。
「誰だ?」
「きっと千冬姉ちゃんだよ!わざわざ兄貴にお祝いの言葉を言いに来たんだ。」
ブイモンはそう言うと玄関の方へ走って行こうとする。
「待てチビ。この時間はまだ千冬姉は勤務中で寮にはいないはずだぞ。」
「え?じゃあ誰が。」
「取り敢えず俺が見てくるからお前はそこでアグモンと一緒にお菓子でも食べてろ。」
「わかった。」
一夏は玄関の方へと行く。
「どなたですか?」
玄関を開けるとそこにはセシリアが照れくさそうな顔をして立っていた。
「・・・・・・ちょっと宜しいですか?」
「別に構わないけど。」
「その・・・・・・気を失っていた時は保健室に運んでいただいてありがとうございます。」
「先生から聞いたのか。」
「ええ。それと・・・・」
「うん?」
「この間はあんな失礼なことを言ってしまい本当に申し訳ございませんでした。」
「そのことについては気にしなくてもいい。俺もあの時はからかい過ぎたと思ったからな。謝るんなら明日みんなの前で言ってくれ。」
「わかりました。」
「それと言うのもなんだけど・・・・・クラス代表、アンタが引き受けてくれないか?」
「え?」
一夏の頼みにセシリアは一瞬驚いた。
「しかし、今日の試合で私に・・・・・」
「確かに俺はアンタに勝った。でも、よく考えて見てくれ。教官を倒したほどの実力を持ったアンタを倒した俺を代表にしてみろ?パワーバランスが悪くなっちまうだろう?」
一夏はセシリアに説明して引き受けてもらえないかと言うがセシリアは首を縦には降らない。
「今日の試合で分かりましたの。私は自分の力に自惚れていたのだと。そんな私にクラス代表は務まりませんわ。それに代表は織斑さんの方が務まると思いましたの。」
「そうか。」
「勝手に来て、申し出まで断ってしまって本当に申し訳ありませんでした。では、私はこれで。」
「ああ、今までのことはそんなに気にするなよ。」
「ありがとうございます。」
そう言うとセシリアは去って行く。
「あ、あと織斑さん。」
「ん?」
ドアを閉じようとした一夏にセシリアが呼び止める。
「これからは一夏さんと呼んでもいいですか?」
「いいけど。」
「後、私のことはセシリアと呼んでください。」
「ああ、わかった。じゃあ、また明日会おうなセシリア。」
翌日、一年一組のクラス代表は一夏に決まった。そのすぐ後にセシリアがクラス全員に謝罪の言葉を述べクラス代表決めは幕を閉じた。
「それでは本日より実践訓練を始める。」
白ジャージを着た千冬はグラウンドで生徒を見ながら言う。
「織斑、オルコット!前に出ろ。」
「「はい!」」
千冬の指名で二人は前に立つ。
「二人とも専用機を展開しろ!」
「ブルー・ティアーズ!」
「炎龍!」
二人はそれぞれ自分の専用機を展開する。
「よし、そのまま飛べ!」
指示通りに2人は上空に向けて飛んだ。一番着は一夏であり、セシリアは少し遅れて到着する。
「早いですわね、一夏さん。」
「機体の性能差だろう。」
「そのまま急降下して急停止をするんだ。地上との差は10センチだ。」
「了解。セシリア、君から先に降りてくれ。」
「わかりましたわ。それではお先に。」
セシリアは地上に向けて急降下していった。
地上との誤差はほぼゼロ。
「上出来だ。次は織斑の番だ。」
「わかりました。」
一夏はそう言うと急降下していく。
セシリア同様地上との誤差はゼロ。
「次は武装展開だ。まずは織斑。」
「はい!」
一夏はすぐに両腕のブレードを装甲から展開する。
「0.3秒・・・・上出来だ。次はオルコット。」
「はい!」
その後、セシリアは武装展開をするのだが時間がかかるというダメ出しを喰らうのであった。
