艦これ Short Story《完結》   作:室賀小史郎

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肌寒い夜に。の談。

キャラ崩壊、独自設定含みます。


艦これSS二百八十八話

 

 鎮守府正面海域、二二○○ーー

 

 今回の第一艦隊の面々は今夜も地元秋刀魚漁船の支線と護衛任務に就いていた。

 此度の任務では一度だけ戦闘があった。小破する者が出たものの、誰も中破以上の傷は負わずに済んだ。

 そして艦隊は無事に任務を終え、只今帰投の最中である。

 

武蔵「傷は痛まないか、浜風?」

浜風「これくらないなら大丈夫です♪ ご心配ありがとうございます」

 

 複縦陣の右列、最後尾に位置し今回の旗艦である武蔵が自分のすぐ前を進む浜風にそう声をかけると、浜風は笑顔で返した。

 

武蔵「仲間を気遣うのは当然だ。気にするな」ニッ

浜風「はい」ニッコリ

 

 そんな話をしていると、

 

「え〜っくしゅっ!」

 

 浜風の左隣に位地している谷風が盛大なくしゃみをした。

 

陸奥「あらあら、大丈夫?」

 

 谷風の後ろに位置する陸奥が声をかけると、

 

江風「大丈夫だろ♪ だって谷風は馬鹿じゃん♪」

 

 左列の先頭を進む江風がズバッと言い放った。

 

谷風「せめて風の子って言ってよ!」

海風「江風がごめんなさい」ニガワライ

 

 江風にツッコミを入れる谷風に、右列先頭を務める海風が代わりに謝る。

 

谷風「っとにいいよね〜、改二だし、マフラーとマントがデフォで寒さ対策バッチシでさ〜」ムス

江風「これは仕方ないだろ、江風が決めたんじゃないしよ〜」ニガワライ

谷風「そうだけどさ〜」

 

 若干ふてくされたような物言いの谷風。そんな谷風に陸奥がなだめるように言った。

 

陸奥「次はちゃんと海風ちゃんや浜風ちゃんみたいに、カーディガン着て来なさいね」

谷風「それがさ〜、戦闘中は戦闘中で半袖の方がいいんだよね〜」ニガワライ

武蔵「なら私みたいに羽織ればいい。それで移動中は着れば問題解決だ」

谷風「おぉ〜! いいかも!」

 

海風「(最初に気が付かないのでしょうか?)」コソッ

浜風「谷風は少し抜けている所がありますから」ニガワライ

 

 そんな話をしていると、谷風が何か思い付いたかのように切り出した。

 

谷風「そ〜言えばさ〜、陸奥さんとか武蔵さんっておヘソや腕から全部出してるけど寒くないの?」

陸奥「その言い方だと私達が何も着ていないみたいじゃない」ニガワライ

海風「でも本当に寒くないのですか? 上半身もそうですが、スカートも短いですし……」

武蔵「はっはっは、私達戦艦は鍛え方が違うからな〜。これぐらいで寒い等とは言わないな」

江風「すっげ〜!」キラキラ

浜風「陸奥さんはどうですか?」

陸奥「私は……みんなよりは丈夫ね。でも姉さんや武蔵ほど寒さに強くはないわ」ニガワライ

海風「なるほど……」フムフム

武蔵「さ、雑談は終わりだ。我らが鎮守府が見えて来たぞ」

 

 武蔵の言葉に江風や谷風は『帰ってきた〜!』叫び、それぞれ海風と浜風に注意された。そんなホッとする海風達を陸奥と武蔵は優しく眺め、笑みをこぼした。

 そして武蔵達、第一艦隊は鎮守府の埠頭へと辿り着くのだった。

 

 

 ○○鎮守府、二二三○ーー

 

 埠頭ーー

 

 埠頭では提督が笑顔で武蔵達を出迎えてくれた。

 江風や谷風は嬉しさからか、提督のそれぞれの腕に抱きついた。陸奥や武蔵、海風、浜風は提督に笑顔で敬礼を返した。

 

 それから武蔵が一歩前へ出ると、江風達も提督から離れ、後ろへ整列した。

 

