びょうじゃくぐらし。   作:久里浜燐

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9話、きゅうそく

「んー、やっぱ続けて3人も増えれば物資の減りが早いか…。」

若狭さんの書いた家計簿を見て、ついそんな言葉が出る。

「まあ、ただでさえ7人もいるしな。」

そんな会話を聞いていたのか、祠堂が質問をしてきた。

「三人って…私たちと、誰です?」

「ん、ああ…俺だ。数日前にこっちに避難してきた。」

そう言うと後輩組は意外そうにこちらを見る。

「え、でも…なんかずっと前から知り合いだったかのようにお互い話してますけど…」

「そうか?俺、今年こっちに引っ越してきたんだが。」

そう言うと二人はまた驚いたような表情をする。

「それにしては、あのモールの地図が頭に入ってたような…。」

「ん、親父と良く行ってたからな。色々と買いに。暇だったら一人でふらついてたのもあるが。」

「だから、この地図も七辻が書いたんだぜ?」

恵飛須沢が卓上の地図を後輩たちに見せる。

「ま、記憶を頼りにして書いたから正確じゃないところもあるんだが。」

「いえいえ、ほとんどこの図の通りですよ!」

正直、自分ではうろ覚えのところも多いからそこまでほめられて悪い気はしない。

「…それで、話を戻そうや。」

そういえば、今俺たちは物資の不足に陥る一歩手前だった。

「そうですね…保存食はあとどれぐらいあるんですか?」

「7人と一匹でおよそ5日分…ってところね。」

残量は見てたが計算はしてなかった。ありがとう若狭さん。

「あれ、そう言えば由紀先輩と佐倉先生はどちらに?」

祠堂が質問をしてくる。

「ゆきちゃんは今、授業中ね。」

そうか、この時間はあいつ佐倉先生と一対一で勉強してるのか。

「はぁ…俺もやらねぇとなぁ…。」

「でもマサ先輩、学力を使う機会なんてこの先…。」

「あー、いや…丈槍よりは学力つけないと、抜かれたら…なぁ?」

「あー…私もそうかも。」

恵飛須沢も同じような感情らしい。

「それじゃあ、勉強会…する?」

「あー…前向きに検討しよう。」

あんなことを言ったが正直、そこまでやろうとは思ってない。うっかの失言してしまった。

「たっだいまー!」

そんな会話の中、部室のドアが勢い良く開かれる。

「おう、お帰り丈槍。」

助かった、空気を変えてくれ。

「あれ、みんな何話してたの?」

「七辻君とくるみちゃんが勉強をしたいって言ってたのよ。」

畜生、鬼畜若狭め…

「そ、それより物資の方はどうなんだ?」

ナイスパス、恵飛須沢。

「た、確か…もうすぐ底をつくんだろ?」

「ええ、長くても7日ね。」

先ほどは5日と言ってたような…いや、長くて…か。節制に節制を重ねて、だろう。

「だったら、体育祭!」

「え、体育祭?」

つい、聞き返してしまった。

「みんなで体動かすと楽しくなるよ!つらい悩みもすっきり!」

なるほど、ストレス発散にも運動はいいと聞く…が、他の皆はどうだろうか。

「…たしかに、いいかもですね。」

「そうだな、最近運動不足ぎみだし。」

「それに、娯楽も必要だものね。」

恵飛須沢と直樹と若狭さんは賛成派らしい。

「よしっ、過半数だね!」

「待ってください丈槍先輩、体育祭をやるとしてもどこでやるんですか?」

祠堂から質問が飛ぶ。

「え、えーっと…空いてる教室で、かな?できるよね、めぐねぇ!?」

「難しいけど…準備さえすればできると思うわ。」

「…だよ!けいちゃん!」

佐倉先生からもできると聞いて嬉しそうに丈槍は言った。

「それにほら、太郎丸だって動きたそうにしてるし!」

「…わかりました。それじゃあ、体育祭…しましょう。」

 

こうして、顧問一人と部員七人とマスコット一匹に増えた学園生活部最初の活動は、体育祭に決まった。




どーも、別名義含めて一本ずつ執筆しては投稿を三日続けて赤疲労の久里浜です。

…いや、最初は体育祭の回にしたかったんですよ?ただ、書いてるうちにこう…なんというかまあ、次回体育祭になります。
この学園生活部が無事だったら、それはそれで楽しそうですよねぇ…。

最近、原作にはない組み合わせを会話させるのが楽しくなってきました、が…会話が少ないキャラの特徴をつかめなくて、ですね…特に祠堂ちゃんとか…。

いつものように、批評・感想・誤字脱字指摘待ってますっ!

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