ヴリトラモン・ストラトス   作:赤バンブル

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今回から第二部です。
初めていきなりですが

他作品のネタが多いので読む気をなくすかご機嫌を損ねる危険性があります。

途中でダメだと思ったときは急いで引き上げましょう。


ウィルスバスターズ編
謎の集団、ウィルスバスターズ現る


俺の名はヴリトラモン。

 

そのまま呼んでもいいが言いづらいならイチカと呼んでくれ。

 

 

突然だが今、俺たち四人はある村で捕まっている。いや、詳しく説明すればブイモンが調子に乗って警戒心なしで村に接近したところで落とし穴にはまり、それを助けようとした俺とリリモン、ライラモンも別の落とし穴にはまってしまい現在に至る。我ながら恥ずかしいことだ。しかし、奇妙なものである。普通の村ならともかくここの村は意地悪で有名なガジモンたちの村だったのだ。

 

「おい!いい加減にはいたらどうだ!」

 

ヴリトラモンたちを捕まえた張本人であるガジモンたちは警戒した顔で睨み付ける。今までの旅でガジモンは何度も見てきたヴリトラモンであったがここまで警戒心が強いガジモンたちを見たのは初めてだった。

 

「だから俺たちはそんなわけの分からん組織の一員ではない。」

 

「とぼけるな!お前たちはウィルスバスターズの仲間だろ!」

 

「だから何よ!そのウィルスバスターズって!?」

 

ヴリトラモンたちは訳の分からぬ誤解を受けながらもなんとかわかってもらえるように話をしていた。

 

 

 

ガジモンの村 リーダーの家

 

会話は一時間以上続いたが流石にガジモンたちも自分たちが誤解しているということを理解し、拘束を解いた。組織について知らない時点でわかると思うのだが。

 

「いや、すまない。最近ウィルス種同士以外のとはどうも警戒心が強くなっちまって・・・・」

 

リーダーのガジモンが頭を下げながら謝罪する。

 

「俺たちの誤解が解けたのならそれでいい。」

 

「ところでウィルスバスターズってなんなんだ?」

 

ブイモンが質問する。

 

「最近、見境もなくウィルス種の村やデジモンを容赦なく襲うワクチン種のデジモンの集団さ。なんでもウィルス種を殲滅するって言うのがモットーらしくて良い奴、悪い奴関係なく消すそうだ。」

 

「でも、なんでそこまで恐れるのよ?ウィルス種にも強いデジモンはいるでしょ?あのエテモンとか。」

 

リリモンは不思議そうに言う。ヴリトラモンもエテモンの噂ぐらいは知っていた。何しろ自分から「キング・オブ・デジモン」と名乗っているのだから。ところがガジモンたちは恐ろしそうな顔で答える。

 

「それがやられちゃったんだよ、エテモンが。」

 

「え?あの自称『キング・オブ・デジモン』って言っていたエテモンが?」

 

ライラモンは驚いた顔で言う。

 

「リーダーのサイバードラモンって奴に跡形もなく消されたんだとさ。」

 

「それにそのサイバードラモンって奴すごい能力を持っていてさ、なんと相手の能力を取り込めるんだとさ!おかげでエテモンが使っていた『ラブ・セレナーデ』や『ダークスピリッツ』で消された村やデジモンも多いんだとか・・・。」

 

語っているガジモンたちは思わず震えていた。

 

「とにかくそれだけウィルス種には血も涙もないってことさ。」

 

「・・・・・私達をどうりで警戒する訳ね。」

 

ライラモンは納得したかのように頷く。そんな矢先

 

「た、大変だ!ウィルスバスターズだ!」

 

「何!?もうこの村にも来たのか!」

 

ガジモンたちは慌てて戦闘準備を始める。ヴリトラモンたちも外に行って見る。

 

 

 

 

 

 

 

 

ガジモンの村 外

 

「おらおらどうした?ここには骨のある奴はいないのか?」

 

村の外にはグレイモンの集団とそのリーダーらしい左腕に銃を付けているライズグレイモンがいた。

 

