艦これ Short Story《完結》   作:室賀小史郎

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姉妹艦ほのぼの回。


艦これSS六話

 

 ○○鎮守府、一○○○、中庭ーー

 

木曾「おい姉貴達、寝てばっかいないで少しは訓練とかしたらどうなんだ?」

 

 そう呆れながら言うのは球磨型の五番艦、重雷装巡洋艦で末っ子の木曾。

 球磨型一の武闘派でよく天龍と剣の修行をしている。

 

球磨「球磨はゆとりをもった生活を大切にしてるクマー。今日は非番なんだからゆっくりさせろクマー」

多摩「そうにゃそうにゃ。せっかくこんなに良い天気の日に非番なら、日向ぼっこに限るにゃ」

 

 木曾の言葉を気にすることなく日向ぼっこを続行するのは、球磨型軽巡洋艦一番艦、長女の球磨とその二番艦で次女の多摩。

 二人共出撃すれば立派な働きをするが、基本的にはのんびりとスローライフを大切にしている。

 

北上「アタシはこの前まで出撃しまくってたからね~。提督から暫くは大井っちとお休みって言われたから」

大井「そうね、あの提督もたまには気が利くわよね。こうして北上さんと一緒にしてくれるし、どんなに忙しい時でもお休みくれるし」

 

 中庭のベンチでくつろぎ笑顔を見せるのは、球磨型の三番艦と四番艦の重雷装巡洋艦の北上と大井だ。

 北上はマイペースだが、仕事はきっちりこなす天才肌の艦娘。

 大井は北上ラブだが、戦闘ではとても頼もしい縁の下の力持ちタイプの艦娘。

 

 みんなは中庭に集まりくつろいでいる中、日課の朝練を終えた木曾がそれを見つけて、姉達に声をかけたのだ。

 

木曾「非番だからこそ、訓練すんだろ? 提督なんて夜遅くとか早朝とかによく稽古してるんだぜ? だからあんなに強いんだからな」

球磨「提督は超人だから仕方ないクマー」

多摩「寧ろ提督のようになろうなんて考えるのが間違いにゃ」

大井「そうそう。……私としては提督はもう少し身体を大切にしてほしいくらいだわ」ヤレヤレ

北上「大井っちはアタシと同じくらい提督のこと好きだもんね~」ニシシ

大井「き、北上さん! どうしてみんなの前でそんなこと言うの!」カオマッカ

球磨「いや、あれだけ提督を目で追ってれば誰だって分かるクマ」

大井「っ!?」

多摩「ついでに大井の手帳に提督の写真が入ってるのもバレバレだにゃ」

大井「!?////」ボン

 

 顔を赤く染め、ぐうの音も出ない大井を見て姉妹達は、

 

四人『(乙女がいる(にゃ)(クマ))』

 

 いつもは素っ気ない態度の大井とはまるで別人なのを微笑ましく見ていた。

 

北上「あれ、そう言えば大井っち。そろそろ用事の時間じゃないの?」

大井「え? ……あぁ、本当! ありがと、北上さん。じゃあ、北上さん、姉さん達、木曾。私は用事があるからまた部屋でね! お昼前には戻るから!」

 

 そう言い残して大井は中庭から出ていった。

 

木曾「大井姉貴はなんであんな急いでんだ? なんかの任務か?」クビカシゲ

球磨「んなことないクマー」

多摩「どうせ、例の会議にゃ」

木曾「???」コンワク

 

北上「まぁ、木曾っちには分かんなよね~。大井っちはね、今から会議室で『提督に素直になれないの会』の集まりに行ったんだよ~」

木曾「なんか聞いただけで嫌な予感しかしないな」

球磨「その会だけじゃなくて『提督から幸せを貰い隊』、『提督LOVEの会』、『提督の全てを世話し隊』、『提督はパパ倶楽部』等があるクマー」

木曾「えぇ~」ヒキギミ

 

多摩「更にその各会の長が月一で情報交換をしてる総会もあるにゃ」

木曾「…………」ドンビキ

北上「木曾っちが入ってる『提督を尊敬する会』も似たようなもんじゃん?」

木曾「…………何故知ってる?」

球磨「妹の趣味くらい分かるのが姉だクマ」ドヤ

多摩「別に隠す必要ないにゃ。それくらいで引いてたらこの鎮守府で暮らせないにゃ」ドヤ

北上「そうそう。あ、因みに大井っちもそれ知ってるからね~」ニシシ

木曾「~~~~っ!////」カオマッカ

 

 木曾が姉達からひとしきりからかわれた後、木曾はわざとらしく咳払いをして話題を振った。

 

木曾「姉貴達は俺や大井姉貴みたいな集まりには入ってないのか?」

球磨「無所属と言う名のグループになると思うクマ」キリッ

多摩「そういうのに縛られず自由に提督と接するのが一番にゃ」キリッ

北上「そうそう。提督のこと嫌いな訳じゃないけど、そういうのめんどそうだし~」ノビー

 

 その反応を見て木曾は「あぁ、流石姉貴達だな」と心底感じたのだった。

 

球磨「ま、球磨達は今この時をのんびり過ごすクマー」ゴロン

多摩「だにゃ~」マルマル

北上「だね~」ノビノビ-

木曾「…………」

 

 木曾はのんびり過ごす姉達を見て、自分も芝生の上に寝転んだ。

 

球磨「木曾がのんびりタイムに参加するなんて……」

多摩「砲弾が降ってきそうにゃ……」

北上「艦爆かもよ~?」

木曾「ひでぇ言われようだな。俺だってこうするのは嫌いじゃないさ。ただ姉貴達がいつも怠け過ぎなんだよ」

三人『そんなことない(にゃ)(クマ)』

 

 ハモる三人の姉を木曾は「どうだか」と言いつつ笑顔で空に視線を移した。

 その笑顔はとても穏やかな笑顔だった。

 

 そんな木曾に習うように姉三人も雲一つない空を見上げ、仲良く穏やかな時を満喫した。




今回は短めですがご勘弁を。
読んでくれて本当にありがとうございました!

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