艦これ Short Story《完結》   作:室賀小史郎

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提督に素直になれないの会に所属する艦娘達。

独自設定含みます。


艦これSS七話

 

 ○○鎮守府、第三会議室ーー

 

 会議室内の円卓を囲む複数の艦娘達。

 

 ドアから一番離れた十二時の席に鎮座するのは、吹雪型駆逐艦の五番艦、叢雲。

 当鎮守府では初期艦・電に次ぐ古参で、提督を支える重臣。戦艦の艦娘達も一目置いている頼もしい艦娘だ。

 

 そして叢雲の右から、霞、満潮、曙、大井、天津風、伊168、長月、菊月、敷波、熊野と参入順に座る。

 

 彼女等は叢雲を筆頭に提督への気持ちを素直に表せない乙女達が、共に支え合い、素直になろうと努力する為に集った会である。

 

 その名は『提督に素直になれないの会』

 

 最初は互いに支え合うなんて馬鹿馬鹿しいと思っていた乙女達だったが、プライドが邪魔をして一人で現状を打破する事など皆無であると悟った。

 

 ならば同じ境遇な者同士、どうやって現状を打破するかを考えようと最初に歩み寄ったのが叢雲、霞、満潮の三人。それからも同志は増え、今では十一人となった。

 

 そして、今日はまた新たに同志を迎え入れる為の集まりだ。

 

叢雲「みんな集まったわね。じゃあ、早速だけど新たに加わる会員を紹介するわ。さ、みんなに挨拶なさい」

 

 叢雲に促され、叢雲の隣に立ったのは暁だった。

 

暁「暁よ……これからよろしく」

 

 軽く挨拶をして暁は空いている席に着いた。

 

曙「まさか暁が入るなんて思わなかったわ。あんた結構素直そうだと思ってたから」

 暁にそう声をかけるのは、綾波型駆逐艦の八番艦の曙。

 提督に好意を抱いているが、着任時に『クソ提督!』と恥ずかしさの勢いで言ってしまい、今の今まで謝ろうと思ってもつい『クソ提督!』と呼んでしまい、この会に入った。

 

天津風「確かにね~。でも、仲間が増えるって事はそれだけ意見が出るって事だし、私は歓迎するわ」

 

 暁を笑顔で迎えるのは陽炎型駆逐艦九番艦の天津風。

 提督に頭を撫でてもらう事が好きで、遠征任務や料理等を甲斐甲斐しく行うが、普段からしっかりした態度を取る為、素直に『撫でて』と言えない。しかも撫でられると顔が赤くなってしまう為、その時は真っ先に逃げ出してしまい、後々後悔する。

 そんな自分を変えたくてこの会に入った。

 

168「そうね、私も歓迎するわ。でも、てっきり初風が入ってくるのかと思ったわ」

 

 天津風と同じく暁を迎え入れるのは、海大Ⅵ型潜水艦一番艦、伊168。通称イムヤ。

 この会のメンバー内で一番提督へ素直に気持ちを伝えられるが、肝心な所でツンとしてしまう。その対策の為、この会に入った。

 

長月「いや、初風はクールなだけだ。ちゃんと司令官の目を見て受け答え出来るしな」

菊月「そうだな。私達とはそこから違う」

 

 イムヤの言葉にそう返すのは、睦月型駆逐艦の八番艦、長月と九番艦の菊月。

 どちらも提督へ強い好意を抱いているが、性格故に素直になりきれない為、なかなか気持ちを伝えられない。

 そんな時、叢雲にこの会の事を教えてもらい入会した。

 

熊野「ふふ、とりあえず歓迎会と言うことで、紅茶をお淹れしますわ」

敷波「お昼前だからちゃんとした歓迎会はまた今度だね」

 

 笑顔で紅茶を淹れるのは最上型重巡洋艦四番艦、熊野、その紅茶をみんなに運ぶのが綾波型駆逐艦二番艦の敷波だ。

 熊野はつい態度が高飛車になってしまいがちで、敷波はすぐに嫉妬してしまう。

 そんな二人に手を差し伸べたのが霞と満潮だ。

 

暁「みんなありがとう。私はレディだから、なかなか気持ちを素直に伝えられないのよね。つい、強がって見せちゃうところとかあるし……。でも、大井さんにこの会に誘ってもらえてよかったわ! こんなに仲間が居るのって心強いもの!」ニコ

全員『(天使が居るわ)』ホホエマー

 

 暁の言葉に和む『提督に素直になれないの会』メンバー。

 

 熊野が淹れた紅茶で一息ついた後、叢雲が暁に確認をした。

 

満潮「暁、最終確認なんだけど、あなたちゃんと規約は守ってよね?」

暁「当然よ。でも、みんな守ってるなら大丈夫じゃない?」

霞「まぁね……。それに私達の会は一番そんな状況になるのが薄い……と思いたくないけど……でも、でもでも! だからこそその時の為にこうして準備をしなきゃいけないのよ!」

 

 最終規約

 提督から告白、プロポーズ等をされたらされた本人は自分の提督への気持ちと提督へ想いを寄せている全員の気持ちを伝える事

 

叢雲「アイツにプロポーズとかされたら……っ////」ボン

 

 叢雲の反応を見て、全員が自分が当事者になった時の事を思い浮かべる。

 

満潮「司令官からそんなことされたらヤバイわよね……////」ウツムキ

霞「あのクズのことだから、すっごい笑顔で言うんでしょうね……////」モジモジ

曙「いや、アイツは超が付く真面目だから、真顔で来るってのもあるわ////」

大井「それもそれでアリね」グッ

天津風「方膝を突いて……////」プシュー

168「左手を取って……////」ポッ

 

 \キミガスキダ キャーキャー/

 

長・菊『』プシュ←鼻血

敷波「ちょ、鼻血鼻血っ!」

長月「ふ、不覚を取った……////」フキフキ

菊月「だが実に良い光景だった……////」フキフキ

熊野「ふふ、とりあえずは淑女として堪えることを覚えなくてはいけませんね……////」カオマッカ

暁「とにかくみんな司令官からどんな風に告白されても、嬉しいことには変わらないってことよね!」ニパー

 

全員『っ……仰る通りです////』カオマッカ

 

 恋する乙女達は今日も仲良く赤面するのであった。




今回も短めですがご了承を。
読んでくれて本当にありがとうございました!

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