放課後の食堂
「「「織斑君、クラス代表決定おめでとう~!!」」」
「いやあ、どうもありがとう。」
クラス全員が一斉にクラッカーを鳴らす。しばらく盛り上った後、一夏と箒は並んでいる料理を皿に取ると外へ出る。
「あれ?織斑君に篠ノ之さんどこ行くの?」
二人は思わずギョッとする。
「い、いや~ちょっと外の空気を吸いに。」
「わ、私はちょっとトイレに・・・・」
箒は慌てて料理を隠す。
「もしかして・・・・二人って付き合っているの?」
「「違います。」」
そう言うと二人は慌てて食堂から出ていく。
「どうだ?うまいかチビ?」
「うん!」
「僕たちもできるんだったらみんなと食べたいんだけどな・・・・」
ブイモンが喜んで料理を食べている中アグモンが残念そうに言う。
「そう言うな、お前たちが出てきたら大パニックになるかもしれないんだぞ。」
「二人ともそこで何しているんだ?」
そこへ千冬がやって来た。千冬を見たアグモンは慌てて隠れようとする。
「大丈夫だ、私はもう知っている。」
千冬は安心させるように言う。
「ところで千冬姉、束さんとは連絡できたか?」
「いや、私も過去の連絡先を調べてみたんだが全くと言っていいほど応答がない。篠ノ之の方はどうだ?」
「私の方もダメでした。しかし、姉さんはどうしてデジモンの存在を知っているんでしょうか?」
それが箒にとっての一番の謎だった。束がデジモンを知っているうえにデジタルワールドと現実世界を行き来できる方法を知っている・・・・このことから姉が何を企んでいるのか心配だった。
「だが束のことだ。おそらくそのうち向こうから接触してくるだろう。」
「今は待つしかないってことか。」
「なあ箒、その・・・・箒の姉ちゃんってどういう奴なんだ?」
ブイモンは気になるように聞いてくる。
「はっきり言って私も姉さんとあまり話したことがないからな・・・・・でも、私よりも以前にデジモンのことは知っていると思う。」
「どうして?」
「そもそもアグモンも私のデジヴァイスも姉さんが送ってきた物なんだ。」
「僕がデジタマの時にね。」
「それはいつ頃だ篠ノ之?」
「姉さんが消息を絶って私たち家族が重要人物保護プログラムでバラバラにされた後です。」
「つまり束さんはそれよりも以前にデジモンを知っていたということか・・・・」
一夏は星空を見上げながら今もどこかに身を隠している束が何をしているのか考えているのであった。
翌日IS学園前
「ついに・・・・・ついにこの日が来た!」
ツインテールの小柄な少女が腕組をしながら言う。その隣には自分の体より大きい耳を持った小さい動物が立っている。
「ねえねえ、鈴。」
「何テリアモン?」
「この学園から僕と同じデジモンの臭いがするんだけど本当に大丈夫なの?」
「大丈夫だって!私たちは無敵のパートナーなんだからね!」
少女、凰鈴音はテリアモンを抱いて、学園の中へと入っていく。
「待ってなさいよ一夏!私が来たからにはアンタのハートを鷲掴みにして見せるんだからね!」
「鈴、これ目立たない?」
「大丈夫!」
「そうかな~。」
テンションが高い鈴に対してテリアモンはできるだけ人形のフリをするのだった。
鈴及びパートナーテリアモン登場。ちなみに初期案ではロップモンも考えていましたがケルビモンだと違和感があるのでこちらにしました。
テリアモン(成長期・獣型・ワクチン種)
鈴のパートナーデジモン。出会いはおそらく一夏と別れた後。性格はテイマーズ基準。いつも鈴の頭の上に乗って人形のフリをしている。最初は「モーマンタイ」を言わせる予定だったが果たして・・・。
次回、鈴の宣戦布告。
機会があればまた。