少し真面目なシーン、キャラ崩壊、独自解釈含みます。
○○鎮守府、二一○○ーー
埠頭ーー
提督「全員、黙祷っ」
提督の合図で海に向かって埠頭へ集まった者達が一斉に黙祷を捧げた。
今宵集まった者達は以下の通り。
千歳、千代田
古鷹、加古、青葉、衣笠
吹雪型姉妹
綾波型姉妹
朝潮型姉妹
秋月型姉妹
一九四二年のこの日はサボ島沖海戦が勃発した日である。この海戦はガダルカナル島へ向かっている最中の出来事で、十月十一日の夜から十二日まで繰り広げられた。
その中で日本側は重巡洋艦『古鷹』、駆逐艦『吹雪』『叢雲』を失うことになる。
そのため、今宵はその海戦に参加した者達と姉妹艦、ガダルカナル島へ向かっていた者達とその姉妹艦で黙祷を捧げることにしたのだ。
古鷹、吹雪、叢雲はこの海戦で沈んだ過去の自分、そして自分と共に海へ沈んでいった英霊の方々へ心からの黙祷、そして艦娘となった今の自分の報告をした。
三人は黙祷を終えると薄っすらと涙を浮かべていた。
すると青葉は古鷹と吹雪の間に入り、二人の肩をソッと抱き寄せ、その隣で初雪が叢雲の手を優しく握った。
古鷹「ありがとう、青葉」ニコッ
吹雪「ありがとうございます」ニコッ
青葉「恐縮です」ニッコリ
古鷹と吹雪が青葉の心遣いに感謝を述べると、青葉は二人に笑顔で返した。
叢雲「ありがと、初雪」
初雪「ん」
その一方では叢雲がそっぽを向いて初雪に感謝を伝えると、初雪は表情を変えずに一言だけ返した。
去年の今頃、青葉は古鷹と吹雪は自分のせいで沈んだと深く悔み、二人に何度も謝っていた。
しかし二人は『謝らないでほしい』と青葉に言った。
あれは青葉本人のせいではないからと……その二人の言葉や加古、衣笠、提督の心遣い、多くの者達からの言葉で青葉は心から笑うことが出来、今では二人に謝罪ではなくそのままの気持ちを伝えることが出来ているのだ。
初雪に至っては艦時代とは言え、妹である叢雲を沈めたという負の念があった。
それでも叢雲本人は『あの時のことを気にし過ぎ。んなこと気にしないで、いつものあんたで居なさい』と普段通りの言葉を初雪にぶつけた。その言葉で初雪は叢雲に一度だけ『ごめん』と言って、叢雲も『はいはい』と返した。この時から二人にはもう何も隔てるものが無くなり、これまで以上に絆を深めた。
加古「泣くなよ青葉〜?」ナデナデ
青葉「青葉は泣いてませんよ!?」
衣笠「えぇ〜? 去年はわんわん泣いてたのに〜?」ホッペツンツン
青葉「去年と今の青葉は違います!」フンス
古鷹「あはは、青葉は強い娘だもんね♪」ナデナデ
青葉「どうしてみんなして青葉を子ども扱いするですか!?」ムキーッ
加古「だってな〜?」チラッ
衣笠「つい去年のことだし〜?」チラッ
古鷹「去年みたいに一緒に寝る? 私はいいよ♪」クスクス
青葉「!?////」ギクッ
/オコリマスヨー! アハハ!\
綾波「青葉さん去年よりも明るいね」ニコニコ
深雪「そうだな♪」
白雪「と言うかみんなからからかわれ過ぎてる気が……」ニガワライ
敷波「しんみりしてるよりずっとマシだって。去年は本当にすっごく泣いてたもん」
提督「余程の責任をあの決して大きくない背中に背負い込んでいたということだろう」
曙「あれは司令部が悪かったのよ。本当に糞提督がトップだとろくなことにならないわ」フンッ
漣「いいご主人様と悪いご主人様の差が激しかったからにゃ〜」
第六戦隊のいつものじゃれ合い風景に、提督達は去年の青葉のことを思い浮かべつつ『明るい青葉に戻って本当に良かった』とつくづく思いながら眺めていた。
叢雲「くしゅっ……流石に十月だからこの時間でも冷えてきたわね」
初雪「こうすれば大丈夫」ギュッ
くしゃみをした叢雲に初雪はそう言って抱きついた。
叢雲は『何が大丈夫なのよ』と言いた気にため息を吐いたが、手はちゃんと初雪の体に手を回して、表情も柔らかかった。
浦波「仲良しだね」クスクス
磯波「元々みんな仲良しだよ」ニコニコ
朧「曙も叢雲みたいに少しは柔らかくなってほしいな〜」ニガワライ
潮「曙ちゃんも優しいよ?」
秋月「そうですよ。この間なんて『余ったから』ってサツマイモくださいました!」
初月「しかも大きくて甘かった」ウンウン
照月「言動が少しキツいだけで、元々がすっごく優しいもんね」ニコニコ