武蔵「艦隊帰投だ。先に報告した通り、任務中に一度敵艦隊との交戦あり。交戦中、浜風が小破。谷風、江風が小破手前。私を含む海風、陸奥の三名は無傷だ。敵艦隊は無事に殲滅し、護衛対象である地元漁船の船体、乗組員共に負傷者無し。最後に帰投中の敵との接触無し」ケイレイ

提督「うむ、了解した。皆、ご苦労だった」ケイレイ

艦隊『はっ!』ケイレイ

 

提督「ドックへ行って各自、傷の修復、精密検査をしてから補給をしてくれ。それが終わったら食堂へ来るように。皆への夜食を用意してあるからな」ニカッ

武蔵「ありがたい……楽しみにしているよ」ニッコリ

陸奥「お気遣いありがと♪」ウインク

江風「やった〜! 飯だ飯だ〜♪」バンザーイ

谷風「粋な計らいだね〜♪」バンザーイ

海風「ありがとうございます、提督」ニコッ

浜風「ありがとうございます!」ニコニコ

 

 こうして武蔵達は提督と別れ、修復や補給に向かった。

 

 

 食堂、二二五○ーー

 

 修復や補給を済ませた武蔵達はルンルン気分で食堂に着いた。

 中へ入ると提督だけでなく、間宮、伊良湖、速吸が揃って武蔵達を笑顔で出迎えた。

 そして一つのテーブルには大皿におにぎりの山が存在感を放っていた。

 

提督「さぁ、食べなさい。皆のために作った夜食だ」

間宮「任務後ですから、気兼ねなく食べてくださいね♪」

伊良湖「今夜もお疲れ様でした♪」

速吸「たんと召し上がってください♪」

 

 武蔵達は笑顔でお礼を言い、テーブルを囲み、一斉に『いただきま〜す!』と言ってからおにぎりを頬張った。

 

武蔵「このデカいのが姉さん達が言っていた爆弾か……実に美味い」モッモッ

陸奥「ホント……おいひぃ♪」モキュモキュ

 

 陸奥と武蔵は提督が握った大きなおにぎりを頬張り、その味に舌鼓を鳴らした。

 一方で海風と江風も駆逐艦であるがLOVE勢たる者、提督お手製おにぎりを食べない訳にはいかないとばかりに、小さな口に運んでいた。

 

江風「でっけぇ〜! 美味ぇ〜!」ハグハグ

海風「噂以上の美味しさ……」ハムハム

提督「噂にまでなっているのか?」

海風「はい♪ なんたって提督の手作りですから♪」

提督「何の変哲もない大きなおにぎりなんだがな」ニガワライ

江風「それがいいンだよ♪ やっぱさ、手料理って気持ちがこもってるし♪」

提督「喜んでもらえているのなら何よだ」ニカッ

 

 すると間宮達が厨房から鍋を持って来た。

 

間宮「今日は寒かったですから、けんちん汁もお作りしました♪」

伊良湖「お野菜をふんだんに使いまして、味噌仕立てにしました♪」

速吸「心も体もぽっかぽかです♪」

 

谷風「わぁ〜♪ 豪華だね〜!」キラキラ

浜風「ありがたくいただきます」ニコッ

江風「里芋〜!」キラキラ

海風「感謝ですね」ニコニコ

武蔵「これはこれは……食い過ぎるかもしれないな」ハッハッハ

陸奥「その時は提督が責任を取ってくれるのよね?」

 

 陸奥がそう言って提督に流し目を送ると、

 

提督「そうだな。いくらでも鍛練に付き合うぞ」ニカッ

 

 爽やか笑顔の盛大な空振りに終わった。

 しかし陸奥は想定内だったらしく、いつも通りに『よろしくね♡』と笑顔を返した。

 

 その後も武蔵達は提督達の用意した夜食を堪能し、身も心も満たされるのだったーー。




今日はこの前の時と少し似た回になりましたが、肌寒い日に食べる汁物の回ということでよろしくお願い致します!
本日は武蔵さん、江風ちゃん、谷風ちゃんの進水日なので揃って共演させました♪
みんなおめでとう!

では此度も読んで頂き本当にありがとうございました☆

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