「ウィルスは消毒だ~!」

 

グレイモンはメガフレイムでガジモンたちを燃やす。

 

「逃げろ~!」

 

ガジモンたちは慌てて逃げ出す。

 

「いいか!一人も生かすんじゃねえぞ!サイバーの兄貴からの命令だ。」

 

「了解!」

 

ライズグレイモンの指示でグレイモンたちは容赦なくガジモンたちを襲う。

 

「ひどい・・・」

 

リリモンは思わず言う。同じデジモンでここまでするとは・・・・。

 

「ひどすぎるよ!兄貴、アイツらをやっつけよ!」

 

ブイモンはヴリトラモンを見ながら言おうとしたがいつの間にかヴリトラモンはいなくなっていた。

 

「あれ!?いない!?」

 

「もうあっちにいるわよ。」

 

ライラモンが指を指す方では既にヴリトラモンは負傷したガジモンたちを庇ってライズグレイモンたちの前にいた。

 

「何者だ、貴様は?」

 

全身をマントで隠しているためライズグレイモンからはヴリトラモンは見えなかった。

 

「・・・・なぜ、こいつらを消そうとする。」

 

「答えになっていないな。」

 

ライズグレイモンはトライデントリボルバーを構える。それでもヴリトラモンは言葉を続ける。

 

「こいつらは何もしていない。なのになぜこいつらを消そうとするんだ?」

 

「てめえ!ライズの旦那に向かって!」

 

「おい、待て」

 

「やっちまえ!」

 

「おお~!!」

 

ライズグレイモンの命令を無視してグレイモンたちはヴリトラモンに向かってメガフレイムを一斉に発射する。ヴリトラモンのいた場所は一面にして火の海になった。

 

「お前らな・・・・俺の許可なしに攻撃するな!アイツがワクチンだったら俺たちみんな揃ってサイバーの兄貴に消されるぞ!」

 

「でも、いいじゃないですかい。現にこうやって跡形もなく・・・・」

 

部下のグレイモンたちが言い訳をしようとしたときである。

 

「・・・・・ニング・・・・」

 

「え?」

 

火の海から声が聞こえてきた。

 

「バーニングサラマンダー!」

 

火の海から突然火炎竜が現れたと思いきや一瞬にしてライズグレイモンを除くグレイモンたちを飲み込んだ。

 

「「「ぎゃああああああ!!!!」」」

 

グレイモンたちは跡形もなく分解されていった。ライズグレイモンは火の海の方を見る。そこにはマントが燃えてしまっているにもかかわらず炎を全身に纏っているヴリトラモンが立っており、その後ろには無傷なガジモンたちがいた。

 

「まさか・・・・あの火炎を全部自分の力に還元したというのか・・・・それにあの姿は・・・・あの十闘士のエンシェントグレイモン・・・」

 

ライズグレイモンの全身から冷や汗が流れる。ヴリトラモンは全身炎を纏った状態でライズグレイモンにゆっくりと近づく。

 

「・・・・・」

 

「く、来るな!来るんじゃない!」

 

ライズグレイモンはライジングデストロイヤーを放つ。しかし、恐怖のあまり出力が大幅に下がり、体が震えて標準が定まらず当たらない。それにも構わず、ヴリトラモンは近づいてくる。

 

「あ、ああ、あああ・・・」

 

ライズグレイモンはとっておきのトライデントリボルバーを構えるがヴリトラモンは彼の前に立つとすぐにオメガソードを展開し、一瞬にしてトライデントリボルバーを切断する。ライズグレイモンはもはや震えることしかできない。

 

「お、俺のリボルバーが・・・・・」

 

「お前の兄貴とかという奴に伝えろ。罪のないデジモンを消すのなら俺が相手をするってな。」

 

ヴリトラモンがそう言うと恐怖のあまりにライズグレイモンは泣きながら空へと飛んで行った。

 

「す、すげえ・・・・あんたスゲエよ!」

 

