ヴリトラモン・ストラトス   作:赤バンブル

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これは飽くまでも独自の設定が多い作品です。
これから先も「それはおかしいだろう」というものが現れるので勇気のない方は見ないことをお勧めします。それでもかまわない方はどうぞ。

今回は前回の後始末中心です。


ネタバレ注意。


雪の日の記憶

雪山

 

「本当に申し訳ありまへんでした!」

 

ヴリトラモンたちの目の前で巨大な体をした獣人型デジモンヴァイクモンが頭を下げて謝罪していた。

 

「いや・・・なんていうか・・・」

 

「この頃ウィルスバスターズって連中がこの地に伝わるスピリットを探していると耳にしていたもんでこの者たちに警護させとったんですが・・・・・こら、おめえたちも謝らんかい!」

 

ヴァイクモンに叩かれ、ユキダルモンとモジャモンは申し訳なさそうに土下座する。

 

「戦いになると思ったらこんなことになるとはな。」

 

ヴリトラモンは少し困った顔でヴァイクモンを見る。第二ラウンドになると思いきやいきなりヴァイクモンが二人を叩いて「馬鹿もん!」と怒鳴ったからどうしたのかと思っていたが。

 

「ところでヴァイクモンさんはどうして私たちがウィルスバスターズじゃないと分かったんですか?」

 

ライラモンは巨体のヴァイクモンに少しビビりながらも聞く。

 

「儂はもう長い間生きておるんで悪人かどうかは目を見ればわかるもんですわ。それにあんたらはいい目をしてはる。」

 

「そ、そうですか。」

 

「ところであんたらの目的はなんなんや?」

 

「スピリットを探しているのよ。」

 

「スピリット・・・・」

 

ヴァイクモンはヴリトラモンを見つめる。

 

「なんか悪いことでもあるのか?」

 

「・・・・いや、アンタが伝説の十闘士に何となく似ているもんでな・・・・・まあ、いいでっしゃろ。ついてきなはれ。」

 

ヴァイクモンはそう言うとヴリトラモンたちを案内していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サイバードラモンのピラミッド

 

「兄貴、大丈夫か?」

 

メタルグレイモンは心配そうにサイバードラモンの体に包帯を巻く。

 

「痛てて・・・・もう少し丁寧に巻け。」

 

サイバードラモンは包帯を巻いてもらった後不機嫌そうに外から空を眺める。

 

(あの女め、俺のことをコケにしやがって。だから女は嫌いなんだ。それに大事なものだ?アイツが俺のことを心配するわけねえだろ!俺を勝手に切り捨てたくせに!くそ・・・・)

 

サイバードラモンは傷を押さえながら考えていた。そのとき

 

「兄貴、いいニュースが入ったぜ。」

 

部屋にライズグレイモンが入ってくる。ヴリトラモンに壊されたリボルバーはすでに修復され、傷も完治していた。

 

「ああ!?いいニュースだと?」

 

サイバードラモンは不機嫌そうに言う。

 

「偵察に出ていたエアドラモンからの連絡で雷のスピリットの居場所がわかったんだ!」

 

「・・・・嘘じゃないだろうな?」

 

「ああ、昆虫型デジモンの住む森で簡単には奪えないが丁度俺たちの噂で二つの勢力の対立しているそうだ。それを利用すれば・・・・」

 

「同士打ちということか・・・・なら丁度いいな。」

 

サイバードラモンは思わず笑う。

 

「今回こそはうまくやるから俺をリーダーにしてくれよ!この間の借りは返すからさ。」

 

ライズグレイモンは自己PRをして今度は失敗しないと言い張るがサイバードラモンは意外な言葉を発した。

 

「いや、今回は俺も行く。」

 

「え?兄貴が!?別に俺だけでも・・・・」

 

「それ以上は言うな。今すごく機嫌が悪いんだ。それにまた奴が来ないとも限らないしな。」

 

サイバードラモンはそう言うと空を見上げる。

 

「この世で必要なのは力だ。どんな奴でも俺はそれを超えて見せる。」

 

 

 

 

 

 

 

 

雪山のある洞窟

 

「こんな山にこんな洞窟があるとはな・・・・」

 

ヴリトラモンは意外そうに洞窟を見渡す。

 

「ここは聖地、かつて十闘士であったエンシェントメガテリウムモン様が眠っておられる地と言われておる。」

 

ヴァイクモンはそう言いながら進んでいく。

 

「そう言えばこの雪山、アンタたちだけしかいないようだけどどうしてなの?」

 

リリモンは気になったので聞いてみた。考えて見ればこの山に来て会ったのはモジャモンとユキダルモン、そしてヴァイクモンの三人だけだった。

 

「この山は神聖なる山、それだけにこの山に代々伝わる氷のスピリットを守護するため儂らがおるようなもんですわ。」

 

