艦これ Short Story《完結》   作:室賀小史郎

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駆逐艦メイン。

キャラ崩壊、ネタ、独自設定含みます。


艦これSS二百七十一話

 

 ○○鎮守府、一六○○ーー

 

 明石酒保ーー

 

 カランカランーー

 

秋月「こんにちは♪」

照月「こんにちは〜」ニコッ

初月「こんにちは」ニッコリ

 

イク「秋月ちゃん達なの♪」

ニム「こんにちは♪」

ろ「こ〜んに〜ちは〜!」ノシ

明石「秋月ちゃんいらっしゃい♪ ちょっと待っててね〜♪」

 

 酒保へやって来た秋月に明石はそう返すと、テキパキとイク達の会計を済ませ、「今持って来るわね」と言って酒保の倉庫へと向かった。

 秋月姉妹、特に秋月はキラキラとした満面の笑みでそれを待った。

 

イク「何か頼んだの?」

秋月「いえ、頼んだ訳では無いんです。当たったんです♪」ニコニコ

ニム「当たった?」

照月「秋月姉が懸賞に応募したんだって」フフフ

初月「その懸賞が当たったみたいでね。その賞品を受け取りに来たんだよ」ニコッ

ろ「何に応募したの!?」キラキラ

照月「それは教えてくれないんだよね〜」

初月「受け取ってからのお楽しみらしい」ニガワライ

イク「気になるの〜!」

ニム「ニム達も待ってていい?」

秋月「はい、勿論です♪」

ろ「楽しみ〜!」ワクワク

 

 すると明石が倉庫から戻って来た。しかしみんなは首を傾げた。何故なら明石が持って来た包は平べったい物だったから。

 

秋月「え……これですか? 何かの間違いじゃ……?」

 

 思っていたのと違ったのか、明らかに動揺する秋月。

 

明石「確かに宛先は『○○鎮守府・秋月様』で間違い無いわよ?」

 

 そう言われた秋月は「そんな〜!」と言ってヘナヘナとその場に座り込んでしまった。

 

照月「あ、秋月姉、しっかり」セナカサスサス

初月「お姉ちゃん……」ヨシヨシ

 

イク「ん〜? 平べったいけど大きい包なのね?」

ニム「うん……四切り画用紙と同じくらいのサイズだよね?」

ろ「秋月ちゃんは何が欲しかったの?」

 

 すると秋月は弱々しく返した。

 

秋月「豪華缶詰セット…………」

イク「豪華って何の缶詰なの?」

秋月「和牛で作った贅沢な缶詰セットだったの……」ウゥー

照・初『あぁ〜』ニガワライ

ニム「で、でも、平べったいけどシーチキンの缶詰二つ分くらいの厚さはあるし、缶詰かもしれないよ!?」

秋月「サイズもちゃんと書いてありました……これは紛れもなく違う物です……」クスン

初月「お姉ちゃん、泣かないで」フキフキ

ろ「他に何か応募したの?」

秋月「確か賞品は二つありました。でも覚えてません……」スンスン

照月「ほらほら、鼻チーン」つティッシュ

 

 照月からポケットティッシュを受けると、秋月は「ありがとう」と言ってチーンと鼻をかんだ。

 鼻をかんで落ち着いた秋月は涙を拭き、立ち上がった。

 

秋月「はぁ〜……やっぱり欲に目が眩んだのが悪かったわ」

照月「そんなに落ち込まなくても……」ニガワライ

秋月「だってあまりにも欲しかったから初霜ちゃん、時雨ちゃん、雪風ちゃんにも手伝ってもらったから……」ハイライトオフ

初月「この前暫く部屋に戻って来なかったのはそういうことだったんだね」ニガワライ

秋月「私は少しでも妹達に自分の力でいい物を食べさせたくて〜!」ブワッ

照月「あ〜あ〜、その気持ちだけで嬉しいから」ナデナデ

 

 落ち着いたはずの秋月はまた涙を流してしまった。

 

イク「そんなに無理しなくても食堂に行けばいい物食べられるの」ニガワライ

秋月「私は自分の力で! 食べさせたかったんです!」

ろ「泣かないで〜」ヨシヨシ

秋月「確かに幸運艦と言われる三人のお力は借りました! これは他人を頼ったから天罰が下ったんです!」シクシク

イク「と、取り敢えず泣き止むのね……応募して当たっただけでもいいことなの」ニガワライ

秋月「うぅ〜」エグエグ

明石「う〜ん……取り敢えず今開けてみる?」

 

 明石がそう提案すると秋月は『はい』と言うようにコクコクと頷いた。

 

明石「では私が代表して開けるわね」ガサゴソ

 

秋月「」グスングスン

照月「気持ちは十分伝わったから」ナデナデ

初月「そうだよ。僕達はなんだって嬉しい」ギュッ

秋月「うん……」クスン

 

 照月と初月は秋月の気持ちを少しでも軽くさせようとした。その心遣いに秋月も徐々に冷静さを取り戻し、明石が開けるのを真剣に見つめた。

 

明石「うわ……凄い。立派な木箱……」オォー!