ガジモンたちは驚きながらヴリトラモンを見る。ヴリトラモンは少し照れくさそうな顔をする。

 

「やっぱ兄貴はスゲエな。」

 

「なんか以前のイチカよりも強くなっているような気がする。」

 

ブイモンたちはそう言いながらもヴリトラモンの方へと向かう。ヴリトラモンはガジモンたちにこの辺でスピリットらしきものを見なかったか聞く。

 

「それだったらこの先にある雪山に行くといいよ。あの山はデジタルワールド誕生の時十闘士の内の一体、エンシェントメガテリウムモンが住んでいたって言われているから。」

 

「まさか嘘じゃないわよね~?」

 

リリモンは怪しそうにガジモンたちを見る。

 

「助けてくれた恩人にまで嘘つくほど俺たち悪じゃないよ(汗)」

 

「まあいい、ありがとな。あ、それと・・・・」

 

「?」

 

「なんか新しいマントを作ってくれないか?あれがないと落ち着かない。」

 

新しいマントを作るためヴリトラモンたちは数日ガジモンの村に留まるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガジモンの村から遠く離れた砂漠にあるピラミッド

 

 

 

「・・・・兄貴、ライズが戻ってきたぜ。」

 

半サイボーグの体であるメタルグレイモンが薄暗い部屋の中で報告する。

 

「・・・・・・それで?」

 

「部下は全滅だ。あと、混乱していていまいち信用できないがエンシェントグレイモンに似たデジモンを見たとさ。その後泡吹いたから治療室に運んだけど。」

 

「ヌッフフフフ、ビンゴだな。」

 

薄暗い部屋の中で黒い翼を生やしたサイボーグ型デジモンサイバードラモンは面白そうに笑う。

 

「何がビンゴなんだ?」

 

「スピリットさ、俺以外にスピリットを集めている奴がいるのさ。」

 

サイバードラモンの手には獣の形をしたスピリットと人形みたいな形のスピリットを持っていた。

 

「そうなのかな?」

 

メタルグレイモンがそう言いながらもサイバードラモンは四つのスピリットを体に取りこむ。

 

「ぐっ・・・・・」

 

サイバードラモンは一瞬苦しそうになり、胸を押さえていたがすぐに平気な顔になる。

 

「だが、これで俺は既に光と土のスピリットを合わせて四つも体に取り込んだ。例え奴がスピリットを持っていようとも俺が消し飛ばしてくれる!」

 

サイバードラモンは余裕そうに言うが何が淋しい顔をしていた。

 

「あのさ、兄貴。もうやめないか?こんなことしてもあの人は・・・・」

 

メタルグレイモンは何か言おうとしたがサイバードラモンはすぐに苛立った声で言う。

 

「うるせえ!余計なことを言うとお前でも容赦しねえぞ!」

 

「わ、分かったよ。」

 

メタルグレイモンはそう言うと恐る恐る部屋を後にして行った。一人部屋に残されたサイバードラモンは自分の自画が飾ってある壁の近くに置いてある一つの写真を手に取り、見つめていた。

 

「・・・・所詮は外見で世の中決まるんだよな。外見で。」

 

サイバードラモンはそう言うと写真を元の場所に戻す。そして、明かりを消してベッドに入って眠りについた。夜の月に照らされた写真にはサイバードラモンと一人の天使が一緒に写っている姿があった。

 

「俺は認めねえ・・・・あんなことを・・・・」

 

サイバードラモンはそう言いながら眠るのであった。




今回の技
メガフレイム=グレイモン
ライジングデストロイヤー=ライズグレイモン
バーニングサラマンダー=アグニモン

新シリーズで「えっ?コイツがボス!?」と思う方が多いのかもしれませんがサイバードラモンはお気に入りの一体でもあるので温かい目でお守りください。

ちなみにコイツ、エテモンロードしているせいで若干エテモンに似ています。

次回はまさかのあの人物が絡んでくるかも・・・・・

次回がまたあればよろしくお願いします。

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