艦これ Short Story《完結》   作:室賀小史郎

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軽巡洋艦、駆逐艦メイン。


艦これSS四話

 

 埠頭、昼下がりーー

 

 港へ着くと、私の目でも目視できる距離に第三艦隊は来ていた。

 五十鈴を先頭に駆逐艦四名、最後尾に由良という単縦陣だ。

 

 第三艦隊のみんなはすぐに私と朝潮の存在に気が付き、笑顔で手を振っている。

 私と朝潮は敬礼をし、第三艦隊を迎えた。

 

 

五十鈴「第三艦隊、旗艦五十鈴、遠征任務から帰還よ!」

提督「御苦労様。何か報告する事はあるか?」

五十鈴「特に無いわ。敵も居なかったし、索敵機やソナーにも反応は無かった。資材も予定数運べたわよ」

提督「そうか。後で詳しい詳細を報告書にまとめてくれ。これからも頼らせてもらうよ」ナデナデ

五十鈴「了解よ。資材の搬送を終えて、ドックと補給を済ませたら取り掛かるわ」ニコニコ

 

提督「由良も御苦労様。後で五十鈴と一緒に報告へ来てくれ」ナデナデ

由良「ふふ、分かった。ならその後で私の髪すいてほしいな? 良いよね? ね?」ニコニコ

 

提督「暁、響、御苦労様。ゆっくり休んで次まで英気を養ってくれ」ナデナデ

暁「このレディに任せなさい!」ドヤァ

響「司令官の為ならやってやるさ」ニコ

 

提督「吹雪と白雪も御苦労様。ゆっくり休んで次の時も頼むよ」ナデナデ

吹雪「は、はい! 吹雪、頑張ります!」ドキドキ

白雪「はい、次も頑張ります////」ニヘラ

 

 第三艦隊を見送り、私と朝潮はまた海の方へ視線を移す。

 

 するとまた別の艦隊が遠征任務から帰ってきた。

 

長良「第二艦隊、旗艦長良、遠征任務より帰還。任務中の敵との接触、発見はありませんでした。資材も無事予定数確保してまいりました!」

提督「うむ、御苦労様。物資搬送した後、ドックと補給を済ませ、報告書の作成に取り掛かってくれ」ナデナデ

長良「えへへ、了解です!」ニコ

 

鬼怒「その時はいつも通り私も一緒に行くからね!」

提督「あぁ、頼むよ。鬼怒も御苦労様。後少しだけ頑張ってくれ」ナデナデ

鬼怒「うんうん! 鬼怒に任せて!」ニッ

 

提督「雷と電も御苦労様。ゆっくり休んで休息を取ってくれ」ナデナデ

雷「司令官の為にこれからも、もっともっと頑張るわ! だからもっと頼りにしてよね!」デヘヘ

電「はぅ……電ももっとお役に立てるよう、頑張ります! だからちゃんと見ていてほしいのです////」ドキドキ

 

提督「初雪と深雪も御苦労様。次の遠征任務までゆっくり休んで疲れを癒してくれ」ナデナデ

深雪「おう! 任せとけって!」ニッ

初雪「ん……次までゴロゴロしつくす」ダラ

 

 

 

 第二艦隊も無事帰還し、後は第四艦隊の帰りを待つのみ。

 遠征先が先の二艦隊より少し遠い為、もう暫くは時間が掛かるだろう。

 

 私が防波堤に腰を下ろすと、朝潮も私のすぐ横に腰を下ろした。

 

提督「やはり夏の時だけでなく常時クーラーボックスに飲み物を入れて、みんなを迎えた方が良いかもしれないな。遠征後に水分補給をさせるだけでも少しは楽になるかもしれない」

朝潮「ふふっ、本当に司令官は優しいですね。飲み物持って出迎える鎮守府なんて聞いたことないです」

提督「そうなのか? 世の中には出迎えてハグまでする提督が居ると聞いた事があるぞ?」

朝潮「はぐ……とはなんでしょう?」クビカシゲ

提督「抱擁の事だ。海外ではスキンシップや挨拶でやるな」

朝潮「抱擁……嬉しいと思う反面、恥ずかしいですね////」

提督「そうだな。流石に私には出来ない行為だ。ならせめて、普通に出迎える事くらいはしてやりたい」

朝潮「今のままでも皆さんは満足してますよ。私自身、不満なんてありませんから!」グッ

提督「ははは、ありがとう。今日は朝潮に自信をもらってばっかりだな」ナデナデ

朝潮「ぅぅ~。わ、私は当たり前のことを言っただけです……////」

 

 すると、夕日に照らされ複数の影が見えてきた。

 

 第四艦隊は大荷物を引きながら帰ってきた。

 

名取「だ、第四艦隊、遠征任務から帰還しました。旗艦名取、本日の報告に移ります。資材は予定数より多く確保することに成功。途中索敵に一度反応がありましたが、敵影は見えず交戦には至りませんでした」

提督「そうか、みんな御苦労様。任務大成功のご褒美に間宮さん特製、スペシャルパフェの引換券を贈呈しよう」

 