イク「見るからに高そうなの!」

ニム「それに大っきいよ!」

ろ「何かな何かな〜!?」キラキラ

明石「蓋は秋月ちゃんが開けて」ニコッ

秋月「はい……」

 

 明石に促され、秋月は深呼吸してからゆっくりとその木箱の蓋を開けた。

 

 パカッ……

 

照月「嘘っ!?」

初月「…………」←言葉が出て来ない

イク「わぁ〜!」

ニム「凄い……」オォー!

ろ「お肉だ〜!」キラキラ

 

 木箱の中には霜降りの肉がところ狭しと敷き詰められていた。

 そして木箱の裏には一枚の紙が付いていた。

 

明石「えっとなになに……」

 

 明石はその内容を読み上げた。

 

『此度の「みんなの懸ショー」にて、秋月様は当コーナーにて累計七七七七七七七人目のご応募者様となりました! よって今回は特賞として最高級松坂牛・A5ランク贅沢セットを贈ります! おめでとうございます!』

 

明石「……だって! 良かったね♪」

ニム「おめでとう♪」パチパチ

イク「おめでとうなの〜♪」パチパチ

ろ「おめでと〜!」ピョンピョン

 

照月「やったやった! 秋月姉、ありがとう!」

初月「雪風達にもお礼しなきゃね!」

秋月「………………」

 

 みんなが喜ぶ中、秋月は状況が飲み込めずに固まったままだった。そんな秋月を見て、照月と初月は秋月の肩をブンブンと揺らすと、やっと秋月は戻って来た。

 

秋月「こ、これ夢じゃないのよね?」ワナワナ

照月「夢じゃないよ♪ 見てよ、このお肉♪」

初月「ありがとう、秋月お姉ちゃん!」ギューッ

秋月「…………ます」

照・初『え?』

秋月「家宝にします!」

照月「えぇ〜! 食べなきゃダメになっちゃうよ!」

秋月「それでももう食べられないかもしれないのよ!?」

初月「だから食べようよ! 大切にし過ぎてダメにしたらもっと勿体無いよ!」

 

 /ヤイノヤイノ\

 

明石「取り敢えずダメにならないように蓋をしておきましょ」ニガワライ

イク「せっかくだからちゃんと食べてほしいのね」ニガワライ

ニム「牛さんだって食べてほしいよね」ニガワライ

ろ「二人が説得するから大丈夫だよ♪」

 

 その後、呂が言ったように秋月は二人に説得され、その日の晩は初霜、時雨、雪風の三人も呼んで松坂牛を堪能したそうなーー。




 おまけーー

 一九○○、駆逐艦寮、秋月姉妹部屋ーー

雪風「これが当たった松坂牛!」キラキラ
初霜「立派ですね〜」ワァー
時雨「僕達までご馳走になっていいのかい?」

秋月「勿論です! 三人がもたらしてくれた松坂牛ですから!」
初月「このお肉を使ってすき焼を作るよ」ニコニコ
照月「流石にみんなの姉妹の分は無いから、本当に三人だけにしかご馳走してあげられないのが残念だけどね」ニガワライ

 照月の言葉に雪風達は『気にしないで』と言うように笑顔を返した。

秋月「で、では行きます!」プルプル
初月「緊張し過ぎて火傷しないでね」ニガワライ

 秋月は熱したすき焼用のお鍋に牛脂を塗り、そこへザラメ砂糖をパラパラと振り撒き、ザラメ砂糖が溶けて来たところへ牛肉を広げた。そして牛肉の上に更にザラメ砂糖を振り撒く。

時雨「ザラメを使うんだね」
初霜「なんか本格的ですね」キラキラ
雪風「お肉にかけたザラメが溶けて来ました♪」

秋月「ここで少しお醤油を入れます」ジュワー
照月「じゃあ、ここで全員溶き卵用意♪」
初月「そうだね」ニコッ

時雨「もう?」
秋月「先ずは霜降り肉の美味しさをそのまま堪能してほしいので♪」
雪風「おぉ〜!」キラキラ
初霜「贅沢ですね!」キラキラ

 砂糖醤油でしっかり焼けた霜降り肉をみんなは溶き卵にからめて大きく一口に頬張った。

 パクン…………

全員『幸せ〜♪』ホワワーン

 松坂牛そのものの味を楽しんだ後は牛肉を最初と同じ様に焼き、そこへ野菜、しらたき、豆腐等のお馴染みの具材を入れ、少し煮込んで今度は白い銀しゃりと共に心置き無く堪能し、みんなは幸せな笑顔に包まれたーー。

 ーーーーーー

今回は秋月ちゃんをメインに日常系のお話にしました!
秋月ちゃん達には美味しい物をたらふく食べてもらいたいですね!

それでは読んで頂き本当にありがとうございました♪

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