艦これ Short Story《完結》   作:室賀小史郎

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空母のみ。

キャラ崩壊、独自設定含みます。


艦これSS二百六十九話

 

 ○○鎮守府、一四○○ーー

 

 空母寮、共同厨房ーー

 

大鳳「る〜る〜♪ らら〜♪」シャカシャカ

 

 大鳳は自前のグレーのシンプルなエプロンを装備して、歌を口ずさみながら料理をしていた。

 

「何してるの〜?」

「何を作っているんだ?」

 

 そんな大鳳へ声をかける者が居た。

 それは最近空母寮へ引っ越してきたグラーフとアクィラだった。

 グラーフとアクィラは同じ部屋になり、ビスマルクと住んでいた部屋にはアイオワとウォースパイトが移った形だ。

 

大鳳「あ、お二人共、こんにちは♪」

 

 大鳳は作業中の手を止めて二人に挨拶をすると、二人もそれぞれの国の言葉で挨拶を返した。

 挨拶を終えると、大鳳は二人の質問に答えた。

 

大鳳「今月末はハロウィンですし、その日に私はお菓子をお渡しする予定があるので、そのお菓子の練習として今作ってるんですよ」ニコニコ

アクィラ「まぁ♪ ハロウィンのお菓子!」キラキラ

グラーフ「私達もお菓子を用意した方がいいか? そんなに気にしてはいなかったのだが……」

大鳳「いえ、配ると言っても私の場合は特別仲良くして貰っている特定の方々へですから♪」

アクィラ「なら私もリベちゃんやザラちゃん達に作ろうかしら〜♪」

グラーフ「ドイツ組は私が作らなくてもプリンツが作りそうではあるな……」ウーン

大鳳「ハロウィン当日はパーティがあるので、皆さんそこでお菓子を貰えますから、私みたいに個人的な理由が無ければ何も用意しなくても大丈夫ですよ♪」

グラーフ「そうか……なら私は適当に酒保で何が菓子を買ってレーベ達にあげるとするかな」

 

 するとアクィラがグラーフの手を掴んだ。

 

アクィラ「さぁ、アクィラ達も作るわよ♪」ルンルン

グラーフ「お前……私の話を聞いてたか?」ニガワライ

 

 グラーフの言葉にアクィラ『?』と小首をかしげて見せた。そんなアクィラを見たグラーフは盛大なため息を吐いた。

 

グラーフ「まぁいい、どうせこれから暇だしな。大鳳、私達も参加していいか?」

大鳳「えぇ、勿論構いませんよ♪ 材料も沢山ありますから、みんなで作りましょう♪」

アクィラ「Meno male(良かった)♪ 早速作りましょ♪」

グラーフ「待て、その前にエプロンの用意をして手洗いだ」グイッ

アクィラ「あ……は〜い」ニガワライ

大鳳「」クスクス

 

 こうしてグラーフとアクィラは一度部屋に戻り、自前エプロンを持って戻って来た。

 グラーフは全体が黒で肩掛けの紐や腰の紐が赤の大人っぽいエプロン。

 対するアクィラは正面から見て左から緑、白、赤の三色のイタリア国旗を模していて、ボタンがピザを模したデザインのユニークなエプロンだった。

 

大鳳「うわ〜、どちらもいいデザインですね〜」

グラーフ「大鳳のもシンプルでいいじゃないか」ニコッ

アクィラ「アクィラのこれは自分で作ったの♪」

大鳳「手作り!? お裁縫得意なんですね!」

グラーフ「流石はイタリア版お艦だな」ウンウン

アクィラ「えへへ、Grazie(ありがとう)♪」

    (オカンってどう言う意味なのかな?)

