艦これ Short Story《完結》   作:室賀小史郎

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駆逐艦メイン。


艦これSS二百六十五話

 

 ○○鎮守府、一五○○ーー

 

 執務室ーー

 

提督「…………よし、この書類は終わりだ」

潮(本日秘書艦)「了解しました」ニコッ

 

 提督が書類の束をトントンと揃えながら潮に報告すると、潮は透かさずその書類の束を秘書机に運ぼうとした。

 しかし、

 

曙「終わったなら貸しなさい。ファイリングするから」

 

 潮よりも早く反応した曙が提督に自分に渡すよう要求してきた。

 

 提督が昨日の風邪から回復したと言っても昨日の今日である。またぶり返すかもしれないと心配した曙は、半ば強制的に潮の手伝いと言う名目で提督の側に侍っているのだ。

 

提督「ありがとう、曙」ニコッ

曙「べ、別に提督のためじゃないんだからね!//// 潮の手伝いとして居るんだからね!////」

 

 提督が笑顔でお礼を述べながら曙に書類の束を渡すと、曙は頬を赤くして見事なテンプレを繰り出した。

 そんな曙を見て、提督も潮もニコニコしながら曙を見た。すると曙は「ニコニコすんな!////」と余計に顔を赤くしてぶん取るように書類の束を受け取って、ソファーテーブルへそそくさと移動した。

 

提督「曙、その作業をする前に時間的にそろそろ休憩時間を取らないか?」

曙「…………仕方ないわね。いいわよ、休憩しても。無理に働かせてまた風邪でも引かれたら、あたしがみんなから責められるもの」ニッコリ

潮(曙ちゃん、ホッとしたお顔してる……)クスッ

 

 いつものように言動と表情が真逆の曙に潮はそう考えたが、『素直じゃないな〜』とも思いながらお茶の準備に取り掛かった。

 

曙「ほ、ほら、休憩するんでしょ……あんたもこっちに来て座ったら?////」ポフポフ

 

 潮がお茶の準備に取り掛かるのを見て、曙はそう言いながら提督を呼んだ。そしてちゃんと『自分の隣に座れ』と言わんばかりに隣のスペースを叩いて。

 それを見た提督は「お邪魔するよ」と笑顔で曙の隣へ腰を下ろした。

 

曙「あ、それとも煙草吸う? 吸いたいなら吸いなさいよね。あたしも潮も気にしないから」

提督「ありがとう。お茶を飲んだら窓際で吸わせてもらうよ」

曙「(別に隣で吸ったって構わないのに……////)」ボソッ

提督「? すまん、聞き取れなかった」

曙「何も言ってないわよ////」プイッ

 

 曙がまた頬を赤く染めながらそっぽを向くと、提督は「そうか……」と苦笑いを浮かべて返した。

 毎度お馴染みの素直には言えない乙女心なのだ……。

 

 そんなやり取りをしている間に潮がお茶の入った湯呑をお盆に乗せてソファーテーブルへ戻って来た。

 

潮「淹れて来ましたよ♪」

提督「あぁ、ありがとう」ニコッ

曙「ありがと」ニッコリ

 

 潮から湯呑を受け取り、潮が着席したことを確認してから提督はお茶をすすった。それに続いて曙と潮もお茶をすする。

 お茶を一口含んだ後、三人は同じタイミングで『は〜……』と一息吐いた。

 

提督「何か茶菓子になるような物でも探すか……」

 

 そう言って提督が立ち上がろうとした時だった。

 

 コンコンーー

 

 執務室のドアがノックされた。提督は透かさずいつものように「入りなさい」と声をかけると、

 

 ガチャーー

 

翔鶴「失礼致します」ペコリ

瑞鶴「失礼します!」

綾波「失礼します」ペコリ

敷波「お邪魔しま〜す」ノシ

朧「ども〜♪」

漣「こんちゃ〜ッス!」

 

 翔鶴、瑞鶴に加え、綾波達が入って来た。そして何やら大きなビニール袋を持っていた。

 

提督「お〜、おかえり」ニコッ

 

 提督がみんなにそう言うと翔鶴達は『はい♪』と言って敬礼しつつ、ニッコリと笑顔を返した。

 翔鶴達は間宮達のお使いで商店街へ行っていたのだ。

 

漣「ご主人様〜、聞いて聞いて〜♪」

朧「瑞鶴さん凄いんだよ!」

 

 すると朧と漣の二人が提督の側へ駆け寄って来た。

 

提督「どうしたんだ?」

 

漣「間宮さんのお使いで福引券貰ったのだ!」

朧「それで瑞鶴さんが代表で回したらなんと〜!」

朧・漣『種なし柿セットを獲得しました〜!』

 

 二人はそう言いながら大きなビニール袋から柿をバーンと提督達に見せつけた。

 

提督「おぉ……見事な柿だな。流石は瑞鶴」

潮「瑞鶴さんすご〜い」ワァ

曙「流石は幸運艦って感じかしら」フフ

 

瑞鶴「や、止めてよ〜……たまたまよ、たまたま////」

綾波「でも一等だったんですよ♪」

敷波「他の人達も拍手してたよね♪」

翔鶴「姉として誇らしいわ」ニコニコ

瑞鶴「〜////」モジモジ

 

 みんなから絶讃された瑞鶴は嬉しいやら恥ずかしいやらで顔を真っ赤にして俯いてしまった。

 

翔鶴「沢山あるので皆さんでおやつとして頂きませんか?」ニコッ

漣「寧ろそのために来た!」wktk

朧「提督〜、みんなで食べよ〜♪」グイグイ

提督「ではお言葉に甘えようか」ニコッ

潮「みんなのお茶淹れてきます♪」

 

 こうしてみんなで瑞鶴が獲得した柿を食べることになった。

 翔鶴は持参した果物ナイフで丁寧に柿の皮を剥き、提督も常備しているナイフを使い、慣れた手付きで皮を剥いていった。

 

漣「ご主人様、ナイフも持ってたんですね!」

提督「刀が折れた時のためと万が一のためにな。ここに着任する記念に教官殿から贈られた物だ」

 

 提督のナイフは7インチのサバイバルナイフ。レザーハンドルにレザーシース。黒光りするハイカーボン鋼ブレードの使い勝手のいいナイフだ。

 

曙「ま、備えは大切よね」ウンウン

瑞鶴「提督さんが危ない目に遭うってのが想像付かないけど、何も準備してないよりはマシよね〜」

 

 二人がそう言うとその場に居た全員が頷いた。

 そんなこんなで皮を剥き終えた柿を四等分し、潮が用意したお皿に並べていった。

 

漣「柿ウマ〜!」モグモグ

潮「甘〜い♪」ハムハム

朧「秋は柿だよね〜♪」モッモッ

綾波「甘くて美味しいですね♪」パクン

提督「手拭きはこれを使うといい」つティッシュ

 

敷波「司令官も剥いてばっかいないで食べなよ」

瑞鶴「そうよ。それに柿は風邪予防にもなるんだから」

提督「あぁ、勿論頂くよ」

翔鶴「食べ過ぎはいけませんけどね」クスッ

曙「柿には体を冷やす作用もあるからね」

提督「何事も過剰摂取はいけないからな」シャク

 

 こうして秋の味覚である柿を堪能した提督達は、和やかな一時を過ごしたーー。




今回は柿を堪能する提督達といったほのぼの回にしました♪
そして今日は綾波ちゃんの進水日です♪
おめでとう!

ということで読んで頂き本当にありがとうございました☆

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