艦これ Short Story《完結》   作:室賀小史郎

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空母メイン。


艦これSS五話

 

 執務室ーー

 

提督「ふ~」(-.-)y-~

 

 大本営へ電文、各報告書を確認しサイン、更に遠征組の長良達の来訪と何だかんだ時間が掛かった。

 

 時計を見ると針は二一一五。

 

 食堂は二三時まで開いているが、今日は鳳翔の店に行こう。喫煙席もあるしな。

 と、その前に食堂の間宮さんに朝雲と山雲が釣った魚の刺身を貰わないとな。

 

 そうと決まれば即行動開始だ。

 煙草、ジッポライター、財布、後は鳳翔に手土産のお菓子、間宮さんに刺身を取りに行くという連絡。

 火の消し忘れ確認。戸締まり確認。

 

提督「よし。では、行こうか」

赤城「上々ね」キリッ

加賀「流石に気分が高揚します」キリッ

 

 ん?

 

提督「…………どうした、二人揃って?」

赤城「提督が食堂に現れなかったのでお迎えに」

加賀「そうしたら何か準備をしていたので待っていたのよ」

 赤城の隣に居るのは赤城の相棒、正規空母の加賀。赤城と同じ一航戦でうちの鎮守府を代表する正規空母だ。物静かだが、人一倍強い心を持っている。最近来た五航戦の娘達の訓練をしてもらっている。

 

提督「何か報告か? 報告書には特に何ら問題は無かったが」

加賀「みんな優秀な子達ですから」

提督「そうだな。中でも瑞鶴には特に目を掛けてやっているな」

加賀「あの子は伸びしろがあります。私の持つ全てをあの子に教えるつもりですから」

提督「加賀がそこまで言うなら私も期待しよう。何せ私は加賀をとても信頼しているからな」ニコッ

加賀「…………やりました」グッ

赤城「良かったわね加賀さん。では提督早く行きましょう!」グイッ

提督「私は鳳翔の店に行くよ」

加賀「知っています。提督が煙草を箱で持っていく時は鳳翔さんの所と決まってますから」

 

 んん?

 

提督「要するに奢ってもらいたい訳だな?」

赤城「私は今日のMVP。本日遠征が大成功した時、提督は艦隊みんなに報酬を与えたそうですね? ならば私にも報酬があるのは当然だと思います!」

加賀「大丈夫です、提督。赤城さんが鳳翔さんのお店を潰さないようにする為に私が同行して、ストッパーになりますから」

提督「そうか……分かった。私も普段の君達への感謝も込めて御馳走しよう。他の空母の皆には内緒だぞ?」

赤城「上々ね!」グッ

加賀「やりました」グッ

 

 居酒屋『鳳翔』ーー

 

 赤城と加賀を連れて鳳翔の店に来た。途中間宮さんの食堂で刺身を受け取ってから。

 店の佇まいも鳳翔らしさが溢れ、時が過ぎるのを忘れる程に居心地が良い店だ。

 

 ガラガラーー

 

提督「鳳翔、邪魔するぞ」

赤城「こんばんは」

加賀「お邪魔します」

鳳翔「あらあら、皆さんお揃いで。いらっしゃいませ」ニコ

提督「座敷を使わせてくれ、海軍の赤は化け物だからな。後これ、食べてくれ。私は持ち込んで悪いが刺身を持ってきたからこれを頂くよ」

鳳翔「まぁ、カステラですね、ありがとうございます。分かりました」ニコ

 

赤城「鳳翔さん、とりあえず焼き鳥全種類二人分で!」キラッ

加賀「提督は此方へ、此処は譲れません」キリッ

提督「あぁ、分かったよ」

 

 赤城を正面に置き、私と加賀が横並ぶ。

 鳳翔は忙しそうに妖精さん達と厨房で働く。

 

妖精い「みなさんおしぼりとお冷やです」

妖精ろ「こちらは灰皿です。こちらは取り皿とお箸です」

妖精あ「お飲物はどうするです?」

 

提督「私は日本酒の白雪を冷燗で」

赤城「私はビールをジョッキで!」

加賀「ウーロンハイをください」

三妖精『かしこまり~♪』

 

 妖精さんは先にお酒を運んできた。

 それぞれ杯を持ち乾杯をする。

 

三人『乾杯!』カチン

 

加賀「提督、お酒弱いのではなくて?」

提督「これくらいなら大丈夫だ。流石に私一人だけお酒を飲まないのは二人に悪いからね」

赤城「流石提督、分かってますね~♪」

加賀「ありがとうございます」

提督「気にするな。さ、加賀も食べたいのを頼みなさい」

加賀「赤城さんがもう頼んでます」

提督「……だから全種類二人分だったのか」

加賀「はい。提督、宜しければ私の分の焼き鳥を食べますか?」

提督「良いのか?」

加賀「はい。此処の焼き鳥は二本で一皿です。全種類二本あるのですから、半分子しましょう」

提督「ありがとう。でも、流石に全種類は食べられないから、レバーと鶏皮とネギマを半分にしてくれ。後は刺身があるからな」

加賀「分かりました」

鳳翔「は~い、焼き鳥全種類二人前お待たせしました~」ドンッ

赤城「上々ね!」ガツガツ

加賀「流石に気分が高揚します」パクパク

 

 ガラガラーー

 

隼鷹「鳳翔さん来たよ~! ヒャッハー!」

龍驤「お邪魔するで~!」

飛鷹「お邪魔します」

瑞鳳「こんばんは~!」

祥鳳「こんばんは」

 

 続々とうちの鎮守府の軽空母達が来店してきた。

 

隼鷹「お、提督に一航戦ズじゃん! お疲れ~!」

飛鷹「隼鷹ちゃんと挨拶しなさいよ! すいません。そしてこんばんは」ペコリ

 

