「あーあー。こちらは空中管制、コールサインはスカイアイ…」
「ちょ、真面目にやってよななくん!」
酷い。少し遊んだらまさか丈槍に真面目にやれと言われる日が来るとは思わなかった。
『おーう!メビウス1、エンゲージ!』
どうやら恵飛須沢はこのネタを知っていたらしい。確かにあいつこういう趣味もありそうだった。
「こちらスカイアイ、交戦許可は出していない!」
「もー、くるみちゃんもななくんもー…」
丈槍が呆れてるのをよそに、これと恵飛須沢は本格的ヒコーキごっこごっこをやっていた。
事の始まりは、いつもながら丈槍の発言だった。
「むー…手紙だけじゃ足らないなぁ…」
「どうしたの、丈槍さん?」
部室で唸る丈槍と佐倉先生。丈槍の呟きが聞こえた俺はまた嫌な予感しかしなかった。
「ねえめぐねぇ、情報を発信するとしたら何を使う?」
「そうねぇ…ラジオ、とかなら…」
「なるほど、めぐねぇ!ありがと!」
そう言って丈槍は疑問を浮かべたままの佐倉先生から離れ、直樹の元に駈け寄る。
「ねえねえみーくん、この学校の施設でラジオって流せると思う?」
予想通りだった、嫌な予感とはこのことか。
「え、ええっ…でき、るとは思いますけど…。」
軽く頭を抱えている。かわいそうに。
「ふむふむ…みーくんありがとっ!」
満足そうに丈槍はそう直樹に言ってこちらに駈け寄ってくる。
「…全部言わなくても分かった、機材のセッティングはやるよ。」
「わーい!ありがとななくん!」
はぁ、放送室は何階だったか…ラジオの配信とか、やったことが無いんだがな…。
「くるみちゃん、七辻君?そろそろやめたら?」
ごっこごっこを終わらせたのはいつの間にか放送室に、それの俺の背後にいた若狭さんだった。
「…あっはい…メビウス1、作戦は失敗だ。」
『ちぇっ、メビウス1、帰還する。』
それが聞こえた後、駆け足のペースでの足音が聞こえた。軽く遊んでるな、まだ。
「若狭先輩、セッティング終わりましたー…って、七辻先輩、怒られてるんですか?」
なんともまあタイミングの悪いことに祠堂が来た。
「いや、これは怒られてるとかそういうのじゃなくてだな…」
「七辻君がくるみちゃんと一緒に任せられたマイクのセッティングを早々と切り上げて遊んでたでしょ?」
「あっはい…」
この間と言い今と言い、先輩としての威厳が崩れ切っている気がする。
「作戦失敗だって、スカイアイ!」
勢いよく扉を開けて恵飛須沢が入ってきた。その顔がすぐに青ざめていってる。
「くるみちゃん、どこ行ってたの?」
俺と恵飛須沢は再び、鬼を見た。
「…じゃあ、また明日?来週?のこの時間も、オンエア楽しみにしててね!」
ふぅ、終わった…ヘッドセットを外して力を抜く。
「…待って、七辻君!何か聞こえた!」
「…え、マジで!?」
佐倉先生に言われて慌ててヘッドセットを付け直す。
『こちらメビ…じゃなくて恵飛須沢!ヘリが一機いる!形式までは判別不能!七辻、屋上まで来てくれ!』
「ああ、分かった!…佐倉先生、ここお願いします。有事の際はすぐに逃げてください。」
「え、ええ…分かったわ、七辻君。」
俺は再びヘッドセットを外して階段を屋上まで一気に駆け上がった。
「り、りーさん…怖い…」
「大丈夫よ、ゆきちゃん…?」
屋上で最初に見たのは震えてる丈槍を抱きしめてる若狭さんだった。
「おーい、七辻!あれだ!」
呼ばれて振り返って恵飛須沢の方を見ると空を指差している。そちらを見ると一機のヘリコプター…UH-1が飛んでいた。
「…UH、1…J!?」
立川の自衛隊が?いや、国籍マークがついてない。
どこかのゲリラが?PMCが?俺の頭の中を様々な推測が駆け巡るが、どれも決定的なものではなかった。
「…あ、堕ちるぞ!」
意識を戻したのは、恵飛須沢の叫び声だった。
フラフラと機体が揺れたかと思えば、そのまま失速していく。
ローターの回転が止まって、機首を下にほぼ垂直に降下していく。その先にあったのは…
「校庭だ、校庭に落ちるぞ!見てくる!」
そう言ってさっき駆け上がったばかりの階段を下りる。後ろから二人付いてくる気配がするが、誰かを確認する余裕は無かった。
佐倉先生は、異変に気付いたのだろうか。無事に逃げているのだろうか。それだけが心配で、ただ放送室まで走って行った。
どうも、久里浜です。
今回は色々とあって書き始めが遅れましてー…申し訳ないです。
げ、ゲームはやってませんよ?今回のエスコンネタも前にやったものですし…。
現在、友人と言いますか有志と言いますか…まあ、リアルな友人たちとギャルゲを作っておりましてー…で、そのシナリオと一人分の立ち絵を描きます。まあ情報は追って次第ということで…。とまあこういうことがあって書き出しが遅れましたが、結局投稿は送れなかったので問題ないですね!((
というまあ、私信です。
今回も、意見感想批評誤字脱字報告待ってます!