艦これ Short Story《完結》   作:室賀小史郎

292 / 330
軽空母メイン。

キャラ崩壊、独自設定含みます。


艦これSS二百八十四話

 

 ○○鎮守府、二一○○ーー

 

 執務室ーー

 

川内『ーー報告は以上だよ』

提督「ん、了解した。帰投する際は潜水艦に注意しつつ、敵の夜間偵察機にも注意を払ってくれ」

川内『了解』

 

 川内は提督に元気良く返すと通信を切った。

 今夜の第一艦隊の面々は地元の秋刀魚漁船の支援と護衛任務に就いてる。そして先程の通信はそれが無事に終わり、これより帰投するという報告だった。

 

提督「ふぅ……」

 

 川内との通信を終えた提督は張った背筋を少しだけ緩め、安堵の一息を吐いた。

 

龍鳳(本日秘書艦)「お疲れ様です」

 

 すると透かさず龍鳳が温かいお茶が入った湯呑を提督へ差し出した。提督はそれを受け取ると「ありがとう」と笑顔で返した。

 程良い熱さの緑茶を一口飲みつつ、提督は窓から暗くなった海を見つめた。

 

龍鳳「皆さん、きっと大丈夫ですよ」

 

 龍鳳は提督の肩に手を置き、提督が安心するように優しく声をかけた。

 

提督「……そうだな」フフ

 

 昨日のニムの一件もあり、提督は少し気を張り詰めていた。それを龍鳳に見透かされた提督は『私もまだまだだな』と思い、龍鳳が淹れたお茶をグイッと飲み干した。

 

提督「ご馳走様。では我々も、皆が戻って来る前に行動を開始しよう。龍鳳、もう少しだけ力を貸してくれ」

龍鳳「はい、勿論です」ニッコリ

 

 それから提督と龍鳳は湯呑や急須を洗った後で、目的の場所へ向かった。

 

 

 食堂ーー

 

 カランカランーー

 

間宮「お待ちしておりました」ニコッ

伊良湖「準備も出来てますよ♪」

速吸「各食材もバッチリです♪」

 

 食堂へ入ると厨房の方から間宮達が笑顔で提督と龍鳳に声をかける。

 そして調理台には炊きたての銀シャリや焼き海苔、そして梅干しや鮭といった食材が綺麗に並んでいる。

 これから提督達は夜間任務から戻って来る艦隊の娘達の夜食として、おにぎりを作るのだ。

 

 これは提督が夜間も頑張る艦隊の娘達へ感謝と労いを示すために当初から行っていることで、中には(主にLOVE勢)提督お手製おにぎり目当てで夜間任務へ参加したいと嘆願書を出す者達もいる。

 

提督「遅くまですまないな。ありがとう」ニコッ

龍鳳「早速取り掛かりましょう♪」

 

間宮「今日は長門さんと大和さんも居るからいつもより多めに作りましょう」フフ

伊良湖「真心込めてむすびましょう」ニッコリ

速吸「皆さん楽しみにしてくれてますからね♪」

 

 こうして提督達はおにぎり作りを開始した。

 勿論提督は軍服の上着を脱ぎ、軍帽や軍手も取って、黒のシンプルなエプロンを装備した上で料理へ取り掛かった。

 間宮や龍鳳といったLOVE勢の二人は提督のエプロン姿に内心見惚れながらも、しっかりと料理に取り組んだ。

 

間宮「提督は手が大きいので長門さん達のおにぎりを握るのにピッタリですね♪」

提督「はは、私のような無骨な手で握った物よりは、皆のようなしなやかで綺麗な手で握った物の方が美味しいと思うがな」

間宮「……そ、そんな、大袈裟です////」テレッ

龍鳳「そ、そうですよ〜、それにお料理は真心が大切ですから……////」ハゥ

 

 提督は間宮と龍鳳の言葉に「そうか」と小さく笑って返し、更に、

 

提督「ならばやはり皆の方が美味しいおにぎりなるだろう。皆の真心はこの身を持って味わっているからな」ニカッ

 

 爽やか笑顔で悩殺台詞を放った。

 その言葉に間宮や龍鳳だけでなく、伊良湖や速吸も被弾し、甘酸っぱい空気が厨房に広がった。

 

