艦これ Short Story《完結》   作:室賀小史郎

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軽巡洋艦メイン。

キャラ崩壊、他作ネタ含みます。


艦これSS二百七十話

 

 ○○鎮守府、一五○○ーー

 

 執務室ーー

 

提督「……」←書類確認中

 

 コンコンーー

 

提督「入りなさい」

 

 ガチャーー

 

矢矧(本日秘書艦)「失礼します。提督、言われた書類を大淀に提出して来ました。それと追加の書類も預かって来ましたので、ご確認をお願いします」

 

提督「ん、ありがとう。こちらに持って来てくれるか?」

 

矢矧「はい♪」

 

 今日の矢矧は気分がとても良かった。何故なら密か(本人だけ)に恋い焦がれている提督の側で仕事が出来るから。

 

矢矧「こちらです♪」つ書類

提督「ありがとう。これが終わったら一度休憩を入れよう。もう少し付き合ってくれ」

矢矧「はい、いつまでもお付き合いします!」フンス

提督「はは、あまり力を入れ過ぎないようにな」ナデナデ

矢矧「はい♡////」エヘヘ

 

 コンコンーー

 

提督「入りなさい」

 

 ガチャーー

 

阿賀野「提督さ〜ん! 大変だよ〜!」

 

 ドアが開くと同時に阿賀野が大急ぎで提督の前までやって来た。

 

矢矧「姉さん、何があったの!?」

提督「落ち着いてゆっくり話しなさい」

阿賀野「今日はサツマイモの日なの!」

 

矢矧「え?」

提督「ん?」

 

 阿賀野の発言に提督と矢矧は時が止まったかのように固まった。

 

矢矧「サツマイモの日?」

阿賀野「そうなの! なのにサツマイモ食べてないの! 食べなきゃ駄目だよね!?」

矢矧「………………はぁ〜〜」ガックリ

 

 矢矧は耐えきれず今シーズン最大級のため息を吐いた。

 そんな矢矧を気にする素振りも見せず、阿賀野は矢矧の肩をブンブンと揺さぶりながら『サツマイモ〜!』と言うように目を輝かせていた。

 

提督「阿賀野は今日休みだったな?」

阿賀野「うん、そうだよ♪」

提督「ならばこの時間になるまでにサツマイモを食べる時間はあったのでは?」

阿賀野「それが無かったからこうして焦ってるの〜!」プンプン

提督「……どうして無かったんだ?」

阿賀野「お昼寝とか読書(雑誌)で忙しかったから!」キリッ

提督「そうか……」ニガワライ

阿賀野「提督さ〜ん、どうしよ〜!」テシテシ

 

 阿賀野節全開の中、提督は阿賀野に二の腕ら辺を叩かれながら『どうしたものか』と考えながら書類に目を通した。

 

矢矧「姉さん?」ニコニコ

阿賀野「ん? どうしたの矢はgーー」

 

 ぐにっ!

 

阿賀野「うゅ〜!?」

 

 矢矧は阿賀野が言葉を言い切る前に阿賀野の両頬を片手で押し潰した。笑顔は笑顔だが、阿賀野から見ればそれは般若よりも恐ろしく見えているだろう。

 

矢矧「何かあったのかと心配させておいて、な〜にがサツマイモの日よ……そんなの酒保や食堂に行けばサツマイモのお菓子なり、サツマイモを使った料理なり食べられるでしょ〜?」グニグニ

 

 絶対零度の微笑みのまま、矢矧は阿賀野の両頬を圧し続けた。

 

 すると阿賀野は、

 

阿賀野「ぷはぁ……だ、だって〜、能代が阿賀野のお財布を能代しか開けられない金庫に入れて遠征行っちゃったから、限られた分しか無いんだもん!」

 

 矢矧の束縛から逃れ、提督の背中に避難しつつそう主張した。

 

矢矧「それは姉さんが無駄遣いして無駄に食べるからでしょ……しかもさっきまでお昼寝してたみたいだし……」

阿賀野「お昼寝は大事なんだよ!? お昼寝しないと成長しないんだから!」

矢矧「姉さんの場合はもう横にしか成長しないわよ」

阿賀野「あ〜! 阿賀野気にしてるのに〜!」プンプン

矢矧「気にしてるくせにあれだけ食っちゃ寝出来るんだから、『気にしてる』の内に入って無いでしょ?」

阿賀野「入りますぅ! 阿賀野はまだ成長期だもん!」

矢矧「」プチッ

 