 飛鷹型軽空母姉妹の飛鷹と隼鷹。

 飛鷹は真面目でうちの鎮守府で経理と事務を担当してくれている。

 

 隼鷹は対照的に飲兵衛で常に酒瓶を持っているが、飛鷹の手伝いをよくやってくれている。

 

龍驤「加賀やんも此処に来るなら言ってくれたら良かったやん、いけずやな~!」

加賀「ごめんなさい。まさかこうなるとは思わなくて……」

 

 加賀にそう話し掛けるのは軽空母、龍驤。

 明るくて面倒見がよく誰とでも仲良くなれる艦娘だ。

 

祥鳳「鳳翔さん、お手伝いしましょうか?」

瑞鳳「赤城さん居るんですから、無理しないで!」

鳳翔「あらあら、ありがとう。なら、少し手伝ってもらおうかしら」

 

 赤城を見た途端、鳳翔にそう申し出るのは翔鳳型軽空母姉妹の祥鳳と瑞鳳だ。

 

 祥鳳は少し控え目で物腰が低いが、褒めるられると凄く喜ぶので少し子供っぽいところがある。

 

 妹の瑞鳳はしっかり者で甘え上手。龍驤や大鳳とはよくお泊まり会をする仲だそうだ。

 

 みんなは私達に挨拶をし、私達のテーブルに他のテーブルをくっ付けて座敷をつくる。

 

提督(まるで宴会の様だ)

 

 卓の様子を見ながらそう思っていると、何やらみんなは端に集まって何かを始めた。

 

龍驤「ええか? 後腐れ無しの一発勝負やで?」

瑞鳳「最初は絶対グーからだからね?」

五人『(コクリ)』

龍驤「ほな、行くで~! 最初は……」

五人『グー! ジャンケン、ポン!』

 

飛鷹→チョキ

隼鷹→パー

龍驤→パー

瑞鳳→パー

祥鳳→チョキ

 

勝者『やったー!』バンザーイ

敗者『負けた~!』orz

 

 どうやらジャンケンをしていたみたいだ。

 

飛鷹「じゃあ提督、お隣失礼しま~す♪」

祥鳳「前、失礼しますね」

提督「あぁ、構わないよ」

隼鷹「鳳翔さん、日本酒なんでもいいから持ってきて~!」

龍驤「つまみは枝豆で~!」

瑞鳳「私は焼酎で~!」

加賀「荒れてるわね……」

飛鷹「ま、仕方ないわよ」

 

 妖精さん達が隼鷹達に酒を注ぎ、私達ももう一度それぞれの杯を持って改めて乾杯した。

 

瑞鳳「鳳翔さん、卵焼きなら任せて!」

祥鳳「私は仕込みをしときますね!」

鳳翔「えぇ、お願い。私は煮物や揚げ物をするから!」

 

妖精あ「追加で鶏とゲソの唐揚げ三人前!」

妖精い「追加のお酒持っていきます!」

妖精ろ「こっちのお皿洗い終わりました!」

 

 なかなかの熾烈さである。

 

加賀「提督、お水を」

提督「あぁ、ありがとう」

飛鷹「提督、白雪少し頂きますね」

提督「なら、私が注ごう」

飛鷹「ありがと……う~ん、提督のお酌だと余計においしいわ~♪」

 

赤城「ご飯御代わり! 何してんの~!」

妖精ろ「はいはい、ただいま~!」

 

隼鷹「今日は負けたが、提督は渡さないからなぁ~!」

龍驤「ちょっちペース早いんとちゃうか? 飛鷹の隣に居るんやから、そんなやさぐれなくても良いやろ」

 

 本当に賑やかである。

 その後も隼鷹達は飲み続け、飛鷹は隼鷹をおぶり、被害にあった龍驤は瑞鳳と祥鳳に肩を借りて店を去った。

 

提督「あいつらの分もこれで頼む。あとこれは迷惑代だ」

鳳翔「あらあら、気を遣わなくても良いんですよ?」

提督「いや、妖精さん達の分もあるからな。今日は楽しかった。だから受け取ってくれ」

鳳翔「では、お言葉に甘えて……また来てくださいね」ニコ

加賀「ご馳走さまでした、鳳翔さん」

赤城「ご馳走さまでした!」

鳳翔「は~い。また来てね~」

 

 店から出ると満天の星空が広がっていた。

 

提督「良い空だ。明日も良い天気になるな」

加賀「そうですね。明日は実際に海で訓練するのも良いかもしれません」

赤城「明日は出撃がないから、私もお手伝いするわね」

 

 明日の事を話ながら、私達はお酒の酔いを冷ますついでにゆっくりと歩く。

 すると、私の両隣に居た加賀と赤城が私の腕に自身の腕を絡めてきた。

 

提督「どうしたんだ、二人して?」

赤城「いつも駆逐艦の子達にこうされてるじゃありませんか」

加賀「私達だってこうしたい時だってあります……」

提督「そうか……美女を両手になんて私も偉くなったな」

赤城「提督はまだお若いですが、その貫禄としゃべり方のせいで歳上に見られますからね」

提督「まだこれでも二十五なんだがな……」

加賀「貫禄があるんですから、別に気にすることではないと思うけれど?」

提督「そうか。ありがとう」

 

 こうして私達は仲良く鎮守府へと戻っていき、私の一日が終わっていった。

 

提督「あ、執務室の冷凍庫にアイスがあるぞ? 食べるか?」

赤城「上々ね!」キリッ

加賀「流石に気分が高揚します」キリッ

 

 二人に腕を引っ張られてーー。




ここまで読んでくれて本当にありがとうございます!
とりあえず一区切りです。

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