曙「ちょっと、人のすぐ隣でそういう話題出さないでくれない? 苛つくんだけど!////」カオマッカ
漣「要訳すると『恥ずかしいから止めて』って意味ですね、分かります」キリッ
曙「」ドゴーッ
漣「」チーン
千代田「妹にも容赦無いわね〜」ニガワライ
千歳「『殴り愛』だなんて新しいわね〜」クスクス
漣の訳に対する不満かはたまた真実を突かれての照れ隠しか、曙は漣へノーモーションで右ボディを見舞った。それを見た周りの者達はそれぞれ微笑ましく眺め、潮や秋月達は苦笑いを浮かべながら漣を介抱した。
満潮「しんみりする場面なのに、ここは本当に騒がしいわね」クスクス
霞「ホントよ。もっとしっかりしてほしいわね」ニコニコ
荒潮「二人も大概よね〜♪」
山雲「そうよね〜♪」
朝雲「ちょっと二人共……二人が睨んでるから」ニガワライ
霰「気にしない気にしない」ウンウン
大潮「ちゃんと黙祷は真剣にしましたから、今は明るい方がいいですよ♪」
朝潮「そうね。その方がきっと英霊の方々も喜んでくださるわ」ニコッ
提督「では皆、冷え込んで来ているから、そろそろ寮へ戻って明日に備えて休んでくれ」
提督がそう言うとみんなは『はい♪』と揃って返事をした。
初雪「叢雲〜、今日一緒に寝ていい?」
叢雲「嫌って言っても入って来るでしょ。好きにしなさいよ」クスクス
初雪「うん、そうする」ニッコリ
叢雲「ん」ニコニコ
白雪「吹雪ちゃんはどうする?」
深雪「同じ布団で寝るか?」
吹雪「え、いいの?」
白雪「こんな日くらいね♪」
深雪「そうそう、お姉ちゃんの特別な日くらいはな〜」ニシシ
吹雪「なら大部屋借りて姉妹みんなで寝る?」
磯波「そっちの方がいいかも」ニコッ
浦波「なら私が司令官に許可貰って来るね♪」
こうして提督から許可を得た吹雪型姉妹は仲良くその夜を大部屋で過ごすことになった。
そしてみんなが戻る際、提督は古鷹、吹雪、叢雲の三人を呼び止めた。
提督「全員に毎回言っていることだが、生まれ変わって来てくれて本当にありがとう。私が三人にしてやれることは少ないが、これからも皆の笑顔を守ることを約束する」
古鷹「提督……♡////」キュンキュン
吹雪「ありがとうございます、司令官!」ニッコリ
叢雲「精々頑張りなさい♡////」プイッ
提督「あぁ、ではおやすみ」ニカッ
そう言い残して提督は鎮守府本館へ戻って行くと、古鷹と叢雲は熱い視線で提督を見送り、吹雪は笑顔で提督を見送ったーー。
おまけーー
その日の二二○○ーー
重巡洋艦寮、青葉&衣笠部屋ーー
青葉「あの〜……これはどういう状況ですか?」
古鷹「青葉と一緒に寝てるだけだよ?」
青葉の問いに青葉の布団に潜り込んで横になっている古鷹は平然と返した。
加古「古鷹がさ〜、今日はみんなで眠りたいんだって〜……あふ〜」
衣笠「こんな日くらいいいじゃん♪」
あくびをしつつ説明する加古と笑顔でそう言う衣笠。
因みに衣笠の布団には加古が入っている。
青葉「ま、まぁ古鷹さんが言うなら仕方ないですね……」←実は嬉しい
古鷹「うんうん♪」ギューッ
青葉「みんなのお姉さんである古鷹さんも、こういう時は甘えん坊ですね〜♪」ヨシヨシ
古鷹「えへへ、そりゃあね〜♪」スリスリ
衣笠「デレデレ青葉だ」クスクス
加古「によによ青葉だ」ニシシ
青葉「変なこと言わないでください」ギロッ
古鷹「甘える私、嫌いなんだ〜、えぐえぐ」←嘘泣き
青葉「そういうことじゃないですから!」アセアセ
衣笠「あ〜あ〜、い〜けないんだ〜、いけないんだ〜♪」
加古「て〜とくに言ってやろ〜♪」
青葉「んが〜、またみんなして〜! いいから寝ますよ!////」モグリコミー
古・加・衣『は〜い♪』クスクス
こうして第六戦隊は仲良く眠りに就き、そのみんなの寝顔はとても穏やかだったーー。
ーーーーーー
今回はサボ島沖海戦での回にしました。
この海戦で沈んだ重巡洋艦『古鷹』、駆逐艦『吹雪』『叢雲』と亡くなった多くの英霊の方々、他の艦艇に心からお祈りします。
正確には古鷹さんと吹雪ちゃんが10月11日。
叢雲ちゃんに至っては日付が変わった10月12日にサボ島沖海戦中の夜明けにアメリカ軍の空爆によりスクリューを喪失。更なる空爆で炎上し、最後は初雪の雷撃処分という経緯ですが一緒に書きました。ご了承お願い致します。
此度も読んで頂き本当にありがとうございました!