 するとそこへ、鎮守府の夜間見回りをしている夜偵妖精が提督達の元へやって来た。

 妖精は提督達に艦隊が帰投したことを知らせに来たのだ。

 提督は妖精に労いの言葉をかけ、間宮達におにぎりの準備を頼んで自分は艦隊の様子を見に埠頭へと向かった。

 

 

 埠頭ーー

 

川内「ん〜……帰りも敵が出て来なかった〜……不完全燃焼って感じ〜」

神通「いいことです。残念そうに言わないでください」ニガワライ

長門「しかし探照灯で照らすだけでもあんなに網に掛かるものなんだな。任務だったが見ていて楽しかった」フフフ

大和「確かにそうね♪ お礼に水揚げしたばかりの新鮮な秋刀魚も頂いちゃったし♪」ニコニコ

那珂「スポットライトを浴びるのは那珂ちゃんの役目だけど〜、今夜は仕方ないからお魚さんに譲ってあげた〜」

夕張「スポットライトって……」ニガワライ

 

提督「皆、ご苦労様。怪我は無いようだな」

 

 艦隊がそれぞれの艤装を妖精達に預けつつ、任務時の話をしていると、提督がやって来て艦隊へ労いの言葉をかけた。

 

川内「あ、提督〜♪ 見て見て〜、秋刀魚貰ったよ♪」

那珂「たっだいま〜♪」キャピッ☆

夕張「しっかりと支援も護衛も出来ましたよ♪」

 

 現れた提督に駆け寄って無邪気に報告する川内達。しかし、一方の長門、大和、神通はそれどころではなかった。

 

長門「…………♡////」キュンキュン

大和「はわわ〜♡////」ドキドキ

神通「はぅ……♡////」ポッポッ

 

 三人は提督に目が釘付けだった。

 何故なら、恋い焦がれる提督がエプロン姿で自分達の目の前に現れたから。

 

提督「長門達もご苦労だったな。先ずはドックで精密検査をするように。その後補給したら、皆にはおにぎりを用意してあるから食堂へ来なさい」ニッコリ

長門「あ、あぁ……感謝する♡////」デレッ

大和「何だか新婚さんみたい♡////」ヤンヤン

神通「♡////」コクコク

 

 提督の言葉に新婚さんシチュを妄想するLOVE勢達。そんなポヤッとする三人を川内達は苦笑いを浮かべてながら、三人の背中を押してドックへと誘導していくのだった。

 

 それを見送った提督は食堂へ戻るため、埠頭を後にした。

 

 

 二一三○、食堂ーー

 

川内「頂きま〜す♪」人

神通「頂きます」人

那珂「いっただっきま〜す☆」人

夕張「頂きます♪」人

長門「頂きます!」人

大和「頂きます」人

 

 精密検査等を終えて食堂へ来た川内達は礼儀正しく手を合わせてから、提督達が作ったおにぎりにかぶり付いた。

 

川内「ん〜♪ 美味し〜い♪」モグモグ

神通「梅干しの酸っぱさがまたいいですね♪」パクッ

那珂「那珂ちゃんは〜、鮭〜♪」ムグムグ

夕張「私はやっぱり昆布かな〜♪」モキュモキュ

 

伊良湖「まだありますからね」ニコッ

速吸「お新香もありますよ♪」

 

長門「私達のはデカくて食いごたえがあるな」ハグハグ

大和「えぇ、任務成功の後だと味も格別ね!」パクパク

 

提督「それは良かった……」ホッ

間宮「良かったですね、提督」ニコッ

龍鳳「長門さん達のは提督が一生懸命握りましたからね」クスッ

 

長・大・神『っ!』

 

 龍鳳の言葉にLOVE勢へ電撃が走る!

 

長門「美味い! なんて美味いおにぎりなんだ!」ガツガツ

大和「こんなに美味しいおにぎりは初めてです!」モッチャモッチャ

神通「わ、私もお一つください!」ギラギラ

 

川・那・夕『』ニガワライ

 

 その後、提督お手製おにぎりを食べたLOVE勢の三人は暫くの間、キラキラ状態を維持したとかーー。




今回は秋刀魚イベっぽいほのぼの回にしました!
夜食のおにぎりって美味しいですよね♪
流石日本のソウルフード!

では此度も読んで頂き本当にありがとうございました☆

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。