ヴリトラモン・ストラトス   作:赤バンブル

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今回の話は本来一話分にまとめる予定でしたが諸事情により長くなってしまい、一部、次回に回すことにしました。そのため場面の入れ替わりで分かりづらいと思います。

後、内容が怪しくなってきたと思う方はひとまず引き上げましょう。

それでも言い方はこのまま読んで頂けるとありがたいです。

それでは本編どうぞ。


勇気の炎と謎の影

雪山

 

「うう・・・寒い。」

 

リリモンはそう言いながらヴリトラモンに抱き付いて歩く。ガジモンの言っていた氷山を昇り始めた四人ではあったが思わぬ寒さに震えながら登山することになった。

 

「兄貴、スピリットの反応とか分かるの?」

 

「デジヴァイスではこの雪山から反応が出ている。間違いはないはずだ。」

 

そう言いながら四人は山を登り続ける。四人は吹雪で見えなかったが少し離れた所から毛むくじゃらのデジモンが様子を見ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サイバードラモンのアジトのピラミッド

 

「旦那、ただいま戻りました。」

 

サイバードラモンが椅子に座って食事をとっている中、クマのようなデジモングリズモンが何やらの箱を持ってやって来た。

 

「ん?なんだお前か。俺は食事中に入ってくることが女に近寄られるのが嫌なほど嫌っているのを知ってて入ってきたのか?」

 

サイバードラモンはフォークとナイフを置き、口を拭きながらグリズモンを見る。

 

「いやいや、旦那に見せたいものがありまして・・・・」

 

「俺に見せたいものだと?」

 

「今まで行方がほとんど分からなかった闇のスピリットがようやく手に入りました。」

 

「何!?それなら早く言え!」

 

サイバードラモンは早速箱をとりふたを開けてみる。しかし、中にはスピリットはなく空っぽだった。

 

「・・・・・・てめえ・・・・・今夜の夕食のおかずにしてやろうか?」

 

サイバードラモンはグリズモンに向かって殺気を放つ。それにも関わらずグリズモンは謝らずヘラヘラとした顔をしていた。

 

「そんなにヘラヘラした顔をしやがって・・・・」

 

サイバードラモンは光のスピリットの力を使い光剣リヒト・ズィーガーを出す。

 

「へへへ、そんなに怒んないでくださいよ、旦那。」

 

「てめえ、その口に向かってこの剣ぶち込むぞ!」

 

サイバードラモンは頭にきてグリズモンの口をこじ開ける。ところが口をこじ開けた瞬間、飛んで来たのは無数の銃弾だった。

 

「ぶち込まれるのはアンタの方さ!」

 

サイバードラモンは反射的に後ろに下がるがすでに遅く、無数の銃弾がサイバードラゴンの体に命中した。

 

「な、何!?お、俺が動けないだと・・・・完全体の俺が・・・・」

 

サイバードラモンは体が動けないことに驚く。銃弾に細工がされて動けないのではない、銃弾のダメージが大きかったのだ。

 

「て、てめえ・・・・・グリズじゃねえな・・・」

 

「今頃気がついたのかい?」

 

グリズモンの体がデータ分解を起こし、そこからは黒いマスクにレザースーツの女性型デジモンが銃を持ちながらサイバードラモンに近づいてくる。その姿は一瞬、七大魔王のベルゼブモンに見えた。

 

「く・・・・俺をどうするつもりだ・・・・」

 

「別に殺すとかそんなつもりはないさ。ただ、必要なものを頂いて行くだけさ。」

 

そう言うと彼女はサイバードラモンの体に手を突っ込み、二つの物体を取り出す。サイバードラモンが取り込んだ土のスピリットだ。

 

「て、てめえ・・・か、返しやがれ・・・・!」

 

「悪いけど私のパートナーの頼みなんでね。それにそんなに取り戻したいんならまずは大事なものを取り戻しに行くんだね。アンタの一番大事なものをね。」

 

「だ、大事なもんだと・・・・」

 

「アンタがよく知っているだろ?心配していると思うよ、アンタのこと。」

 

「うるせ・・・・人のことに勝手に突っ込む・・・・・な・・・」

 

サイバードラモンはその場で気を失う。

 

「さて、私は騒がしくなる前に引き上げようかね。」

 

彼女、ベルスターモンはそう言うと再びグリズモンに擬態し、その場を後にして行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

雪山

 

「兄貴、本当にこの先にあるの?」

 

寒さに震えながらブイモンは震える。

 

「間違いなく、近くには来ている。問題は・・・・」

 

ヴリトラモンはメテオバスターを展開し背後に向かって撃つ。

 

「誰かが後を付けているということだ。」

 

