「…ぇ、あれ…?」
どうやら俺はいつのまにか寝ていたみたいだった。隣には500ミリのペットボトルが蓋を開けて中身を零しながら倒れていた。
すこし勿体ないことをしたな、なんて思っていたら向こうから佐倉先生が歩いてきた。
「七辻くん、起きた…?」
「ええ、大丈夫です。ほら、この通りに」
手を軽く握って開いたり、起き上がって跳んだりすると、佐倉先生は安心したかのように一息つく。
「…あれ、そういえば他の皆は?」
「えっとね…丈槍さんが、学校の掃除を提案して…ね?」
なるほど、確かに丈槍なら提案しかねないな。
「それで…みんなは校舎、ですか」
「私は七辻くんを見てて、って言われちゃってね…」
「それじゃあ、もう監視義務も終わったことですし、合流しましょうよ」
「えっと、そのことなんだけどね…?」
そういうと佐倉先生は背中の後ろに持っていたクリアファイルを見せてくれた。
「年長組は、卒業証書でも書いて?って言われちゃって…」
…病弱もんと佐倉先生に片付けみたいな肉体作業は難しいって判断されたか。そう思いながら、佐倉先生と共に…佐倉先生のミスを訂正していくようにして本来使うべきの2倍の消耗品を使って人数分の卒業証書が完成した。
「それではこれより、巡ヶ丘学院高校の卒業式を執り行います」
…日の差し込む教室では、なぜか俺が進行役で卒業式が行われていた。
原稿は佐倉先生と若狭さんが作ったらしい。完璧すぎてとても悲しくなってくる。
「…在校生式辞」
「はいっ」
直樹が返事をして教卓に立つ。こういった時の内容は大体聞き流しているが、要約すると学園生活部の先輩方、佐倉先生、ここまで直樹に付き添っていた祠堂に礼を言うものだった。
「…えー…続いて、卒業生式辞」
「はいっ!」
今度は丈槍だった。若狭でも問題はないと思ったがどうやら知らぬうちに決まっていたらしい。
確かに、ここがあるのは丈槍の功績が一番大きいからな…と、そんなことを考えながら学園生活部での生活を思い出していると、いつの間にか終わっていたらしい。皆が涙を流していた。なんか申し訳ない。
「…え、えーと…せ、斉唱っ」
CDプレイヤーから伴奏を再生させる。涙も収まったのかそれぞれ歌いだす。
涙の卒業式もいいが、やっぱり最後くらいは笑顔でないと。
曲の演奏が終わり、証書の授与を佐倉先生がして、ここに卒業式が終わった。
だがまあ、まだ荷造りやら何やらが残っているから当分はここにいることになるだろうし、ここの次にどこに行くのかをまだ決めてないから、そこらへんも話し合わないと…
「七辻くんっ、車出して?」
「…え、佐倉先生…荷造りとか、って…?」
「七辻くんが寝ていた三日間で終わってるわよ?」
まさか自分が三日も寝ていたとは…まあ、療養のために休んだと思えば幾分かは楽だ。
とりあえず今は、次の目的地に向けて運転することを考えないとな。
久里浜です。
第一部完です。
…遅れて申し訳ございません、だいたい後半の期間はHDDがクラッシュしたおかげで筆を折るか悩んでいました。
前半の期間…?すこし別の作品を…((
と、言うわけで無事卒業した学園生活部。つぎに向かう先は?
原作がある程度進んだら(or2期放映したら)再び書くかもしれないですっ
それでは、その時まで。
次回は、予告的な感じになります。