少し真面目なシーン、キャラ崩壊、独自設定、独自解釈含みます。
今回は前編後編で分けます。
いつもより少し長めです。
○○鎮守府、一五○○ーー
食堂ーー
おやつ時を迎えた食堂は今日も艦娘達で賑わっていた。
カランカランーー
間宮「いらっしゃいませ♪」
伊良湖「いらっしゃいませ!」ニコッ
速吸「いらっしゃいませ〜」ニコニコ
するとまた食堂へ多くの艦娘達がやって来た。その顔ぶれは長良型姉妹と阿賀野型姉妹という軽巡洋艦姉妹達だった。
みんなはそれぞれ甘味を頼むと、みんなで一つの大きなテーブルにまとまって座った。
長良「いや〜、提督も気前いいよね〜♪ 全員分のおやつ奢ってくれるんだもん♪」
由良「鬼怒ちゃんと阿武隈ちゃん効果かな?」フフフ
五十鈴「加えて能代のこともあるからじゃない?」
能代「あはは……」ニガワライ
矢矧「まぁ、能代姉さん達にとって今日は特別な日だからね」
名取「提督の心遣いに感謝しようね」ニコッ
阿賀野「そうだね♪ あんなことがあった日でもこうして笑顔で過ごせてるんだもん♪」
阿武隈「提督のお陰////」エヘヘ
酒匂「司令は優しいよね♪」ニコッ
鬼怒「マジパナイよね!♡」ニコニコ
みんなで提トークに花を咲かせていると、速吸がみんなの頼んだ甘味を運んで来た。
みんなは仲良く「頂きます」をしてから、美味しい甘味に笑顔をこぼした。
一九四四年のこの日は鬼怒、阿武隈、能代が沈んでしまった日なのだ。
阿武隈「ん〜♪ おいひぃ♪」キラキラ
名取「良かったね」フフフ
由良「ダイエットはまた延期ね」ニヤニヤ
阿武隈「由良お姉ちゃ〜ん、それ内緒って言ったのに〜!////」
長良「なら私と毎朝走り込みしよう!」メラメラ
阿武隈「えぇぇぇ〜!?」
今でこそこうして過ごしている阿武隈だが、この日の軽巡洋艦『阿武隈』は先のスリガオ海峡海戦から何とかミンダナオ島に到着し、そこで応急処置を行った。その後で駆逐艦『潮』と共にコロンへ向かう途中、アメリカ軍の空襲にあう。
この空襲で阿武隈は直撃弾三発、至近弾四発という致命傷を受け、その後に魚雷発射管へ引火した炎が阿武隈の船体に亀裂を入れ、誘爆により船体が切断、ここで阿武隈は海へ沈んでしまった。
そしてその後すぐに第一水雷戦隊は解隊することとなる。阿武隈はスリガオ海峡から離脱する際、第一水雷戦隊旗艦の座を駆逐艦『霞』へ譲った後だった。
能代「あ、それなら阿賀野姉ぇのこともお願いします♪」
阿賀野「
矢矧「いい考えね♪ そういうことなら私も付き合うわ♪」
阿賀野「
酒匂「」ニガワライ
抗議してても食べる手は休めない阿賀野に、笑顔で「すぐに気を抜くから」と言い放つ能代。
そんな能代もこの日は先のサマール海戦へ出撃し、二水戦旗艦として暴れ回った。
しかし空襲に対しては少ない対空機銃で応戦し、空襲を乗り越えるものの、肝心の速度が低下してしまった。
そして翌日の十月二十六日にはアメリカ軍の空襲が再び能代を襲った。第一波の攻撃によって、ボイラー室で浸水が発生。それにより一時航行不能の危機に陥る。懸命な修復と傾斜回復を行い、その難を乗り切ろうとしたが、その矢先に敵の第二波が始まった。
未だ航行が再開していなかった能代はその攻撃を回避することが出来ず、瞬く間に被弾。やがて艦首から徐々にその身を海へと預けていくことになった。
五十鈴「私もダイエットしようかしら……最近制服の上着がキツくて」ニガワライ
名取「あ〜私も……」ニガワライ
鬼怒(あれでまだ改造を残しているというのか!?)←劇画調
矢矧「実は私もなの……毎日鍛練してるのに……」ズーン
酒匂「筋肉が付いたからじゃない?」
鬼怒(違う。絶対に違う!)←劇画調