 矢矧は無表情で阿賀野の方へゆっくりと近付いていく。しかもはめている手袋をおもむろにキュッとはめ直して。

 

阿賀野「ぼ、暴力はいくないよ! それに叩くと叩いた方も痛いよ!」

矢矧「…………それも一理あるわね」

阿賀野「」ホッ

 

 ホッとしたのもつかの間、矢矧は阿賀野の左手をガシッと掴んだ。

 

矢矧「じゃあこうするまでよ」

阿賀野「へ?」

 

 すると矢矧は掴んだ阿賀野の手を阿賀野の頬へ当たるように動かした。阿賀野からすると自分の手で自分の頬を叩いている形だ。

 

阿賀野「や〜ん! ごめんなさい〜!」ペチペチペチペチ

矢矧「」

 

 阿賀野が謝っても矢矧は無言のままで手を止めようとはしない。阿賀野も阿賀野で自分にも悪った部分があると思い、抜け出せずにいた。

 

提督「矢矧、もうそれくらいにしてやりなさい」

矢矧「…………了解」

 

 提督に言われた矢矧はそこでようやく阿賀野の手を離した。

 それを確認した提督は書類を置いて、執務室の時計をチラッと確認してから口を開いた。

 

提督「もうすぐ能代達も遠征から戻って来る頃合いだ。出迎えに行きつつ食堂で何かご馳走してやろう」ナデナデ

阿賀野「提督さ〜ん♡」ギューッ

 

 提督の提案に阿賀野は提督の右腕に抱きつき、その右腕に頬ずりした。それを見た矢矧は「すぐ甘やかすんだから」と不満を述べつつも笑顔を見せていた。

 

 

 埠頭ーー

 

能代「全員居るわね?」

酒匂「大丈夫だよ♪」

綾波「資材もちゃんとあります♪」

 

敷波「浦波、大丈夫?」

浦波「うん、慣れて来たから平気だよ」ニコッ

磯波「資材運んで補給したら甘い物食べに行こうね♪」

浦波「やったぁ♪」バンザーイ

 

提督「皆、お疲れ様」

阿賀野「みんなおかえり〜♪」

矢矧「お疲れ様」ニコッ

 

 遠征から帰った能代達に提督達がそう声をかけると、みんなは『ただいま』と言うように笑顔で敬礼した。

 その敬礼に提督も笑顔で敬礼を返し、一人ひとりに労いの言葉をかけ、先程阿賀野に提案したことをみんなにも提案した。

 すると駆逐艦のみんなは大喜びで資材を運びに行って、補給をしに向かった。

 

能代「阿賀野姉ぇがごめんなさい。お心遣い感謝します」フカブカ

提督「そう気にするな。私がこうして艦隊を運営出来ているのは皆のお陰だからな。それに普段から素直に働いてくれているんだ、少しくらい我儘を聞くのも当然さ」ニカッ

能代「ありがとうございます♡」キュンキュン

 

酒匂「司令とおやつ♪ 楽しみっぴゃ〜♪」ピョンピョン

阿賀野「今日はサツマイモの日だからね! 美味しいサツマイモ料理を食べようね♪」

矢矧「食べ過ぎたらその分鍛錬だからね」

阿賀野「わ、分かってるってばぁ〜……」ガクブル

 

 それから能代と酒匂も資材運びと補給をしに向かい、提督達は一足先に食堂へ行ってみんなの席を取りに向かった。

 

 

 食堂ーー

 

阿賀野「スイートポテト美味しい〜♪」マグマグ

酒匂「美味しいね〜♪」アムアム

提督「それは良かった」ニコニコ

 

能代「大学いも美味し♪」パクン

矢矧「サツマイモ料理の代表格よね」モグモグ

 

浦波「うわぁ、これ美味しい♪」モキュモキュ

磯波「サツマイモを使ったクリームチーズケーキなんだって♪」パクッ

綾波「チーズケーキだけど、サツマイモみたいにホックリした食感だね」ニコニコ

敷波「間宮さんと伊良湖さんって本当にすごいよね〜♪」モグモグ

 

 こうして阿賀野から始まったサツマイモ騒動は美味しく幕を閉じたーー。




今回はサツマイモの日ということでこのようなお話にしました!
焼き芋は前に書いたので、今回は日常系メインで書きました!

今回も読んで頂き本当にありがとうございました☆

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