艦これ Short Story《完結》   作:室賀小史郎

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晩秋は魔の季節!? の談。

キャラ崩壊、独自設定、他作ネタ含みます。


艦これSS三百話

 

 ○○鎮守府、一二○○ーー

 

 食堂ーー

 

 今日も食堂は多くの艦娘達で賑わっていた。

 日夜深海棲艦と戦い、訓練、任務を遂行する彼女達にとって間宮達が作る料理はまさに力の源であり、彼女達がしっかりと日々を送る上でとても大切なのだ。

 

 しかし、ある者達には時として天使のように残酷な凶器へと変わるのだ!

 

阿賀野「ぐすっ……ううっ、う〜……」グスン

夕張「ううっ、えぐっ……くぅ!」エグエグ

グラーフ「うっ、ううっ……」シクシク

アイオワ「うわぁぁぁぁぁん!」ビエーン

ウォスパ「………………」ポロポロ

 

提督「なぁ、みんな。泣いていないで、好きな物を食bーー」

能代「甘やかさないでください!」

大淀「好きな物を食べ続けた結果がこれです」

加賀「私達だってこんなことはしたくないの」

大和「ですが、これは彼女達の為なんです」

金剛「デスカラ、テイトクはノータッチネ!」

 

 アイオワ達は泣いていた。あのウォースパイトまでも無言のままポロポロと涙をこぼしている。

 そんなアイオワ達の目の前にはラーメンフェアであるにも関わらず、麦飯・ワカメのみそ汁・青菜の胡麻和え・沢庵という精進料理的献立が並べられていた。

 

 そう、アイオワ達は慢心してしまったのだ。そして慢心した結果、バルジが増加してしまった。

 それに警鐘を鳴らしたのが金剛達だ。金剛達はアイオワ達のウエイトが元に戻るまでの間、鬼になることを誓った。それは愛する友として、愛する姉妹として、苦渋の決断だった。

 

潮「みんな泣いてるね……大丈夫かな」オロオロ

漣「こればっかはね〜……漣達も注意しなきゃね」

朧「食べた分、動いてれば大丈夫だと思うけどね〜」

曙「そうもいかないからああなってるんでしょ」ヤレヤレ

赤城「皆さん可哀想ですね」モグムシャ

武蔵「そう言いながらも、また炒飯をおかずに白米食ってるのか、お前は……」

比叡「ウォースパイトさん、痩せてると思うけどな〜」

榛名「アイオワさんも大丈夫かと……」

霧島「ところがそう言ってられないと金剛お姉さまは感じたようです。アイオワさんに限っては揚げバターも食べてましたし……」

矢矧「阿賀野姉さんは最近動いてなかったからね」ハァ

酒匂「あたし食べても太らないんだよね〜」ピャー

長門「大丈夫。お前はそのままでいいんだ」ナデナデ

陸奥「そうよ。そのままの貴女でいいの」ナデナデ

酒匂「ぴゃ〜?」

 

 アイオワ達が苦行に挑む中、他の艦娘達はそれを遠巻きに眺めつつ食事していた。

 どうして遠巻きなのかと言うと、アイオワ達の側で普通の食事をするのは申し訳ないのと、自分達も油断したらああなるのだということを見ておくために、敢えて遠くから見ているのだ。

 

潮「でもあそこまで制限しなくてもいいんじゃないかな〜」

漣「まぁ確かにちょっと大袈裟な気もするよね〜」

朧「間宮さん達なら低カロリー定食とか作れるもんね〜」

武蔵「それではまた慢心してしまう恐れがあるから、敢えてあれくらい制限しているのだろう」

霧島「どんなに泣かれても、どんなに憎まれても、その真髄はアイオワさん達を心から慈しむ金剛お姉さま達の愛……ということね」

曙(こっちもこっちで大袈裟な……)

赤城「見ていられませんね」

 

 すると赤城は空になった丼を持っておかわりを貰いに行った()()()に、アイオワ達の座るテーブルへ歩み寄った。

 