周りの会話に内心で全力ツッコミをしている鬼怒もこの日に沈んでしまった艦である。
軽巡洋艦『鬼怒』はレイテ沖海戦へ赴くことになっていたが、急遽レイテ島への兵員輸送を務めることになった。
そしてマニラへ向かう途中で現れたアメリカ潜水艦『ブリーム』によって、行動を共にしていた重巡洋艦『青葉』が被雷。その被雷により青葉は航行不能となったが、鬼怒は自分よりも大きな青葉を曳航して、なんとかマニラへと到着することに成功した。
しかし任務はここからだった。
輸送はマニラからではなく、ミンダナオ島からレイテ島へというルート。先ずはミンダナオ島へ向かわなくてはならなかった。
鬼怒は駆逐艦『浦波』と輸送船三隻と共にミンダナオ島へ向かうが、アメリカ軍がそれを黙って見過ごすはずがなかった。
二度の空襲を浴びせ、その内、最初の空襲で鬼怒の乗員は五十名近くの死傷者を出してしまった。
それでもなんとかミンダナオ島についた鬼怒達は、アメリカ軍が哨戒する海域を迂回して兵員を輸送し、無事レイテ島まで三四○名の兵員を送り届けることに成功。
しかし、鬼怒達がマニラへ戻っている最中、アメリカ空母の艦載機約五十機と遭遇してしまう。
この艦載機は栗田艦隊を撃滅するためのものだったが、その航路に突如現れた鬼怒達を目にすると、目標を鬼怒達に変更した。
こちらは軽巡洋艦と駆逐艦が一隻ずつで、残りの輸送艦は戦力とは呼べず、絶望的だった。
すぐに浦波が被弾し、炎上、後に轟沈へと追い込まれると、鬼怒もその圧倒的戦力差に為す術もなく、艦尾や艦後部に集中攻撃を受け、遭遇からおよそ四時間後、鬼怒は航行不能になり、やがて海の中へと沈んでしまった。
レイテ沖海戦では、戦場にいない艦も失われていたのだ。
長良「なら明日から姉妹みんなで朝は走ろうか♪」
五十鈴「遠征前には持ってこいね、いいわよ♪」
名取「私もいいよ」ニコニコ
由良(ダイエットのことなんて言わなきゃよかった……)←真っ白
鬼怒(遠征前にあの距離はいけない!)
阿武隈「あはははは♪」←現実逃避
長良の提案に笑顔で賛成する五十鈴と名取。二人は着任当初から長良と同じように訓練をして来たため何ら問題無いが、由良、鬼怒、阿武隈からすれば三人の走り込みは地獄の三丁目まで走る勢いだと分かっているので顔色がみるみる悪くなった。
矢矧「じゃあ、その走り込みに私と阿賀野姉さんも参加しましょうね♪」
能代「頑張ってね♪」サワヤカエガオ
阿賀野「えぇぇぇぇぇぇ!?」
酒匂「でもみんな太ってないよ? それに任務とか通常訓練してれば太らないと思うし……服って何度も洗濯したりしてると縮んじゃうから、そのせいじゃないかな〜?」
するとそこに救世主が現れた。かの有名なサカワエルの降臨である。そして救世主の降臨により流れが変わり始める。
長良「そうかな〜?」
五十鈴「でも阿武隈達なんて私達からすれば細いものね」
名取「制服が縮んじゃうのも確かにあるかも……」
酒匂「阿賀野ちゃんも最近はお菓子そんなに食べてないし、矢矧ちゃんはあれ以上鍛練するとし過ぎになっちゃうよ……」
阿賀野「」コクコク←激しく同意
能代「それもそうよね……」
矢矧「酒匂……そこまで考えてくれていたのね!」ギュッ
こうしてサカワエルのお言葉により、走り込みはしたい者達ですることになった。
由良、鬼怒、阿武隈、阿賀野はその後、サカワエルへ自分の甘味を分け与え、そのお言葉に感謝を示すのだったーー。
前編終わりです!
本編中の情報はWikipediaと『大日本帝国海軍 所属艦艇』から得ました。
この日沈んだ軽巡洋艦『鬼怒』『阿武隈』『能代』と多くの英霊の方々へ心からお祈りします。
読んで頂き本当にありがとうございました!