 すると第四艦隊は皆『やった~♪』と万歳三唱した。

 

提督「名取、資材を工廠に運んだらみんなとドックへ行って補給するように。それから報告書をまとめて来てくれ」ナデナデ

名取「はい……あ、あと、ご褒美もありがとう、ございます……////」ニヘラ

 

提督「阿武隈、名取を手伝ってやってくれ。もう少しだけ頑張ってくれ」ナデナデ

阿武隈「あたし的にはオッケーです! 寧ろもう一回遠征しに行けるくらいやる気ありますよ!」ニパッ

提督「そうか。でも、そのやる気は次に取っておいてくれ。また頼むな」ニコ

 

提督「叢雲、磯波も御苦労様。次の任務までゆっくり休んでくれ」ナデナデ

叢雲「フン、私が居るんだから当たり前よ。次も期待してなさい!」フンス

磯波「提督さん、ありがとうございます。次も頑張ります////」エヘヘ

 

提督「綾波、敷波も御苦労様。ゆっくり休んでまた次の任務に励んでくれ」ナデナデ

綾波「はい、ありがとうございます。司令官に褒められるように頑張ります」ニコニコ

敷波「つ、次も司令官の期待に応えられるよう頑張る。だからまた……ううん、何でもない////」スタコラサッサー

 

 全艦隊無事に帰還したのを見届け、私と朝潮はまた執務室へ戻り、各報告書が提出されるのを待った。

 

 

 執務室ーー

 

朝潮「司令官、お茶をお持ちしました」

荒潮「羊羮もあるわよ~♪」

大潮「司令官、肩でも揉みましょうか!?」

満潮「どうしてもって言うなら、私も揉んであげるわよ?////」

朝雲「司令、今日は私と山雲が釣った魚が夕食のお刺身に使われるのよ! あんまり間食してお刺身食べられなくなったら許さないからね!?」

山雲「一杯釣れたんだよ~? あ、こういう時は大漁って言うんだっけ?」

 

霰「……霞は司令官の側に行かなくていいの?」

霞「な、何であたしがわざわざあんなクズのとこに行かなきゃならないのよ! あっちがあたしのとこに来るのが筋でしょ!」

 

 本日はもう各報告書を待つのみだが、朝潮型の姉妹が勢揃いするとは思わなかった。

 

 最初、荒潮と満潮が顔を出した時は朝潮も笑顔だったが、最後に朝雲と山雲が来た時は私に凄い勢いで謝っていた。

 

 姉妹が勢揃いするのは良いことだし、私も賑やかな雰囲気は嫌いじゃない。だから朝潮に気にしないように言うと、朝潮は心底ホッとしたような表情に変わり、お茶を淹れてきてくれた。

 

 

 コンコンーー

 

提督「入りなさい」

赤城「失礼します……あら、賑やかですね、提督。本日の出撃に関する報告書を持ってきました」ニコ

提督「おかげで楽しいよ。どれ……うん、大丈夫だ。本日もお疲れ様」

赤城「はい、ありがとうございます。ではお先に失礼します」ペコリ

 

 赤城が出ていくと、荒潮が透かさず出撃報告書用のファイルを持ってきた。

 

荒潮「はい、提督」

提督「ありがとう」ナデナデ

荒潮「うふふ~♪」ルンルン

 

 コンコンーー

 

提督「入りなさい」

 

扶桑「失礼致します。提督、本日の訓練での各報告書を持って参りました」

山城「後、本日の訓練で消費した訓練用の砲弾等の報告書です」

大和「提督、本日の演習での報告書です」

提督「ありがとう。こちらは後で目を通して問題が無ければそのまま受理する。皆お疲れ様」

 

 三人が出ていくのを確認し、私が時計を見ると針は一八○○を過ぎていた。

 

提督「朝潮、本日の秘書艦任務は終了だ。お疲れ様」

朝潮「え? しかし、司令官はまだその報告書を確認するんじゃ……?」

提督「後で確認するよ。私が決めた秘書艦の任務は一八時までだ。それにこれが私の仕事だ。気持ちだけ受け取っておくよ」ナデナデ

朝潮「はい……ありがとうございます。次の任務も全力で頑張ります!」グッ

提督「あぁ、期待しているよ。時間も時間だ、みんなと夕飯を食べてきなさい。私は大本営に電文を送らないといけないからね」

朝潮「それくらい待ちますのに……」ボソ

荒潮「ほら、朝潮ちゃん。提督のご厚意なんだから、行きましょ~!」

満潮「そうよ。司令官の仕事は司令官がやればいいんだから」グイ

 

 二人に手を引かれ執務室を出る朝潮。他のみんなも私に礼儀正しく一礼して出ていく。

 

(さて、私は私の仕事を終わらせよう)

 

 朝潮が淹れてくれたお茶を飲み干し、私は机の書類と向き合ったーー。




ここまで読んでくれて本当にありがとうございました!
次も頑張ってあげます!

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