赤城「皆さん、麦飯もいいですが、やはり白米を食べましょう? その方がお腹だって喜びますよ」ニコッ

アイオワ達『赤城(さん)……!!』キラキラ

 

 アイオワ達からしたらこの時の赤城は何重もの後光で見えていない程だっただろう。それくらい赤城はアイオワ達へ希望の光を与えた。

 しかし、そう簡単に解決することではない。透かさず加賀がその意見に反論した。

 

加賀「胃袋を喜ばせ過ぎた結果が今なのです。今の内からちゃんと自制出来るようにしなくてはいけません」

 

 すると赤城は加賀の肩をポンッと叩き、加賀を諭すようにゆっくりと語り出した。

 

赤城「食事の時はね、誰にも邪魔されず自由で……なんというか、救われてなきゃいけないと思うの……みんなで楽しく豊かで……」

加賀「赤城さん……」

赤城「それにこの丼の白米は私の分なので皆さんにはあげられません」ニコッ

加賀(なんていい笑顔をするのかしら……)

 

 加賀は赤城の最後の言葉に盛大なため息を吐いた。

 

加賀(どうしてこうも食に関してはいつもこうなのかしら……)

 

 そんなことを考えていると、赤城の背後に忍び寄る影が二つあった。

 

グラーフ「…………」ゴゴゴゴゴ

アイオワ「…………」ニコニコニコニコ

加賀「あ」

 

 と、次の瞬間、アイオワとグラーフは赤城の手から丼を掻っ攫い加賀に渡した。

 

加賀「へ?」ウケトリ

赤城「わ、私のご飯!?」

 

 一航戦が混乱に陥る中、アイオワとグラーフは赤城へ追撃を仕掛けた。

 

 ガシッ!

 

赤城「痛っイイ! お……折れるぅ〜〜〜!」ハワー!

 

 赤城の両腕はアイオワとグラーフにより見事なアームロックを掛けられた。

 

ウォスパ「やってしまいなさい」ニコニコ

阿賀野「食べ物の恨みは怖いんだから!」

夕張「しかもあれだけ食べても太らない赤城さんは妬ましい!」

 

 他のみんなも赤城に敵意剥き出しである。

 

提督「やめてあげなさい。そしてアイオワとグラーフ、それ以上はいけない」ドォドォ

 

 提督が珍しく慌ててアイオワとグラーフを止めると、

 

アイオワ「赤城が〜!」ウワーン

グラーフ「虐めた〜!」ウエーン

 

 まるで子どものように泣きじゃくって提督の胸に飛び込んだ。

 

提督「赤城だって悪気があった訳じゃない。ただ本能に忠実なんだ」ナデナデ

加賀(フォローが何だかおかしいわ提督!)

 

提督「こんなことになる前に、これからしっかりと自分で注意すればいい。みんなは日々、戦ってくれているんだ。今後は好きな物をちゃんと食べられるように、辛いだろうが今だけ耐えてくれ」ナデナデ

アイオワ達『はい!』キラキラ

 

赤城「結果的に私の言葉通りになりましたね」キリッ

加賀「いいえ、赤城さんではなく、提督のお陰です」キッパリ

 

 その後、アイオワ達は精進料理的な献立も美味しく頂き、自制心を高めるのだったーー。




今回は乙女の大敵に挑む艦娘達を書きました!
赤城さん扱いがちょっとアレでしたがご了承を。

今日は前回に書いた通り、重巡洋艦『衣笠』がアメリカ空母『エンタープライズ』艦載機攻撃を受けて沈んでしまった日です。
この日に沈んでしまった衣笠と亡くなられた英霊の方々に心からお祈りします。
この日にネタ回にしてしまったことについてはどうかご了承ください。

そして今日は潮ちゃんの竣工日です!
おめでとう、潮ちゃん!

では今回も読んで頂き本当にありがとうございました!

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