「そ、そうなの・・・・(なんかまずいことを聞いちゃったのかも・・・)」

 

「しかし、いいのか?俺たちにそんな大事なもんを渡してしまって。」

 

ヴリトラモンが聞くとヴァイクモンは悟った顔で答える。

 

「スピリットの守護をしていたのはいずれ現れる十闘士の遺志を継ぐ者に託すため。その日が今日だと確信したんですわ。」

 

「俺が十闘士の生まれ変わりとでも言いたいのか?」

 

「それはよおうわかりません。でも、そんな気がするんや。」

 

そうこう話しているうちに一行は洞窟の最深部にたどり着いた。目の前では氷の結晶の中に二つのスピリットがあるのが確認できる。

 

「氷の中なのね。」

 

ライラモンはよく見て言う。

 

「もし、あなたが十闘士の遺志を継ぐ者ならこの氷からスピリットを取り出せるはずや。」

 

「そうか、では取ってみるとするか。」

 

ヴリトラモンは結晶に手を触れる。すると氷の中のスピリットが輝き始める。

 

(・・・・冷たいはずの氷が温かく感じる・・・・どこか懐かしいような・・・・そうだ・・・あの時と同じ感触だ・・・・)

 

 

 

 

 

 

ヴリトラモン感覚十数年前(実際は一夏六歳の頃)

 

「千冬姉待ってー!」

 

寒い雪が降る中、まだ人間だった頃の一夏が姉である千冬と駆けっこをしていた。

 

「ほら、一夏もうすぐで家だぞ!」

 

千冬はからかいながらも一夏にペースを合わせて走っている。家の近くに着いた頃には既に一夏は息が荒くなっていた。

 

「はあはあ・・・・千冬姉速すぎるよ・・・。」

 

「はははは、こんなことぐらいでへばってんじゃまだまだ立派な男にはなれないぞ一夏。」

 

「大人か・・・・俺も千冬姉ぐらいになったら千冬姉みたいなことができるようになるのかな?」

 

「なれるさ。お前は私の弟なんだから。」

 

「そうなったら俺・・・・は、はくしょっん!」

 

一夏は思わずくしゃみをした。

 

「大丈夫か?少し外に出過ぎたか・・・・」

 

千冬は自分の身に付けていたマフラーを外して一夏の首に巻く。千冬が身に付けていたおかげかマフラーが温かく感じた。

 

「これで少しは寒くはなくなったか?」

 

「うん、ありがとう千冬姉。」

 

「よし、じゃあ家までこのまま走っていくぞ!」

 

そう言うと千冬は走っていく。

 

「もう、待ってよー!」

 

一夏はその後を追いかけて行った・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうだったな・・・・千冬姉はいつも俺にそう言ってくれた。俺が自分の弟だって・・・いつか自分みたいになれるって・・・・」

 

ヴリトラモンはそう言いながら目の前の出来事を見る。氷の結晶は消滅し、自分の手には二つの氷のスピリットがあった。

 

「やった!」

 

「流石兄貴!」

 

リリモンとチビモンは思わず跳ねる。

 

「うんうん、ワシの目に狂いはなかった・・・・」

 

ヴァイクモンは思わず涙を浮かべる。

 

 

 

 

 

雪山の洞窟の出口

 

一行が洞窟から出た頃、さっきまで吹雪いていた雪は止み、いつの間にか夜になった空は星で満ち溢れていた。

 

「キャ~!!ロマンチック~!」

 

リリモンは思わず興奮し、隣にいるヴリトラモンの方を向く。しかし、ヴリトラモンは何か寂しそうな顔をしていた。

 

「イチカ?」

 

リリモンは不思議そうに見る。

 

「千冬姉・・・・・アンタは今の俺を見ても自分の弟だと言ってくれるのか?ヴリトラモンとしてではなく人間織斑一夏として・・・」

 

夜空を見上げながらヴリトラモンは思わず言うがそれに応えてくれる者は誰もいない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とある森

 

朝日で輝く森の奥の泉のほとりで白く美しい八枚の羽を持った天使が水浴びを終えていたところだった。

 

「これで二つ。なんとかして彼を止めないと・・・・」

 

彼女はそう言いながら体を拭いた後に透き通るような青い瞳を持つ美しい顔にマスクを被り、妖精と鳥人のような形をしたスピリットと一枚の写真をしまいその場を後にしていった。

 

「彼の誤解をここまでにしたのは私なんだから・・・・」

 

彼女はそう言いながら空の彼方へと飛んで行く。




今回は戦闘なしです。
戦ってもよかったと思うのですがヴァイクモンは飽くまでも究極体なのでまだ究極体と戦うのはまだ早いかなと言う考えでやめました。

今回もネタバレのような描写がありますが温かい目で見守っていただけると幸いですね。

それでは次回もあればまたお会いしましょう。

・・・・自分で言うのもなんですけどデジモン文献調べるのマジ大変です。

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