ヴリトラモンは後ろを向くとそこには雪でできた身代わり人形のような物があった。

 

「これって、雪で作った人形よね?」

 

「俺が撃つ前にすり替えといたのか。」

 

「ウホホホ、その通り!」

 

四人は慌てて後ろを振り向くがそこには誰もいない。

 

「上よ!」

 

「もう、遅い!」

 

ライラモンが言うのも遅く上空には二つの影があった。

 

「行くどーユキダルモン!」

 

「よっしゃー!」

 

二つの影の内の一つのモジャモンは相方のユキダルモンに向かって持っていた巨大な雪玉を投げる。

 

「絶対零度パーンチ!」

 

雪玉に向かってユキダルモンがパンチを繰り出す。雪玉が勢いよくヴリトラモンたちに向かって飛んでくる。

 

「避けろ、チビ!」

 

ヴリトラモンはブイモンを突き飛ばし、咄嗟にリリモンたちを庇う。

 

「うおおお!」

 

雪玉がぶつかった後、ヴリトラモンたちが立っていた場所には氷柱ができてリリモン、ライラモン含めてヴリトラモンは氷漬けになってしまった。

 

(う、動けん・・・・)

 

「兄貴ー!」

 

ブイモンは何とか氷を砕こうとパンチをする。

 

「無駄無駄!その氷はオレっちのパンチで急速に冷やしたからこの山なら余程の攻撃じゃなきゃ砕けないぜ!」

 

「残りの一人も行くど~!」

 

モジャモンとユキダルモンは同じ攻撃をブイモンに向かって撃つ。

 

「ま、不味い!」

 

ブイモンは大慌てで走るが雪玉の速度の方が早く避けるのが精一杯だった。

 

「ドンドンやるどー!」

 

「しまった!」

 

必死に走って気がつかなかったのかブイモンは崖に追い込まれてしまった。

 

「ヌフフフ、もう逃げられねえど。」

 

「うう、ブンブンパーンチ!」

 

ブイモンはモジャモンたちに向かって突撃していく。

 

「甘い甘い、骨骨ブーメラン!」

 

「うわあ!」

 

ブーメランが命中し、ブイモンは危うく崖から完全に落ちるところだった。

 

「だ、だめだ・・・俺じゃ何にもできねえ・・・・」

 

ブイモンは自分の力のなさに失望した。そのとき

 

(チ・・・・ビ・・・)

 

「!?その声はもしかして兄貴!?」

 

ブイモンは氷漬けにされているはずのヴリトラモンの声が聞こえて驚く。

 

(お前は今まで何のために俺についてきたんだ?)

 

「それは、兄貴みたいに強くなりたいから・・・・」

 

(だったら、その意地を見せてみろ。)

 

「でも、俺、進化もまだまともにやったこともないのにできるわけないじゃんか。」

 

(勇気を出せ、あのキメラモンの戦いで俺を助けに来た時のように・・・)

 

「キメラモンの戦い・・・・・あっ。」

 

ブイモンは思い出したのか急いで崖からよじ登る。上ではユキダルモンとモジャモンが待ち構えていた。

 

「もう覚悟はええか?」

 

「オメエもアイツら同様氷漬けにしてやるぜ。」

 

「思い出したんだ。」

 

「「?」」

 

「俺はあの時兄貴とこれからも一緒に旅をしたいと思ったから勇気が出せた。だからあの時は兄貴もキメラモンに勝てたし、俺も少しだけど成長できたんだ。これから先も兄貴と一緒に強くなりたい。だから・・・・」

 

ブイモンは拳に力を込めて二人に向かって突っ込む。

 

「俺が今度は兄貴たちを助けるんだああああ!」

 

「ムフフフ、いくらやっても・・・・え?」

 

そのとき二人の背後にある氷漬けのヴリトラモンのデジヴァイスが光り、勇気のデジメンタルがブイモンに向かって飛んで行った。

 

「ブイモン、アーマー進化!」

 

デジメンタルとブイモンが接触した瞬間、そこら一帯は眩しい光に包まれた。

 

「なんだ?なんだ!?この光は!?」

 

「眩しい・・・・ん!?」

 

二人の視界が回復したとき目の前にいたのはブイモンではなく赤い装甲に身を包んだ竜人型デジモンだった。

 

「燃え上がる勇気、フレイドラモン!」

 

フレイドラモンはそう言うとモジャモンたちに向かって突進してくる。

 

「なっ、なんが起こったか知らねえけんど、オラたちが負けるはずがねえ!」

 

「こうなったら、特大雪玉で行くぞ!」

 

「おう!」

 

モジャモンは急いで今まで以上の巨大な雪玉を作り、ユキダルモンに向かって投げる。

 