 

 そんなこんなで二人はエプロンを装備した後、手を洗い、大鳳を挟むように両サイドに立った。

 

アクィラ「材料的に作ってるのはクッキー?」

大鳳「はい♪ ただのクッキーじゃなくてハロウィンっぽく色んな形にする予定です♪」

グラーフ「蜘蛛の巣にする型もあるのか……」フムフム

大鳳「そう言えば、ドイツやイタリアのハロウィンってどう感じなんですか?」

 

 大鳳の素朴な疑問にグラーフは『う〜ん』と言った感じに腕を組んで考え出した。その一方でアクィラが笑顔で答えた。

 

アクィラ「イタリアのハロウィンは翌日の『万世説・諸聖人の祝日』イタリア語で『giorno dei tutti santi・onnisanti』って言うんだけど、その日のイブなの♪」

大鳳「聖人の祝日……」

アクィラ「『諸聖人の祝日』って言うのは、すべての殉教者と聖人に祈りをささげる日のことなの。キリスト教における重要な祭日のひとつ♪」

大鳳「へぇ〜……やはり日本みたいな感じではないんですね〜」ナルホドー

 

 すると悩んでいたグラーフが口を開いた。

 

グラーフ「ハロウィンは元々がアングロ・サクソン系民族、つまりアメリカ系のお祭りで、我らゲルマン国ドイツにはそんな楽しむようなイベントではなかったんだ。でも近年はドイツもアメリカナイズされ、子どもや若い家族中心にハロウィンをするようになって行って、今みたいに有名なお祭りになったんだ」

 

大鳳「流石はアメリカ……」

 

アクィラ「イタリアでもアメリカ文化に影響されて、近年はハロウィンをイベントとして楽しむ傾向にあるのよね。でもイタリアは元々伝統のお国柄だから、どちらかというとハロウィンの翌日の『諸聖人の祝日』、そして翌々日の『死者の日』に重点が置いてるわ。日本で言うお盆みたいな感じ♪」

 

大鳳「なるほど……」

 

グラーフ「我が祖国ドイツやその周辺国で行われるハロウィンは、元々が古代ケルト起源の秋の収穫祭や悪霊を払う宗教的な意味合いを持つお祭りだからな」

 

大鳳「ふむふむ……」

 

グラーフ「語源はカトリック教会の十一月一日に祝われる『諸聖人の日』の前日の『All Hallows Eve』がなまったものとも言われている。『諸聖人の日』はドイツだとカトリックの州のみが祝日で、この日はやはりイタリアと同じく、日本で言うところのお盆のようなもので、お墓や記念碑に松飾りや菊を飾って死者をしのぶんだ」

 

大鳳「やはり国というか地域によって様々なんですね〜。そんなに違いがあるとは思いませんでした」

アクィラ「ふふ、そうよね」クスクス

グラーフ「私は日本のように色んな文化を取り入れるところ好きだがな」フフフ

大鳳「ありがとうございます♪」

 

 そして大鳳達は改めてお菓子作りの練習を再開した。

 三人が作ったのはクッキーで、コウモリ型や骸骨型といったホラーなクッキーだったが、デザインは非常にポップで可愛らしいクッキーとなり、味もちょうど良い甘さに仕上がった。

 三人は満足してそのままの流れで練習で作ったクッキーをお茶菓子に、午後のティータイムを過ごしたーー。




今日は叢雲ちゃんが沈んでしまった日ですが前回で取り上げたので、今回は全く関係ない回になりました。
ご了承お願い致します。
この日に沈んだ駆逐艦『叢雲』、そして命を落とされた英霊の方々に心からお祈りします。

そして今回はハロウィンを話題にしました!
最近ではメジャーなイベントになりましたね。
色んなゲームアプリのガチャやイベント、店先や広告でもハロウィンハロウィンハロウィンと……私が子どもの頃はハロウィンなんて殆ど聞かないイベントでしたけどね〜。グローバルというかアメリカの影響力は凄まじいですね〜。
この回のためにハロウィンを調べていて、こんなにもヨーロッパではメジャーになるのが遅かったとは思いませんでした!

ということで今回も読んで頂き本当にありがとうございました☆

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