「本日最大の絶対零度パーンチ!」

 

ユキダルモンが雪玉に拳を打ち込みフレイドラモンに向かって飛ばす。雪玉はフレイドラモンに直撃し巨大な氷柱を作る。

 

「よっしゃー!大成功!」

 

「流石に奴でもこれは溶けねえ・・・・・あり?」

 

二人は目を丸くして見る。氷が勢いよく溶けているのだ。

 

「ま、まずいど!ユキダルモン、もう一発やんねえど!」

 

「わ、分かった!」

 

モジャモンとユキダルモンは慌てて準備を始めるがフレイドラモンは既に氷を完全に砕いて二人に迫る。

 

「え~!ちょ、ちょっとタンマ!」

 

「タ~イム!ストップ!」

 

「ファイアロケット!」

 

「わあ~!!」

 

二人の命乞いも空しくフレイドラモンは二人を吹き飛ばしていった。

 

「やった、俺も進化できたんだ!」

 

フレイドラモンは氷漬けになったヴリトラモンたちの方に戻る。

 

「兄貴、姉ちゃん。今すぐ助けるからな。」

 

フレイドラモンは腕に力を込めて炎を纏う。

 

「ナックルファイア!」

 

フレイドラモンが拳を打ちつけた瞬間、氷は勢いよく吹き飛び三人は解放される。

 

「う~寒かった!」

 

リリモンは肩を震わせながら言う。

 

「あれ?チビちゃん、その姿は?」

 

ライラモンは驚いた顔でフレイドラモンを見る。

 

「進化できたんだ!兄貴のおかげで!」

 

「俺のおかげだと?」

 

ヴリトラモンは不思議そうに言う。その直後にフレイドラモンはブイモンに戻った。

 

「あれ?元に戻っちゃった。」

 

ブイモンは残念そうに言う。

 

「最初の頃は誰でも長く頼めないようなものよ。」

 

残念そうな顔をしているブイモンをライラモンが慰める。しかし、ヴリトラモンは目を鋭くしたままだった。

 

「だが危機はまだ去っていないようだな。」

 

ヴリトラモンが後ろを向くとそこには巨大な影があった。影の後ろには先ほど吹き飛ばされたモジャモンとユキダルモンもいる。

 

「さっきはよくもオラたちを!」

 

「今度は親分がオレっちたちの代わりにオメエたちを倒すからな!」

 

ヴリトラモンはオメガソードを展開する。

 

「第二ラウンドということか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「束様、ベルスターモンが戻ってきます。」

 

「ベルちゃんが?すぐにゲートを開いて、クーちゃん。」

 

「了解しました。」

 

束と共に行動している少女、クロエ・クロニクルはパネルを操作しゲートを開く。ゲートからはバイクに乗ったベルスターモンが現れる。

 

「ただいま、束。」

 

「お帰り~、ベルちゃん。それでうまく回収できた?」

 

「勿論よ、ほら。」

 

ベルスターモンは土のスピリットを束に渡す。

 

「私が現場に行ったときはもう回収されていたけど持ち主がわかったからすぐに回収できたよ。」

 

「ほうほう、闇とは違ってこれはおぞましいオーラがないから落ち着くね。それでいっくんは元気だった?」

 

ベルスターモンは机に座ると数枚の写真を出す。そこにはヴリトラモンの姿が写っていた。

 

「一緒にいるかわいい娘ちゃんと坊やには『イチカ』って呼ばれているけど、本人は『ヴリトラモン』って名乗っているわ。」

 

「ヴリトラモンね・・・・」

 

束はそう言うとスピリットを棚の上に置き、またパソコンをいじり始める。その姿を見ながらベルスターモンは近くにあったコーヒーを飲む。

 

「相変わらずだね、束。それにしてもあの坊やが本当にこっち戻ってくると思うのかい?」

 

「戻ってくるよ、こっちにスピリットがあるんだからね。それにいっくんだけだとできないこともあるし。」

 

「それと妹の箒ちゃんは元気?あれ送ってから随分明るくなったけど?」

 

「私の妹だからね。今頃、コロちゃんと仲良くしているよ。」

 

そんなことを言いながら束は何かの設計をしていた。そこには「炎龍」と記載されていた。

 

 




今回の技

・リヒト・ズィーガー(ヴォルフモン)
・骨骨ブーメラン(モジャモン)
・ブンブンパンチ(ブイモン)
・ファイアロケット(フレイドラモン)
・ナックルファイア(フレイドラモン)

なんかネタバレしすぎたような気がする。

サイバードラモンの方が状況が良すぎたような気がしたので変えてみましたが相変わらず自分の未熟さに嘆いています。

次回も読んで頂けると幸いです。

それではまた次回。

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